(NPO)氷河・雪氷圏環境研究舎

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zoom RSS 情報"鳥取の山(1)-(8);台風縦断;竜巻;那岐山;梅雨明け;氷ノ山;猛暑;道後山"

<<   作成日時 : 2012/06/23 13:00   >>

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             鳥取砂丘近傍から見た伯耆大山
                (2012.1.18)

鳥取から見える山 (1) 

               成瀬廉二、2012/03/16、No.2293

 30年ほど前、「札幌から見える山」という絵と写真のエッセー集が出版された(朝比奈・鮫島編、1981、北大図書刊行会)。この本を初めて手にしたとき、札幌市街から思いがけない山が見えることを知り、ささやかな感動を覚えた記憶がある。

 札幌は、西と南には夏も冬も登山者に親しまれる近郊の山々が、東から北方向には石狩平野の果てに芦別岳や十勝連峰が、そして北には石狩湾をはさんで暑寒別山塊が連なる。

 鳥取(市)も、西、南、東の三方は山に囲まれている。6年前に鳥取市へ転居して以来、天気の良いときには漠然と遠くの山を眺めていたが、その内、見えている山の名前をはっきりと知りたく、かつ写真に留めておきたい、と思うようになった。

 山の写真なら雪を頂く積雪期が良い。鳥取県の山は、大山(だいせん、1729 m)を除くと1500 m級以下で、多くは山頂付近も針葉樹や広葉樹の森林帯となっているため、山の上部がすっぽりと雪で覆われる「冠雪」とはならない。しかし、多量の雪が降った直後は、樹幹に多くの雪が着雪し、遠くから眺めるとまさしく雪山となる(写真は、顕著ではないが一例)。

 しかしながら、山陰地方の冬季は、雪が止んだ後、晴れかつ視界良好の日はそんなに多くはない。春になると、晴天の割合は増すが、一方黄砂の頻度が激しくなり、遠くの山まではっきりと見える天候の日は少ない。

 そうは言いながら、昨年末から機会をみてはカメラを持って車で走り、鳥取から見える主な(名が知られている)山は、なんとか収録することが出来た。何回のシリーズになるか不明だが、不定期の連載として、個々の山を紹介しようと思う。なお、「鳥取から見える」を、「鳥取市から」とすると「山頂や展望台やビルの屋上から」も含んでしまうので、私のこだわりとして「鳥取市街地および周辺の平地から見える」に限ることにする。

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[写真:2012.2.20、鳥取市隣接の八頭郡安井宿から南東方向を望む。厳密には、これらの山々(1200-1500 m)は「鳥取から見える山」ではない]


鳥取から見える山 (2) 

                成瀬廉二、2012/03/23、No.2294

 本シリーズの第1番目は、別格の伯耆大山(ほうきだいせん:1729 m)である。鳥取市中心部から西南西、直線距離で63 km離れた大山は、市街地の地上からは見えない。しかし、鳥取砂丘から、あるいは砂丘へ上る道路の中腹から、条件が良ければ遠望できる。

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 写真は、鳥取市北部、袋川の河口に近い浜坂江津橋から撮ったものである(2012年1月18日午前)。この地点から大山への見通し線上には、障害となる高い山がなく、大山の裾の方まで良く見える。この日の、鳥取気象台観測による視程は35 kmであった。これは、同気象台の視程のほぼ最大値と思われる。

 大山(剣ヶ峰)は中国地方の最高峰として紹介されるが、そればかりではなく、近畿地方から奈良県を除く2府4県を加えた、西日本11府県の中で最も高い。全国に「大山」という地名や山名は58あるが、「だいせん」と読むのは京都府の大山台(だいせんだい)と伯耆大山のみである(大山町HPによる)。

 大山の夏山登山口は天台宗大山寺付近(780 m)にある。標高900 m付近から5合目(1,245 m)辺りまでは、西日本一と言われるブナ原生林の中を登山道はほぼ直登している。8合目(1,580 m)から夏山頂上の弥山(みせん、1,709 m)までは、国の特別天然記念物ダイセンキャラボク(イチイ科の針葉の低木)の群生地となっている。

 このように、山の上部は低木か岩壁、ガレ場となっているので、積雪期にはすっぽりと雪や氷に覆われる。今冬は、大山アメダス(875 m)の積雪深が、2月中旬、過去30年の観測史上最大の302 cmに達した。ただし、最寄の米子市では、今冬季の最大積雪深は28 cmで平年並みであった。


鳥取から見える山 (3)

                成瀬廉二、2012/04/02、No.2298

 鳥取市の中心から西南西20 km、鳥取市鹿野町の鷲峰山(じゅうぼうさん:921m)である。北側の気高町や鹿野町から見ると、鷲が翼を広げているような形をしているため鷲峰山と呼ばれ、雄大な姿のため古くから周辺住民に親しまれている。東の鳥取市から見ても、裾野が広く、低い山だが2000 m級と言われれば、そうとも思えてしまう。

 山の北側斜面は全域、戦後から20数年間の拡大造林政策により植林されたスギ・ヒノキの人工林となっているが、稜線(800-900 m)の南側は伐採を免れ、ブナを主とする広葉樹の自然林が残されている。

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 写真は、千代川右岸堤防(西品治地区)から見た鷲峰山である(2012.3.14午前)。天気は快晴だが、やや霞がかかり、遠景のコントラストは弱い。鳥取気象台による同日午前の視程は30 kmであった。


鳥取から見える山 (4)

               成瀬廉二、2012/05/16、No.2316

 鳥取周辺には、特徴ある形を示す山は少ない。多くはなだらかな山容である。その中でも、鳥取市内のいろいろな場所から見え、ひとたび形を覚えてしまえば、遠くからでもそれと分かる山が、扇ノ山(おおぎのせん、1310 m)である[写真:千代川左岸堤防、八千代橋付近より。2012.3.29]。

 鳥取市中心から東南東へ19.5 km、兵庫県との県境に位置する扇ノ山は、第四紀の初め頃活動した古い火山で、多数の火口から流出した溶岩流がいくつかの高原を形成した。写真の左半分のなだらかな尾根が河合谷高原(標高700〜1000 m前後)である。
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 河合谷高原は、かつては豊かなブナ等の広葉樹の水源涵養保安林だったが、1970年頃から、鳥取県が「収益性の低い山林等の有効利用」という目的で農地開発を進め、大規模な森林伐採を行い、牧場と農地(ダイコン畑)を造営した。開墾された総面積は300 ha を超える。写真の左方の尾根上で積雪に被われた場所が、牧場(左)と畑(中央寄り)である。牧場は夏期のみ涼しい環境で牛を放牧し、畑では高原の夏ダイコン栽培を目的としている。

 扇ノ山の登山コースは3つあるが、その内の河合谷コースは、登山口が標高1000 m付近(牧場の上端)にあるので、緩やかな傾斜の尾根上を歩き、1273 mの小ピークを越えると容易に頂上へ達することができる。この登山道は、ほぼ全区間、ブナが優勢な森林の中を尾根に沿ってまっすぐ続く、という特色がある。

 なお、扇ノ山の全域は、「氷ノ山後山那岐山(ひょうのせん うしろやま なぎさん)国定公園」(1969年指定)に属するとともに、海岸から近くはないが(20 km)、山陰海岸ジオパーク(2010年認定)のジオエリアの一つとなっている。


鳥取から見える山 (5) 

                  成瀬廉二、2012/05/19、No.2317

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 鳥取平野の中にポツンポツンと、山とは言えないような低い“独立峰”が点在している。その内の代表例が、鳥取市街地の南東部、周りをぐるりと住宅と田畑に囲まれた、大路山(おおろやま、105 m:写真左)と面影山(おもかげやま、100 m:写真右)である(写真:国府町国分寺から西を見る、2012.5.19)。

 なぜ平野の中にこんな丸い山があるのか、と以前から不思議に思っていた。ここだけが盛り上がったか、積もったか、噴き出たか、あるいは周りが削られてここだけが残ったのか、そのいずれかである。そう思いながらインターネットで何となく調べていたら、『あまのじゃくのおとした山 大路山と面影山』という絵本があることを知った。

 さっそく図書館に行って、その絵本を読んだ。この本は、2つの山と三角形の位置にある桜ヶ丘中学校の文芸部生徒達の作品で、数年前「とっとり手づくり絵本コンクール」の優秀作品に選ばれたそうである。お話は、地元に伝わる昔ばなしにもとづいている。絵本から抜粋すると、あらすじは次のようなものである。

 むかしむかしのこと、このやま(注:河原町高山、1054 m)に あまのじゃく ちゅうもんがすんどった。あるひのこと、はるかとおくのほうには ひろいひろいうみがみえた。「あんなひれえところを みずびたしにしとくちゃなん、もったいない」「よっしゃ、うらがうめたる」。あまのじゃくはごっつい もっこを とりだしてきて、そのなかにやまのつちをいっぱいもった。のっしのっしあるいて くもやまのへんまできたとき、いしっころにけっぱんづいて こけそうになった。そのひょうしに もっこのつちがどさっとおちた。はじめにいきおいよくおちたつちは かたちがすこしくずれた おもかげやまになり、あとからしずかにおろされたつちは おわんをかぶせたような かたちのよい おおろやまになりました。

 なお、田中寅夫著『鳥取むかしばなし』に「アマノジャクの落とした山」があり、それでは、形のくずれた雲山(くもやま:面影山の北隣り)と大路山になった、とされている。そもそも伝承の民話なので、どちらが正しいと言うようなものではないが。

 さて面影山は、国府町の甑山(こしきやま、100 m)、今木山(いまきやま、98 m)とともに、古くから因幡三山(いなばさんざん)と呼ばれ、『万葉集』にも詠まれたりしている。近年は周辺住民の里山だったが、現在は斜面の一部が農地として耕作されるとともに、登山道がよく整備されており、早朝および夕暮れ前の往復30分の散歩道として1年を通してよく利用されているようである。一方、大路山は、地元の人のブログによると、登山口はあるが藪がひどくとても歩ける道ではない、ということである。

 なお、これらの孤立した100 m峰の成因については、面影山や今木山はすぐ南方の丘陵地の地質や海抜高度がほとんど同一で、かつては同じ山稜を形成していたが、断層や河川の浸食によって背後の山稜から分離され、孤立丘となったものと考えられている(星見清晴ほか『鳥取県のすぐれた自然』より)。


鳥取から見える山 (6) 

                  成瀬廉二、2012/06/17、No.2326

 中国地方の5県に兵庫・大阪・京都・滋賀・和歌山を加えた西日本10府県の中で第2の高峰である氷ノ山(ひょうのせん:1,510 m)は、鳥取市中心から南東30 km、兵庫県との県境にある。しかし、鳥取市街地(少なくとも平地の地上)からは、前方の低い山々に隠れて氷ノ山を見ることができない。

 いや、本当に見えないのかどうか、この3、4か月、機会あるごとに25万分の一の地形図を手に、見えそうなところに行って確認した。その限りにおいては鳥取市内の地上からは見えない。しかし、“ないこと”を証明することは一般には難しいので、ここでは「見えないと思う」にとどめておこう。しかしながら、さまざまな点で存在感のある氷ノ山を、この『鳥取から見える山 』シリーズから除外するわけにはいかない。

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 写真は、鳥取市の隣、八頭郡安井宿(若桜鉄道安部駅付近)から南東方向を見たものである(2012. 4.27)。中央左が鉢伏山(1,221 m)、中央の最も高く見える山は陣鉢山(1,207 m)、右奥に頂部のみ見える山が氷ノ山である。

 氷ノ山は、氷ノ山後山那岐山という、山名を連ねただけの、読みにくい、彩のない名称の国定公園に属する。後山(うしろやま、1345 m)は兵庫県と岡山県の県境に、那岐山(なぎさん、1255 m)は岡山県と鳥取県の県境に位置する。氷ノ山の稜線の西、若桜町側の標高800〜900 m付近には、(財)若桜町観光開発事業団が管理・運営する高原の宿「氷太くん」、スキー場、キャンプ場、および(財)鳥取県観光事業団の氷ノ山自然ふれあい館「響の森」がある。北東側は兵庫県養父市の諸施設が設けられている。

 そういう点では、氷ノ山は、鳥取県の中で登山、スキー、自然探策のために最も開発された山と言える。標高800 mから1,300 m付近まではブナの自然林が広がり、現在でもツキノワグマが多く生息している。

 なお、同山の中腹の舂米(つくよね)集落の上方の沢に沿って舂米棚田が広がっており、日本の棚田百選に選定されている。


鳥取から見える山 (7) 

                    成瀬廉二、2012/07/25、No.2340

 しばらく休載していた本シリーズ7回目は、鳥取市の顔とも言うべき久松山の登壇である。市内のどこからも見え、低い山(263 m)だが、市街地の背後に厳然とそびえている。写真は、市内の主要道路の一つである鹿野街道から北東に見た久松山である(2012.2.20)。
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 山頂には、戦国時代の終わり頃までに、土を削り、盛って造られた中世の山城があった。その後、安土桃山時代末から江戸時代初期にかけて、石垣で囲まれた山上の三層櫓が建てられた。このときの石垣が、今でも市街から見える(写真:山頂部、雪に被われている)。

 関ヶ原の合戦(1600年)後、鳥取城主となった池田藩(32万石)が、山上の天守を二層に建て替え、山麓の二の丸、天球丸、内堀等の大規模な造営を行った。しかし、元禄(1692年)に落雷で山上の天守が焼失し、以後再建されることはなく、山麓の城郭が火災、増改築を繰り返しつつ幕末期まで機能し、明治になって建造物等が解体された。現在鳥取市は、山麓の二ノ丸などの石垣の復元整備、および大手筋(登城路)の門および門櫓の復元を行っている(鳥取市教育委員会の資料参照)。

 1969年、民間会社により山頂への観光用ロープウェーが設置され、数年間のみ営業したが、採算が合わず1976年に廃止された。もし山頂に鳥取城が復元されたら、観光客や見学者の利用に供されたであろうが、何も歴史的施設がなく単に見晴らしが良いということだけで、多くの観光客が集まるとは思えない。愚かな開発事業であった。現在は、鉄塔等は撤去されているが、頂上付近には、山頂駅が廃屋として残されている。

 久松山はかなりの急斜面だが、ジグザグな登山道が整備されており、標準タイムは登り40分、往復1時間10分である。悪天候の日以外は、健康散歩の延長の人、あるいは軽登山靴+ストック(トレッキングポール)姿の中高年登山者で賑わっている。

 この山は、登山道以外には人が入り込むことはほとんどなく、車道もないので、市街に隣接しながら、自然がよく保全されている。シイ、ヤブツバキ等の照葉樹林が繁茂し、イノシシ・タヌキ・ノウサギ等の野生動物も生息している。


鳥取から見える山 (8) 

                   成瀬廉二、2012/08/03、No.2342

 久松山から低い尾根続きで東へ2キロ余りのところに本陣山(251 m)がある。写真の中央が本陣山(太閤ヶ平、たいこうがなる)、左隅は久松山から延びる尾根、背景は扇ノ山である(2012.3.1)。

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 久松山の山城の主は山名氏だったが、1580年、羽柴秀吉との戦いに降伏し、代わって毛利方の武将・吉川経家が城に入った。翌1581年、久松山周囲を羽柴秀吉の軍勢に囲まれ、兵糧攻めを受け、悲惨な籠城の後、城主経家が降伏、切腹し、家臣の命を救ったことが美談として伝えられている。このとき、秀吉勢が陣を張ったのが、久松山を眼前に眺める本陣山の太閤ヶ平である。

 本陣山の麓の樗谿(おうちだに)公園から、舗装された車道が山頂まで続いている。通常は車の乗り入れが禁止されているので、四季を問わずウォーキングやジョギング愛好家が訪れている。普通に歩いて、山頂まで往復2時間である。

 本シリーズで取り上げた山以外に、「鳥取から見える山」は、有名、無名いずれもまだまだ沢山あるが、それらは私が登ったことがないとか、特筆すべき事柄を知らないため、今回(第8)でひとまず終了することにする。


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6月の台風、本土縦断 

             成瀬廉二、2012/06/23、No.2328

 台風4号は6月19日夕方、和歌山県潮岬に上陸し、三重県志摩半島、愛知県渥美半島を経て東海、関東地方の北部を通り、20日福島県東岸から太平洋に抜けた。時速約70 kmという高速で本州の中央部を縦断し、地域によっては記録的な大雨をもたらした。

 6月に台風が本土(北海道、本州、四国、九州)に上陸したのは2004年以来8年ぶりのことである。気象庁統計によると、2000年以降各年の台風上陸個数は、0, 2, 3, 2, 10, 3, 2, 3, 0, 1, 2, 3(2011年)となっている。最近では2004年が飛び抜けて多く、これに加えて本土接近台風も27個あり、大雨、暴風、高潮などにより全国的に大きな災害が多発した。

 今年も2004年のような台風の当り年になるのかどうか。

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[写真]台風とは全く関係ないが、鳥取県のもう一つのハマナス自生南限地(本欄No.2323)である鳥取市白兎海岸、国道9号沿いのハマナス自生地(6月12日).


竜巻の風速(前)

                   成瀬廉二、2012/07/08、No.2333

 九州北部では6月下旬から繰り返し大雨に見舞われ、各地で大きな水による被害が発生している。降雨の量が記録的に多かったことは確からしいが、大分県日田市等で河川の氾濫や堤防の決壊のニュースを見たり読んだりして驚いた。日本では、治水対策によるダムや堤防の建設・整備が、ここまでやるのか、と感ずるほど強固に推進されてきた、と思っていた。今回の水害は、想定以上の降雨量だったのか、河川整備が未完成の地域だったのか、あるいは工事やシステムに何らかの欠陥があったのか、興味深い問題であり、機会があったら調べてみたい。

 さて、梅雨期の豪雨とは関係のない現象だが、去る5月6日昼過ぎ、茨城県や栃木県の一部地域で非常に大きな竜巻が発生した。各種報道によると、両県で計100棟以上が損壊し、数十人が怪我、1名が死亡、というものであった。木板や鉄板らしい物体が、ゴミや埃とともに空を舞うテレビの映像は衝撃的であった。

 報道の中の、「風速は70メートル以上」とか「国内最大級の竜巻、風速100メートル超か 気象庁検討会で委員指摘」(msn産経ニュース:5.31)に目を奪われた。風速100 m/sは、時速360キロメートルなので、新幹線の最高速度よりも速い。本当にそんなに強い風が吹いたのか。

 竜巻は、帯の様に細い地域を駆け抜ける。その中に偶然気象観測点が含まれる確率ははなはだ低い。もし仮に、竜巻走路内に、非公式や、民間の私的な風速計があったとしても、竜巻中に風速を正しく記録できたとは考え難い。

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          [写真]チリ、パイネ地域の竜巻(1983年12月).


竜巻の風速(後) 

                     成瀬廉二、2012/07/11、No.2335

 気象庁は6月8日、「5月6日、つくば市・常総市などに発生した竜巻は、家屋の倒壊や被害状況から判断して、突風の強さは藤田スケールでF3と推定した」と発表した。

 藤田スケールとは、竜巻やダウンバーストなどの風速を、構造物などの被害調査から簡便に推定するために、藤田哲也(シカゴ大学)により提唱された(1971年)風速のスケールである。下記のF0からF5(またはF6)までの6(7)段階あるが、日本ではこれまでF4以上の竜巻は観測されていない。すなわち、今回の竜巻は日本の観測史上最大級ということになる。

[藤田スケール](気象庁ウェブサイトより抜粋)
F0: 風速 17〜32 m/s(約15秒間の平均)=テレビアンテナ等が倒れる。小枝が折れる。
F1: 33〜49 m/s(約10秒間の平均)=屋根瓦が飛び、ガラス窓が割れ、ビニールハウスの被害甚大。
F2: 50〜69 m/s(約7秒間の平均)=住家の屋根がはぎとられ、大木が倒れ、自動車が道から吹き飛ばされる。
F3: 70〜92 m/s(約5秒間の平均)=壁が押し倒され住家が倒壊する。非住家はバラバラになって飛散。汽車は転覆し自動車はもち上げられる。
F4: 93〜116 m/s(約4秒間の平均)=住家がバラバラになって辺りに飛散。列車が吹き飛ばされ、自動車は何十メートルも空中飛行する。
F5: 117〜142 m/s(約3秒間の平均)=住家は跡形もなく吹き飛ばされるし、自動車、列車などがもち上げられて飛行し、数トンもある物体がどこからともなく降ってくる。

 確かに5月6日の竜巻は、被害状況からはF3に相当するのだろうが、瞬間最大風速が本当に70〜92 m/sに達したかどうかは分からない。観測データがないばかりではなく、実物を使って実験することは簡単ではないので、Fスケールと風速との対比は、“めやす”として受け止めるべきであろう。

 ところで先月、米子の公民館で気象災害について話をしたとき、出席者の中高年女性から「竜巻のニュースで、自動車が逆さまになっていたが、人間が吹き飛ばされることはないか?」との質問があった。とっさに、「自動車は重いけど、窓が閉まっていれば水に浮く。人間より、比重がずっと小さいので、風に飛ばされやすいのでしょう」と答えた。これが正しいかどうか、大小の箱型ワンボックスカーの大きさと重量を調べてみたら、比重にすると0.2前後となった。人間は比重1だから、ずっと軽い。

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 なお、むかしパタゴニアの氷河で強風に遭い、しゃがんでも、踏ん張る姿勢をとっても吹き飛ばされそうになり、岩の陰に身を平たくうつ伏せになって、風の息を待った経験がある。その前か後の写真を示す(1990年11月、アルゼンチン・ウプサラ氷河側岩にて)。風速は分からないが、F3程度かな、と思う。

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フェーンの猛暑下、那岐山登山

                  成瀬廉二、2012/07/16、No.2337

 昨(15)日午後、鳥取県は今夏初の猛暑日となり、鳥取市では14:30に35.6℃、米子市では同時刻頃36.0℃を記録した(気象庁データ)。この猛暑は、「南からの暖かい湿った空気が流れ込んだため」等と気象概況で説明されているが、さらにテレビで複数の気象予報士が「北陸から山陰はフェーン現象のため高温になる(なった)」と予報や解説をしていた。

 フェーンとは、山越えの風が高温、乾燥になる現象のことである。山の風上側で風が上昇するときは、水蒸気が凝結して雲・霧粒になり、潜熱を放出するため温度の低下があまり大きくなく、平均的には100 mにつき0.6℃の低下となる。一方、風下側では乾燥していると、100 mにつき1.0℃の上昇となる。それゆえ、理想状態では、1000 mの山越えをすると、温度が10x(−0.6+1.0)=4℃上昇することになる。

 鳥取市が最高気温となった昨日の14:30頃は南の風であり、鳥取市の南南西の岡山市では同時刻32.5℃(南東の風)、南南東の姫路市では同時刻30.2℃(南の風)であった。鳥取の方が、3度から5度高い。したがって昨日の山陰地方の猛暑は、フェーン現象の影響と言うことはほぼ間違いない。

 さて昨日、「猛暑になりそうだから涼しい山へ」と言うわけではなく、「梅雨の中休みに山の中腹へハイクに」と、氷ノ山後山那岐山国定公園の那岐山(なぎさん)へ出かけた。那岐山(1255 m)はなだらかな山容(写真)で平易だが、その積りにならないと登れない、初級者向けの中程度の山である。同山へは、鳥取県側から2コース、岡山県側から3コースの登山ルートがあり、今回は岡山県奈義(なぎ)町からのコースをとった。

 登山口(550 m)から標高差700 m、4.5 kmの道のりである。曇り、山頂部(写真)は薄い霧、程よい風があり、暑気は吹っ飛び、ついつい頂上まで行ってしまった。
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梅雨明け 

                     成瀬廉二、2012/07/21、No.2338

 広島地方気象台は、7月17日「中国地方は7月17日ごろに梅雨明けしたとみられます」と発表した。同じ日に、梅雨明けとされた地域は、四国、近畿、東海、関東甲信であり、北陸は1日遅れの18日であった。中国−関東は、平年より4日早い。

 一方、例年なら中国・近畿より2日〜7日早く明ける九州南部、九州北部はまだ梅雨は明けていない。明けるも何も、今年の梅雨期の九州は明らかに“異常”で、「つゆ」らしくない大雨が続いている。

 例えば、九州北部が梅雨入りした6月8日頃〜7月20日までの約40日間に、熊本県阿蘇市乙姫では1,986ミリ降り、鳥取市の1年分(平年値1,914ミリ)に相当し、大分県日田市では1,326ミリ降り、岡山市の1年分(平年値1,106ミリ)を超えた(データは気象庁統計情報より)。

 過去には、梅雨が8月初旬に明けた年もあるし、時期がはっきりしないため特定しなかった場合もあるが、今年はどうなるだろうか。

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             [写真:那岐山・蛇淵の沢、2012.7.15]


猛暑の中、氷ノ山登山 

                 成瀬廉二、2012/07/30、No.2341

 日本全国暑い日が続いているが、今日(30日)鳥取(気象台)は、午後の3時間ほど35℃を越え猛暑日となった。

 この猛暑の中、昨日、小学校低学年のこどもたちと、中国地方の第2の高峰、氷ノ山(標高1,510 m)へ登った。最寄のアメダス智頭(標高182 m)では、同日の最高気温は35.5℃に達した。

 山を登りながら時々気温を測り、だんだん温度が低下して行くのを確認することは、暑いときの山歩きの楽しみの一つである。氷ノ山キャンブ場(標高940 m)から歩き始め、標高1,000mでは26.4℃、鞍部の氷ノ越(1,250 m)では23.5度、そして頂上では最低気温21.2℃を観測した。びしょ濡れの汗がひき、爽快であった。

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         [写真]氷ノ越から頂上へ向かう尾根上のブナ林


きのう、鳥取は全国最高気温 

                     成瀬廉二、2012/08/05、No.2343

 昨(4)日、鳥取市の最高気温は、14:30に37.7℃となり、同日の全国最高気温を記録した。これは、全国の気象台およびアメダスの約900地点にて観測された気温の最大値であった。第2位は新潟県小出の37.6℃、第3位は兵庫県豊岡の37.5℃で、いずれも日本海側の市町である。

 同じ鳥取県の東部でも、鳥取地方気象台の最寄りのアメダスでは、湖山33.4℃、青谷34.7℃、岩井36.2℃、智頭36.2℃であり、鳥取の37.7℃はかなり局所的かつ(前後10分は1度以上低い)瞬間的な高温であった。

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 写真は、岡山県蒜山(ひるぜん)高原のハーブガーデン・ハービルのラベンダー苑である(標高、約650 m;2012.8.2)。例年、ラベンダーの見頃は7月上旬〜下旬だが、今年は天候の影響で見頃のピークは7月後半〜8月前半で、徐々に終盤となってきているとのことである。背景は、左から上蒜山(1,200 m)、中蒜山、下蒜山(1,100 m)。


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道後山クロカンパーク 

                     成瀬廉二、2012/08/19、No.2348

 鳥取県と広島県とが隣接しているとは気づかなかったのだが、鳥取県の南西端の日野郡日南町と広島県の北西端の庄原市西城町との境界に、道後山(どうごやま、1268 m)という中程度の山がある。広島県側には道後山高原スキー場があり、例年12月25日頃から3月初旬(今年は3月10日)まで賑わうそうである。

 道後山の西城町側の山麓標高700 m付近に、道後山高原クロカンパークという屋外スポーツ施設があり、昨日(18日)そこで開かれたイベントに参加した。同パークには、自然の起伏を利用した、2 kmと3 kmの芝生のクロスカントリーコースが常設されており(国内では類を見ない)、平地より気温が4、5度低いため、夏でも実業団や大学の運動部員たちが強化練習や合宿に訪れている。

 昨日は、庄原市(標高300 m)や日南町茶屋(490 m)でも最高気温が32℃、31℃を越える暑い日だったため、クロカンパークでも裸地では30℃以上となったが、林内にて風が吹き込むとほんの少しだけだが高原の涼風を味わうことができた。写真は、クロカンパークから望む、なだらかな山容の道後山である。
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情報"鳥取の山(1)-(8);台風縦断;竜巻;那岐山;梅雨明け;氷ノ山;猛暑;道後山" (NPO)氷河・雪氷圏環境研究舎/BIGLOBEウェブリブログ
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