(NPO)氷河・雪氷圏環境研究舎

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zoom RSS 情報“氷河集合写真;鐘乳穴;カーリング;新平年値;奥大山雪崩報告;今夏暑さ;台風6、12号;猛暑”

<<   作成日時 : 2011/06/13 12:00   >>

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氷河上の集合写真

                   成瀬廉二、2011/06/13(Mon)、No.2177

 古い写真で恐縮である。これは、1996年6月ノルウェー・ゾグネフィヨルドにて開催された国際氷河学シンポジウム期間中の氷河巡検の際、スッフェルブリーン氷河(Supphellebreen)における集合写真である。

 私がデジカメを使うようになったのは2003年からである。したがって2002年までの写真は、カラースライドまたはカラープリント、白黒プリントにて記録されており、それらのうち科学的に重要、きれい、稀少、面白い、あるいはドキュメント的写真は、順次スキャナーでデジタル化し、パソコンに取り込んできた。さらにそれらのうち、記録として(公開)保存しておく価値があると思われる写真は、機を見て適宜、当NPOのウェブサイトあるいは資料保存庫の(位置づけの)ブログに掲載した。

 それらの中で、記録写真として秀逸だと思うのが添付のこれである。その理由は、一つに、氷河末端部の氷の自然の傾斜を利用し、約145人の参加者が、前後5,6列にそれとなく並び、ほぼ全員の顔が隠れることなく写っていることである。

 もう一つの理由は、背景の氷河(スッフェルブリーン)が、近年の氷河縮小のため、上部(涵養域)と下部(消耗域)とが完全に分離してしまっている、大変珍しい氷河だからである。現在は、上部の氷河はフラットブリーン(Flatbreen)、下部がスッフェルブリーンと呼ばれ(sognefjordによる)、下部の氷河は全域が消耗域であり、上部の氷河からの氷雪崩や氷崩落のみによって生存し続けている("kept alive" Worldisroundによる)。

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[国際氷河学会に関心がある方へ:写真を拡大して見てください](前列左寄り)O. Orheim, S. Ommaney, (中央)P. Jansson, (その右へ)J. Glen, G. Ostrem, J. Nye, W. Harrison. (2列目中央)J.O. Hagen,(右端)R. 成瀬.(後方の列、左寄りから右へとびとびに)A. Rivera, P. Skvarca, A. Glazovskiy, R. Bindschadler, Y. 吉田, G. Young, K. 河島, K. 瀬古, A. Iken, G. Kaser, K. Steffen, V. Kotlyakov, H. 庄子, C. Bentley, T. 門田, M. 安仁屋, C. Warren(などの顔が見える)

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備中 鐘乳穴 

                成瀬廉二、2011/06/06、 No.2174

 備中真庭市北房町にある岡山県指定天然記念物「備中 鐘乳穴」は、鍾乳(しょうにゅう)ではなく鐘乳と書き、洞ならず穴であり、「かなちあな」と読む。しかし、単なる横穴、縦穴ではなく、奥行き800 mまでは確認されており、入り口から300 mまで一般観光者も見物できる。総延長距離から言うと、日本国内の鍾乳洞ランキング90位までに入らないが、石灰岩が水の侵食(溶食)により形成された大きな洞窟であり、れっきとした鍾乳洞である。

 平安時代、朝廷のためのカルシューム薬源として採取されたことが古文献(901年)に記述されており、そのことから日本最古の歴史を持つ鍾乳洞とみなされている(北房鐘乳洞観光K.K.)。

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 私が今まで日本各地で訪れた鍾乳洞に比べ、ここの洞の特徴は、内部の空間が非常に広いこと、および天井からぶら下がる逆さの石筍(いわゆる、つらら)が太くて長いことである(写真:5月31日)。

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カーリングの石はなぜ曲がるのか?

                 成瀬廉二、2011/06/19、No.2178

 カーリング(curling)という氷上スポーツを実際に観戦したことはなく、テレビで何回か見ただけの私であるが、1、2投目のストーン(写真)の布石の奥深さ、箒やモップで氷面を掃く(磨く)滑稽さ、そして真っ直ぐのラインでは予想できない敵の石の裏側にカールして隠れる見事な技に惹きつけられる。この「カーリングのストーンがなぜ曲がるのか」について最近、雪氷学会の研究発表会と学会誌上にて論争があったので、その概要を紹介したい。

 まずその前に。カーリングのストーン(花崗岩、約20 kg)は放球時に僅かに回転が与えられるが、滑走速度も回転速度も非常に小さいので、野球やサッカーボールのような空気の粘性抵抗(マグナス効果)によるカーブは考えられない。また、レーン上を滑りながら回転により曲がるボーリングとも違う。さらに、カーリングの滑走路は、道路のように中央線付近が高いということはなく、完全に水平、平坦である。したがって、放球後のストーンの運動を支配する力は、石と氷との摩擦力のみである。

 ストーンの下面は中央部分が凹状の形をしており、氷とはリング状の底部が接触する。また、滑走路は滑らかに仕上げられた氷面に細かな水滴を吹き付け、ペブルと呼ばれる数多くの氷のつぶつぶが作られるそうである。したがって、この花崗岩のリングが氷のペブルに荷重を与え、そこで何かが起こるのである。

 2009年の雪氷学会にて、前野紀一(北大名誉教授)が『カーリング・ストーンがカールするメカニズム』と題して発表し、さらにそれをベースに、雪氷学会誌(2010年)に『カーリングと氷物性』の解説を行った。その論点は、「ストーンの運動は初速度と氷との摩擦で完全に決まる単純な力学となるはずであるが、.......実際はなかなかの難問で、氷の複雑な物性がいろいろな形で関係する」とし、新たに『蒸発磨耗モデル』を提唱した。それは、a)ストーンは反時計回りの回転のとき左へ曲がる、b)曲がる度合いはストーンの回転数の多少にはよらない、という2つの経験的事実を満たすものである。そのモデルはかなり複雑で容易には理解しがたいが、要点は、ストーンとペブルの摩擦、水膜生成、蒸発、温度低下のプロセスにより、ストーンの後部の方が前部より摩擦が大きくなり、結果として進行方向に垂直な正味の摩擦力が発生する、というものである。

 次いで対馬勝年(富山大客員教授)が、カーリング競技のテレビ中継画面から、ストーンの位置と時間を計測し、ストーンと氷の摩擦係数を算出し、2010年の雪氷学会にて発表した。それによると、このような低速度領域では、速度の低下とともに摩擦係数が増大するという従来の実験結果と整合するものであった。その結果をもとに対馬は「自転するストーンの左右では氷との相対速度が異なるので、左右で摩擦力に差が生じ、ストーンは摩擦の大きい方へカールする、という従来の諸学説の一つを支持する」と述べた。

 この講演を私は「なるほど」と思いつつ聞いていた。すると質疑応答の時間に前野氏が「摩擦力に左右の差はあるが、この力はストーンの進行方向にしか働かないので、カールさせることはできない」旨のコメントを発言した。たしかに、直線運動している物体が曲がるためには横向きの力が与えられなければならない。走っている人がコーナーで左に曲がるときは、地面を右の方に蹴り、地面から左向きの力を得る必要がある。

 さらに対馬は『カーリング・ストーンの曲がりの説明について』という、小論文を雪氷学会誌(2011年)に発表した。その中で、従来の諸外国の研究をていねいにレビューしつつ、「左右摩擦差」説を最も評価する立場を示した。しかしながら、論の流れの中で「注意深い観察者は自動車のスリップ、ボート、リヤカー、橇などを通して左右に摩擦の違いがあれば摩擦の大きい方が急減速し、あたかも摩擦の大きい側を軸に回転するように曲がることを学んでいるであろう」の一文は、もしこれがストーンの曲がりを分かり易く説明するためだったとしたら、適切な喩えとは言えない。なぜなら、上に例をあげた乗り物はすべて横方向には動き(滑り)難い構造をしており、円盤状のストーンとは異なるからである。

 インターネットではいろいろなウェブサイトやブログにて、「カーリングの曲がり」についての説明や解説が見られる。しかしながら多くの場合、誰が執筆しているのか、誰の説を引用しているのか不明のことが多く、どこまで信頼できるのか判断しがたい。そのため前野氏に、学会誌への論説発表と同時に、一般向きの平易な解説をネットに掲載することを勧めたのだが、実現していない。たぶん、平易に簡潔に述べることはできない、ということであろう。前野モデルも、まだ実験等により実証されていないので仮説の域を出ていない。たかが石が氷の上を滑るだけのことだが、それが曲がるメカニズムが解明されるには多くの緻密な難しい実験が必要であろう。

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[写真:元鹿児島県・熊本県カーリング同好会より]


Re: カーリングの石はなぜ曲がるのか?

              成瀬廉二、2011/06/23、 No.2180

 左右の摩擦力の違いは、ストーンをスピン(回転)させるが、重心の運動方向は変らず、つまりストーンは曲がることができないと主張し、「前後摩擦差」説を支持し、「蒸発磨耗モデル」を提唱している前野紀一氏からコメントをいただいた。 その中で、「(株)前川製作所技術研究所のウェブに『カーリング・ストーンはなぜ曲がる?』というサイエンスコラムを載せている」とお知らせいただいた。  http://rdc.mayekawa.co.jp/column/no3.html たしかに同コラムでは、氏の考えが平易に、簡潔に述べられている。

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新平年値にみる温暖化 

                  成瀬廉二、2011/06/26、No.2181

 気象庁では、ある地点における気象データの30年間の平均値を平年値とし、10年ごとに更新している。先月までは、1971〜2000年観測による平年値を使用していたが、本年5月18日からは1981〜2010年の平均値が新しい平年値となった。

 新旧の平年値を比較してみると、気象要素によっては大きな変化が認められる。各都道府県48気象観測所の年平均気温を見ると、新平年値が旧平年値より0.5度C高い地点が下関、高松、0.4度C高い地点が札幌、新潟、東京、名古屋、大阪、福岡など20箇所、0.3度と0.2度C高い地点が23箇所、および0.1度C高い地点が銚子と南極昭和基地であった。

 1981〜2010年の平均値が1971〜2000年の平均値よりT度高いということは、2001〜2010年の平均値が1971〜1980年の平均値より3T度高いことを意味する。ここで例として、鳥取のT=0.3度とすると、30年間で平均気温が0.9度上昇したことになり、単純に100年間に伸ばすと3度Cである。日本の地方都市17地点平均の過去100年間の平均気温上昇率(トレンド)は、1.15度Cである(気象庁統計)。これに比べると3倍近くであり、大きすぎる。

 そのからくりは、日本は1962-1988年は比較的寒冷期であり、1990年から温暖傾向が顕著になり、2000年代(特に、2004、2007、2010年)は著しく高温だったことある。

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[写真:山陰海岸ジオパーク(岩美町浦富海岸エリア)、2011.6.6.本文の内容とは関係がありません]


新平年値にみる温暖化(続) 

                   成瀬廉二、2011/06/29、No.2183

 さて、年降水量については、(新平年値/旧平年値)の比が多くの地点(43箇所)で95 %から104 %の間にあり、30年前と比べて大きな変化はなかったとみなせる。

 ところが多雪地域の年降雪量(年間累計降雪深)では、(新平年値/旧平年値)の比が
札幌95 %、青森86 %、秋田92 %、
山形87 %、新潟85 %、金沢78 %、
富山88 %、長野93 %、福井82 %、
鳥取81 %、松江80 %
と軒並み減少し、特に暖地の方がその傾向が大きい。

 その原因は、前記事にて述べたように2001〜10年が1971〜80年より著しく高温であったため、1971〜80年には雪として降っていた降水の一部が雨に変わったため、と考えられる。

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[写真:鳥取市、仁風閣、2011.1.30]

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奥大山雪崩(2010.12.31)報告書 

                   成瀬廉二、2011/07/07、No.2184

 昨年12月31日昼過ぎ、鳥取県江府町の町営奥大山スキー場においてパトロール員4名が遭難死した雪崩事故(本欄No.2123、2011.01.27 付)に関し、江府町から調査を委託されていたNPO法人ACT(元村幸時理事長)が5月、「奥大山スキー場雪崩事故調査報告書」を提出した。その後6月、「同報告書(最終報告)概要」(本文2ページ、図・写真3ページ)が江府町のウェブサイトにて公開された。

「概要」によると、事故の経過は以下の通りである。
 12:40  第2リフト上部駅の上方斜面にて小雪崩発生.
   現場確認のため6名のパトロール員が雪上車にて出動.
 13:05 大雪崩発生.
   6名が巻き込まれ、内4名が深さ2-2.5 mの雪に埋没.
 14:30 救助隊が雪上車脇にて4名を発見.後に、死亡が確認される.

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 「概要」の図面と、添付の写真(2011.5.5、成瀬撮影)を見比べると、写真中央の残雪の上方の稜線付近から第2の大雪崩は発生し、左手前に向かう沢(女良谷)を流れ、第2リフトの中間付近、コースが緩斜面になるところで停止したものと思われる。発生区における雪崩の幅は約100 m、厚さ約0.5-1 m、流下距離約800 mにおよぶ、かなり規模の大きい煙型の表層雪崩であった(「概要」より)。6名が雪崩に遭遇した地点は、第2リフト上部駅から200 mほど女良谷に入ったところである。

 「概要」では、以下の3箇所にわたり、「予測しがたいことだった」とし、暗に管理者には過失はなかった、と述べている。
「(シミュレーションによると)雪崩の速度は90 km/h前後の高速であったため、たとえ雪崩の襲来に気づいたとしても雪崩を避けることは不可能であったと考えられる」
「女良谷コースから見上げると雪崩が収束した沢状地形部は、樹木帯が密であるため、そこを通過しての雪崩の襲来は予期しにくい場所であった」
「奥大山スキー場ではこれまでゲレンデで雪崩が起きた事もなく、・・・・この事故を予測し防ぐのは、非常に難しかったのではないかと思われる」

 一方、次のようにも述べている。
「しかし、意図的に雪崩の危険性を把握しようと努め、雪崩に対する危険性を認識していたとすれば、最初の雪崩が相応の危険性を訴えていた事に気づけた可能性は否定できない。」
 これはやや難解な一文だが、言おうとしていることは、「雪崩に関する知識や危険性を認知していれば、危険を回避または災害を軽減できたかもしれない」ということだろうと思う。

 今後、類似な事故防止のため、以下の2点を指摘したい。
危険分散:第1の小雪崩後、雪は激しく降り続いていたので、別な場所で雪崩が起こるかもしれなかった。6名が1台の雪上車で現場に向かうのではなく、2,3班に分かれ、お互いに見通せる範囲で十分離れて行動すべきであった。これは、犠牲者を最少にするのみではなく、次項の救助活動を迅速、的確に行うためである。

セルフレスキュー:雪崩に埋没後30分を経過すると、生存率が約50%に低下することが、欧米や日本の事例研究から分かっている。したがって、雪崩発生直後、近くにいた仲間たちで、可能な限り捜索活動を行うべきである。一般には、気が動転するが、救助を求めに走るのは、万策尽きたときのみと考えたい。

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奥大山雪崩は異常な大雪によるか?

              成瀬廉二、2011/07/12、 No.2185

 雪崩調査チーム(元村ACT理事長+和泉新潟大教授)が現地を視察したのは、雪崩の12日後、1月12日だった。雪崩現場付近(標高1000 m前後)では、この12日間に、日最高気温が0度C以上になった日が3、4日あったと推測される。したがって、仮に雪崩発生点付近の雪質を詳細に調べたとしても、雪崩の原因となった雪の層(いわゆる、弱層<じゃくそう>)は大きく変質しており、判定は困難だったと想像できる。

 表層雪崩は、斜面に積もった新雪が、ある層(弱層のことが多い)を境に、その上層が滑り落ちる現象である。それゆえ、表層雪崩の第一義的な原因は、短期間に集中して積もる雪の量である。もし著しい弱層があれば、新雪の量が少ない内に雪崩が発生する。

 ところで、「雪崩事故調査報告書:概要」に、「地元の人が"昭和38年の豪雪以来"という歴史的な異常気象の中でこの事故は起きている」との記述がある。本当に、空前の豪雪だったのか、異常気象と言うべきものだったのかを検証してみよう。

 奥大山周辺で積雪深を連続観測している観測所等は、大山の反対側、北北西約8 km地点の大山アメダス(標高875 m)および西北西23 kmの米子地域気象観測所(標高6 m)である。今冬の山陰地方の大雪は、31日朝から1月1日朝にかけて降り続いた。米子の1月1日05時の積雪深89 cmは、1940年観測開始以来の新記録であった。従来の最大は、1963(昭和38)年2月の80 cmである。「およそ30年に1回以下の気象現象」を"異常"と言うならば、米子は十分異常気象だった。

 一方、大山アメダスの1月1日05時の積雪深209 cmは、1981年以降の上位10傑にも入らない。しかし、12月31日の24時間の降雪深(積雪深の増加量)は120 cmに達し、同地点の歴代1位である(従来の1位は72 cm)。

 実際に雪崩を起こした表層の新雪は、大山アメダスにて31日07時(積雪深66 cm)から雪崩発生の13時(積雪深119 cm)までの6時間に降り積もった厚さ53 cmにおよぶ多量の雪だったと推測される。
 (注:奥大山の南西約9 kmの江尾アメダス(標高155 m)の雨量計による観測では、07-13時の6時間降水量は14 mm、また大山アメダスの6時間降水量は38 mmであった。雪の密度は不明だが、乾いた新雪の100 kg/m3(すなわち比重0.1)と仮定しても降水量の値は低すぎる。雨量計に入った雪粒は融かされて測定されるが、風が強いと雨量計の円筒容器に捕捉される割合が著しく低下するので、降雪時の雨量計データは取り扱いに注意が必要である。)

 奥大山周辺に信頼できる長期的な気象データがないので断定的なことは言えないが、「同スキー場ではこれまでゲレンデで雪崩が起きた事もなく」ということをも考慮すると、去る12月31日の降雪は記録的な短期集中型の大雪だった、と考えられる。

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[写真]大山町大山「雪の観察会」(2011.2.13、下山キャンプ場<標高750 m>). 
積雪深2.2 m、表層50cmは新雪、その下層はしまり雪が主、その中に数枚のざらめ雪層が混入.

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奥大山の事故報告書の感想 

                 Mountainforest、2011/08/06、No.2191

初めまして。アラートに掛かっており、気になっていたのですが、書き込めず、時間ができましたので、感想を書かせて頂きます。「難解な一文である」との表現に、管理人である成瀬様のお人柄を感じてのことです。

米国、カナダの雪崩現場を渡り歩いてきた人間としての率直な感想は、今回の事故に関して「異常気象だったから」という言い方が、もし通用すると思っているなら、信じられないです。原発事故の「想定外」といっているのと同じ。問題が何だかわかっていない人が調査し、報告書を作っている、ということが、報告書を読んでわかりました。

今回の事故は、北米であれば、一発でスキー場が潰れます。パトロールが丸腰で現場に行っていますので。労働者に対する適切な自己防護措置を、事業者が怠ったあるいは企業内にそうした規定やコンプライアンスがない、ということで、裁判では一発アウトです。放射線防護服を着させないで、特攻させるのと同じ。しかし、そこについて何も記述がない。きっと経営者に都合の悪いことだから、報告書を書いた人は省いたのでしょう。

4人のも人が亡くなっていて、こんな報告書で許されるのでしょかね? 僕にはまったく理解できません。

Re: 奥大山の事故報告書の感想  

                 成瀬廉二、2011/08/07、No.2192

 mountainforestさん、コメントありがとうございます。
 読む人の立場、キャリア、個性によって、感じ方や評価が大きく異なることはあり得ることです。感想、コメント、批判、論評など、多くの方の投稿を歓迎します。

 ただ一言だけ注記しますが、江府町のウェブサイトにて公開されている「奥大山スキー場雪崩事故調査報告書(最終報告)概要」(pdf版、本文2ページ)は、江府町が「報告書」を要約したものだそうです(和泉薫氏からの私信メールによる)。文章は改変してはいないでしょうが、抜粋の仕方により全体の色合いが変質することはあり得ます。

 町と調査チームとどのような契約と了解があったのかは分かりませんが、長くても全文を公開するか、公開用の抜粋版をつくるとしたらこれも執筆者等が手がけるべきだったと思います。一般に要約とか抜粋は、余程信頼できる仲間か編集者以外には任せるべきではありません。なお、「報告書(最終報告)」の原本は、江府町立図書館で閲覧できるそうですが、残念ながら遠隔地の人は簡単には眼にすることはできません。

 ところで本サイト「情報の広場」は、ルールとしては明記していませんが、2006年開設以来、投稿者はハンドルネームや匿名ではなく本名(実名、フルネーム)を記すことにしています。これは、内容の信頼性を高めるため、発言に責任を持つため、最低限の質を保つため、などです。mountainforestさんは山森さんという方か、と勝手に推測していますが、次回はどうぞ名乗って下さい。

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 [写真:奥大山スキー場コース下端付近から見た大山南壁(2011.5.5)]

 
お知らせ 

                     成瀬廉二、2011/08/10、No.2194

 昨日(9日)昼前、mountainforest氏から「ご返信をありがとうございます」(No.2193)というメッセージが投稿されました。前記事(No.2192)にて、「本サイトは本名(実名、フルネーム)を記すことにしています」とお知らせしましたが、「フルネームで名乗っても何もメリットありません」と依然ハンドルネームによる投稿でした。

 本サイトは、実名を明かすと重大な支障があるとか、相当の理由がある場合を除いて、本名(フルネーム)にて投稿することを原則とします。したがいまして、No.2193はただいま削除します。mountainforestさんは、本件に関しお問い合わせやご意見がありましたら、当NPO法人代表までe-mailにてご連絡下さい。

 また、本『情報の広場』は、ページのトップに記載してありますように、「会員および一般の方からのニュース、お知らせ、たより、意見、感想、質問、解説、随想、紀行などを投稿するサイト」です。したがって、意見、感想などは大いに歓迎しますが、特定の課題に関して議論を交わすこと、あるいは論争を展開することは、本サイトの趣旨から少し逸脱します。

 今後ともご協力のうえ、皆さま奮って投稿してください。

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    [写真:氷ノ越(鞍部)から見る氷ノ山(1,510 m)、2011.7.29]


[感想]報告書概略版 

                    田中譲二、2011/08/16、 No.2197

居候のmountainforestがお騒がせしたようで失礼しました。
当人は帰国しました。熱いヤツなのでご容赦願います。

江府町に問い合わせましたところ、概略版は完全版を元に、町が作成したとのお返事を頂きました。
ただ、当たり前ですが、全体趣旨は変わっていないようです。

当方は、雪崩はmountainforest から教えてもらうほうで詳しくはありません。理系大学を出た後、企業で働いておりますが、現場があるため事故関連は少々詳しいカテゴリとなります。

以下、感想です。
「これまで経験がないから、わからない」あるいは
「異常気象なので防げなかった」というフレーズがまったく理解できません。
適切なる事故報告書に、こうした安易なフレーズは入らないものだからです。

あと成瀬先生がご指摘のように、何を異常値と考えるのは、なかなか難しい問題に思います。

では失礼致します。

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梅雨明けが早い今夏の暑さは? 

                    成瀬廉二、2011/07/18、No.2186

 中国地方は7月8日ころ梅雨が明けた(気象庁発表)。平年は7月21日なので13日早く、梅雨明けの早い方から観測史上4番目である。鳥取では7月8日から昨日までの10日間、連日晴一時曇りで、日最高気温は32度〜37度の真夏日または猛暑日となった。

 梅雨明けが早ければ、それだけ日照りが多くなるため、気温も高くなりそうに思われる。中国地方で梅雨明けが7月10日以前だった5か年の7月の月平均気温を調べてみたら、いずれも平年値(25.7度)より0.6度〜2.5度C高かった。しかし、同じ年の8月の平均気温を見ると平年値(27.0度)より高い年も低い年もあり、梅雨明けの時期が夏全体の気温に影響を与えることはないようである。

 7月15日発表の季節予報によると、7/16〜8/15の1か月間、西日本は「平年より気温が高い確率」が50%、「平年並み」が30%、「低い確率」が20%であった。一方、北海道-東北地方は、「高い」30%、「並み」40%、「低い」30%でる。これは、各地域の過去の気温を33%づつ「高い」、「並み」、「低い」の3グループに分け、各グループが起こる可能性を確率(%)にて示したものである。

 この予報を信ずれば、西日本は今年の夏も平年よりは暑くなる可能性が高い。しかし、中国地方のこの1週間(7/16〜7/22)は「高い」が60%だが、来週以降は「高い」が30-40%に落ちる。どうやら、昨年ほどは猛暑にならないようである。昨夏の鳥取のような「猛暑日30日+熱帯夜30夜」は勘弁願いたいものである。

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[写真]蒜山(ひるぜん)ハーブガーデンから見る蒜山三山.
 (左から、上蒜山1,200m、中蒜山、下蒜山1,100m).
   2011年7月17日. 

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大雨をもたらした台風6号  

                 成瀬廉二、2011/07/22、No.2188

 強い大型の台風6号は、7月20日00:30ころ徳島県南部に上陸した直後、U字を描いて進路を南東方向へ転じ、本(22)日正午現在、千葉県房総半島の南東650 km付近をゆっくり東南東に進んでいる。

 この台風の影響で、(気象庁観測の)日降水量の日本記録が更新された。高知県馬路村魚梁瀬(やなせ:標高450 m)アメダス(AMeDAS、以下A)にて、7月19日の24時間降水量が851ミリに達した。次いで多かった地点は、三重県宮川A(205 m)の764ミリ(19日)、徳島県福原旭A(290 m)の641ミリ(19日)であった。いずれも、海岸沿いの地域より、やや内陸の標高の高い地点にて記録的な大雨となった。

 従来の24時間降水量の記録は、奈良県日出岳A(1695 m)の844ミリ、三重県尾鷲地域気象観測所(15 m)の806ミリであった(気象庁気象統計情報による)。昨年10月奄美大島にて水害が起こったとき、名瀬測候所の622ミリ(20日)および住用町の708ミリ(19日夕-20日夕:国交省)に驚いた記憶があるが、今回の豪雨はこれらをはるかに超えた。

 一方、日本で年間の降水量が最も少ない地点は北海道の北見・紋別地方で、主な地点では常呂Aの700ミリ、美幌Aの716ミリ、北見Aの764ミリ(平年値:1981-2010年)となっている。これらの地点の1年分の雨が、1日で降ってしまったことになる。

 なお、鳥取県では今回の台風による大きな影響はなく、19-21日の総降水量は鳥取市約4ミリ、米子市約6ミリのみだった。したがって大雨や台風らしい写真がないので、「とっとり花回廊から大山を見る」(2011.7.17)に代役を務めさせる。

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猛暑続く 

                   成瀬廉二、2011/08/11、No.2195

 8月に入って日本列島は暑い日が続き、鳥取の猛暑日(最高気温35度以上)が昨日までの10日間で7日に達した。特に、この前の日曜日(7日)の最高気温は、鳥取37.6度で、全国の気象観測点約900か所の中で第1位となった。嬉しくはないが、何はともあれ1番はすごいことである。

 気象庁が公開している資料によると、(アメダスを除く)気象観測所156か所の中で、同日の最高気温の第2位以下は、2) 豊岡、舞鶴36.8度、4) 福岡35.9度、5) 岐阜35.8度、6) 前橋35.7度とつづく。4位までは西日本の日本海側の都市であった。

 鳥取県内の分布を詳しく見ると、同日の最高気温は、智頭35.4度、倉吉32.7度、米子33.8度、境港34.8度であり、鳥取の37.6度は突出して高い。なぜだろうか。鳥取気象台は交通量の多い市街地にあるので、郊外の田園地帯に比べればヒートアイランドの影響は少しはあるに違いないが、鳥取市が周辺に比べていつも最高・最低気温が高いというわけではない。

 また、同日正午過ぎの風は、北または北西の風3.5m/sだったので、南から山越えの風によるフェーン現象ということもないと思われる。

 そこで、鳥取気象台の7日の10分毎の気象データを調べてみた。気温は、
     13時00分36.8度、13時10分37.1度、13時20分36.9度
だった。すなわち、最高気温として発表された37.6度は、13:00-13:10または13:10-13:20のいずれかの短時間に、ほぼ瞬間的に達した温度だったと推測できる。何があったのだろうか。

 この前後、風向、風速にとくに変化はない。しかし、12時:薄曇り・雲量10だったものが、15時:晴・雲量5に転じている。このわずかな雲の変化、したがって日射の強度の変化が、瞬間的な気温変化を引き起こしたのではないかと推察される。

 温度計センサーの時定数や、通風などのちょっとした不具合の問題等があり得るので、気温の瞬間最大値を議論することは科学的にはあまり意味がないが、最高気温は暑さの指標として報道その他でとり上げられ、私たちもしばしば話題にするので、あえてここで検討してみた次第である。

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[写真:蒜山高原のラベンダー畑(2011.8.8)。花の摘みとりがほぼ終わる頃]

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台風12号、鳥取県を横断 

                         成瀬廉二、2011/09/05、No.2208

 台風12号(アジア名:タラスTalas)は、9月3日06時頃、高知市付近に上陸し、同夜、倉敷市、岡山市、津山市を通過し、4日未明、倉吉市を通って、03時頃山陰沖に抜けた。タラスは、日本列島の西部を、山陰地方を、また鳥取県を、南から北に真っ直ぐ横断した(南北だから縦断とも言える。細長い矩形の短い方の直径に沿う、と言う点からは横断。迷うところである。報道各紙でも、両者が使われている)。

 タラスが日本へ接近しつつある31日から昨(4)日まで、雪氷学会関係の会合に私的な用務が重なり、東京へ行っていた。そのため、”台風直撃”という、そうしょっちゅうあることではない現象を体験し損ねてしまった。

 台風の日本本土への上陸件数は、1951-1981年は年間1回から5回程度であるが、2004年に最大値の10回となり、以後は3, 2, 3, 0, 1, 2回と推移してきた(気象庁統計による)。今年は、台風6号が7月20日に徳島県南部に上陸したが、直ちにUターンして太平洋沖に離れて行ったので、本格的な上陸・横断(縦断)は本年初である。

 今回の台風は、日本接近前から日本各地に多くの雨をもたらした。鳥取県では台風通過直前の2日と3日に多量の降水があった。この2日間の合計降水量は、県の西から東へ、境港148 mm、米子215 mm、大山(標高875m)865 mm、倉吉312 mm、鳥取138 mm、岩井159 mmであった(気象庁資料)。風はいずれの地域も比較的弱く、雨台風であったと言える。

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[写真:鳥取空港付近の上空より見た沿岸(2011.9.4, 12:15).手前が日本海、奥が陸地。海域の右1/3の濃い青色の部分は元の海水、左の薄い青色の部分は千代川から多量に流れ込んだ河川水が混入した海域と思われる.海岸付近の黄土色の部分は土砂が懸濁した海水であろう.]





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