(NPO)氷河・雪氷圏環境研究舎

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zoom RSS 情報"活断層;鳴門渦;地震学;金星食;登山電車;アナグマ;立山雪渓;ポプラ;北極グ氷床融解"

<<   作成日時 : 2012/05/01 12:00   >>

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          淡路島 南あわじ市 鳴門海峡(2012.4.30)
           観潮船「咸臨丸」から「日本丸」を見る


淡路島、野島断層 (前)

               成瀬廉二、2012/05/01、No.2311

一昨日、淡路島を車で移動中、田舎道で「野島断層 ** km」と記された看板を何度か見た。断層を観察できる露頭があるのか、あるいは地下に断層が隠れている地形が認められるのか、と興味をそそられたけど、そのときは目的地が別にあったので、素通りした。

 きのう(30日)予定を一部変更して、淡路島北部瀬戸内海側にある、その「現場」へ行った。野島断層は、北淡震災記念公園内の野島断層保存館という立派な施設の中にあった。この断層は、17年前の1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震(その災害は、阪神・淡路大震災と命名)の際、大きく動いた断層の一つである。

 旧北淡町小倉地区にて地表に現れた大きな断層をそのままの状態で保存、展示するため、断層の上に建築物が1998年に建設され、同時に国の天然記念物に指定された。

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 写真の手前は左右に走るアスファルト道路、その向こう側は細い側溝を隔てて畑となっていた。畑の左側は1 m程度隆起し、逆断層を示している。同時に、隆起した部分が奥の方へ約1 m〜2 m横にずれた断層でもある(側溝の破壊、変形から良く分かる)。

 活断層が見られることは、地震の震源付近では珍しいことではないが、地震の研究者や災害復旧関係者ではない、一般人が眼の辺りにすることはめったにないことであり、私は初めてであった。


淡路島、野島断層 (後) 

               成瀬廉二、2012/05/03、No.2312

 阪神・淡路大震災を引き起こした地震(マグニチュード7.3、最大震度7)は、死者数の点では関東大震災(1923.9.1)、東日本大震災(2011.3.11)についで観測史上第3位である。しかし、上位2位までの震災の犠牲者の多くは都市型大火災と空前の大津波によるものなので、純粋に地震による死者は(判定は困難だが)、阪神・淡路大震災は多い(計6,434人、内、淡路島62人)。

 長さ140 mにおよぶ断層をかまぼこ型のシェルターで覆った断層保存・展示施設の隣に、民家敷地内に断層が走り、塀や花壇がずれて壊れたが、傾いただけで全壊を免れた鉄筋コンクリート性の住宅が、メモリアルハウスとして保存され、屋内も公開されていた。

 その庭と塀の様子を写真に示す。庭の草地内の赤い標識に沿って断層が走り(写真右)、その左側が奥の方向に1.2 mずれた(写真左)。その横ずれにより、塀も大きく曲がったことが分かる。遠景のガラス張り建物が断層保存・展示施設である。
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 震度7と判定された淡路島北淡町では木造家屋全壊率は44%であったが(JHBによる)、断層から1〜2 mしか離れていないこの住宅は、柱に吊るされていた下げ振りの目測によると、傾きは1〜2 度程度と思われた。家主は、敷地内に断層の存在を知ってか知らずか、地震に強い住宅を建てたことを実証したことになる。


鳴門の渦潮(前) 

                 成瀬廉二、2012/05/07、No.2313

 鳴門海峡の渦潮は、中学生時代の修学旅行で一度だけ見物したことがある。徳島県の鳴門市側から小型観光舟に乗り、大きな渦を目のあたりにしたことを鮮明に覚えている。いつか改めてじっくり観察してみたい、と思っていたが、50余年も経ってしまった。

 鳴門の渦潮は、満潮または干潮の時、海峡を流れる高速の潮流により出現する。さらに大潮の時期には渦の規模が大きくなる。そのため、鳴門海峡の「潮見表」がインターネットやパンフレットで公開されている上に、うずしお観光会社のサイトでは、観光船の時刻表に「うず期待度」として"大"、"中"、"薄"、"なし"と付記されている("なし"の場合は、普通は運航しない)。

 南あわじ市から観光船に乗ることにしたのだが、当方の都合の良い日時は、4月30日正午前後であった。「潮見表」によると、同日は小潮だが、昼過ぎには満潮となり、「うず期待度」は"中"ということで、予定の時刻(12:10-13:10のクルージング)に参加した。

 福良港から咸臨丸(かんりんまる)と称する大型観光船(定員500名)に乗った。艦長勝海舟の蒸気帆船の復元船と謳っているが、復元ではなく、見掛けだけ模して造った船、と言うべきであろう。

 写真は、鳴門市(左)と南あわじ市を結ぶ全長1,629 mの大鳴門橋(海面からの高さ45 m)周辺の海である。当日の天候は曇り、微風のため、海面は凪ぎだが、橋の下付近のみ白波が立っている。渦が期待できそうである。
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鳴門の渦潮(後)

                成瀬廉二、2012/05/09、No.2314

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 大鳴門橋直下の写真を示す(30日12:40頃)。確かに、小規模ながら渦を巻いていた。遠景の船は、鳴門市鳴門公園発着の高速観潮船である。

 鳴門海峡の渦潮が発生する原因は、干満の潮流と海底地形にある。当日は満潮に近い時刻だったので、太平洋側から海峡を通って瀬戸内海に潮流が向かっていた。したがって、太平洋側の海面が瀬戸内海の海面より多少高く、その段差の付近が急流となる。

 さらに、海峡の中央部は水深が約100 mあり、一方あちこちに浅瀬もある。深いところでは流れは速く、浅いところでは海底の抵抗のため流れは遅くなる。その速度差のため大小の渦が形成される。

 大潮の時期の干潮または満潮のときで、風向と風速の条件が整うと、潮流の時速が20 kmに達し、渦の大きさが30 mにも及ぶことがあるそうである(ジョイポート南淡路K.K.による)。それに比べると小さい渦ではあったが、現象の本質は変わらず、しかと渦を見ることができ、十分満喫した。

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討論集会『地震学への提言』(前)

                成瀬廉二、2012/05/25、No.2319

 幕張メッセで開催されている地球惑星科学連合2012年度大会のユニオン・セッション『地震学への提言』へ参加し、22日朝〜夕、講演と討論を聴講した。

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 この連合大会は、5月20日から25日まで、宇宙惑星科学、大気海洋・環境科学、地球人間圏科学、固体地球科学、地球生命科学から、教育・アウトリーチ、ユニオン、パブリック、領域外等におよぶ9つの分野、計179種のセッションからなる、超大規模な研究発表大会である(写真:会場受付)。参加者数は、今年は不明だが、昨(2011)年5月の大会には、約5800名が参加し、4044件の研究発表が行われそうである。

 セッション『地震学への提言』は、「2011年東北地方太平洋沖地震の発生により、大地震の予測可能性、地震防災のあり方、原発を含む国の施策と研究者の関わり方、研究者の社会的責任など、様々な課題が明らかとなった」(鷺谷威)ことを踏まえて企画された。

 さらにその背景には、「私たちは、甚大な災害をもたらした今回の地震・津波が発生する可能性について十分な認識に至っていなかったことを真摯に反省し、今何ができるかを模索しました」(-地球惑星科学関連学協会共同声明-2011年6月30日)や、「今回のM9 の地震の発生可能性を予見できなかったことは,地震予知研究を推進してきた者の一人として大きな責任を感じている.今回の地震を事前に想定することができなかったのは何故か,また,正しく想定するためには何が足りなかったのか,どこで間違えたのか」(東北大学、松澤暢)など、「反省」や「責任の認識」があったものと思われる。

 連合大会では、私の専門に関係する氷河、極地、雪氷のセッションもある。しかし今は大震災の1年後、関係者がどのように総括し、それを部外者がどう批判し、将来を展望するのか、それを聴くとしたら今年しかない、との思いが強かった。


討論集会『地震学への提言』(後)

                成瀬廉二、2012/05/28、No.2321

 『地震学への提言』では、地震学会の各種委員による6件の発表のほか、気象、地球物理、地質、津波、心理学、科学哲学、ジャーナリズム等、他分野からの招待講演などが9件あり、その後一般参加者を含めて総合討論が行われた。

 講演や議論の概要を簡潔にまとめることはとてもできないが、多くの演者が問題にしたことは、「地震学界(コミュニティー)は国の施策(政治)にどう関わるべきか」であった。「ムラ」への批判もあり、大勢としては、地震研究者たちは国や行政と程よい距離にて緊張関係を保つことが重要である、との指摘が強かった。

 複数の地震専門家から、「地震学は未熟な学問である」、「地震予測は過去の経験則に基づくだけである」との発言があり、少し驚いた。「地震予知」の御旗のもと、長い年間、地球科学の中では飛び抜けて多くの研究予算を受けていたからである。しかし、地震は見えないところ、手が届かないところで起こっているので、発生のメカニズムにせまる観測やデータ取得は困難なのであろう。したがって、「未熟」とは違うが、「確立していない」と言うのならば、そうなのだろう。

 内閣府の「南海トラフの巨大地震モデル検討会」(座長・阿部勝征)が、マグニチュード(M)を最大で東日本大震災なみの9.1に設定し、津波と震度の新たな想定を公表したことに対しては、「M9.1に科学的な根拠があるのか?」、「とりあえず、2倍にしただけではないのか?」、「今度は想定を越えないように、想定を高くしただけではないのか?」など、地震学界内外から強い批判の声が上がった。しかし、残念ながら、その責任者はその場には出席していなかった。

 政府の地震調査委員会による「今後30年以内にM8.0の東海地震が発生する確率は87%」という「予測」は、どういう意味があるのか、との批判も発せられた。確かに、週間天気予報では、我々は外れるかも知れないと思いつつも各曜日の降水確率を参考にして計画を立てることも多い。それに比べ、この「予測」は、不確かな情報が多すぎて、対処の仕様がない。これが、地震予知、予測の現状である。

 地震予知研究は国家計画として数十年にわたり行われてきたが、いまだに短期予知に成功したことはない(上田誠也)。しかしながら、上田誠也、児玉哲哉ほかによると、電磁気現象、地球化学、地下水異常などに、地震直前の先行現象が認められることがある、とのことである(写真:児玉「衛星観測による地震予知計画」の講演)。この先行現象が単なる偶然なのか、因果関係があるのか、今後の研究経過に注目したい。
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『地震学への提言』へコメント 

               西田良平、2012/05/29、No.2322

 今回の東日本大震災で「地震学への提言」について、私の考えと地域貢献について、以下に述べます。

 今回の地震について、反省は2つの面があります。

 1つは地震学研究です。
 自然現象を解明することは出来たと思っても、次の課題が出てきます。理学の研究はそのように追求して行くものと認識しています。
 地震が破壊現象であることから、その破壊の瞬間を事前に知ることは、次々と出てくる課題を追求して、どこまで近づけるか分かりませんが、それを追求して行くのが地震学研究の1つの役割と思っています。

 他の分野の研究者にとって「地震予知研究計画」による予算の確保は「阪神淡路大震災」今回の「東日本大震災」で、批判されています。

 しかし、全国地震観測網が出来、種々の地震波形データが観測され、蓄積されていることで地震研究が進んでいます。プレートテクトニクス説に基づいた地震発生のメカニズム・破壊過程の物理モデルの提唱など、私は成果が出て来ていると思います。

 地震学研究の本来の目的である「地震現象の解明」をどの様に進めるのか。これについての反省と検証が必要です。

 2つ目は「社会学としての地震研究」です。
 地震学者は地震予知や予測に踏み込むことが出来るのか。
「地域防災計画」では地震想定をします。この地域で起きる最大規模の地震を想定して、被害想定をします。(鳥取県ではその様にしています。)

 地震学者が出来るのはそこまでで、被害想定など社会的なインフラの話などは、地震工学・防災学の分野の研究の社会的活用です。
(鳥取県の場合は防災の専門家が少なく、私もこの予測に関係しています。)

 地震学と社会との関係では地震学者ができることは限定されます。
「減災への貢献、社会に対する地震研究での役割は直接的には難しい」
 言い訳が許されるのであれば、「地震学の研究対象は地球です」。

 地域社会での私の役割は、このように考えています。
 現在、鳥取県での私の役割は地震学者の領域を超えています。私は常にそれを意識して講演しています。

 聴きに来られる人は、「鳥取に地震は起きるか」、
「地震が起きた時、自分の家が安全かを知りたい」と思っておられます。

 地域に住んでいる地震・防災関係の学者はこの要求に答えることが必要です。
「地震がいつ起きるか分かりません。起きるとすればこの様な地震です。そして、地震対策は必ず必要です」との立場で話をしています。

 2011年4月から、私は20回以上の講演をしています。
 これが私の地域社会へ果たす役割の1つだと思っています。

  (放送大学鳥取学習センター所長、鳥取大学名誉教授)

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[写真:地球惑星科学連合2012年度大会ポスター発表(5月22日、成瀬撮影)]

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部分日食 

              成瀬廉二、2012/05/21、No.2318

 本(21)日朝(07:00-)、鳥取県立博物館主催で、久松公園にて日食観察会が開かれた(写真)。心配された天気だが、07:30-08:00頃、非常に薄い雲の雲量5程度であり、部分日食の観察には支障なかった。07:30過ぎ、太陽の下側が約90%欠ける、下向きの三日月型の太陽が見られた。
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金星の太陽面通過 

               成瀬廉二、2012/06/07、No.2324

 昨日(6月6日)午前、非常に珍しい天体現象『金星の太陽面通過』の観察会が鳥取大学にて開催された。これは、鳥取大学の地学系教員が音頭をとった地域貢献支援事業の一環で、鳥取市さじアストロパークの協力を得て行われた。実際は、地学関係の授業の一部や実習がこの観察会に振り替えられたので、一般市民というよりは鳥取大学生の参加が多かった(写真:正午頃)。
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 金星の太陽面通過は、太陽-金星-地球が一直線に並んだ時に見られ、金星は日射が当たらない黒い‘新月’状態である。太陽-月-地球が一直線の日食と同様の現象だが、太陽と月は見かけの大きさがほぼ等しいので、日食では太陽がほぼ完全に覆い隠される(皆既日食、金環食)。一方、金星は月より遥かに大きいが、地球から遠いため、太陽面の約3%を陰にするにすぎない。

 観察イベントでは、望遠鏡による直接観測、望遠鏡の像を投影して観察、太陽メガネによる視認(視力の良い人以外は、黒い金星は見えない)など、さまざまな方法で太陽+金星を観賞した。望遠鏡で覗く太陽面には太陽黒点が数個見え、それらの黒点より二回りか三回り大きい黒丸として金星が認められた。写真右は、白い板に投影した望遠鏡の像である。白い円が太陽、中央より左の黒い丸が金星、および写真を拡大すると認められる黒い斑点が黒点である。

 なお、この現象が前回観測されたのは2004年、その前は1882年、次回は2117年だそうである。すなわち、その周期は、8年、100余年、8年、100余年、.....ということである。

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ミニモノレール登山電車 

             成瀬廉二、2012/06/12、No.2325

 一昨日(10日)、兵庫県播磨からの帰途、宍粟(しそう)市にある兵庫県立「国見の森公園」へ立ち寄った。国見山(標高465 m)の山麓から頂上にかけ、森林交流館、学習館、散策路(ハイキング道)、動植物を観察するビオトープなど、よく整備、管理された森林学習公園となっている。

 公園入口から山頂近くへ向かう「森林学習軌道(ミニモノレール)」と称する登山電車が運行していた。標高差306 mを20分かけて登るこの学習軌道は、大人も小人も無料なのにまず感心した。そこでさっそく乗車しようと受付で予約するとき、「このモノレールは軌道の傾斜が変わっても車内の床は常に水平に保っています」という表示に驚いた。こういう登山電車は、日本では他にあるのかどうか知らないが、少なくとも私は国内、国外でも初めてであった。

 この登山電車は、鋼索(ケーブル)で引き上げられているのではないのでケーブルカーではないし、ケーブルに吊り下げられているのでもないのでいわゆるロープウェーとかゴンドラでもない。歯車の車輪が、それと噛み合う歯付レールの上を走って、上り下りする。そしてその軌道は、山の斜面の傾斜に沿って、水平から最大傾斜38度まで大きく変化している。左の写真は、下りで最大傾斜に指しかかろうとしている地点にて、左側がレール、右側の手すり付が保守と非常用の歩行路である。

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 右の写真は、傾斜部分を走る2両編成のモノレールである。確かに床は水平に保たれている。よくある山岳地のケーブルカーでは、車内の床が階段になっていることが多いように思う。しかし、ここの様に傾斜が0度から38度まで変化すると、階段床は具合が悪い。では、床が動かない構造だとすると、急傾斜地では立っていられないし、谷側に向いて座っている人は椅子から滑り落ちる。この森林学習軌道は、2両の内の上のキャビンは山側を向いた椅子、下のキャビンは谷側を向いた椅子となっていた。よくできたもので、高所恐怖症の人でも平穏に乗っていられるようである。

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アナグマ、住宅の庭に 

               成瀬廉二、2012/06/27、No.2329

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 2、3日前の夕方、久松山に程近い鳥取市東町の住宅の庭に一匹の動物がのっそりと来訪した。容姿から明らかに犬や猫やイノシシではない。急いで、カメラをとりに家に行って戻るまでの約3分間に、ゆっくりと隣の空き地へ歩いて行った。ヒトを恐れているふうはない。少し遠くなってしまったが、写真を連写した。

 その内の1枚が添付の写真である。顔ははっきり分からないが、のっぺりではなく鼻と口が出っ張っている。かなり太っており、尻尾は長くない。タヌキかイタチかアナグマか、あるいは外来種動物のアライグマかヌートリアかハクビシンか? 聞いたことのある動物の名を挙げ、いろいろ想像した。

 写真を3枚添えて、鳥取県立博物館の川上靖主幹学芸員(動物)に鑑定を依頼した。その結果は、「顔がみえませんが、耳が短いこと、4つの足がやや黒いこと、しっぽの長さなどから、アナグマで間違いないと思います。近年は、この辺りのお家の庭に出てくるケースが増えているようです。ハクビシンは、耳が長く、しっぽが黒くとても長いです」であった。

 =アナグマは、(熊ではなく)食肉目イタチ科で、本州、四国、九州、小豆島に生息。山地帯下部から丘陵部の森林、潅木林に生息し、トンネルを掘り、雌を中心とする家族集団で生活する。土壌動物や小動物をおもに捕食する=(「日本の哺乳類」阿部永ほか著より)

 さて、近年アナグマがこの付近の住宅地に出没しているということは、久松山−樗谿(おうちだに)界隈の山林に、ある程度の個体数が生息しているということか、あるいは、誰かが山から連れて来たり、ペットを開放したため、市街のどこかの空き地にねぐらをかまえ、ヒト社会の一角で暮らしているのか、疑問が沸く。

 これに対し川上氏は以下の様に語った。
「どの程度の個体数が生息しているのかは不明ですが、アナグマは久松山山系に限らず、昔から生息しているものと思います。
 アナグマの場合、ペットを開放ということは、考えにくいと思います。
 博物館にある剥製で、データのわかるものでは、1970年 鳥取市猪子、1972年 福部町、1998年 鳥取市良田、古いものは1955年の剥製もあります。
 昔からちょこちょこ姿も見られていたが、わざわざ博物館に報告はされなかったのか、あるいは近年、住宅街に出てくる数が増えているのかもしれません。どちらにせよ、確かなことはわかりません。
 イノシシは明らかに増えており、人家に出てくる個体も増えていますが、アナグマにもそういう傾向があるのかどうかは不明です。タヌキ、キツネなどと同様に普通に生息している哺乳類ですが、個体数や分布がどのように変化していくのか、気にかけていくことが大切なのかもしれません」


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立山の「氷河」報道 

                成瀬廉二、2012/04/05、No.2301

 テレビ、新聞、インターネット等の多くのメディアにて、昨日から今日にかけて、富山県立山連峰の「氷河」について報道された。この雪渓または氷体を氷河と称することが妥当かどうかを、ここでは、また今は、論評しない。

 毎日新聞の配信(4月4日)の見出しは、『<立山連峰>日本初の「氷河」、学会が認定』とあり、読売新聞(4月5日)の記事では「国内初の氷河として日本雪氷学会に認定された」と報じられた。しかし、雪氷学会の関係者が個人的な意見を述べることはあっても、学会として認定したことはない。

『日本初の氷河を確認 北アルプス立山連峰に三カ所』(asahi.com)や『剱岳付近に現存氷河 富山 国内で初の確認』(朝日新聞、5日)の記事では、「確認」の主体が明記されてはいないが、「調査チームにより確認」と思われるので、これならば良い。


雪渓・氷河論争 

                 成瀬廉二、2012/07/02、No.2331

 日本・北アルプスの3000 m前後の多くの山々が属する富山県(県民会館)において、6月30日、『日本の多年性雪渓と氷河−これまでの研究と今後の展望−』と題する公開シンポジウムが開催された。

 主催は(公益社団法人)日本雪氷学会氷河情報センター、共催は立山カルデラ砂防博物館であり、シンポジウムの趣旨は「立山剱岳で現存する氷河の可能性が示されたのを機に、国内の多年性雪渓の研究史を振り返り、氷河が現存するかどうかを議論する。あわせて、国内の多年性雪渓・氷河研究の今後の展望についても議論する」というものであった。

 この企画の発端は、本年5月発行の日本雪氷学会誌「雪氷」(74巻3号)に福井幸太郎・飯田肇による「飛騨山脈、立山・剱山域の3つの多年性雪渓の氷厚と流動−日本に現存する氷河の可能性について−」という論文が掲載されたことにある(写真:福井の発表スライドより)。
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 氷河の研究は19世紀前半からアルプスの氷河を舞台に盛んに行われ、現在、国際氷河学会(IGS)にはアフリカを除く4大陸32カ国(未確認)から数多くの研究者が参加している。しかしながら、国際的には「氷河とは」という定義は一度も取り決められたことがない。とは言え、「陸上に存在する、降雪起源の大氷塊が、現在または過去において流動を示しているもの」という概念は、多数の研究者の共有する認識となっている。上記の福井・飯田論文は、観測データをもとにこれらの条件を満たしている、と主張したものである。

 シンポジウムでは、以下の課題に関する発表(いずれも招待講演)が行われた。「日本の雪渓研究史」岩田修二(前立教大学)、「立山剱岳における多年性雪渓研究」飯田肇(カルデラ博物館)、福井幸太郎(同)、藤井理行(極地研究所)、小野有五(北星学園大学)、「日本における多年性雪渓研究」高橋修平(北見工業大学)、河島克久(新潟大学)、成瀬廉二(NPO氷河)。次いで問題提起が澤柿教伸(北海道大学)により、総合討論が上田豊(前名古屋大学)の司会により行われた。

 各発表の要点(と筆者が感じた点)のみを以下に示す。「剱岳の雪渓はニッチ(niche)氷河に該当するだろうが、結論は熟慮中である」(岩田)、「同雪渓は、季節によっては流動していることが明らかなので、季節的氷河とも言えよう」(藤井)、「現地の夏期気温と積雪深データを用いて推測すると、内蔵助カール付近の雪線(均衡線)高度は、従来の推定より低く、2970 mとなる」(小野)、「北海道の雪壁雪渓では、年々の変動が著しく、面積拡大期と縮小期がスイッチして変化する傾向が見られる」(高橋)、「多年性雪渓の氷化過程は、温暖氷河のそれに比べると非常に速い」(河島)、「剱岳の雪渓は、氷河と称するための最低限の条件は満たしてはいるが、流動機構の観点からは、世界中の標準的かつ理想的な氷河と同類とは言えない」(成瀬)。

 なお、本シンポジウムの総括は主催者側(白岩孝行・氷河情報センター長ほか)がとりまとめ、「雪氷」に報告することになっているので、詳細はそれを待つことにしたい。 


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北大のポプラ並木 

                   成瀬廉二、2012/08/27、No.2350

 全国の研究者の共同利用・共同研究拠点でもある北海道大学低温科学研究所は、さまざまな課題の研究集会を主催する予算が措置されている。今年度は13件の研究課題が採択され、その内の一つ「氷河の流動および変動に関する研究集会」が8月23、24日、低温科学研究所にて開催された。

 発表された話題は、以下に関するものだった。「南極氷河の2011/12年夏期観測結果」(北大、極地研)、「ヒマラヤ氷河の流動と変動」(名大、ほか)、「パタゴニア氷河の流動と変動」(北大、ほか)、「北極、アラスカ」(極地研、北大)。

 とくに、現地に立ち入ることが困難な多くの氷河において、衛星データ(ALOSイメージ、LANDSAT、SAR等)解析により、広域に、詳細に、流動速度ベクトル分布が明らかにされつつあることに大いに驚いた。しかし、抽出されたこれらの“測定結果”が、真に氷河の挙動を表しているのか(と考えることが妥当か)どうか、さまざまな側面からの検証が必要である。

 さて、集会の前に時間があったので、札幌の“観光名所”の一つとなっている北大ポプラ並木の現状を見てきた。同並木は、1903年旧札幌農学校の農場内に実習用に植えられたポプラに由来し、 樹齢45〜60年、樹高約30 mのポプラ約50本が農道の両側端に並んでいた。ところが、2004年9月8日、台風18号の暴風により、ポプラ19本が倒木し、さらに枝がとばされ傾いたポプラが8本と、大きな被害が生じた。その時記録した最大瞬間風速50.2 m/sは、札幌管区気象台の観測史上(1943年以来)最大であった。

 私は、その翌日か翌々日、現場を見に行き、無残な姿を目にしたときは、これでポプラ並木はおしまいだな、と思ったものである。しかし、札幌市民や全国からの応援や支援に後押しされ、大学はポプラ並木の再生、復元に取り組んできた。その後8年しか経っていないので、並木が十分に再生したわけではないが、少しスケスケの感はしつつも、かなり立派なポプラ並木が復活したように見えた(写真:8月23日)。
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北極の中山です 

           中山由美、2012/07/14、No.2336

日本は暑いでしょうか?こちらは涼しいですよ。

ただ今グリーンランド北西部のカナックです。
先発隊はすでに標高1500mの氷床の上、後発隊は一昨日カナック入りのはずがイルリサットで足止めです。
明日には来られるでしょうか。

北極からツイッターやってます。”ホワイトメール北極編”、知人・友人の方々に宣伝していただけるとうれしいです。https://twitter.com/#!/YumiPolar

デジタル朝日では「グリーンランド取材記」を掲載中。
http://www.asahi.com/special/greenland/
フォトギャラリーも始まりました。どうぞよろしく!
http://www.asahi.com/special/greenland/gallery/2012/
無料域でも見られるし、入会から2カ月は無料なので、
この間だけってのもアリです。(^^;
 (投稿代行:成瀬廉二)


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グリーンランドの氷が融ける 

                  成瀬廉二、2012/08/09、No.2345

 去る7月下旬、日本の各新聞やインターネットニュースにて、「グリーンランドほぼ全域で氷床融解」、「グリーンランドの氷床が異常融解」、「グリーンランドの氷床の表面が、7月半ばにほぼ全域で解けた」等の見出しの記事が掲載された。あたかも、グリーンランドの巨大な氷の大半が、融けて、消滅しつつあるかのような印象を与える。鳥取大学の教員からも、「これはどういうことなのか?」との質問をいただいた。

 このニュースは、米航空宇宙局(NASA)が7月24日に報道発表した内容にもとづいたもので、オーシャンサット2号やテラ・アグア衛星のMODISなど3種類の衛星データを解析した結果、グリーンランドの氷床表面が融けている地域が、7月8日には全面積の40%だったが、同12日には97%に拡大した、というものである。ほぼ同時期に、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)も、グリーンランドの広域にわたり表面が融解していることを示す水循環変動観測衛星「しずく」の画像を公表した。

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 添付の図(*)は、グリーンランド・サミット基地(NOAA's Greenland Summit 'Baseline Observatory' climate monitoring station:72.58°N, 38.45°W, 標高3,216 m)における2005-2012年の夏季(6-8月)の1時間平均の(雪面上約2mの)気温変化である。

 赤い線が今夏の記録であり、7月11日に数時間0℃を越えたことが明らかであり、同月28-30日にも0℃近くまで昇温したことが認められる。氷床の頂上部でこのように融点近くまで達したので、グリーンランドの広い地域にて表面の雪や氷が多少解けたことが十分推測できる。

 グリーンランドのこの融解現象が、今年に限った“異常気象”のためか、長期的な温暖化傾向の現れか、あるいは過去にも約150年の周期で起こったことが氷コア解析から分かっている顕著な融解と同種なのか、大変興味深く、地球環境の将来に大きな影響を与えるので、今後さらに、各種のデータを監視、解析が重要である。

(*)NASA 7/24/12 Press Release - Greenland Ice Sheet Surface Melt. Data courtesy of Tom Mefford, NOAA; Graphic created by Mike Schnaubelt and Christopher Shuman, UMBC

 








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