(NPO)氷河・雪氷圏環境研究舎

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help リーダーに追加 RSS ”氷河温度からみた地球温暖化”、”パタゴニアに行ってきました(1)、(2)”

<<   作成日時 : 2008/01/05 18:16   >>

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氷河温度からみた地球温暖化 投稿者:白岩孝行、2008/01/04(Fri)、 No.1624

新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

レギュラー投稿の第一回目として、氷河の内部温度が示す最近の北東アジアや北米の高所における気温変動について話題を提供したいと考えています。なお、私自身はここ数年、氷河研究からやや遠ざかっており、川と海と大気の生態学的なつながりを解明する課題に取り組んでいます。これについては、また機会がありましたら紹介しますが、もしよろしければ、以下のホームページをごらんください。政策提言までを視野に入れた文理融合型プロジェクトです。

http://www.chikyu.ac.jp/AMORE/

さて、私たちのグループ(北海道大学 低温科学研究所)は1995年から2005年にかけて、カムチャツカ半島とアラスカに分布する標高4000m以上の高地に発達する氷河をフィールドに雪氷コア掘削を行うことにより、過去数百年程度の期間の気候と大気環境の変動を復元する研究を行ってきました。中心となる作業は、掘削した長さ200m程度の雪氷コア試料の物理・化学的な解析・分析を通じて過去の気温や降水量、そして黄砂や汚染物質などの大気を通じて輸送される物質の変動を調べることです。

この研究の過程では、氷河の表面から底面にわたって雪氷コアを掘削するため、その掘削孔を利用して氷河の温度を全層にわたって詳細に測定することが可能になります。一般に、氷河の最も高い場所における氷河の温度は、季節的な気温変化によって大きく温度が変動する氷河表面の15m程度の深度を除き、その下方では、大気を通じて冷やされる表層で最も温度が低く、地球内部から伝わる熱の影響で常に暖められている氷河底面付近で最も温度が高くなります。その結果、氷河内の温度プロファイルは、気候条件と地殻熱流量が一定していれば、表層で低く、下層で高い温度プロファイルを示します。

本当はもっと複雑で、氷河が流動することによってより高所から流れてくる冷たい氷や、氷河表面が融けたり凍ったりして放出される熱、そして氷河流動によって氷が歪む際に作られる熱が氷河内の温度プロファイルに影響を与えます。

標高4000m以上の氷河の最高部に掘削地点を限定したのは、これらの複雑な要因をできるだけ排除するためです。そのため、ひじょうに簡単に言ってしまえば、これらの地域では、氷河の上層のほうが下層より温度が低くなり、もしそうでないプロファイルがあった場合、それは最近の気温が上昇していることの証拠となります(この場合、季節毎に降る雪の配分が年々あまり変わらないという前提があります)。

私たちが研究対象とした氷河は以下の5個です。1.ロシア・アルタイ山脈のベルーハ山(竹内望・藤田耕史両博士からのデータ提供)、2.ロシア・カムチャツカ半島ウシュコフスキー山、3.ロシア・カムチャツカ半島イチンスキー山、4.アラスカ・ランゲル山、5.カナダ・ローガン山キングコル。

以上の氷河の温度プロファイルを検討した結果、ベルーハ山、ランゲル山、ローガン山の3つの氷河の温度プロファイルでは、氷河の上層部分において、氷河内の温度が上層ほど高い逆転したプロファイルが見つかりました。つまり、最近の十年〜数十年に温度が上昇している証拠です。一方、カムチャツカ半島の二つの山の氷河では、アルタイ山脈やアラスカ・カナダの山々でみられた氷河温度の逆転現象は見られませんでした。

カムチャツカ半島では、低地の気象データには近年の温暖化の傾向が現れています。また、低地の山岳氷河は一般的な傾向としては後退しています。なぜ高所の氷河には温暖化の傾向が現れないのでしょうか。残念ながら、その原因は現段階ではわかりません。カムチャツカ半島の気候には、温暖化の長期的な影響に加え、北部北太平洋で生じている十年〜数十年周期の固有の気候変動が影響を与えており、これが温暖化の影響を小さくしているのではないかと推定しています。

地球温暖化をきちんと理解するためには、できるだけ長い時系列の気候変動情報を空間的に広い範囲にわたって収集することが必須の条件です。残念ながら、高所のデータはゾンデを用いた気象観測データに限られており、これらの観測記録はけっして長い時間を網羅していません。

山岳氷河の情報を様々な角度から読み取ることによって、地球温暖化の実態をきちんと掌握できるのではないかと思っています。そのためには、温暖化によって氷河が失われる前に、氷河が蓄えている過去の記録を我々の手で確保しておくことが必要となります。

文責:白岩孝行 (総合地球環境学研究所/低温科学研究所)
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パタゴニアに行ってきました 投稿者:青木賢人、2008/01/15(Tue)、 No.1627
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みなさま あけましておめでとうございます.
本年もよろしくお願いします.

さて,この年末年始もパタゴニア調査に行っていました.今回のターゲットはLago General Carrara / Lago Buenos Airesの周辺の地形発達史です.そのときの様子を私のブログに日記風にまとめてあります.

普段 研究者がどんな感じで現地調査をしているのか,なかなか普通の方はイメージができないかと思います.難しい言葉を使わないで書いていますので,「へ〜 研究者ってこんなことしてるんだ・・・」と思いながら読んでいただければと思います.

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パタゴニアに行ってきました−2 投稿者:内藤望、2008/01/25(Fri)、 No.1629

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みなさん、こんばんは。広島工業大学の内藤と申します。

先週の青木さんの投稿と同じく、私も南米パタゴニアに行ってきました。
パタゴニアと言っても、その氷河地帯は北氷原と南氷原の二つに大別でき、青木さんの行かれたのは北パタゴニア氷原のチリ側で、私が行ってきたのは南パタゴニア氷原のアルゼンチン側に位置するペリート・モレノ氷河です。

昨年の12月19日に出国(青木さんのブログを見たら、なんと同じ日に同じ成田空港から同じ航空会社の便で出発していたことに驚きました。私達はロスではなくシカゴ便でしたし空港で会うこともありませんでしたが)、1月11日に帰国しました。
今回の氷河観測の内容は、(細かくいうといろいろあるのですが、)特に主要な3点を以下に記します。
[1] 氷河の表面を測量し、過去の結果と比較することで、氷河が厚くなっているか薄くなっているかを調べる。【氷河変動】
[2] (カーナビや携帯電話搭載でも有名になっている)GPSを昨年の同時期に氷河上に設置しておいたのですが、それを回収することによって、氷河がどのくらいの速さで流れているか、年間を通じて調べる。【氷河流動】
[3] この氷河では、氷河(個体の氷)の表面や内部(空洞)を大量の融解水(液体の水)が流れているのですが、氷河内部のその水位を測って氷河の流れる速さとの関係を調べる。【氷河内水位:氷河底水圧の流動への寄与】
ただし最後の[3]項については、残念ながら今回は結果的にうまくいきませんでした。もう少し検討し直して再度チャレンジしたいと思っています。

ところで「氷河の表面や内部を水が流れている」ということは、あまり一般的には知られていないかも知れませんね。世界中どの氷河でも、というわけではないのですが、氷河の温度がほぼ全域にわたって融点0℃に達しているような「温かい」氷河【温暖氷河】では、よく見られる現象です。氷河表面上には、まさに川のような水流が走っており(写真)、所々に開いた氷河内部への縦穴【moulin:ムーラン】で、その水流は滝のようになって氷河内部へと入っていきます。私は氷河内部の深いところの様子は見たことがありませんが、氷河内部には大小様々な水路が走っていると考えられているのです。

そういえば昨年度、ペリート・モレノ氷河に滞在していた際、ムーラン内に降りていってこの氷河内部の水路中をケービングするという冒険野郎達に会いました。もちろん登山用の命綱をはじめ最新の装備を使っていましたが、私にすれば「crazy」としか言いようがありませんでした。(彼らはcrazyと呼ばれることで逆に喜んでいるようでしたが...)こういう冒険野郎達が氷河内部の科学調査・観測に協力してくれるとかなり面白い成果が上がるような気がするのですがね。私自身は、ムーラン内に降りていくという行為はさすがに怖くて、やってやろうなどとは露ほどにも思いません。危険をあえて冒す「冒険」は目的ではなく、あくまで「安全と判断される」範囲内での調査・観測にとどめます。(この安全かどうかの判断が、時として難しいことがあるのですが...)




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