(NPO)氷河・雪氷圏環境研究舎

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zoom RSS 情報”鷲峰山;梅雨;IGS;ブナ探策;鹿床;菊;砂丘Talk;猛暑;化石;森療;熱夜;渇水;雪氷会”

<<   作成日時 : 2010/06/13 12:00   >>

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鷲峰山のブナ原生林とスギ人工林

成瀬廉二、2010/06/13、No.2044

 鳥取市鹿野町の鷲峰山(じゅうぼうさん:標高921m)に先週(6月5日)登ってきた。低い山だが、北側の里から見ると鷲が翼を広げているような形をしているため鷲峰山と呼ばれ、雄大な姿のため古くから住民に親しまれ、数多くの伝説がある。

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 写真は、稜線上(800-900 m)の登山道を挟んで、右(南)側はブナの原生林、左(北)側はスギまたはヒノキの人工林となっている様子である。戦後から20数年間、わが国では木材生産の目的で、国有林にてブナ等の広葉樹を大掛かりに伐採し、スギやヒノキの針葉樹を植林した。この写真はその典型例を示している。
 ブナは本州の冷温帯の樹種であり、日本の山地のシンボル的な、主要な落葉広葉樹である。北海道では南部の一部地域にしか見られないが、中国地方では標高700 m付近から現れ、1000-1200 mが良好な生育を示す(橋詰隼人、2008)。将来、地球温暖化がすすみ、仮に平均気温が2度Cほど上昇すると、この地域では標高1000 m程度以下の山からはブナが消滅すると考えられている。

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梅雨入り

成瀬廉二、2010/06/18、No.2045

 広島地方気象台は13日「中国地方は6月13日ごろに梅雨入りしたとみられます」と発表した。平年より7日遅い。
 日本各地(沖縄、奄美諸島を除く)の梅雨明けの平年日は、九州南部の7月13日から東北北部の7月27日までの間にある。しかし、昨年は九州南部が7月12日ごろ、近畿・東海が8月3日ごろ、中国・北陸・東北が「特定せず」と、地域による差異が非常に大きかった。
 なお昨年は、広島気象台が一度「中国地方は8月4日ごろに梅雨明けしたと見られます」と発表したが(本欄、2009/08/06、No.1872)、その後すっきりしない天気が続き、結局後日「特定しない」と発表を変更したのである。

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[写真:久松山(263 m)、2010.6.18]

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雪と氷と人の国際シンポジウム

成瀬廉二、2010/06/27、No.2046

 ”変動する気候における雪と氷の振る舞い、およびそれらが人間社会と活動に及ぼす影響”をテーマとした国際シンポジウム(International Symposium on Snow, Ice and Humanity in a Changing Climate)が、6月20-25日、札幌の北海道大学にて開催された。

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 主催の国際雪氷学会(IGS: International Glaciological Society)は、毎年1回か2回、世界各地で氷河や極地や雪や氷に関わるシンポジウムを開催しているが、日本で開くということで、また日本雪氷学会が共催になったということもあってか、雪や氷が人間社会や活動に及ぼす影響、をもテーマに含められた。
 雪崩や吹雪の発表はかなりあったが、氷河、氷床、海氷から積雪、氷まで雪や氷に関係したら何でも受けつけたように見え、残念ながらこのシンポジウムの特徴を感ずることができなかった。本シンポジウムの論文委員長(Douglas MacAyeal)に、「ヒューマニティというテーマを掲げたが、どういうトピックスの発表を期待していたのか?」と尋ねて見たら、「除雪や、雪の利用、雪氷災害の危険度、生活に関わる色々。それから海面上昇の影響とか、....」という答えだった。
 交通、生活、災害事例に関わる研究は、日本では雪工学会の会員が精力的に携わっているが、こういうトピックスはかなり地域色が強く、調査・研究結果から普遍的な知見が導かれることは必ずしも多くなく、したがって国際シンポジウムに発表する研究成果は限られるのが実情である。
 なお、本シンポジウム参加者129名の内93名(72%)が地元・日本人であり、やや国際性に欠けるものであった。また、中国から発表を申し込んでいた人の内、約10名がビザの取得が間に合わなかったということでキャンセルになった。国際集会等では、このビザと旅費という大きな2つの問題で直前キャンセルが良くあるが、残念なことである。

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ブナ林の探索イベント

成瀬廉二、2010/07/01、No.2048

 鳥取市国府町の扇ノ山中腹において、6月26日、『河合谷高原で森を見よう、樹を植えよう』という探索会が催され、一般市民30名が参加した。これは、森林環境保全税に基づく「とっとり県民参加の森づくり推進事業」に採択され、鳥取県から補助金を交付された「河合谷高原における森林の生態探索と環境保全活動」の市民参加イベントであった。主催は「河合谷高原開墾地の森林復元を考える会」というボランティア団体で、NPO氷河・雪氷圏環境研究舎も共催団体として参画した。
 当日は梅雨前線の影響で、終日やむことのない雨の中、小型バスをチャーターし、雨滝集落から扇ノ山林道を河合谷高原まで上り、標高500 m、700 m、1150 m付近にて、アカマツ、スギ、ヒノキ、ブナ、ミズナラ、コナラ、ナナカマド等の森林の探策、および林内、林外にて虫や鳥の観察を行った。
 また、ブナの育苗および植樹の実習として、標高1000 m付近に開墾されたダイコン畑の一区画を借地し、参加者全員でブナの苗100本を移植した(写真)。その苗は、主催団体の役員が昨年10月河合谷高原で採集したブナ種子を下界にてプランターで育てたものである。さらに、林道沿いに成長したブナ稚樹を採取し、牧場内の空地に移植した。

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シカの寝床 
     
 成瀬廉二、2010/07/09、No.2051

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 河合谷高原の森林探策会(26日)にて、ブナ等の広葉樹林内の登山道沿いでシカの寝床を見つけた。写真がそれで、講師の井上牧雄氏(元鳥取県林業試験場研究員)に教えられたものである。 小石や砂が少し掻き分けられ、落ち葉が圧縮され、直径1メートル程度の僅かな窪地となっている。言われてみれば、そうかと思うが、普通だったら全く見過ごしてしまう。 その寝床は、見つかりにくいとか、敵に襲われにくいという場所ではなく、かなり”まる見え”である。かつては天敵だったオオカミが絶滅したので安心して登山道脇で寝るようになった、ということではなく、シカの習性として、外敵の音や気配を早めに察知し、素早く逃げられるような場所に寝床を作っているのだろう、と素人ながら思う。 なお、鳥取県の山林では2年前からシカが急増し、平成20年度のシカによる農作物の被害額は鳥取県全体で1085万円に達したが、同年のイノシシの被害額5300万円、カラスの4400万円にはまだ及ばない(県農林水産部集計資料より)。
   
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オオキンケイ菊の駆除 
    
市谷年弘、2010/07/14、No.2053

 オオキンケイギクは、特定外来性生物に指定されており、花粉症植物としても注目されている植物である。このことから、去る6月19日に鳥取県北栄町西園の国道9号沿いで、県公園自然課の呼びかけで、自然保護のボランティアら30名が集結し、日本古来からある花々へ外来種が繁茂して拡大することを防ぐため、除草作業に汗を流した。 オオキンケイギクは、北米原産のキク科の多年草で、高さが30〜70センチになる。この植物は繁殖力が強く、岐阜県の木曽川流域で広がり、カワラサイコなどの固有種が減少、消失した例もあり、このことから、生態系への影響も懸念されている。5月〜7月に開花し、結実するまでに除草する必要があるため、今回の大規模な除草活動を実施した。 (編集:成瀬)

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 [写真]左:除草前、右上:オオキンケイギク、右下:除草後.                 

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砂丘トーク(前) 

                         成瀬廉二、2010/07/18、No.2055

 鳥取砂丘を生き返らせ、県民や県外からの来訪者にとって一層魅力ある自然遺産または観光地にするためには、何をするべきか、あるいは自然に任せるべきか、ということを議論する集会「鳥取砂丘熱血トーク」が17日鳥取市内において開催された。主催は、民間諸団体、大学人、観光業者、行政等で構成されている鳥取砂丘再生会議である。
 鳥取砂丘の開発と保全の歴史はやや複雑だか、簡単にまとめると以下の通りである。戦前は陸軍の演習場として利用されていたが、戦後1948年頃から、食糧増産の御旗のもとに、防風林、防砂林の設置、植林、土地改良、耕作試験などが積極的に行われた。一方、砂丘を文化財として保護しようという動きは当初からあったが、その機運が高まり1955年には一部地域が国の天然記念物に指定され、1963年には国立公園、後に同特別保護区に指定された。
 ところが、植林した樹木、森林の成長にともない、植林していない狭義の砂丘内に雑草が繁茂し始め、その草の存在が砂の動きを止め、その結果草が生育しやすくなり、ますます草原化が進む、という悪循環(正のフィードバック)が目立ってきた。そのため、2004年度から鳥取砂丘再生会議が音頭をとって県民ボランティアによる人力除草を行ってきた。
 昨年度は、延べ3708人のボランティアが、計7.4トンの雑草を除去したそうである。 世界的に見ると、途上国では放牧地や農地の開墾のために森林を焼き払ったり、伐採し、またアフリカの内陸で顕著なように、近年の降水量減少にともない草原が砂漠化しつつある。この砂漠化を防止し、緑化を促進させることが現代の国際的な重要な環境政策的課題となっているが、鳥取砂丘の問題は、これとは全く正反対の位置づけである。

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                     (写真:鳥取砂丘「馬の背」、2006.12.25)


砂丘トーク(中)     

                        成瀬廉二、2010/07/20、No.2057

 鳥取砂丘熱血トーク」では、砂丘に公私にわたり深く関わってきた7名が『鳥取砂丘と私』と題した5分間のトークリレー、それに続いて鳥取砂丘再生会議が1年かけて取りまとめた「今後10年程度の全体構想」の発表があった。
 次いで、鳥取砂丘が抱える諸問題を解決するため、主催者側が"マニフェスト"と称する提案を行い、数名のパネリストが賛成、反対に分かれて討論を行い、その後、会場の参加者全員が○×の紙片を掲げて採決を行うという『鳥取砂丘トークバトル』が行われた。そのやり方は、どこかのテレビ番組の真似ごとと思われるが、単なるお遊びではなく、圧倒的多数の支持が得られたのなら、その計画は実現に向けて動き出す可能性があるものである。
 一つ目の"マニフェスト"は、「砂丘道路を廃止し、多鯰ヶ池までを砂地に戻します」というものである。砂丘道路とは、鳥取市街から砂丘観光スポットへ向かう途中、いわゆる砂丘の南側を海岸線にほぼ平行に走る県道湯山・鳥取線である(写真)。かつては、鳥取から京都方面に向かう国道9号線の一部だったが、今はバイパスが完成しているので、この砂丘道路は専ら観光用と砂丘周辺住民の生活用に使用されている。
 砂丘トンネルを抜けて砂丘地域に入ると、写真にて分かるように、砂丘道路の砂丘側には防風・防砂林が繁茂し、砂丘の全貌は見えず、林の隙間から僅かに砂地が覗ける程度である。計画は、この道路沿いの森林を伐採すると、道路は砂に埋没し、道路南側(写真の右側)の多鯰ヶ池まで砂丘が拡大する、というものである。開発以前の広大な砂丘を復元し、観光道路としては迂回路を作り、結果として「ちょっと来て、すぐ帰る」通過型観光ではなく、時間をかけて砂丘を散策する滞在型観光へ変質させれば、落ちるお金も多くなる、というねらいもある。
 パネリストの一人に依頼されていた私は、この提案には○である。主催者から「皆さん賛成で、反対意見の方を探しているのですけど」と言われたが、私としては、元の自然に戻すことが出来るのならそれは賛成であり、敢えて反対する理由は見当たらないので発言しないことにした(「地球温暖化防止のため、森林伐採反対」なんて偏狭なことは言えないし....)。
 結局、圧倒的多数でこの"マニフェスト"は採択された。ただし、本当にこれを具体化するためには、財源問題を含むさまざまなハードルがあり、実現は容易ではなかろう。

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                [写真:砂丘道路と防風・防砂林。2010.7.20]

砂丘トーク(後) 
    
                        成瀬廉二、2010/07/22、No.2059

 二つ目の"マニフェスト"は、「観光客が風紋、砂簾を壊さないよう、砂丘内に立ち入り禁止ゾーンを設定します」であった。風紋(写真)は、ほど良い風が吹いているとき数多くの砂粒がホップ・ステップ・ジャンプのように跳躍しながら移動して形成され、砂簾(されん:本欄No.2040)は、雨で濡れた砂の表層が地滑りのように崩れたものである。
 このように風紋や砂簾は、砂丘上の自然の造形であり、砂丘景観の重要な要素となっている。しかしながら、砂丘へ行けばいつでも写真のような美しい模様が見られるわけではない。気象や水分条件が整ったときのみ形成される。しかも、せっかく珍しい、きれいな風紋・砂簾が出来上がっても、その上を人が歩き、砂面を乱してしまえば、模様は容易に壊れてしまい、観賞にも、写真撮影にも耐えられなくなってしまう。そのため、この提案は、「場所を限って立ち入り禁止ゾーンとし、少しでも多くの訪問者に砂丘の造形美を見てもらいたい」というも
のであった。
 発言を求められた私は、「反対」意見を述べた。その論拠は次の2点である。
*世界に誇れる鳥取砂丘は、どこを歩いても、足で砂を蹴り上げても、手で掻き分けても、転がっても良い、ということが他の景勝地にはない特色であり、体験型観光を追及できる。
*一般に、国立公園(特に特別保護区)内では、登山道や遊歩道から一歩も外に出ることは認められない。それは、貴重な高山植物や自然の地物を破壊から守るために必要な措置である。しかし砂丘では、風が吹けば砂面は平坦に戻るし、条件が揃えば模様も再生可能である。
 これ以外に、他の反対派から「禁止とか規制とかは、極力避けたい」、「誰が立ち入り禁止ゾーンを決め、どうやって観光客に周知、指示するのか」等の疑問と意見が述べられた。採決の結果、○12票、×35票の大差で本"マニフェスト"は否決された。    

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          [写真:鳥取砂丘の風紋.撮影者不詳.鳥取県写真ギャラリーより]

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 猛暑つづく 

                      成瀬廉二、2010/07/29、No.2061

 今年は冷夏になりそう(本欄No.2041)ということだったけど、関東甲信越から西日本では、7月17日に梅雨が明けてから連日猛暑がつづいている。そして27日、気象庁は日本全土に対し「高温に関する異常天候早期警戒情報」を発表した。それは、8月1日からの1週間、日平均気温が平年より「かなり高くなる」確率が30%以上ということである。
 気象庁の季節予報では、各地における過去30年(1971〜2000年)の気温データを、平年より「高い」、「平年並み」、平年より「低い」の3グループに等分している。さらに、「異常天候早期警戒情報」では、データ群の上位10%を「かなり高い」、下位10%を「かなり低い」と定めている。つまり、この「警戒情報」は、めったにないことがかなり高い確率で起こりそう、ということである。
 例として、東京;大阪の8月1日〜7日までの7日間平均気温の予測は以下の通りとなっている。「かなり高い」(29.5度C以上)42%;(30.4度C以上)36%、「高い」24%;28%、「平年並み」25%;28%、「低い」9%;7%、「かなり低い」0%;1%。両地とも、平年より「高い」、「かなり高い」を合わせると、65%に達している。やはり、今年は暑夏である。                  

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                 [写真:鳥取砂丘、2010.7.20]

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「生きた化石」シーラカンス   

                    市谷年弘(+成瀬)、2010/08/07、No.2066

”シーラカンスの講演を聴いて”

 去る7月17日、鳥取県立博物館において「シーラカンスとブラジル魚類化石」の講演会が開催され、ブラジルのパウロ・ブリトー教授(リオデジャネイロ州立大学)による講演を聴きました。シーラカンスは、肺魚(ハイギョ)に近い仲間で、体長2 m、体重98 kgにもなる肉鰭類に属し、CTスキャンでみると、浮き袋みたいなものに脂肪分の棒状のものが付いており、これが肺動脈であり、肺を持っていることが分かった。
 シーラカンスが、ブラジル魚類化石の「生きた化石」がであることが判明するまでには、ダーウィンの進化論がでてから、多くの学者の論争を経て、たくさんの時間がかかった。今では、魚類から、はじめて陸上に進化した両生類やヒトへのみちにつながる失われた鎖(ミッシングリンク)としての位置づけにこのシーラカンスが当たることになっているが、それに至るまで、世界の多くの魚類化石や現生魚類の研究や理論の進歩を待たなければならなかったのである。
 また、シーラカンスの頭部には、地磁気を感じる部分があり、迷うと、太刀魚のように立ち泳ぎをして、現在地を確認する生態や、海底洞窟に住む生活様式も紹介された。講演を通じて、シーラカンスは、なんと、不思議な魚だなあ?!と痛感した。  (市谷年弘)

”シーラカンス展〜その進化と大陸移動〜”

 ブラジル産の多数の貴重な化石コレクションが北九州市に寄贈されたことを記念して、2008年7-8月に”シーラカンス展”が北九州市立自然史・歴史博物館で開催され、続いて、豊橋市、徳島県、群馬県を巡回し、最後に鳥取県立博物館にて開催されている(2010年7月17日から8月29日)。
 『かつて、ユーラシア、アフリカ、南北アメリカなど6つの大陸はパンゲアとよばれる一つの超大陸でした。およそ2億5000万年前にあったこの大陸に生息していた植物や動物の化石が現在世界各地の地層から発見されています。これらの化石は大陸移動の証拠であり、特にブラジルから発見されているシーラカンスの化石は近縁なものがアフリカからも発見されており、大陸移動の過程を知ることができる重要な証拠の一つです。(企画展 "シーラカンス展" ウェブサイトより)』

”巨大シーラカンス:全長3.8 m 全身復元骨格--県立博物館/鳥取”


 鳥取市の県立博物館で17日から企画展「シーラカンス〜その進化と大陸移動」が始まる。見ものは全長3.8メートルもあるシーラカンスの全身復元骨格(写真)。復元骨格を制作した東京都武蔵野市の彫刻家、飯沢喜七さん(72)らが6人がかりで組み立てた。
 シーラカンスは3億6500万年前に現れ、約6500万年前の白亜紀末に恐竜と一緒に絶滅したと考えられていた。しかし、1938年に南アフリカで、98年にインドネシアで捕獲され「生きた化石」の代名詞になっている。 現在までに85種が確認されている。復元骨格は、最大の種「マウソニア・ラボカティ」のもの。約1億1000万年前に生息していた種類で、モロッコで頭部の化石のみ発見された。
 頭部の現物はフランスにあるが、複製を北九州市立自然史・歴史博物館が入手。同館が飯沢さんに全身の正確な復元を依頼し、資料として、複製のほか、全身の復元図▽生きているシーラカンスのCTスキャン画像▽解剖図などを送ってきたという。全身骨格は08年に完成した。
  (毎日新聞、2010年7月16日、地方版【遠藤浩二】より) [転載許可:毎日新聞大阪本社情報調査部]     
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               [構成・編集・写真:成瀬廉二]

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森林セラピー   

                        成瀬廉二、2010/08/23、No.2073

 最近、森林セラピーという言葉をときどき目にする。セラピー(therapy)は治療、療法の意味なので、森林セラピーとは、森林にて何らかの癒し、治療を行うということであろう。
 去る4月頃、鳥取県智頭町が「セラピー基地」として認定された、というニュースを見た。森林セラピー基地とは、(NPO法人)森林セラピーソサエティ(理事長:<医者・登山家>今井通子)が「リラックス効果が森林医学の面から専門家に実証され、さらに、関連施設等の自然・社会条件が一定の水準で整備されている地域」かどうかを審査し、認定している。
 現在、全国の42の町村がセラピー基地に認められている。同ソサエティによると、各地の森林セラピー基地では、訪れる人々のために健康増進やリラックスを目的としたさまざまな森林セラピープログラムが用意されており、利用者は森林ウォーキングのほかにもいろいろな健康増進プログラムを楽しむことができる。
 その基地の構成要素の一つに、セラピーロードという散策路がある。これは、「主に緩い傾斜で、歩きやすさに配慮されたコースが選定されている。このロードでは、ストレスを軽減させるなどのリラックス効果や、血圧を下げる・脳の働きを鎮静化させるといったデータが実証されている」(同ソサエティのウェブサイトより)。
 先月、その散策路の一つ、智頭町芦津渓谷の自然歩道をハイキングした。標高700-800 m付近、渓谷沿いの天然杉とコナラ等の混交林内に、かつて木材搬出に使われたトロッコ道を改修したもので、傾斜は緩く、道幅は広く、よく整備された散策ロードである。

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 途中、二組の団体に出会った。参加者の若い女性たちは、滝(写真:三滝、みたき)の見える場所で立ち止まり、しばし静かに目をつぶり、お祈りか黙考しているように見えた。これは、ガイド付のセラピー体験ウォークだということを、後で知った。本当に、医学的、生理学的に確かな効果があるのかどうかは知らないが、あえてセラピーとは言わなくても、ストレスから解放され、涼しい高原の森林内をゆっくり歩いたり、速歩したりすることは、心身ともにリフレッシュし、英気が養われることは疑いない。

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猛暑日と熱帯夜 

                        成瀬廉二、2010/08/27、No.2075

 「今年の夏は今までになく暑い」、「この暑さは経験したことがない」、「異常な猛暑だ」と多くの方がおっしゃる。しかし、皆さんはどうしてそういうことを感じているのであろうか。
 毎日の平均的な気温を身体が記憶していて、過去と比較して判断している、とは考え難い。では、一夏の最高気温のような極端現象のみを見比べているのだろうか。しかし、1,2回のみ瞬間的に高くても、想い出としては残るが、「暑い夏」という結論にはなりそうにない。
 猛暑日(日最高気温35度以上)および熱帯夜(日最低気温25度以上)の35度、25度は、気候学的や生理学的に意味があるわけではなく、5度ずつの区切りが良いからそう決めたものに過ぎない。とは言え、新聞やテレビで連日この言葉を聞いていると、最近は、35度および25度が「猛暑」を感ずるか否かの閾値(しきいち)になって来たような気がする。特に、猛暑日と熱帯夜のどちらかだけなら、苦もなく凌げ、我慢もできようが、猛暑日+熱帯夜になると「猛暑」の印象が強く記憶される気がする。
 そこで、気象庁のデータから、鳥取市の今年と過去10年間の一夏の猛暑日数と熱帯夜数を調べて見た。その結果、一夏の猛暑日数は0日から15日、平均9.4日で、今年(8月27日まで)は計20日であった。一方、一夏の熱帯夜数は1日から14日、平均8.7日で、今年(27日まで)は計25日であった。
 以上、鳥取市だけ、過去10年間のみのデータだが、今夏は、猛暑日も例年に比べて非常に多いが、熱帯夜数が格段に多いことが特徴的である。ヒートアイランドなどの都市気候が顕著になると夜間の冷却が弱まり、日最低気温が上昇することが一般的である。果たして、地方の小都市鳥取もそのような影響の兆し現れ始めたのかどうかは、詳しく統計的に調べて見る必要がある。

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                  [写真:山陰・穴見海岸(兵庫県新温泉町、2010.8.13)]

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8月の鳥取は渇水、異常猛暑  

                        成瀬廉二、2010/09/01、No.2077

 過日のNPO氷河研究舎主催イベントに東京からお呼びしたお客さんを、山陰海岸ジオパーク(候補地)へでもご案内しようかと思っていたところ、「時間が許せば大山に登りたい」とのことで、翌(30)日、私も同行して鳥取県西部の大山(だいせん)へ行って来た(写真)。

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 猛暑の夏ゆえトレーニング不足だった私は6合目(1368 m)で折り返し、お客さんは頂上(夏道終点:1709 m)まで登り、両人とも下山中に強烈な雷雨に見舞われた。土砂降りは短時間で終わったが、この雨は鳥取にとって久しぶりの「お湿り」であった。
 今年8月の鳥取市はまとまった雨はなく、鳥取地方気象台では30日の雨は11 mm、月間の総降水量は28 mmであった。鳥取の8月の降水量の平年値(1971-2000年の平均)127 mmに比べて著しく少ない。しかし降水量はそもそも年変動が激しいもので、鳥取気象台の観測開始(1943年)以来、今年は7番目に少ない。
 一方、気温について前報を補完すると、8月31日までの猛暑日数は計24日、熱帯夜数は計26日となり、いずれも平年に比べて非常に多い。今年8月の鳥取の平均気温は摂氏29.8度であり、平年値の26.6度より3度以上高い。鳥取気象台の観測開始(1943年)以来、8月平均気温が最も高かった1994年の29.0度を凌ぎ、今年は史上最高となった。やはり、皆さんが「暑い」と感じたことがデータで明白に裏づけされている。

 [写真:大山北壁.左のピークが大山最高峰:剣ヶ峰(1729 m)、右端のピークが登山道の最高点:弥山(1709 m).2010.8.30]

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雪氷研究大会(2010・仙台)     

                      成瀬廉二、2010/09/30、No.2090

 9月26〜29日、仙台市において雪氷研究大会(2010)が開催され、およそ400名が参加し、114件の口頭発表、114件のポスター発表が行われた。研究発表の内容は、気候、氷床、凍土、海氷、氷河、降雪、積雪、衛星観測から、吹雪、雪崩、着雪、道路、建築、雪害、防災など、非常に広範囲にわたる。この他、19の分科会・企画セッション、18種の委員会が開かれ、相当窮屈な過密プログラムであった。

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 本大会は、(社団法人)日本雪氷学会(1955年設立)と日本雪工学会との共同開催で行われた。雪工学会は、雪や氷に関する応用科学(すなわち工学系)の研究者・技術者が集まって1986年に設立された。基礎科学(すなわち理学系)を中心にした雪氷学会とは、研究の視点や考え方、進め方にかなりの相違もある。しかし、例えば雪崩や吹雪などの雪氷災害では、防災の対策者も現象の実態やメカニズムを理解したいし、一方基礎的研究に携わる者も、災害や防災対策の概要を知っておく必要がある。
 そういう事情もあり、この両方の学会に加入している研究者は少なくなく、彼らは毎年両学会の研究発表会に出席し、場合によっては両大会で同じ内容の発表を行うこともあった。そのため、10年ほど前から、毎年秋の研究発表会は同一地域で連続して開催するようになり、数年前からは「同時期・一部共催」となり、3年前からは完全「合同開催」となった。すなわち、学会としては別組織で運営・活動しているが、秋の研究発表会だけは両者の研究発表を混ぜ、テーマ別のセッションに割り振ってプログラムが作られるようになった。
 その結果、日数が同じで発表件数が増えたので、従来は2会場だったものが3会場併行となり、セッションによっては自然現象の物理と防災システム等が混在することになった。理学系および工学系の両方に興味があり両者に関わる研究をしている人にとっては、この合同開催は喜こぶべきことかもしれないが、そうではない人にとっては、数多い研究報告の中から聞きたい発表のみを効果的にピックアップすることに相当苦労を要する。雪氷学の近隣学問分野は雪氷工学のみではなく、惑星科学、気象学等々あまたあるので、「同時期・一部共催」にとどめておいた方が良かった、と私は思う。

 



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