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zoom RSS 情報”ウズベキスタンの旅;山陰GP;ブナ林;ナラ枯;環境大;巨大氷島;北極資源;氷河数;雪面模様”

<<   作成日時 : 2010/08/09 10:00   >>

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ウズベキスタンの旅 (前)

成瀬廉二、2010/09/16、No.2080

 9月5日から14日にかけて、中央アジア・シルクロードの拠点、かつどちらの方向も2つ以上の国を経ないと海に達しないという”典型的な内陸”の国、ウズベキスタンを訪れた。1991年まではソビエト連邦に属していたウズベキスタン共和国は、紀元前はギリシャに、紀元後はペルシャ、トルコ系、アラブ系、唐、モンゴル系、ウズベク族、ロシア等、さまざまな民族・国家に次々と支配されたり強く影響を受けた複雑な歴史を持ち、半乾燥・乾燥地域内に点在する何箇所かのオアシスに古くから都市と文化が栄えた。
 ウズベキスタンの東の端、キルギスとの国境付近に西・天山山脈(Western Tian Shan)西端のチムガン山(Big Chimgan: 3,309 m)がある。その中腹のチムガン・リゾート地(1,600〜2,000 m)は、冬季はスキーとスノーボードで賑わい、夏季は避暑地として首都タシケント他から人々が訪れる。
 2日間このチムガンに滞在し、およそ3か月ぶりに涼しさを満喫した。写真はチムガン山(12日早朝)。未明に降った雪で、山頂は白く被われている。

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ウズベキスタンの旅 (中)

成瀬廉二、2010/09/18、No.2081

 今年のウズベキスタンは、日本と同様、9月上旬まではかなりの猛暑だった。例えばタシケントでは、9日昼過ぎの最高気温は36度Cに達したが、湿度は13%だったので木陰に入ると凌ぎやすい。そして、翌10日06時の最低気温は18度Cになり、半日間の気温変化は18度にも及んだ。このように、気温の日較差、年較差が大きく、かつ湿度が低いことは、内陸地域にみられる大陸性気候の特徴である。
 タシケント(標高428 m)の年平均気温は13.7度Cであり、これに近い新潟(年平均13.5度C)と比較して見よう。タシケントの7月の平均気温(平年)は27度C、湿度40%(www.climatetemp.info/uzbekistan/より)、一方新潟の7月は平均24.5度C、78%である。この湿度差は、大気中の水分量が前者が後者の概ね半分程度、ということを示しており、仮に気温が同じだとしても人間が感じる暑さには相違があることが分かる。
 降水量はというと、タシケントでは年間417 mmで、日本ではあり得ないほど少ないが、著しい乾燥気候というほどではない。7,8,9月の3か月は乾季で雨はほとんど降らず(合計10 mm程度)、最大雨量は3月の81 mmである(climatetempより)。

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 写真は、タシケント郊外の綿の畑である(11日)。旧ソ連時代に国の農業政策として綿花栽培が強力に推進され、ウズベキスタンの綿花の生産量は、中国、アメリカ、インド、パキスタンに次いで世界第5位である(National Cotton Council資料による)。9月上旬は綿花の収穫期のため、あちこちの畑では多数の人が手作業で花を摘んでいた。


ウズベキスタンの旅 (後)

成瀬廉二、2010/09/21、No.2083

 ウズベキスタン国内では、河川や地下水により十分な水が得られるところに人が住み着き、集落や村や町がつくられている。それらの村と村の中間は広大なステップ(草原)の平野で、牛や羊が放牧されているが、雨の降らない乾季の夏は牛にとっておいしそうな草は欠乏気味に見えた。
 タシケントから南西に250 kmのサマルカンド、さらにそこから西に200 kmのブハラの古都には、歴史的な建造物、とくにモスク(礼拝所)、メドレセ(イスラーム神学校)、ミナレット(円塔)、廟、宮殿、城、家屋等が数多く残っており、外国からの旅行者にとって魅力的な観光スポットとなっている。写真はサマルカンド中心部のレギスタン広場とメドレセ。

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 中央アジアの大都会タシケントは、帝政ロシアによる支配後、主としてロシア人が住む新市街とウズベク人等が住む旧市街に二分されていた。1966年4月26日、市中心部を震央とする地震が発生し、マグニチュードMは5.2と大規模ではなかったが、震源が浅かったため被害は大きく約28,000の建物が倒壊または半壊したという。その後数年以内に、ロシアの絶大な力により新旧市街ともロシア風の新都市に再建され、今はシルクロード古都の面影はない。
{P.S. タシケントで、元北海道大学教授のグラジーリン(Gleb Glazirin, ウズベキスタン国立大学教授)に再会した。同氏は別れ際に、"Please say hello to ##さん、**さん、$$さん・・・・・ in Japan"と7,8人の名をあげた。##さん等にいつ会うかどうか分からず、会ったとしても「よろしくと言っていたよ」と話すタイミングがあるかは疑問なので、もしグラジーリンをよく知っている人が本稿を読んだら、**さんは自分のことだ、と解釈していただけると幸いである}

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「山陰海岸」世界ジオパークに認定   

                          成瀬廉二、2010/10/04、No.2091

 10月3日(日本時間4日未明)、ユネスコが支援する世界ジオパークネットワークの会議(ギリシャ)にて、「山陰海岸」の同ネットワークへの加盟が認定された。日本からは、昨年8月、洞爺湖有珠山、糸魚川、島原半島の3地域が認定されたので、今回は4例目となる。
 ジオパーク(Geopark)とは、地質学的に貴重で重要、かつ観光資源としても優れた自然公園のことである。世界ジオパークとして認められたとしても、どこからか保全のための補助金が出るわけではなく、また世界遺産のように景観や施設の保護・保存の義務が生ずるわけでもない。まあ、名誉称号のようなものである。
 山陰海岸ジオパークは、京都府京丹後市から兵庫県豊岡市・香美町・新温泉町を経て鳥取市の砂丘に及ぶ。この認定を受けてこれからは、同地域における環境教育、ジオツーリズム(自然観光事業)、地域産業の振興が図られることになろうが、観光と経済優先で貴重な自然景観を損なうことがないよう、官・産・学の連携と十分な議論が必要である。

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                    [写真:鳥取県岩美町塩原海岸]

[追記] :成瀬廉二、2010/10/07、No.2092

今回、新たに世界ジオパークに認定された地域は11箇所で、計25ヶ国、77地域となった(日本ジオパークネットワーク発表)。77地域のうち、ヨーロッパが40地域、中国が14地域と断然多く、一方オセアニア1、北米1、南米1であり、「世界」ジオパークと言っても国により関心度、熱心さに著しい差がある。
 なお、認定された世界ジオパークも、2-4年毎に世界ジオパークネットワークの審査があり、今回も認定取り消しが3地域あった。

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               [写真: 京都府丹後半島.2009.6.20]

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秋のブナ林探策会          

                      成瀬廉二、2010/10/10、No.2094

 昨日(10月9日)、鳥取市東南東の扇ノ山中腹において、『河合谷高原で秋の森を見よう、樹を植えよう』という探索会が催され、一般市民、大学生、スタッフの計45名が雨の降りしきる中、秋のブナ林を散策し、解説を聴き、ブナ苗木の植樹を行った。これは、春のイベント(6月26日)の続きであり、主催は「河合谷高原の森林復元を考える会」というボランティア団体で、NPO氷河も協力している。
 森林の探策・学習会や植樹行事はいろいろな地域で多く行われているが、探策と植樹を組み合わせたことがこのイベントの特色である。また、鳥取県内で行われる植樹ではクヌギ、コナラ、クリ、ヤマザクラ、クロマツなどが一般的であり、ブナを植樹、植林することは、特別な目的がある場合を除いて多くはない。それは、生育条件が厳しいことと、成長するのに長い年月を要するからである。
 河合谷高原にて、ナラ枯れ(カシノナガキクイムシによるコナラ、ミズナラ等の被害)を観察し、ブナ林内を探索した後、裸地にてブナ苗を移植した。また、6月に移植したブナの苗、稚樹の大半は活着(しっかりと根付くこと:園芸用語)したことが分かった。

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          [写真:扇ノ山、標高1150m付近のブナ林.解説は、佐野淳之教授(鳥取大学農学部)]

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ナラ枯れ    

                       成瀬廉二、2010/12/13、No.2108

 里山、奥山の紅葉が終わり、木々は葉を落とし、雪の季節を迎える今は気づくことはないが、盛夏の頃、落葉樹の葉が一斉に赤く変色する現象(写真)が、本州日本海側の広い範囲で見られるようになった。これは、狂い咲きならぬ「狂い紅葉」ではなく、コナラ、ミズナラ、クヌギ、クリ、カシ等のナラ類に発生する集団枯損であり、一般に「ナラ枯れ」と言う。
 先週末(10日)、鳥取県林業試験場にてナラ枯れに関する講義を聴いた。ナラ類集団枯損の原因は、カシノナガキクイムシが樹木に進入、材内に穿孔し、孔道壁にラファエレラ菌という酵母類の菌を繁殖させ、その菌の作用により樹木内の通水阻害が起こり、結果としてその木は枯死し、翌年復活することはない。
 林試の調査結果の一例では、胸高直径70 cmの枯れたスダジイには、推定4,500本以上穿孔されており、それらの孔道は決して交わることなく、1本の孔道は1対のキクイムシが作るので、計9,000匹の虫が活動していたと考えられた。
 このナラ枯れは、特に有効な防止対策がないそうで、このままの勢いで被害地域が拡大して行くと、森林の生態系や景観におよぼす甚大な影響が心配される。しかし、唯一の救いは、カシノナガキクイムシが集団でアタックする樹は、老齢の大径木のみで、若い細い木は被害を受けていない、と言うことである。その理由としては、老齢木が虫に弱いというわけではなく、1本の木に多数の虫が孔道内で産卵し幼虫を育てるのも、"住まい"が大きい方が都合が良い、と考えられている(西垣室長)。

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[写真:扇ノ山中腹(標高500m付近)。奥のナラ類の樹が赤く枯れている。2010.10.9]

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鳥取環境大学、公立化へ 
   
                        成瀬廉二、2010/10/17、No.2095

 私立・鳥取環境大学は、学生数の減少などにより経営悪化が心配されていたが、10月9日の鳥取県定例議会にて、同大学の公立化に向けて鳥取県と鳥取市が共同設置する「公立大学法人化協議会」の経費を含む県補正予算案が賛成多数で可決された。鳥取市議会でも同様の案件が可決されたので、鳥取環境大学は公立化へ向けて動き出すことになった。
 私は一市民として環境大学問題に関心があるとともに、県が本年6月設置した「鳥取環境大学改革案評価・検討委員会」では、”公立化したら本当に志願者が増え、学生の質も向上し、財政的にも安定するのか”について可能なあらゆる方法で分析、調査、シミュレーション、検討等を行ったのか、また県はその結果をふまえて公立化を提案しているのかどうか、疑問と興味を感じ9月の県議会における本議案の質疑応答を3回にわたり傍聴した。

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 鳥取環境大学(写真)は、鳥取県と鳥取市が折半で土地・建物などの創設経費を負担するとともに、県・市が中心となって新しく学校法人を設立し、その学校法人が私立大学として運営を行っている公設民営方式である(同大学ウェブサイトより)。よくありそうな方式だが、大学としては国内に数少ないユニークな運営形態だそうである。
 2001年の開学以来、本年までの10年間の入学者数と(定員に対する充足率)を以下に示す(同大学自己点検評価報告書および各年度事業報告書より)。
 469 人(1.45), 394, 338 (1.04), 277, 227 (0.70),
230 (0.71), 185, 141 (0.44), 152 (0.55), 149人 (0.54)
 最初の3年のみ、入学者数は定員を上回ったが、以後は年々減少の一途をたどった。ただし、2009年からは、学部学科の再編を行ったため、入学者数は僅かに増え、同時に定員を減らしたので充足率は多少上昇し、現在は50%代である。
 このまま赤字経営を続ければ、いずれ基金を食いつぶし、大学が破産する恐れがあることは確かである。そのため、「評価・検討委員会」が検討を行い、公立大学法人化の方向性が示され、それを受けて鳥取県知事と鳥取市長は、法人化の方針を固めたようである。鳥取県議会では、反対派・慎重派の議員が質疑を行った。「大学が自ら根本的な改革を行うべきだ」、「公立化を求めるのは安易だ、時期尚早」、「公立化に賛成しているのは高校関係者、保護者などであり、県民の多数の合意があるわけではない」等との、主張や疑問が発せられた。
 知事や行政側の回答は、「公立化は大学の地域貢献、入学生確保などの面で有力な選択肢であり、何よりも鳥取県の子どもたちの進学のことを考えると、環境大学の体力が残っている今のうちに、新たに法整備された公立大学法人制度を活用する公立大学法人化に向けた速やかな検討開始が求められている」(県ウェブサイト、「公立大学法人化事業」より)に沿うものであった。
 議会における知事等の答弁を聞いたり、県の諸資料を読んだ限りにおいては、「あらゆる選択肢を十分検討した結果、公立化が唯一、最善」という結論に至ったのではなく、「体力が残っているうちに」とか「負のスパイラルに陥る前に」とかが、決定の重要なキーになったようである。
 18歳人口が減少しつつあり、全国の多くの大学が存続・成長に向けて奮闘している現在、公立大学になれば安泰、とは決して考えられない。鳥取県には国立大学法人鳥取大学が存在するので、鳥取環境大学はこれとは異なる、特色豊かな大学に生まれ変わり、全国から情熱あふれる若者が来るような学園になることを願っている。

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グリーンランドから巨大氷島が誕生 

成瀬廉二、2010/08/09(Mon)、No.2068

 米デラウェア大学海洋物理・工学専攻のムエンチョフ(Muenchow)准教授が、2010年8月5日早朝、マンハッタン島の4倍の大きさの“氷島” (*1)が、北グリーンランドのピーターマン(Petermann)氷河から誕生した、と発表した。
 北緯81度、西経61度、北極点の南約1,000 km地域の人工衛星イメージによると、同氷河の長さ70 kmの浮氷(棚氷)の4分の一が崩落、分離した。この新しい氷島の面積は約250平方km以上 (*2)で、氷の厚さはエンパイアステートビルの半分に達する(*3)。
 この氷島はナレス海峡(*4)に入ると海流に乗って南へ向かい、その途中で、島に定着したり、水路を塞いだり、あるいは小さな多数の氷塊に分裂することも考えられる。そこから、バフィン島とラブラドルの沖合いに沿って南下し、2年以内に大西洋に達する可能性が高い(*5)。
 このような巨大氷島の誕生は、1962年にワードハント棚氷(エルズミア島)から面積約600平方kmの氷が流出した以来の出来事である。その時は、ナレス海峡内諸島の間が多数の氷塊で埋めつくされたのであった。
[以上、デラウェア大学(University of Delaware)ウェブサイトのUDialy記事(Aug. 6, 2010)の抜粋。訳、成瀬廉二]

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(*1)氷島(ice island):テーブル型氷山(tabular iceberg)と同義。北極では、氷山ではなく氷島の語を使うこともある。
(*2)南極デービス基地沖の南大洋をニュージーランド方向へ漂流していた巨大氷山B17B(本欄No.1977)の面積は140平方km(2009年12月7日)、観測史上最大の氷山は、2000年3月にロス棚氷から分離したB15の11,000平方kmである。なお、ニューヨーク・マンハッタン島の面積は60平方km。東京の山手線内側が65平方km、琵琶湖が670平方kmである。
(*3)エンパイアステートビルディングの全高は443 m。したがって氷厚は200-250m程度ということになる。デラウェアはニューヨークに近いので、このような喩えを使うのであろう。
(*4)ナレス海峡(Nares Strait):エルズミア島とグリーンランドを隔てる海峡。
(*5)1912年4月、豪華客船タイタニックが氷山に衝突し約1520人が遭難した地点は、北大西洋ニューファンドランド沖(N41度46分)である。しかし、もし仮にこの付近まで氷島が漂流してきたとしても、現代は人工衛星にて監視しているし、船舶のレーダでも確実に捉えることが出来るので、このような大事故は起こり難いだろう。

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[写真:グリーンランド氷床(写真奥)から海岸に向かって流出する氷河.本記事とは別の氷河.このような氷河の先端が海に浮くと棚氷となり、それが割れて漂流すると氷山(氷島)となる.撮影:亀田貴雄(1989.7)]

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南極よりも北極で資源の争奪戦 

横川和夫、2010/08/17、No.2071

=国境の共同管理という新しい発想を= 

 連載「新しい南極」(1975年新年連載ルポルタージュ)を書いてから35年という年月が経過した現在、実は石油、鉱物資源問題で、風雲急を告げているのが南極よりも北極である。
 「巨大氷山、南下中」という見出しで、8月初旬にグリーンランド北西部の氷河から巨大な氷山が分離し、分裂を続けながらカナダ沿岸を南下し、1、2年間漂流を続ける可能性がある、という記事が2010年8月12日の新聞に載っていた。面積は約250平方キロメートルで、場合によっては航行する船や石油掘削施設に衝突し、豪華客船タイタニック号沈没事故のような大惨事を起こす可能性もあるという。
 地球の温暖化で北極海の海氷域は想像を超えるスピードで減少しており、2037年の夏季には氷のない北極海が出現するといわれてきた。しかし最近ではスピードが早まり2013年にも氷が消えるという予測もあり、それを裏付けるような記事なのでギョッとさせられた。

○北極海で資源争奪戦 夏季に北極海の氷がなくなると、どうなるか。
 海洋政策研究財団の北極海季報によると、北極圏には未開発だが、技術的に採掘可能な世界の資源の約22パーセントが埋蔵されている。
 そのため氷が消えて船による航行が可能になると、北極海の氷の下に眠っている石油、天然ガス、さらには金、銀、銅、白金などの鉱物資源をめぐっての争奪戦が各国間で展開されるだけでなく、新しい北極航路が開かれることにより、軍事面や商業面にも大きな変化が現れてくることが予想されている。南極よりも北極海域をめぐる資源争奪戦が身近な問題として迫ってきているのだ。

○ロシアが北極点海底に国旗
 その前哨戦ともいうべき動きが早くも始まっているという。 例えばロシアは2007年8月に、深海潜水艇2隻で北極点の海底にチタニウム製のロシア国旗を立てた。北極海の資源に対する主権的権利の既成事実をつくろうというわけだが、カナダや北極海沿岸諸国は「今は15世紀ではない」と、ロシアを厳しく批判したという。このほかロシアは北極海での海空軍活動を活発化させている。
 このロシアの動きに対応するかのようにアメリカ、カナダ、ノルウェー、デンマークなども警戒感を示し、それぞれが北極圏で軍事活動を活発化させているのが現実である。

○中国も北極海に多大の関心
 北極海域の資源をめぐる争奪戦は、これからさらにエスカレートしていくに違いない。これまで静観していた中国も最近、北極海域に強い関心を示し、1993年には極地調査用の砕氷船を購入し2010年には4回目の調査活動を行う予定だ。
 中国にとって北極海航路が開けると、上海―ハンブルグの航路はスエズ運河、マラッカ海峡経由より6400キロも短縮できるだけでなく、海賊事件により10倍に跳ね上がっている保険料の節約にもなる。
 いずれにせよ北極海域での資源開発は一国だけでは不可能で、北極海資源の多くに主権的権利を有するロシアは採掘技術が低く、資金も不足している。そのため資金を提供できる中国、技術を提供できる西欧やブラジルによる共同開発が考えられるというのが秋元一峰氏(海洋政策研究財団主任研究員)の見方だ。

○国境を共同管理し新しい文化圏を
 石油や鉱物資源をめぐる争奪戦に対して日本はどう対処したらよいのだろうか。この問題についても太田昌秀さん(元ノルウェー国立極地研究所)は「従来の国境という概念にとらわれずに共同管理しながら新しい文化圏を築くという発想の転換が必要ではないだろうか」とユニークな問題提起をしている。私も同感である。

[この記事は、第10次南極観測隊ウェブサイトに16回にわたって連載した復刻版「新しい南極」+追想の16回目を圧縮、編集したものである。筆者:元共同通信社記者、第10次南極観測夏隊(68-69)同行取材]


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(写真:北極海へ流出するスバールバル諸島・アウストフォンナ氷河の末端.The front of Austfonna Glacier in Svalbard, calving into the Arctic Ocean, in August 2005. Courtesy of Bernard Lefauconnier, Jon Ove Hagen & R. Naruse)

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地球上の氷河の数は20万個!? 

成瀬廉二 、2010/09/05、No.2078

 世界中の氷河研究者の多数が登録しているメーリングリストに、前NASA所属の氷河研究者ビンドシャドラー(Robert Bindschadler)が、「世界中の氷河の総数について引用したいのだが、信頼できる数字は幾つか?」という問いかけを発した(8月下旬)。これに対する応答の一部は概ね以下の通りであった。
 ジスクート(Hester Jiskoot、カナダ)「私は今まで16万個(Bahr他、1999)という数を使ってきたが、各地域で公表された氷河の数を計算しなおし、外挿による推定を加えた結果、南極半島の氷河や岩石氷河をも含め157,122個となった。これは偶然に、16万個に近い。さらに、1 km^2(平方キロメートル)より小さい氷河を除くと、16万個の約半分となった」
 プフェファー(Tad Pfeffer、アメリカ)「今まで報告された最大の数字は、1 km^2以上の氷河で20万から40万個である。別の研究者は、カウントされていない氷河もたくさんあるので、実際の総氷河数は約20万個以上としている」
 ビンドシャドラーは、Atsumu Ohmura(スイス)の論文をも参考にして、とりあえずの結論として、20万個以上とした。
 氷河の数を調べて何か意味があるのか、と思われる方も多いかもしれない。確かにあまり強い意義はないかもしれないが、数は最も初級の統計量なので、価値がないわけではない。しかしながら、例えば砂利道に敷き詰められた砂礫の数を数えたとすると、小さい砂粒まで含めると限りなく多数になってしまう。だから、0.1 km^2以上とか、1 km^2以上とか、基準を定めることが望ましいが、世界の各地域では、研究者がそれぞれの目的をもって氷河の高度、長さ、面積、体積等を調べ、集計しているので、統一的な基準はないのが現状である。
 IAHS/UNEP/UNESCOの氷河台帳には、1 km^2以下の氷河も多数掲載されている。また、日本の”万年雪”(多年性雪渓)の大雪山「雪壁雪渓」や剣沢「はまぐり雪」の9月末の面積は数千平方m程度なので、0.005 km^2のオーダーである。

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 写真は、アルゼンチンのフィッツ・ロイ(Fitz Roy, 1990.12)である。初夏(12月初め)なので残雪が多く見られるが、岸壁の麓や地形の窪地の残雪の下には小さな氷河が数多くある。これらをどこまで氷河としてカウントするかにより、氷河の総数は大きく変わってしまう。
 また、ジン(Rui JIN, 2005)によると、中国国内の氷河総面積は、南極とグリーンランド氷床を除く世界の総氷河面積の8.7%を占め、計46,252個の氷河が存在している。この総面積と個数との関係が、かなり乱暴だが全世界で同様だとみなして外挿すると、総氷河個数は50万個超となる。どうやら、小さい氷河も含めれば(もちろん雪渓は除外して)計40万〜50万個くらい、というのが近い数字だろうと私は思う。

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グリーンランド氷床の雪面模様

 成瀬廉二、2010/11/10、No.2100

 世界の多くの氷河研究者・関係者が登録しているメール網に、アメリカのSM氏が10月22日、写真を添付して以下の投稿をしたところ大きな反響を呼んだ。
 「先日(9.4)、ロンドンからロサンジェルスへ向かう途中、グリーンランド南部の北緯66度付近の氷床上を飛んだ。そこで、今まで見たことのない、興味深い雪面模様を見たので、どなたかその成因をお教えいただきたい。これらの写真は、高度約38,000フィートから、北または北西に向かって撮ったものである。問題の雪面模様は、何本か平行に走る幅広い、暗い帯である。−なお、写真の濃淡のコントラストを強調させたので、実際はこれほど暗いベルトには見えてはいないが−」

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 写真にて青い(水色)部分は融解水による水溜り、または表面の雪が水で飽和したスラッシュ(slush)と思われる。ここで問題にしている模様は、青い地帯に直行するように、左上から右下に走る5,6本の太い暗い帯である。(Photo: Greenland ice sheet, at around 66 deg North, 47 deg West, 4 September 2010; Courtesy of Scott McGee)
 この質問に対し12人からコメントがあったが、それらを分類すると以下の様になる。いずれも、主張の自信の程に強弱の度合いはあるが推論である。
[水]2人:青い地帯から水が表面を流れ、湿雪部分のアルベド(反射率)が低下したため。または、スラッシュ流(雪泥流)の跡。
[雲]1人:薄い雲、おそらく高積雲のレンズ雲の影。
[風]3人+ :風で形成された模様、すなわち新雪の堆積、または風で磨かれた雪面。
[霜、雪結晶]6人:雪面に成長した霜、あるいは雪の結晶は光学的に異方性があるので、雪面の結晶がある方向にそろっていると、太陽高度と観察者との向きの関係で、雪面からの反射が弱く(すなわち、暗く)なり得る。結晶の向きがそろう原因は、表面霜の形成時あるいは降雪時の風の向きである。したがって、この説明も[風]原因説に含まれる。
 以上のコメントを寄せた人の半数は、同様のパターンをグリーンランドまたは南極氷床にて、飛行機からか人工衛星イメージで見たことがあると言う。しかし、ある人は、上空から見た模様を調べようとスノーモービルで探しに行ったが発見できなかったそうである。多くの場合、このようなパターンは雪上からは見えないようである。
 私も南極で、海氷上に似たようなパターンをヘリコプターから見たことがある。しかしそれは、平坦な海氷上の凸部の風下に長く延びる雪の吹き溜まりであり、グリーンランドのこれは形や起伏や色合いがはっきり異なる。
 現場で、模様の形状、分布、雪質等を調べれば成因の概略は明らかになると思うが、地上で見つけることができなければ、調査もしようがない。したがって当分の間は、このように百家争鳴が続くのだろう。







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