(NPO)氷河・雪氷圏環境研究舎

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zoom RSS 情報"南極便り1-4;しらせ;南極53次隊;さくら咲、民博、左巻渦、雪授業、カキツバ、ハマナス"

<<   作成日時 : 2012/02/20 12:00   >>

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南極だより (1)

           澤柿 教伸、2012/02/20、No.2281

(2012.1.30、昭和基地発)

 ブリザードになるというので氷河上のキャンプから昭和基地に来ました。2か月ぶりのオンライン環境です。これまでいたラングホブデ氷河の写真です。
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 ラング氷河で400 m深の熱水掘削・アイスレーダー探査・GPS観測など,いろいろやってきました。三度目の南極ですが昭和基地に近いところにこんな秘境があったのかと新鮮な感動に浸っています。

ラングホブデ氷河は昭和基地の南20 kmほどのところにあって,南極氷床の氷が川のようになって海へ流れだしている「氷流(アイスストリーム)」と呼ばれるところです。海抜数十メートル程度ですが流れが速いので変化が激しくダイナミックな場所です。50年以上の南極観測の歴史の中で人跡未踏のまま残されていた場所でした。

[facebook.com/sawagakiより、本人の了承を得て転載.
 筆者:第53次南極観測夏隊員.編集:成瀬廉二]


南極だより (2)

           澤柿 教伸、2012/02/22、No.2283

(2012.1.30、昭和基地発)

 昭和基地に滞在しているうちに野外観測のうかれたことばかり言ってらない雰囲気がようやく分かってきました。(新砕氷船)「しらせ」が昭和基地接岸を断念。今や,残り少なくなった時間の中で越冬成立のための物資輸送を完了させることが最優先課題です。

 先代「しらせ」も一度だけ接岸を断念しています。実はそのときも私は昭和基地にいました(第34次越冬隊)。この2回の経験者は隊と船をあわせても稀少なはず。35-53という数字のマジックもささやかれています。

 29日にラング氷河から昭和基地入りする際にヘリコプターから撮影した写真です。
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(2012.2.3、昭和基地発)

 昭和基地の秋もうらぶれきた今夕(といっても真夜中の10時過ぎですが),みんなで日没直前のグリーンフラッシュをねらいました。写真に収めるのは失敗しましたが肉眼ではしっかり緑の閃光を拝みました。夏宿生活のなかでも,夏オペレーション終盤のこういう瞬間が好きです。

[facebook.com/sawagakiより転載.編集:成瀬


南極だより (3)

               澤柿 教伸、2012/02/24、No.2284

(2012.2.4、昭和基地発)

 今日は氷河上にデポしてきた機材の撤収作業です。小型ヘリで何往復もするため丸一日かかりました。「しらせ」接岸不能のために2月に入っても本格空輸が続いていて,A-Bヘリポート周辺はごった返しています。そこで,本格空輸の邪魔にならないように,我々の撤収機材を一時集積する場所として,島の東の外れにあるCヘリポートを使うことを思いつきました。

 Cヘリポートは,51次以降に大型ヘリが導入されることを見越して,48次の夏に大幅改修されたヘリポートです。しかし,予定されていた51次になっても,多量の残雪が残っていたり,そこに通じる道路が泥沼化してしまったりして,Cヘリポートはほとんど本格活用されないままになってしまいました。

 でも,小型ヘリを使って...回収した物資を一時集積して,テント干しや食材の整理などの帰還準備に使うには全く問題ありません。不遇な境遇に置かれたCヘリポートをこれまでで一番活用したのが今回の我々なのではないかと思います。

 Cヘリポートは大陸も氷山もよく見渡せますし,昭和基地主要部の喧騒も届きません。Cヘリポートの向こうには大気レーダー観測プロジェクト「パンジー」のアンテナ林が広がっています。Cヘリポートは,さながら「森を抜けると広がる桃源郷」のような場所です。

 野外で独立した活動を維持してきた機材が氷河から帰ってきて,こうしてCヘリポートにそろってみると,制約が多くてかえって不便になっている昭和基地主要部よりは,島のはずれのこの場所でひっそりときままにキャンプ生活するのも悪くないな,と本気で考えてしまいました。

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 Cヘリポートで作業中に,20kmほど先にいる「しらせ」へと出発していく氷上輸送隊の車列を見送りました(写真)。

[facebook.com/sawagakiより転載.編集:成瀬]


南極だより (4)

           澤柿 教伸 (成瀬廉二)、2012/02/26、No.2285

      (2012.2.10、11、昭和基地発)

ミッションコンプリート。さらばラング氷河。またいつの日か。

[写真]右から二つ目が長頭山のピークです。流線型に伸びたドラムリンの長軸を上流側から見ている感じになります。
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[facebook.com/sawagakiより転載]

(2月15日、澤柿、「しらせ」発)

さきほど,昭和基地から「しらせ」にもどりました。
34次越冬明けの帰路につづいて,再び,昭和基地接岸を断念した夏になりました。34-35次当時とはちがって,今では夏の野外調査活動は,観測隊の活動の中でも最も優遇されます。

接岸しなかったという輸送上の苦境にかかわらず,今回も野外調査日程は100%確保され,おかげさまで,杉山さんとともに行ったラングホブデ氷河熱水掘削計画は,予定していた内容をほぼ完了させることができました。また,成果も十分にあげることができたと思っています。

(「南極だより」 ひとまず おわり)


{第53次隊物資輸送の経過}

(国立極地研究所ウェブサイト"Topics" および「南極観測のホームページ」より抜粋、編集:成瀬廉二)

1月21日、観測船「しらせ」は昭和基地沖への接岸を断念した。昭和基地の西北西21 kmの停留地点の氷厚は約5 m、積雪深は71-135 cmであった。第53次隊の越冬観測用物資は、ヘリコプターにより空輸、および雪上車により氷上輸送されることとなった。

 「しらせ」から昭和基地までの海氷上に安全なルートを設定し、走行は、気温が下がり氷状が安定する深夜に行うこととした。ルートは片道約30 km、1日1往復が限度である。昭和基地にある雪上車をフル稼働させ、第52次越冬隊、第53次隊が協力して、空輸で運べない大型物資、コンテナなどの氷上輸送を行った。

 2月10日までの氷上輸送量は396.4トンとなり、空輸量は421.1トン、合計817.5トンは、総物資量1,274トンの64.2%に達し、輸送作業を終了した。搬入できなかった主な物資は、燃料の40%弱、風力発電機、新汚水処理設備の資材、自然エネルギー棟用資材の一部等であった。

 以上により、第53次隊の越冬観測は支障ない状態となり、例年2月1日に行われる越冬交代式を2月12日に実施し、2月13日「しらせ」は復路の航海を開始した。


「しらせ」依然、砕氷航行中 

                 成瀬廉二、2012/03/04、No.2288

 「南極観測のホームページ」には「しらせ」のほぼ毎日の位置(緯度、経度)が公表されている。それによると、2月13日に帰路の氷海航行を開始したが、3月2日までの18日間に、北北西へ44 kmしか進んでいない。1日平均2.4 kmであり、厚い氷に相当難航していることが窺える。

 帰路も往路のルート付近を航行しているが、往路に砕氷した航路が復路に水路として開いたままになっていることもあるが、風により吹き寄せられ、逆に強固な氷の峰となることもある。たぶん、後者の状態だと推測する。

 しかし、3月2日の位置は1月8日のそれに近く、氷縁に近づいていることは確かのようである。
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 写真は、進水式(2008.4.16、舞鶴港)における2代目「しらせ」。同船は、2009年の第51次隊から就航し、今年は3年目である。


 「しらせ」外洋へ 

                   成瀬廉二、2012/03/06、No.2291

 「南極観測のホームページ」によると、「しらせ」は3月4日から5日に、北東へ364 km移動した。この間、24時間航行していたかどうか不明だが、単純に平均すると15.2 km/時となり、巡航速度よりは遅いが、外洋に出たものと思われる。

 計画では、約6,000 km先のオーストラリア・フリーマントルへ3月17日入港だが、これが遅れるのかどうか。

 写真は、南極氷海の外洋に停泊している先代「しらせ」(34次南極観測隊1992-94、撮影:澤柿教伸)。
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 (注:本記事は5日18時に投稿(No.2290)したが、「北東へ364 km」を誤って「北西へ」としたので、これを訂正するとともに、若干加筆し、再投稿したものである)


南極観測から戻りました 

                      杉山 慎、2012/03/25、No.2296

南極観測としらせの動向に関する記事をありがとうございます。厚い海氷と雪に阻まれて接岸は断念したものの、任務を終えたしらせは予定通りオーストラリアに戻りました。現在日本に向けて航行していることと思います。

私や澤柿さんを含めた北大の観測班はラングホブデ氷河にて氷河の底まで掘削した縦孔を使った観測を行いました。海に流れ込むダイナミックな氷河の振る舞いを、氷河の底から解明しよう、という試みです。(写真は海に面した氷河の末端です)

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凍った湖に潜水したり、ペンギンにカメラをつけたり、日本の南極観測隊では刺激的な研究が進んでいます。これから発表される成果が楽しみです。

わたしたちの氷河観測の模様はこちらでご覧になれます。
http://wwwice.lowtem.hokudai.ac.jp/~sugishin/photo_album/langhovde2012/langhovde2012.html


第52・53次南極観測隊報告会 

              成瀬廉二、2012/04/14、No.2305

 第52次南極越冬隊および53次夏隊の帰国報告会・歓迎会が、4月10日、明治記念館にて開催された。主催は(大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構)国立極地研究所で、来賓として文部科学大臣、数名の衆・参議員が出席していた。

 報告会では、第52次越冬隊の観測結果の概要が、次いで53次夏隊の活動経過が報告された。越冬隊員は30名に対し、夏隊は33名の隊員プラス26名の同行者(大学院生、技術者、学校教諭等)の大所帯であり、近年、夏隊重視の傾向が顕著である。

 第53次夏隊の主な活動内容は、以下の通りである(山岸隊長の資料より要約)。1)大型大気レーダによる極域中間圏(高度数10 km)のエコー(雲)の観測、2)海鷹丸との連携による海洋観測、3)露岩地域における氷床変動解明のための地形地質調査、4)熱水掘削(写真)によるラングホブデ氷河の底面および棚氷下の環境観測、5)ビデオ・GPS等を装着したペンギンの行動生態調査。

 また、今年の氷海航行は大変難航したので、隊長の報告や質疑には多くの時間がさかれた。昭和基地に接岸できなかったのは、第35次隊以来18年振りのことである。単純に昨冬は寒かったから海氷が厚く張って硬かった、というわけではなく、昨年後半から今夏(1,2月)にかけて降雪が非常に多かったことが大きく影響したらしい。つまり、厚い海氷を割るために砕氷船が勢いをつけて氷にぶつかっても(ラミング、ramming)、海氷上に1, 2 mもの積雪があると、それが緩衝材となり、氷が破壊され難くなるからである。

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[写真:ラングホブデ氷河における熱水掘削(2012.1.6)、Shin Sugiyama “Hot water drilling at Langhovde Glacier, East Antarctica”より]


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さくら開花か?(鳥取) 

                 成瀬廉二、2012/04/04、No.2299

 昨(3)日、鳥取地方気象台は、以下の発表を行った。
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 鳥取でさくら(そめいよしの)が開花しました。
本日(4月3日)、久松公園のさくらの標本木が開花しました。
 平年(3月31日)より3日遅い開花となりました。
 昨年(4月2日)より1日遅い開花です。
 * 開花とは、花が5〜6輪咲いた状態のことです。
 =============

 3月28ー30日更新の各社の(鳥取)桜開花予想日は、ウェザーマップ5日、気象協会6日、ウェザーニューズ7日であった。気象台の発表は予想より2ー4日も早いので、少し驚いた。

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 写真は、本(4)日昼前の久松公園のさくらであり、右が気象庁の標本木、左が一般の木である。いずれも、そめいよしのだが、左の木は3分から7分咲きとなっているが、右の木はほとんど全て蕾であり、開きそうではあるがまだ咲いた花は見当たらない。これでは、開花とは言えないのではないか。

 実は左の3ー7分咲きのさくらは、久松公園内ではこの木だけのようである。私の印象だけでは怪しいので、付近にいた久松公園のボランティアガイドに尋ねてみたら、やはり、はっきり咲いているのはこの木のみ、とのことであった。「標本木は開花していませんよね?」には、「えー、でも、気象台がそう言うので、そうなのでしょう」と。

 この咲いたさくらは、他より圧倒的に日当たりが良いというわけでもないので、個体差と思われる。標本木の1本で開花を判定するのなら、未だ、多くの木を見て判断するとしても、未だ(あと2,3日)、というのが順当ではなかろうか。

 今朝の新聞各紙(朝日、日本海、山陰中央)は、左の咲いた桜の写真を掲載している。TV撮影班も、左にカメラを向けていた。記者やカメラマンは事情を知って知らずか、標本木の蕾の写真では、開花のニュースの映像とはならないからであろう。


さくら開花か?[追記] 

              成瀬廉二、2012/04/04、No.2300

 前記事の写真(4日11:30)は、左右の枝が交差しており、標本木は本当に開花していないかどうか、確認のため夕方再度見に行ってきた。
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 写真(4日17:15)は標本木であり、右の幹から左上に伸びる枝に数輪の花が咲いていた。(左から右に水平に伸びる小枝の先端の花は左の一般木である)

 大木の標本には200-300個ほどの蕾がありそうで、その内のたった5〜6輪だが確かに咲いた状態なので、昨日(午前)の気象台の判定は、誤認または早とちりではなく、気象庁の基準に則したものであったと認めざるを得ない。


鳥取、さくら満開 

                成瀬廉二、2012/04/11、No.2303

 鳥取地方気象台は昨日、「本日(4月10日)、久松公園のさくらの標本木が満開となった」と発表した。平年(7日)より3日遅く、昨年(8日)より2日遅い満開である。

 久松公園の全さくらの平均的な状態を見ると、今日は満開、と言えそうである(写真:11日昼過ぎ)。私の観察によれば、昨年(10日)とほぼ同じとなる。今冬は遅くまで寒かったが、最後はほぼ帳尻を合わせるものである。
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鳥取、さくら満開(続) 

                成瀬廉二、2012/04/12、No.2304

昨日は時々強風、雨模様だったが、今日は朝から穏やかな快晴。
写真は、久松公園鳥取城址二の丸跡から市街を見る(12日11時)。遠景の山は、右から鷲峰山、三国山(1252 m)、高鉢山(1203 m)など。
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国立民族学博物館

                  成瀬廉二、2012/04/09、No.2302

 大阪万博公園内にある国立民族学博物館は、日本に数ある博物館の中で組織と展示内容の点から特異な博物館である(美術館、動・植物園を含む登録博物館数<2005年>1196館、文科省資料)。同館は、博物館機能をもつとともに、大学院教育をおこなう文化人類学・民族学の研究所である(教員、約60名)。国の組織としては、大学共同利用機関法人の4つの一つ、人間文化研究機構に所属する6研究所(館)の一つである。 

 この博物館は、私にとっては想い出深い。1981年に開設した札幌市青少年科学館の展示企画委員の任にあったころ、たぶん1970年代後半、委員が分担して全国の博物館や科学館を視察した。そのとき、創設(1974 年)後間もない国立民族学博物館を見学した。当時は、博物館というと、地味で、一見しただけでは面白くない、という印象だったが、この館は見せる、ひきつける、と新鮮な思いを抱いた記憶がある。いつか時間に十分な余裕のあるとき再訪したいと思っていたが、30余年後の一昨日、その機会をつくった。

 国立民族学博物館の展示は、地質時代や歴史の時間軸に沿うのではなく、まず地理的空間で大きく分け(大陸、地域など)、そのセクションの中でそれぞれのテーマを掲げている。例えばアメリカの部では「衣、食、宗教に焦点」をあて(写真)、アフリカの部では「働く、憩う、装う、祈るという4つの側面」から紹介されていた。
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北半球では左巻きの渦

               成瀬廉二、2012/04/19、No.2306

 10日ほど前、神戸で時間があったので、水の科学博物館を訪れた。この博物館は、神戸市水道局の一組織なので、水源から各家庭に至るまでの給配水システムと水質管理などの紹介や展示が第1の目的のようである。

 私にとっては思いもよらないことだったが、神戸市には水源となる大きな川や湖がないため神戸市の水確保量の74%は琵琶湖・淀川水系から購入している、とのことである。さらに、神戸市は六甲山の北・南側から海岸にかけて高低差が大きいので、すべての蛇口に適正な水圧で給水するため、配水池やポンプ場などの施設が平野部の都市に比べ桁違いに数多く必要であることを知った。

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 ウォーターサイエンスゾーンでは、サイホン、水圧、浮力、水力発電、表面張力などを体験する器具(大型おもちゃ)等があり、興味がある人にはおもしろい。写真は、一見変哲もない2つの壷だが、左は陶器、右は素焼である。素焼は水が滲み出るので、壷の表面から蒸発し、気化熱のため温度が下がる。そのため、陶器の水温は17.1℃、素焼の水温は15.1℃となっている。もし素焼の表面が乾湿計の湿球(濡れたガーゼに被われた感部)に相当すると仮定すると、無風状態でこの温度差(2℃)は、計算してみると相対湿度79.6%となる。まあ、そんなものだっただろうか。

 さて、標題の「左巻き渦」について。水の実験室と称するサイエンスショーがあった。白衣を着た中高年の男性が、水のさまざまな性質を示す実験を見せていた。観客は小学生程度が10名弱、その親や一般人が10名程度であった。ショーの終盤に、蓋に穴が開いた大型ペットボトルを逆さにしても水がこぼれ出ない様子を実演し、「これは表面張力と圧力差のためである」と説明していた。ここまでは良い。

 その逆さペットボトルに振動を与えると、蓋の穴から水が流れ出るとともに、ボトルの中に空気が流入する。そのとき、ボトル内の水は渦を巻く。「この渦は、地球が自転しているからできるのです。だから、北半球では左巻きの渦なのです。オーストラリアとか、南半球へ行くと、渦は右巻きになるんですよ」と、白衣の指導員(?)が説明していた。

 地球が自転しているために生ずる‘不思議な力‘(コリオリの力、Coriolis force、転向力)は、地球自転により動く速さが緯度により異なることに起因しているので、大きなスケールの運動にのみ現れる。具体的には、低気圧、高気圧、海流、ロケット、長距離弾道ミサイルなどである。

 台風を例にとると、風は低気圧の中心に向かって吹こうとするが、北半球では運動方向の右向きにコリオリの力が働くので、実際の風は低気圧を左に見て吹き、上から見ると左巻きの渦となる(南半球では低気圧は右巻き)。

 むかし、「風呂の栓を抜くと左巻きの渦が生ずる」と説明したテレビのクイズ番組があったと聞いたが、もちろんガセである。サイエンスショーの直後、その誤りを指摘し説明すればよかったのだが、多くの人が居たため躊躇した。しかし、毎日少なからぬ人がこの誤った解説を聞き、その内何人かの人がそれを思い込むとしたら、教育・普及・啓発を目的としているNPO法人の主宰者としては放置しておくことは望ましくないと思うに至り、先日、同博物館の担当者宛、手紙にてコメントを送付した。

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氷ノ山にて雪・気象観測実習(前)

               成瀬廉二、2012/04/23、No.2308

 放送大学の面接授業(スクーリング)の一環として、4月21、22日、『氷期と温暖期の地球環境』という題目の講義を行った。2日間で計12時間の授業を受講すると、放送大学卒業(学士学位取得)に必要な124単位の内の1単位となる。午前から夕方までの講義を2日も続けることは、聴く方も話す方もかなりの労あり、というばかりではなく、観測実習を含む野外授業は放送大学生にとって得がたい経験になるだろうと考え、2日目は若桜氷ノ山にて実施する計画にしていた。

 昨(22)日(日)は未明から鳥取県東部に暴風警報が発令された。鳥取気象台では同日の最大風速(10分平均)は19.5 m/s、最大瞬間風速は31.3 m/sを記録した。鳥取空港発着の6便は全て欠航した。

 我々の面接授業は雨天決行としていたが、さすがに山歩きは中止し、自動車道路の終点、標高900-950 mのキャンプ場付近のみにて行った。野外実習のテーマは、1)雪と水の環境 (積雪・気象観測実習)、2)動物・植物の生態 (野外学習)とし、後者はNPO法人氷ノ山ネイチャークラブの自然観察指導員にガイドを依頼した(写真)。
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氷ノ山にて雪・気象観測実習(後)

              成瀬廉二、2012/04/26、No.2309

 気象観測実習用に、鳥取大学地学グループから携帯型風向風速気温湿度気圧メーター(Kestrel 4500NV)5台を借用した。風向の矢羽根を除くとまさにポケットに入る軽便な最新機器である。ボタンを押す毎に気象要素が次々にデジタル表示されるので、計測は簡便だが、測定原理が見えないので、実習用の機器としては適切だったかどうか若干疑問に感じた。

 4月22日11:00、若桜氷ノ山キャンブ場上部(標高940 m)にて、気圧906 hPa、気温9.9℃、湿度83.8%、雪温0.0℃、最大瞬間風速12.7 m/sであった(測定地点は、周囲の森林および炊事施設等のため、比較的風が弱い場所だった)。

 氷ノ山自然ふれあい館「響の森」(標高850 m)では、雪尺による積雪深観測を行ってきたが、それによると冬季の最大積雪深は、3年前(2008/09年)200 cm、2年前(2009/10年)142 cm、(昨年欠測)、に比べ今年(2011/12年)は非常に多く280 cmであった(高橋宏、私信)。そのため、例年は吹き溜まりや日陰を除き3月中に消雪するが、今年はキャンブ場にパッチ状に多くの雪が残っていた。

 雪質は、大粒の濡れざらめ雪であった。上下をくり抜いた空き缶、鉄板焼き用ヘラ、および調理用電子天秤を使用し、残雪の密度[比重]を測定した(写真)。3人の測定値は、580 kg/m3[0.58]、560 kg/m3[0.56]、546 kg/m3[0.55]であった(記録:田中道代)。この残雪は、およそ3 mの厚さの積雪の荷重を受けてきたので、よく締まった硬い雪となっていた。
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カキツバタ群落 

                 成瀬廉二、2012/05/14、No.2315

 カキツバタ等の湿原植物の群落は、かつては日本各地の平野部にも数多くあったことと思うが、現在は開墾・開発が進み、一般には山の中や人里離れた山間部に多く残されている。

 日本三大カキツバタ自生地として、愛知県刈谷市小堤西池、京都市大田の沢と並び、鳥取県岩美町の唐川(からかわ)にカキツバタ群落があり、国の天然記念物に指定されている。今日午後、ガードレールのない細い林道を標高400 m付近まで上り、10分ほど歩いて、唐川湿原に行ってきた。ここは標高が高い分、カキツバタが咲くのは平地より遅く、例年5月下旬〜6月上旬とのことであった。

 これとは時間が前後するが、昨(13)日、岩美町浦富のイベントの帰途、岩美町牧谷のカキツバタ群落を見てきた。田畑と点在する集落の奥、標高5 m付近の低地に小規模な湿原(鳥取県自然環境保全区域に指定)があり、ちょうどカキツバタ(アヤメ科アヤメ属の多年草)が見ごろであった(写真)。
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ハマナス自生の南限 

                   成瀬廉二、2012/06/05、No.2323

 寒冷地の花、ハマナス自生の南限地が鳥取県にあると聞き、先月、鳥取県大山町松河原の海岸に見に行った。観光客があまり訪れないような海岸近くの砂の丘の荒地に、柵で囲まれたハマナス自生地があった。時期が少し早いのか、数は少ないがハマナスが開花していた(写真左:5月20日)。

 鳥取県観光情報および大山町観光商工課のHPには以下の様な紹介がある。「下市川河口の自然の転石の中に自生し、毎年、初夏(5月中旬〜6月上旬)にピンク色の花を咲かせるハマナスは、国の天然記念物として指定されています。植物生態学上、地史学上極めて貴重なもので、氷河時代に寒冷地より南下し、ここに根付いたものです」。

 ハマナスは、北海道の’県’花であるとともに、石狩市、稚内市、紋別市など市・町の花にも指定されている。写真右は、先週末(2日)、たまたま訪れた北海道庁前庭のハマナスである。

 なお、(プチたび)によると、ハマナスの南限は、太平洋側では茨城県鹿嶋市、日本海側は鳥取県大山町となっている。鹿嶋市は北緯36度、大山町は約35.5度なので、後者の方が南である。






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