(NPO)氷河・雪氷圏環境研究舎

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zoom RSS 情報”2012新年;雪密度;少日照;津波堆積;防潮扉;大雪;豪雪年;雪観察;寒冬;鳥取雪;スカブラ”

<<   作成日時 : 2011/12/10 12:00   >>

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新年を迎えて 

          成瀬廉二、2012/01/01、No.2257

 本年も、皆さま健やかで、実り多い年となることを祈願いたします。

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 今年の鳥取の正月は、2007年以来5年ぶりの雪のない元旦です(写真、13:00)。とは言え、積雪がないのは道路、広いグラウンド、屋根、樹幹などで、鳥取地方気象台の計測では、本日13:00現在積雪深5 cmです。 1年前の大晦日から正月にかけては、鳥取県とくに西部の大山−米子−境港の地域で、雪による大きな障害と災害に見舞われました。中でも、2010年12月31日昼過ぎ奥大山スキー場の雪崩で4名死亡、31日から1月2日にかけて国道9号の大山町付近で約1,000台の車が積雪のため走行不能、および計480隻の小型船が雪の重みのため転覆または沈没した事故は、雪に対するハード、ソフト両面の対策が不十分だったことに起因すると言えます。

 今年の雪の量はどうなるでしょうか。大山町大山(標高875 m)では今日午後の積雪深は141 cmに達し、2月12日開催の「雪の観察会」にとっては十分な雪となりそうです。

 さて、昨年12月から、当NPO法人の役員の一部が任期満了により交代しました。新役員体制は、本ウェブサイトの[団体概要]−[役員プロフィール]に写真付で掲載しています。

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。また、皆さまから本サイトへの積極的な寄稿をも期待しています。


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雪の密度を測ってみよう 

          成瀬廉二、2012/01/07、No.2258

 比較的温暖な雪国、山陰地方に降る雪は、一般に湿っていて非常に重い。大雪になると、その雪の重みのために、街路や公園の松や桜の枝が折れたり、港に停泊していた小型船舶が転覆することがあるとともに、各家庭では玄関前の除雪が重くて大変である。

 そこで、どのくらい重いのか、新雪の密度を測ってみよう。

[用意するもの]・・・・・(写真参照:2012.1.5, 鳥取市内)
*サンプラー(缶詰の缶の上面と底面をくり貫いた円筒。プラスチック製でも何でも、形が歪まない円筒なら良い:内径と高さを測定し、容積を求めておく)
*ヘラ(鉄板焼き、お好み焼き用のステンレスのヘラ。たわんだり、曲がったりしなければ、金属かプラスチックの板でも良い):2個
*秤(最小目盛1g、最大1または2kgの調理用電子天秤。バネ秤、上皿秤など、最小読みが10g程度あれば何でも可)
*物差し
*温度計(あれば良い)
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 では、測定。サンプラーを積雪の上から下へ、または横から水平に雪の層内に挿し込み、サンプラー両端の雪をヘラで切りとる。要は、積もった状態の雪を押しつぶしたり、欠けたりさせずに、一定体積の雪を採取することである。円柱状の雪の目方を測り、サンプラーの容積で割ると密度が得られる。

[結果]1月5日、14:30、鳥取市内、積雪深9.5cm、気温+2.9℃、雪温0.0℃。
 場所を変えた4回の測定値は、362 kg/m3から395 kg/m3の間にあり、平均380 kg/m3(注)であった。

 北海道のような寒冷地で、静かに積もった軟らかい新雪(いわゆるパウダースノー等)の密度は50 kg/m3から100 kg/m3程度である。鳥取の湿雪は、寒冷地の乾雪より4倍から7倍重いことが分かる。

{注:自然科学系の文書や論文では使わないことになったcgs単位で表すと、380 kg/m3は0.38 g/cm3となり、水の重さとの比、すなわち比重と値は同じとなる。立法メートルと立法センチメートルとでは、大きさが6桁も異なり、身近な生活にふさわしい体積の単位としてはL(リットル、l)がある。kg、Lを用いると、この密度は0.38 kg/Lとなる。}

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日照が少ない日本海側 

              成瀬廉二、2012/01/14、No.2260

 テレビのニュース等で連日の様に、「カラカラ天気」、「乾燥してカサカサ」、「東京砂漠」とか報じられている。テレビ局の多くが東京にあるので当然ではある。東京では、12月14日に1.5 mmの雨が降った後、今日まで雨は観測されておらず、16日から30日間連続して乾燥注意報が発表されている。

 東京の1月は、多くの日、最低湿度が30%以下である。いま仮に、(相対)湿度30%、温度10℃の空気をそのまま20℃まで暖めたとすると、湿度は16%と超乾燥になる。実際は、室内でエアコンにより暖房しても、人、炊事、水場などから蒸発した水蒸気があるので、極端な乾燥にはならないとしても、冬季の室内は屋外より著しく乾いているのは一般的である。

 さて鳥取では、昨年12月以来、晴れの時間が持続せず、日照が非常に少ないのではないかと思っていた。冬は西高東低の気圧配置が標準なので、冬の日本海側は”雨季”は当然である。しかし今冬はやや極端のような気がして、気象庁のデータを調べてみた。

 昨年12月1日から1月10日までの1日の平均日照時間(直射日光が地表を照らした時間)は、鳥取1時間32分で平年の56%、秋田55分で平年の66%である。一方、太平洋側の東京は6時間17分で平年の109%、名古屋5時間44分で平年の104%となっている。やはり、今冬はいまのところ、日本海側は例年に比べ日照がかなり少ないということは確かである。

 冬の日照が少なくても、農作物とか行楽に大きな影響があるわけではないが、これが長期におよぶと、低温傾向が持続し、生活その他に支障が生ずる可能性はある。なお、今冬の現在までの積雪深は、新潟県高田あたりから北の札幌までは例年より多く、以南の金沢、福井、鳥取などは昨日積雪なし、である。

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[写真]鳥取、久松山(263 m: 2012.1.14)

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津波の堆積物調査 

           成瀬廉二・平川一臣、2012/01/19、No.2261

 年末のある夜、ETVで津波の特集番組を見た。予期していなかったが、旧知の北海道大学地球環境科学研究院、平川一臣特任教授が登場した。シャベル1丁と買い物袋のようなものを手に、海岸の草地を歩き、崖に到着するとシャベルで土砂を掘り、ヘラで堆積物の断面を整形し、観察していた。

−平川さんは、宮城県気仙沼市で、海岸付近の高さ1〜5 mほどの切り立った崖に津波で運ばれた6層の砂石の地層を発見。岩手県宮古市では、今回の津波が32 mまで達した地点の近くでも複数の地層を見つけた。  三陸海岸の崖の上で何層も見つかったのは初めて。切り立った崖の上に痕跡が残っていたことから巨大津波と考えられる。−(asahi.com、2011.8.22)

 過去の津波の到達域、浸水高の研究には、現地の被災実態調査や津波シミュレーションの手法があるが、歴史時代では日記や古文書等により、さらに古い時代は津波堆積物の調査が有効である。この堆積物の研究は、古くから行われていたのだが、地味な、古典的な手法故か、地震学的アプローチの影に隠れ、あまり脚光を浴びることが無かったようである。しかし、このような泥臭い、地道な調査研究も絶対に必要である。

 以下は、私(成瀬)からの求めに応じお寄せいただいた平川一臣氏のコメントである。

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 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は超巨大津波を引き起した。このような超巨大地震とそれに伴う超巨大津波は、過去数千年の履歴の中で考えるなら、どのように理解されるだろうか。1611年慶長三陸津波、869年貞観津波、さらには千島海溝で発生した17世紀初頭の500年間隔の地震津波などはどのように評価すべきだろうか。

 これらを初めとして、東北地方−北海道太平洋沖の日本海溝、千島海溝沿いで発生してきたに違いない超巨大津波の識別と、それらの波源域、履歴は、地層となって保存されている津波堆積物から読み解くことができる。

 自然(津波)には、想定外はあり得ない。自然(津波)は津波堆積物として、発生年代も規模もすべてを記録している。それらを読み解くのは私たちの責務である。スコップ一本で続けてきた調査の要点を科学(岩波書店)2月号(1月26日発売)に寄稿した。お読みいただければ幸いです。

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 添付の写真は、2011年4月中旬の気仙沼大谷海岸。過去3500年間に5回の超巨大津波がもたらした地層が露出している。
          (北海道大学大学院・地球環境科学研究院・平川一臣)


津波の堆積物調査(続) 

           平川一臣(成瀬廉二)、2012/01/23、No.2262

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  写真:北海道根室半島の太平洋岸、長節の津波堆積物(2002.5.13、平川撮影).縞模様の白っぽい層が、過去約6000年間に津波が運んだ地層.

 平川氏にメールによるインタビューを行った(聞き手:成瀬)。

 −津波による堆積物は、それ以外の層とどのようにして識別しますか?
「津波堆積物は,基本的にその周辺の海浜の状況で決まります。礫母なら礫が,砂浜なら砂が優勢になります。ですから,3.11津波では,”自動車”という「津波堆積物」が累々と積み重なりました。 高さ数m以上,あるいは内陸へ数百m−1 kmもの浸水なら、高潮などの可能性はありません。段丘の上にできた,浅くて,奥ゆきも数十〜数百mくらいの極小の谷なら,河川からの可能性もあり得ません」

「さらに,6000年間で同じ顔つきの海浜砂層が十数層ということは,単純平均で300〜500年に1回くらいの現象になります。総合すると,津波以外には考えられなくなります。河口の広い低地では,こういう解釈は困難です。小生はこのように、津波以外の原因が考え難い地形を選んで調査しています。さらに,高くて急な崖を選べば津波の規模の推定にも役に立つはず,という考えです」

 −写真の現場は海抜何メートルくらいですか?過去の津波の高さはこれよりは大きかった、ということが言えるわけですね?各津波の規模の大小は推測できますか?
「その通りです。崖の高さは4 m+(標高6 m)= 10 mくらいです。崖は波の作用で浸食されて後退を続けていますから,時間を遡るほど,当時の海岸からの距離もおおきくなります。さらに十勝−根室−釧路と範囲を拡げ,地形を選べば規模の判断もできます」

 −過去の津波の年代はどのように決めるのですか?
「年代がわかっている火山灰層,含まれることがしばしばある土器片,放射性炭素14C年代に基づいています」

 −前報の気仙沼の写真の説明文に、”過去3500年間に5回の超巨大津波の地層”とありましたが、こういう知見は県、町、村、地区、地元住民等にどの程度知られ、認識され、多少でもソフト、ハード両面の防災対策に組み込まれていたのでしょうか?
「869年貞観津波のことは,我々にはよくわかっていて,少なくとも国レベルでは理解していたはずです。それに東北電力などもわかっていたはず,とされています。市町村レベルでは,ほとんど意識になかったと思います。ただし,たとえば釜石市では学校教育現場(ほぼ全教科で実践)が日常的に対処していました。3500年前というような過去になると,やはり想像の域を超えてしまうのでしょうね」

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(津波・高潮)防潮門扉 

               成瀬廉二、2012/02/05、No.2270

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 先週(1月29日)、兵庫県南西部の播磨地域を訪れる機会があった。帰途、たつの市室津港で名産の養殖カキの水揚げと直売所を見てから、近世−近代に廻船問屋として栄えた豪商の町家を見学した。写真左の建物が江戸時代後期に建てられた町家で、海の宿駅として活躍したので、現在は(たつの市指定文化財)室津海駅館と称し、一般に開放されている。

 さてそのとき、家々の海側の道路に沿って頑丈そうなコンクリート製の塀が続いていることに気がついた(写真)。そして、家の玄関前、あるいは道路がT字の交差点では、大きな金属製の門扉があった。写真の扉は、片側の開き戸だが、他の場所では引き戸もあった。

 これが、津波・高潮の防災用の防潮門扉である。扉のラベルには、有効高 0.97 m、竣工:平成23年9月、発注者:西播磨県民局と記されていた。この塀と扉は、昨年の3.11大震災後、兵庫県の瀬戸内海岸の各地に、津波対策として設置されたものである。

 兵庫県では昨(2011)年10月、 津波防災対策をとりまとめ、次の2つのレベルを想定した。レベル1は、安政南海地震(1854年、マグニチュード8.4)の規模を想定した100年に一度程度の津波、レベル2は、東日本大震災(2011年、M9.0)の津波(1,000年に一度程度)を想定する。レベル1は防潮堤、塀、門扉等のハード対策を中心とし、レベル2は、住民の避難に重点を置いた、ハード・ソフトを組み合わせた総合的な対策を行う、としている。

 同県の公式HPには、「レベル1の津波に対しては、防潮堤等の門扉が完全に閉鎖できれば、淡路島南部の一部地域を除き、浸水を防ぐことができる」と記されている。室津の防潮塀や門扉は路面からの高さは1 m、路面の海抜高は定かではないが満潮時の海面から1 m程度は高いだろうと思われた。そうであれば、最大2 mまでの津波に原理的には対処できる。

 一方、レベル2の津波の想定として、津波高を暫定的に従来の予測値の2倍と仮定し、兵庫県内の「津波浸水想定区域図」(暫定版)が昨年12月末に兵庫県から発表された。これによると、例えば赤穂市では、高さ約3.9 mの津波が到達した場合、防潮門扉が全て閉まっていたとしても、約2.6 km2、建物約1,000棟が浸水する(赤穂民報2011.12.28、より)。

 兵庫県に限らず各県でも、独自の津波シミュレーションを行ったり、浸水予測図の公開やハザードマップ作成の検討を進めている。これらは大変重要で結構なことではあるが、ただ計算結果や危険予測図を公表すればそれで良いというわけではなく、それらを踏まえ、いかに地元の自治体、地区の自治会、住民個々が理解し、身につけ、具体的な避難行動に役立たせるかが肝要である。

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日本海側に大雪 

            成瀬廉二、2012/01/27、No.2263

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 鳥取市内では、23日未明から雪が降ったり、やんだり、融けたりし、積雪深(鳥取地方気象台)は24日37 cm、25日30 cm、26日36 cm、今日09時34 cm(市内住宅地では45 cm:筆者測定)と推移している(写真:鳥取市東町、27日08時)。一昨年の大晦日(2010.12.31)の様に、短時間に多量の雪が積もった(米子では20時間に76 cm)とは違うので、今のところ大きな交通障害や雪による災害はないようである。

 気象庁の速報データによると、本日(27日09時)現在の積雪深の最大は青森県酸ケ湯358 cm、第3位は新潟県津南270 cm、そして第5位に鳥取県大山257 cmが入っている。気象官署と無人観測のアメダスとでは積雪深測定の精度に差はないが、アメダスは標高の大きい山間地や山腹に設置されていることも多いので(酸ケ湯890 m、津南452 m、大山875 m)、積雪深値が周囲より著しく大きくなる傾向がある。

 そこで、日本列島の日本海側を北から南へ、気象官署の主な地点における本(27)日09時)現在の積雪深と、( )内に年最大積雪深の平年値(1981-2010の平均)を示す。

 岩見沢 159 cm (123 cm)、札幌 50 cm (100 cm)
 倶知安 203 cm (191 cm)、青森 126 cm (111 cm)
 秋田 31 cm (38 cm)、新庄 126 cm (122 cm)
 山形 46 cm (50 cm)、新潟 29 cm (36 cm)
 高田 130 cm (122 cm)、富山 51 cm (62 cm)
 金沢 28 cm (44 cm)、福井 46 cm (55 cm)
 舞鶴 38 cm (35 cm)、豊岡 47 cm (54 cm)
 鳥取 34 cm (46 cm)、米子 13 cm (25 cm)
 松江 3 cm (20 cm)、福岡 − (3 cm) 

 以上の地点の内では、岩見沢、倶知安、青森、新庄、高田、舞鶴が年最大積雪深の平年値を上回り、日本海側の北の方が、かなりの大雪と言える。

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鳥取も大雪 

             成瀬廉二、2012/02/02、No.2268

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 昨日から今日にかけ、鳥取市は大雪となった。今朝10:00の鳥取の積雪深は、鳥取地方気象台59 cm、市内東町住宅地69 cmである(写真:鳥取市山の手通り、08:00)。鳥取県中部の倉吉では29 cm、西部の米子では11 cmと少なく、山陰地方では鳥取県東部から兵庫県北部(豊岡88cm)にかけて多い。

 今日の雪は鳥取では珍しく、乾いたフワフワのパウダースノーである。10:00の気温−2.6度C、雪温(15 cm深)−2.6度、(30 cm深)−1.6度であった。新雪の密度は、推定だが100−130 kg/m3程度と思われ、濡れた新雪(1月5日)の密度の約1/3で、軽くて柔らかい。

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今冬は豪雪年となるか?(前) 

             成瀬廉二、2012/02/09、No.2274

 このところ毎日のように新聞やTVで、大雪および雪による災害のニュースが報じられている。「平成18年豪雪にせまる」とか、「ラニーニャの影響(が原因)」との論調も少なくない。鳥取市では、一昨日(8日)未明から大雪となり、9日10:00、鳥取気象台の積雪深は58 cm(鳥取市東町住宅地では77 cm)となった(写真:1月24日、鳥取市内)。
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 豪雪とは、一般に大雪と同義あるいは著しい大雪のことを指すが、降雪量とか積雪深などによる定義はない。雪による災害の程度が著しかった場合には、**年豪雪などと称せられる。気象庁命名の豪雪は昭和38年と平成18年の2回のみだが、この他でも激甚災害指定とか政府調査団派遣とか、何らかの理由により豪雪とみなされた年を以下に一覧を示す(国土交通省資料、「雪と氷の事典」、他より)。

      冬期 (通称).......[死者・行方不明数]
1939/40
1944/45
1960/61(36豪雪)......[119]
1962/63(38豪雪)......[231]
1973/74*(48豪雪).....[ 26]
1976/77(52豪雪)......[101]
1980/81(56豪雪)......[152]
1983/84(59豪雪)......[131]
1984/85*(60豪雪).....[ 90]
1985/86(61豪雪)......[ 90]
2000/01 ...............[ 55]
2005/06*(H18豪雪)....[152]
2010/11*...............[128]


今冬は豪雪年となるか?(後) 

           成瀬廉二、2012/02/10、No.2275

 前記事の年号の右肩に付した*印は、気象庁認定によるラニーニャ現象の年を示す(La Nina:「女の子」の意味。エルニーニョ(El Nino)と反対の現象。Nina, Ninoの最後のnの頭にはtilde(波記号)が付く)。

「太平洋赤道域の日付変更線付近から南米のペルー沿岸にかけての広い海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象はラニーニャ現象と呼ばれています。ひとたびエルニーニョ現象やラニーニャ現象が発生すると、日本を含め世界中で異常な天候が起こると考えられています。」「ラニーニャ現象が発生すると、大気循環が変化して、日本付近では猛暑・厳冬になると云われています。」(気象庁)

 豪雪年の一覧によると、1960/61から2010/11までの11回の豪雪の内4回はラニーニャの年であった。また、1985/86と2000/01の2冬季は当該海域の水温が平年やりやや低く”弱いラニーニャ”とも見なせる。その他の4回の豪雪はラニーニャやエルニーニョでもなく、1976/77はエルニーニョ現象が認められた。さらに、ラニーニャ年でも豪雪でないこともある。そう見ると、日本列島豪雪の原因・遠因はラニーニャであるとはとても考えられない。とは言え、大気現象なので、お互いに何らかの影響を及ぼしていることはあり得るので、時には両者の現象が連動することがあるのかもしれない。

 気象庁によると、昨年12月時点ではまだラニーニャ現象は続いており、今年の春の間に終息する可能性が高い、とのことである。2005/06、2010/11と、2回続けてラニーニャと豪雪が同時に起こった。果たして今冬はどうなるのだろうか。今のところ、積雪深が一時的に過去最高値を示した地点もあるが(北海道岩見沢、新篠津など)、継続して最深記録を更新し続けている地域はない。しかしながら、今冬の雪による死者(交通事故を除く)は、2月7日現在ですでに74人に達している(消防庁による)。

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 [写真:2月2日08時、鳥取市東町]

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大山『雪の観察会』(上) 

            成瀬廉二、2012/02/14、No.2277

 2月12日(日)、大山町大山寺付近にて、「雪の観察会」を実施した。主催は、国立・国定公園などの自然公園を維持管理している(財)自然公園財団(鳥取支部)、共催はNPO氷河および日本雪氷学会関東以西支部であった。講師の一人として、雪氷学会同支部から雪崩の専門家・川田邦夫氏(富山大学名誉教授)が派遣された。

 参加者は、勤労者山岳会員5名、山の会(歩く会など含む)6名、自然公園指導員2名、ボランティアガイド1名、一般3名、自然公園財団・環境省スタッフ5名、講師(成瀬、川田)2名、計24名だった。スタッフと講師を除く17名の内訳は、女性11名、男性6名、また、60歳以上10名、50歳代4名であった。

 09:30 大山情報館にて開会ミーティングの後、09:45 徒歩にて出発、下山キャンプ場入口からはスノーシューを履いて、10:10 観察場所(標高750 m)に到着した。まずは雪穴掘りから始まる(写真)。シャベルを手にしたある女性のひとり言「毎日、家の前でも雪かき、勤め先へ行っても除雪。雪掘りはもういいわ」

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大山『雪の観察会』(中) 

            成瀬廉二、2012/02/15、No.2278

 緩い傾斜の樹林内の観察サイトは、積雪深182 cmで、表層の約30 cmは新雪、その下層はしまり雪とざらめ雪が交互に積み重なる層となっていた。ポスターカラーを水で溶いて、園芸用の噴霧器で雪の壁に均一に吹きつけると、雪粒が小さく密に詰まった層では色水が多く保水され、雪粒が大きく疎な層では色水が抜け落ちるため着色せず、その結果として層構造が鮮やかに見えるようになる(写真)。

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 11時の気温はマイナス0.7℃、雪の温度は表層の約30cmはマイナス2℃前後、それより下層は底部まで全層0.0℃あった。これは、1月中旬(17-22日)および2月上旬(5-7日)に現場の日最高気温がプラス3、4℃に達したと推測される暖かい日があり、少なからぬ量の雪が融け、その水が全層に浸透したためだと考えられる。

 その結果、表層の新雪を除き、雪は明らかに水を含み、重い雪であった。写真は、受講者が雪の密度を測定している情景を示す。得られた雪の密度は、新雪170 kg/m3(0.17 g/cm3)、しまり・ざらめ層では上から下に388、444、370、450 kg/m3であり、季節積雪としては上限に近い非常に高密度の雪であった。

 その後、雪の硬さ等を手や指で感知する実習や、雪崩危険度予知のための弱層ハンドテストおよびシャベルを用いたコンプレッションテストを行った。


大山『雪の観察会』(下) 

           成瀬廉二、2012/02/16、No.2280

 積雪観察サイトから程近い大山アメダス(標高875 m)では、2月2日に積雪深が285 cmに達し、その後増減があり、当日(12日)は251 cmであった。その285 cmという値は、昨(2011)年2月15日の284 cmを抜き、同アメダス観測史上第2位となった(第1位は1984.2.9の299 cm)。観察サイト(標高750 m)はこれよりも高度が低いため、降雪もやや少なく、一方融雪が進み、積雪量が少なかったものと思われる。

 大山博労座駐車場や大山情報館から天台宗大山寺本堂へ上がる参道の両側には、古くからある旅館、食べもの屋、店屋が並んでいる。例年にない大雪のため、家々の屋根には雪がたくさん積もり、軒先に長大なつららが連なっていた(写真)。

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 屋根に大きなつららが成長するための条件は、1)屋根に多くの雪が積もること、2)室内からの暖房熱で屋根の雪が融けること、3)融け水が落下するまでに凍結するだけ低温であること、である。標高700-800 mの大山寺参道はこの3条件を満たしており、おそらく中国地方では大きなつららの形成にとっては最も条件が整っている所、と言えよう。

 午後は、大山自然歴史館において、スライドショー・トーク『雪と氷河の不思議』として、川田氏が「積雪と雪崩」、成瀬が「変動する世界の氷河」の話をした。

 イベント終了後、主催者(自然公園財団)が求めたアンケートの中で、「一番印象に残ったこと」(自由記述欄)への回答は、以下の通りであった
 *雪の層・断面:6名、弱層テスト:4名、雪の強度:1名、雪の温度:1名、氷河の写真説明:1名.

  
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寒かった今冬 

             成瀬廉二、2012/03/01、No.2286

 3月に入ったから冬が終わったというわけではないが、今年の冬を振り返ってみると、例年になく寒かったという印象である。これは、鳥取県に暮らす者の体感であるとともに、新聞やTVの天気ニュース等から推察される日本全国の傾向である。いずれ気象庁は、諸データを整理、解析して「季節の天候」を公表するだろうが、速報的に今冬の気象の特色を眺めてみよう。

 地点としては、今冬は多雪だった青森(最大積雪深152 cm、平年値111 cm)と鳥取(最大積雪深71 cm:2月19日、平年値46 cm)、および冬季乾燥地の代表として東京を選ぶ。これらの3気象台では、2011年12月、2012年1月、2月の3か月とも、月平均気温、日最高気温の月平均、日最低気温の月平均のいずれも、平年値より低かった。

 とくに、鳥取の2月の平均気温は+2.2度Cで、平年より2.2度低く、1986年の+1.4度来26年振りの寒さであった。青森も2月の平均気温-2.5度Cは平年より1.8度低く、2001年(-2.5度C)以来であった。一方、東京は1月が低温で、1月平均気温+4.8度C(平年より1.3度低い)は、やはり1986年以来の寒冬であった。

これらの気温データは、(たぶん日本全国の気象官署でも)観測史上最低とか、30年間に一回程度以下しか起こらないという「異常」低温ではない。しかし、過去半世紀、日本のほとんどの観測地点で年変動しつつも有意な温暖化傾向にあるので、そのような中で、今冬は一時的な「寒の戻り」と言えるのであろう。

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    [写真:雪の鳥取砂丘.2012年2月14日]

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今冬の鳥取の積雪 

                  成瀬廉二、2012/03/12、No.2292

 鳥取では今朝(12日)うっすらと雪が積もり、昼頃にはパラパラと降ったが、鳥取地方気象台では3月に入ってから今日まで、降雪深は観測されていない。概ね、今シーズンの雪は終わったと思われるので、今冬の鳥取(市内)の降積雪はどんな状況だったのか、振り返ってみたい。

 なお、鳥取に暮らしていない人にとっては、鳥取の雪が多かった、少なかったという話はどうでもよく、もっと日本全体として、雪の降り方に今年はどういう特徴があったか、ということを知りたいかもしれない。そういう解析ができれば、もちろんそれは望ましいことである。気温の場合なら、例えば一昨年(2010年)夏の平均気温は、鳥取も観測史上1位タイ、日本全国(地方都市17地点)平均でも過去(113年)最高であった。しかし、降雪量とか積雪深は地域変動が大きく、かつ西が多ければ北が少なく、またその逆もあり、日本全体を平均してしまうと、ある年の傾向が消えてしまうこともあり得る。

 したがって、まずは各地点ごとに調べることが基本となる。そこで、鳥取市内の気象台における昨冬(2010/11)と今冬(2011/12)のデータを比較する。ここで用いる雪の指標としては、a)寒候期(10月−3月)の最深積雪深、b)厳冬期(1、2月とする)の平均積雪深、c)寒候期の日降雪深の合計、とする。a)は簡便のため多くの分析に使用されるが、瞬間値に過ぎない。b)の平均の期間は、北海道などの寒冷地なら12−3月とすべきだろうが、鳥取のような温暖地では12月と3月は積雪深ゼロの日が多いので、ここでは1、2月のみとした。c)は、毎時の積雪深の増加分のみを寒候期にわたり累計した値であり、降雪量の多さを反映はしているが、数値と実感との結びつきが弱い。

[指標]:[2010/11年],[2011/12年],(平年値)
最深積雪深: 63 cm、 71 cm、 (46 cm)
平均積雪深: 21 cm、 24 cm、 (9 cm)
降雪深合計: 272 cm、 331 cm、 (214 cm)

 以上によると、昨冬も平年よりは雪が多かったが、今冬はさらにそれを凌いだ。とくに、昨日までの降雪深合計331 cmは、鳥取の観測史上第3位で、59豪雪(1983/84)以来である。結論として、今冬の鳥取は大雪であった。

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      [写真:大雪とムクドリ(と思われる).2012.2.8、鳥取市東町]

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 砂のスカブラ 

                 成瀬廉二、2012/03/28、No.2297

 砂丘をテーマとした写真展や画集では、さまざまな風の造形[風紋]が主役となっている。しかし、誰でも、いつでもこのような見事な風紋を見られるわけではない。さらに、仮に風紋ができていたとしても、”見せる”写真を撮るためには、天候とサイトと時刻に徹底的にこだわらなければならない。

 野外へ出かけるときは、特にこれといった目的がなくても大抵はカメラを携行する程度の私は、まだ納得のいく風紋の写真を撮ったことがなかった。昨日(3月26日)正午頃、雨上がりの鳥取砂丘にて、写真のような表面模様に遭遇した。

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 さざなみ模様やリップルに代表される一般的な風紋は、砂粒が堆積して形成される。一方、写真の形態は、濡れた砂が、強い風と飛砂により侵食されてできた表面の凹凸であり、砂のスカブラ、シュカブラ(skavla:ノルウェー語)またはサスツルギ(sastrugi:ロシア語)とも言うべきものである。日本の砂丘では、この表面起伏が大きくなり、奇怪な形状となると砂柱(さちゅう)と呼ばれているようである。

 鳥取気象台では、前日(25日)は時々小雨または小雪、最大風速は12 m/sに達した。この日に砂スカブラは形成されたものと思われる。








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情報”2012新年;雪密度;少日照;津波堆積;防潮扉;大雪;豪雪年;雪観察;寒冬;鳥取雪;スカブラ” (NPO)氷河・雪氷圏環境研究舎/BIGLOBEウェブリブログ
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