(NPO)氷河・雪氷圏環境研究舎

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<<   作成日時 : 2013/08/27 12:00   >>

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『気候変動報告書(IPCC-AR5)がリーク』
        投稿:2013年 8月27日、 #2453

 本年9月下旬にスウェーデンで開かれる会議を経てから公表されることになっている国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第5次評価報告書(AR5)の内容の一部がリークされたようである。

 8月23日 付日本海新聞一面の左上に大きく、「海面最大81センチ上昇 政府間パネル報告書最新案 温暖化、気温は4.8度も」の見出しの記事が掲載され、「えっ!!」と思った。何らかの理由で発表を早めたのか? しかし、記事の中にニュースの出所は記されてない。同紙は共同通信から配信されているので、そこのサイトを見ると「IPCC第1作業部会の第5次報告書最新案が22日、明らかになった」としか記載されていない。

 一方、主要全国紙では取り上げていないようである。しかし、朝日新聞デジタルでは、「未公表のIPCC報告書流出『海面最高82センチ上昇』」と報じた。

 この情報源と新報告書の特筆すべき内容について、国内外のネットでいろいろ語られている。ジャーナリストがIPCC関係者に取材したのか、IPCCが意図的にリークしたのか、事故(ミス)による情報流出か、作為的な侵入取り出しなど、様々な可能性が考えられる。

 ロイター通信のサイトには”Drafts seen by Reuters,,,,”とあり、すなわち「ロイター(の記者)が見た(報告書の)草案」の意味である。これが正しければ、紙か電子体かは分からぬが、報告書の草案(または一部)が流出したものと考えられる。

なお、IPCC-AR5の第1作業部会報告書(自然科学的根拠)が本年9月に先行して完成、公表され、その成果を踏まえて、第2、第3作業部会各報告書が2014年3月、4月に公表、それらの結論をふまえた統合報告書が2014年9月に発表される予定となっている。本欄でも、適宜、不定期に取り上げたい。

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 [写真:北海道美瑛町白金、白ひげの滝:落差20 m/幅約40 m、2013.6.8]

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『北大にて氷河の研究集会』

 [投稿:2013年 9月 1日] #2454

 北海道大学にて8月28、29日、氷河に関する研究集会が開かれた。会場の低温科学研究所は北大キャンパスの北部にあり、南端の正門から入り、中央道路(写真:8.28)を真っ直ぐ北上すると、計1.5 km、ゆっくり歩いて30分である。キャンパス内は、エルムの木蔭が多くて爽やか、かつ自動車の入構を制限しているので、気持ちよく散歩を楽しんだ。ちなみに、28日の最高気温は、東京33.2℃、札幌23.6℃だった。
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 低温科学研究所は「寒冷圏および低温環境における自然現象の基礎と応用の研究」を目的とする共同利用・共同研究拠点に認定されており、研究所内外の研究者が協力して実施する「共同研究」の制度が設けられている。その一環として、本研究集会が開催された。

 本集会のタイトル『氷河の流動および変動』に含まれるキーワード(氷河、流動、変動)は、私の40年来の研究の主軸だったため、非常に興味深いというのみではなく、この課題の研究が継続し、著しく発展しているのを見て、聴き、たいへん嬉しく思う。

 研究集会は、1日半にわたり正味13時間に17件の研究成果発表があった。1件あたり質疑討論込みで45分である。日本の学会の研究発表大会では、発表の正味時間は、雪氷学会(昨年)12分(今年)9分、気象学会8分、応用物理学会10分、地理学会15分、医学系の各学会6分前後など、数分〜15分程度である。これに比べ、小さな研究集会では詳しい内容を聴き、深い議論も可能になる。

 研究の対象地域は、パタゴニア、南極、グリーンランド、北極圏、アラスカ、ネパール、ブータンにおよんでいる。研究手法は、古典的測量やGPSキネマチィック法による現地観測と、人工衛星画像の各種解析とに大きく分けられ、それらにより得られた各地の氷河の流動速度分布や高度・末端変動が報告された。

 私は、各発表に対し質疑と論評を行うコメンテーターとして参加した。氷河の現地観測では精度の高いデータが確実に得られるが、なにせ場所と調査範囲が限られる。一方、衛星リモートセンシングなら、人が踏み入ることができない地域でも、広領域のデータ取得が可能であるが、それが真の現象を表しているか、十分なる検証が必要である。いずれにしろ、両者がそれぞれの道を進みつつ、節目、節目で互いの成果を付き合わせ、議論、調整することが必要である。

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『北見で雪氷研究大会』

 [投稿:2013年9月24日] #2460

 残暑の東京で所用のため1泊した後、9月18日夕、北北海道の空の玄関、女満別空港に降り立った。機内で、気温17度とのアナウンスがあったが、さすがにピリッとした涼しさに「そー、これが北海道なんだ」と昔を懐かしむような想いが一瞬こみ上げた。

 17日から20日まで国立大学では日本最北の北見工業大学にて、年1回恒例の雪氷研究大会が開かれた。二学会合同開催になってからの大会(いずれも9月)参加者数は、2008年東京:410名、2009年札幌:(人数不明)、2010年仙台:約400名、2011年長岡:412名、2012年福山:356名であった(雪氷学会総会資料より)。多雪地または研究者の多い都会ほど、参加者数が多い傾向がある。

 今年の北見大会は、実行委員会によると参加者総数391名、その内訳は雪氷学会員245名,雪工学会員33名,非会員113名であった(両学会に所属する会員は雪氷学会員数に含まれていると思われる)。北見は、都・府からは遠隔の地である割には、参加者が多かったと言える。

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 本大会では、発表時間9分+質疑討論3分の口頭146件、およびポスター147件の研究発表が行われた(写真: 北見工大アトリウム)。私が聴講・視聴したのはこれらの内のほんの一部にしか過ぎないので、簡潔的確に研究大会の概要を述べることはできない。そのため、プログラムから各セッション(分科)の名称と発表件数のみ以下に示すことにしよう。なお、これらのセッションは、大会ごとにプログラム作成委員が適当にグループ分けを行い、名づけているので、必ずしも雪氷学の小分類というわけではない。

 氷床 27;  氷河 21;
 雪渓・凍土 24;  積雪の構造 19;  
 海氷・湖氷 11;  雪氷物理・利雪・教育 30;
 雪氷化学 9;  降雪・積雪分布・融雪 33;
 吹雪・着氷雪 15;  気候変動・計測技術 28;
 雪崩・雪崩対策技術 27;  建物と雪 21;
 雪と交通・道路・雪対策利用技術 28. (総計:293件)

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『鳥取砂丘一斉清掃』

 [投稿:2013年9月29日] #2461

 今日(29日)午前9時〜11時、秋の鳥取砂丘一斉清掃が行われた。鳥取砂丘美化運動協議会主催により、毎年春と秋の年2回、千代川河口付近から砂丘海岸約7キロメートルの区域のゴミ拾いを行う。今回は、75団体、3,300人が参加したそうである(副市長談)。

 10時の気温26.8℃、湿度46%、風速5.4 m/s(鳥取気象台)、快晴で爽やかだった(写真)。砂丘の馬の背では、時おり低い飛砂が発生していたので、風速は7-8 m/sに達していたと思われる。その風が暑さを抑え、心地良い砂丘散歩だった。
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『安芸の宮島(上):弥山』

 [投稿:2013年10月3日]   #2462

 鳥取へ転居してから7年余、広島県へ行く機会は4、5回あったが、宮島は十分時間がとれるときにと、とっておいた。なぜかというと、世界遺産の宮島へ行くなら、社寺など歴史的建築物を見学するだけではなく、島の最高峰に登り、日本三景の一つがどういうものか、しっかり眺めてみたいと思っていたからである。

 その山は弥山(みせん)、標高535 mの低い山だが、海抜0 mから見上げると立派な中程度の山である。弥山には、本州に面した側に3つの登山コースがある。この他に、弥山頂上の隣のピーク獅子岩(標高430 m)までロープウェーがあるが、それは利用しない。

 上りは紅葉谷コースを経由して1時間45分、下りは大聖院コースにより1時間20分程度であった。山全体を覆う森林は、どの程度人の手が入っているか、いないのかは知らないが、本州の山の様にスギ、ヒノキの人工林は全く見られず、原生林の様相を呈している。落葉樹が多いので、紅葉の時期は素晴らしいに違いない。

 一方登山道は、世界遺産の区域内ということもあってか、全行程コンクリートで固めた石段またはスロープと完璧に整備され、土の上を歩いた記憶はない。近年、日本各地で人気の登山道、遊歩道は、多数の登山者、ハイカーによる侵食、荒廃が大きな問題になっているが、この弥山の登山コースはハード的な対策の典型かもしれない。味気ない、と言えばその通りである。

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 [写真:弥山頂上から見る瀬戸内海.2013.10.1、12:00]

 『安芸の宮島(中):嚴島』

 [投稿:2013年10月7日] #2464

 嚴島神社の嚴島(いつくしま)は、宮島の一地域の地名か神社の固有名詞だろうと、今までは完全に思い込んでいた。しかし、宮島という島の正式名は嚴島であり、宮島は通称であることを知った。すなわち、地理や自然科学的には嚴島、観光や行政では宮島が使われている。

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 嚴島は長さ約10 km、幅約3.5 kmのほぼ長方形で、面積は30.4 平方kmである(写真:左の山が弥山、右が駒ヶ林<509 m>)。瀬戸内海の島の面積ランキングでは、淡路島、小豆島、.....に次いで第10位である(海上保安庁海洋情報部による)。広島県西部の廿日市市の宮島口から宮島桟橋まで、大型フェリーが航路距離1800 mを10分で結ぶ。片道運賃170円は安い。

 宮島には、(2013 年9月現在)914世帯、1783人が居住しており、人口は年々微減、高齢化である。島には中学校が1つ(生徒数35人)、小学校が一つ(生徒数60人)と市立幼稚園がある(廿日市市統計資料)。同市の事業所業種別大分類によると、宮島では、@卸売・小売業、A飲食店・宿泊業、Bサービス業となっており、一般の市町村に多い農林漁業、建設業、製造業、不動産業、等はほとんどなく、特殊な町と言える。

 『安芸の宮島(下):世界遺産』

 [投稿:2013年10月10日] #2465

 1996年、「嚴島神社」がユネスコの世界文化遺産として登録された。世界遺産としては日本で7番目、屋久島と白神山地の世界自然遺産を除く文化遺産では、原爆ドームと並んで日本で5番目である。

 嚴島神社は、12世紀に時の権力者である平清盛の造営によって現在見られる壮麗な社殿群の基本が形成された。世界遺産の区域は、社殿を中心とする嚴島神社の建築物群と、前面の海、および背後の弥山原始林(天然記念物)を含む森林区域431ヘクタールで、厳島全域の約14%を占める。(参照資料:廿日市市環境産業部観光課および一般社団法人宮島観光協会の案内文)

 嚴島神社の境内は、遠浅の湾内の浜にある。神社が浜に創建されたのは、島全体がご神体とされ神聖視したためとみられている。干潮時には、一番海側の大鳥居まで水が引き陸地となるが、満潮時には社殿や廻廊があたかも桟橋の様に海に突き出た建築物となる。世界でも例を見ない海に浮かぶ建物なので、観光パンフレット等では満潮時の写真が多い。

 瀬戸内海は一般に日本海に比べて干満の差が非常に大きい。厳島を訪れた10月1日の干満の潮位差は2 mを超える。しかも遠浅の浜なので、海水位が2 m変わると、水際が大きく移動する。写真は、1日14:00、本殿付近から大鳥居(高さ16 m)を見たものである。同日の最大の干潮は13:22だったので、観光客は鳥居まで歩いて行くことができた。

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『二重の虹』

            [投稿:2013年10月14日] (通し番号)#2466  

 10月12日朝、札幌の中心付近を通りかかったとき、西の空に鮮やかな虹を見た。ほんの一瞬の俄か雨が止んだ直後であり、車から外に出てよく見ると、鮮明な虹の外側に、もう1本の薄い虹が現れていた。こういう二重の虹を見たことはあると思うが、自分で写真に撮ったのは初めての気がする(写真:2013.10.12、08:45、札幌市中央区中島公園)。
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 虹は大気中の雨粒(水滴)に太陽の光が当たり、反射と屈折により起こる現象である。雨粒の表面で光が反射するだけなら、キラキラと輝くか、雲の様に白く見えるだけである。そうではなくて、光が水滴の中に入り、反対(奥)側の面で反射して、再び水滴から外に出て、人の目に届いたときに虹として認識される。したがって、虹は太陽と反対側の空に雨粒があり、しかもそこに日射が当たる必要がある。

 光が水滴に入ったり、出たりするときに、光の進む方向が少し曲がる(これが屈折)。赤い光は曲がり方が小さく、青い光は大きい。そのため、虹は異なる色の帯になる。水と空気との屈折率の関係で、虹は、観測者から見て半径およそ42度のアーチ(円弧)となる。これが普通の虹で、主虹という。主虹は、紫が内側(下)、赤が外側(上)と決まっている。

 さらに、水滴の内面で光が2回反射してから人の目に届いた場合は、およそ52度の円弧となる。これを副虹ともいう。副虹は、光が弱く、したがって色は淡いが、主虹とは色の配列が逆になっている。

 なお虹は、太陽高度が高い(42度以上)夏の昼間には地上からは見えない。朝は西の空に、夕方は東の空に現れる。雨粒の場所が近くても遠くの山の上でも、虹のアーチは人の目には常に同じ大きさに見える。一般には、アーチの一部しか見えないことも多く、最大でも半円である。

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『今世紀末の世界平均気温、最大4.8℃上昇』

 [投稿:2013年10月20日] #2467

 世界の平均気温は、21世紀末(2081-2100年平均)には20世紀末(1986-2005年平均)に比べ、0.3℃〜4.8℃上昇する可能性が高い、という新しい予測結果が先月末から今月にかけて各メディアで報じられた。これは、9月下旬、ストックホルムにおいて開催された「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の総会および作業部会にて、IPCC第5次評価報告書(AR5)の第1作業部会(自然科学的根拠)報告書の「政策決定者向け要約(Summary for Policymakers: SPM)」が承認、公表されたことにともない、気象庁や環境省がプレスリリースを行った内容にもとづいている。

 36ページの政策決定者向け要約(SPM)は、現在インターネットで公開されており、その「主要な結論(速報版)」が文部科学省・経済産業省・気象庁・環境省の連名で公表されている。また、AR5の第1作業部会の本体の報告書は来年1月に公表される予定である。

 ところで、今回の新しい結果「最小0.3℃、最大4.8℃上昇」は、従来の予測とどう違うのだろうか?  IPCC第4次評価報告書(2007年)では、20世紀末から21世紀末にかけて、最良見積もりとしては「1.8〜4.0℃」、予測幅の最小と最大をとると「1.1〜6.4℃」であった。そもそも予測幅が非常に広いので、それを考えると、あまり予測が変わったようにも見えない。しかし、今回はモデリングの進め方が、従来(AR3, AR4)とははっきり異なる。

 従来は、IPCCで世界各地域の人口やGDP等の社会経済シナリオを作成し、それをもとに温室効果ガスの排出シナリオ(例えば、SRES)を作成する。その結果にもとづき、気候モデルにて、地球上の気温や降水量分布の変化を求める。IPCC第5次報告では、IPCCの要請を受けて世界の気候モデルグループが数ある論文から典型的な4つのシナリオを選定した。これが、「一定の濃度安定化に向けた典型的な排出経路(Representative Concentration Pathways: RCP)」シナリオである(山口光恒, 2012を参考)。

 この4つのシナリオのうち、RCP8.5は2100年以降も温室効果ガス濃度(正しくは、放射強制力)の上昇が続くケース、RCP6.0は高位安定化、RCP4.5は中位安定化、RCP2.6は2100年までに濃度はピークを迎え減少に転ずるケースである。

 100年後の世界平均気温の上昇量は、各シナリオにて予測の幅があるが、その平均(または中央値)を示すと以下の通りである。
 RCP8.5:3.7℃; RCP6.0:2.2℃; 
 RCP4.5:1.8℃; RCP2.6:1.0℃.

 これらの内、世界各国の二酸化炭素排出削減努力の現状から見て、RCP2.6はほとんど期待できないであろう。RCP8.5の「可能性が高い予測幅」は2.6〜4.8℃となっている。不確定要素はたくさんあるが、この辺りが妥当な予測値ではなかろうか、と思う。

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 [写真:湖山池「水と緑のオアシス」とっとり、2013.9.27]  

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『近年は台風が多いか?』

 [投稿:2013年10月26日] #2468

 二つの大型台風27号(Francisco)と28号(Lekima)が接近すると、お互いに干渉しどんな挙動を示すのか、関心を持って天気概況や予報を見聞きしていたが、今日(26日)の夕方までは大きな影響や被害をおよぼさず、日本列島から東方へ遠ざかりつつあるようである。

 身近の話題やテレビのコメント等で、「今年は台風が多い」、「温暖化により海水温が高くなり、台風が発生、発達しやい」ということをよく聞く。本当にそうだろうか。

 気象庁の「台風の統計資料」によると、西太平洋の熱帯・亜熱帯地方で発生した熱帯低気圧のうち、気象庁が台風と認定した数は、過去30年間の平均で年25.6個である。1950年代から現在まで10年毎の平均年間台風発生数を調べてみたら、以下の通りであった。

 1950年代、24.3個;1960年代、29.6個;
 1970年代、26.7個;1980年代、27.0個;
 1990年代、26.8個;2000年代、23.9個;

 想像していたほど年による変動は大きくなく、おおむね年間20〜30個の範囲に収まっている。そして2010年以降は、各年14、21、25、28個(2013年10月25日まで)となっている。

 では、日本列島へ襲来する台風の頻度はどうか。台風の中心が、本土(北海道、本州、四国、九州:沖縄地方および諸島を除く)から300 km以内に入った場合を、気象庁は「本土に接近した台風」としている。同じく、1950年代から現在まで10年毎の平均年間台風接近数は次の通りである。

 1950年代、5.8個;1960年代、5.5個;
 1970年代、4.6個;1980年代、5.0個;
 1990年代、6.0個;2000年代、5.4個;

 2010年からの最近4年間だけをみると、接近数は3、5、6、8個と確かに増えている(今年の台風27、28号は本土から300 km以内に到達していないので接近台風には含まれない)。しかし、最近でも2004年が台風の当たり年で、発生29個、本土接近12個、本土上陸10個であった。

 台風発生数、接近数のいずれを見ても、近年「有意に増加している」という傾向は認められない。ただし、以上の分析は台風の数のみに注目しており、台風の強さや勢力などを考慮に入れたらどういう結果となるかは分からない。

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 [写真:鳥取市千代川の千代橋.2013年9月4日16時頃.台風17号(Toraji)の影響で大雨となり、千代川では「氾濫注意水位」を一時的に超えた.]

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『鳥大蒜山演習林見学』

 [投稿:2013年11月2日] #2469

 民間団体主催の見学旅行にて、31日、岡山県真庭市にある鳥取大学の蒜山(ひるぜん)演習林を訪問した。本当は、林内を広く歩き、どういう調査や実験やモニターが行われているのかゆっくり見聞きしたかったのだが、そこまでは見学の目的に含まれておらず、演習林のほんの一角のみ散策し、概要の説明を受けた。

この演習林は、2005年から大学の組織改革により附属農場と統合され、農地や森林などのフィールドを活用した研究・教育・地域貢献を実践することを目的として、鳥取大学農学部附属フィールドサイエンスセンターの教育研究林「蒜山の森」に衣替えをした。

 蒜山の森は総面積580 ha、その半分強は天然林、半分弱はかつて軍馬の放牧地だった草地を戦後に植林された人工林である(写真)。この580 haという森林面積はどの程度の広さなのかと他と比較してみると、扇ノ山河合谷高原の森林伐採地(牧場と農場)308 haの約2倍、また30-40年前に雪の調査でしばしば訪れた北海道大学の問寒別(といかんべつ)演習林(22,000 ha)のおよそ40分の一であった。
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 なお蛇足だが、問寒別演習林は2001年から北海道大学北方生物圏フィールド科学センター森林圏ステーション天塩研究林とものすごく長い名前に変わった。どこの大学でも研究機関でも同様の傾向があるが、組織を改革したことを明らかにし、より魅力的かつ新鮮味に富む分野や組織名として多くの優れた学生・研究者を集めたいため、いろいろ名称を考えているようだ。まあそれも悪くはないが、部外者はまごつくことも時にある。

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『鳥取の高山』

  [投稿:2013年11月8日] #2470

 鳥取市の河原町に高山(たかやま)という山があることを、鳥取の民話で知った。標高1054 mなので高い山とは言えないが、むかし話に登場するのだから、地元にとっては何らかの意味がある、重要な山だったのかもしれない。

 去年からいつか登ろうと思っていたが、鳥取県の登山やハイキングガイドブックには載っていない。国土地理院の地図や鳥取webマップにも、登山ルートの記載はない。しかし、2、3の登山愛好家のブログに、高山登山のレポートが見つかった。それを唯一の頼りとして、昨日(11月7日)高山を登ってきた。

 数年前に河原町落河内から三朝町へ抜ける林道(と言っても二車線、舗装、ガードレール付きの立派な自動車道路)が完成してから、その途中の標高730 m付近に登山口ができている。そこから尾根に沿って、やや急な登山道が肩まで続き、ブナ等の広葉樹林(写真)の中を歩くと頂上へ達する。上り65分、下りは小走りで30分だった。

 全ルートにわたって草がよく刈られ、木製の標識もしっかり立っていたが、これは地元の「いなば西郷むらづくり協議会」と北村集落の方々約50名が、本年7月下旬に登山道の整備を行ったためだそうである。
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『晩秋の牛臥山』

 [投稿:2013年 11月22日]

 「紅葉の#*山を歩く」とかのタイトルにしたかったのだが、こちらの都合と天気の事情により、麓は紅葉の盛りだが山はすでに深い晩秋の頃、きのう(11月21日)智頭町の牛臥山(うしぶせやま、729 m)へ行ってきた。

 この山には、4年前、標高448 mの牛臥公園から始まる最もポピュラーなコースを45分で登ったことがある。今回は、県選定「伝統的建造物群保存地区」に指定されている板井原集落の入り口付近(420 m)から尾根をたどるルートを選んだ。

 尾根に取りつくまでの斜面一帯はスギの人工林であり、その中に作業用の歩道が良く整備されており、ところによっては踏み跡程度の登山道を見失いやすい。はなはだ迂闊なことに、上り、下りとも、何度か登山ルートを外れ、スギ林の急斜面に入り込んでしまった。ロスタイムを除くと、上り1時間20分だった。

 頂上の看板に、「因美線が智頭駅まで開通した年(1923年)に駅舎の前方に広がる山並みが『巨大な種牛に似たるが如し』ため、当時の貴族院議員により牛臥山と命名された」と書かれていた。

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 山頂の樹木は伐採されているので、見晴らしは良い。頂上から南西方向を俯瞰した写真を示す。眼下には智頭町の市街および集落が見える。左方の高い山は那岐山(1255 m)である。

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『庄屋の家』

[投稿:2013年 12月3日]

 昔の家屋を見るのが好きである。国内を旅行したとき、「#〇家住宅」などと表示された名所や見学スポットがあると立ち寄ってみる。この数年の間に訪れた家は、漁師、網元、豪農、小作、商家、廻船問屋、問屋、酒造り、薬屋、武家屋敷、等々といろいろである。

 襖絵、掛け軸、骨董品に興味があるわけではなく、古い建築物の構造に関心が深いわけでもない。ただ、家屋の内部を見ながら、昔の暮らしや生業の様を想像するのが楽しい。

 一昨日(12月1日)見学した家は、兵庫県揖保川町の「永富家住宅」である。17世紀の永富家は大地主の庄屋だったそうで、この家屋は江戸時代後期の民家の代表的なものとして、国の重要文化財に指定されている。

 建物内の部屋の配置はよく見る形式で、田の字を田の字型に四つ並べた様なもので、すべての襖や障子を取り払うと約130坪の大部屋となる。面白いというか、合理的ではないことは、陽あたりの良い南側半分の8室が客用、一方家族の生活の場として毎日使う13室が寒い北側になっていることである。

 写真は、土間・下の間から見た屋内。左手前から客用の下座敷、中座敷、上座敷と格が上がり、右奥に最上級客(藩主なみ)用の上段の間がある。右手前から中の間、仏間。さらに右奥(北端)に台所、奥の間などの生活空間がある。
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『日本のへそ』

  [投稿:2013年 12月9日]

 以前「日本のへそ」のような駅の名前を見たか聞いた記憶があるが、特にそれ以上の関心はなくほとんど忘れていた。昨日、兵庫県中部の西脇市へ行ったとき、JR加古川線に「日本へそ公園駅」があることを知り、その近くに美術館や地球科学館の諸施設を有する「日本へそ公園」があった。

 なぜ「日本のへそ」なのか。日本の地理的な中心だろうと、想像はつく。しかし、日本列島の中心なら、長野県か岐阜県あたりかな、と漠然と思う。兵庫県では、西すぎる気がする。

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 西脇市が「日本のへそのまち」としてPRしている根拠は、北緯35度と東経135度の交差点がここにあることである。写真は、「日本へそ公園駅」から100 mほど離れた加古川河川敷に、大正12年に旧陸軍参謀本部が天体観測により決定した交差点の標柱(写真左の石柱)と、その案内板である。

 東経135度の子午線は、日本が明治時代に定めた日本標準時の基準である。つまり、地球一周360度を24時間で割ると15度、それにロンドンからの時差9時間を掛けると135度となる。この135度線は、明石市が有名だが、北は丹後半島の西から、淡路島北端を経て紀伊水道を貫いており、西脇市だけが特別ではない。

 そこで、西脇市によると、日本の北の端は北海道の宗谷海峡で北緯46度、南の端は沖縄県八重山諸島の波照間島で北緯24度、東の端は択捉島で東経147度、西の端は与那国島で東経123度であり、それらの中間をとると、日本の真ん中は北緯35度、東経135度になり、「へそ公園」が日本の東西南北の中心になるとのことである。

 なお、長野県辰野町には、北緯 36°00'00"、東経 138°00'00" の通称ゼロポイントがあり「日本の地理的中心」と宣伝し、群馬県渋川市では、同県を中心に円を描くと、北海道から鹿児島県までがすっぽりと入り、日本のほぼ真ん中に位置する、とアピールしている。


『日本のへそ(続)』

 [投稿:2013年 12月24日]

 西脇市発行の「日本のへそ」pdfパンフレットに、1990年国土地理院の協力で行ったGPS測量の結果、現在の「へそ」から南東方向へ 437.6 mの山腹に「もうひとつのへそ」が発見された、との記述があった。今までの「公式の」経緯度交差点は、大正時代に天体(恒星)観測にもとづく基準点からの精密三角測量により決定されたものである。上記の位置の差437 mは、測量の誤差としては大きすぎて、考えられない。

 これは、2002年まで日本が採用していた「日本測地系」と、宇宙観測に対応した「世界測地系」の相違によるもので、地球を回転楕円体としたときの大きさ、形状および中心位置が異なることによる。国土地理院によると、世界測地系による経緯度は従来の位置より南東に、東京では約450 m、福岡では約420 mずれているので、西脇の差はちょうど中間の値である。

 現在は、全国の地点、施設の座標はこの世界測地系による経緯度で表示することになっているので、厳密にいえば、西脇市の経緯度交差点のモニュメントも山中に移転しなければならないことになる。

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 写真は、西脇市黒田庄町の「日本のへそ 日時計の丘公園」の日時計(12月8日)。

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『日本最大の望遠鏡』

   [投稿:2013年 12月18日]

 兵庫県の西端、佐用町の大撫山(436 m)山頂に、日本国内では最大の口径2 mの反射望遠鏡がある。この兵庫県立西はりま天文台は、昨(2012)年度から兵庫県立大学自然・環境科学研究所天文科学センター西はりま天文台に組織替えとなり、一般を対象とした観察会とともに研究活動が行われている。

 従来の日本一望遠鏡は、国立天文台岡山天体物理観測所の188 cm望遠鏡であったが、2004年に西はりま天文台で2 m望遠鏡が完成し、公開された。これは、一般公開を目的とした望遠鏡としては世界一の大きさだそうである。

 西はりま天文台には、1990年以来、口径60 cmの反射望遠鏡があり、一般を対象とした観望会と学術研究に用いられてきた。国立天文台三鷹キャンパスの公開用望遠鏡は50cmなので、西はりま天文台は「公開天文台のパイオニア的存在である」(天文ニュースastroarts)。

 ところで、2, 3年前同天文台を見学した鳥取の知人から、『60m望遠鏡制御室』と表示した看板がかかっていたと、写真付きでメールをいただいた。60 mとは、口径としても焦点距離としても多分あり得ないので、cmのcが欠落した単純ミスだろうとは思ったが、毎日専門家が目にし、見学者も不思議に思うはずなので、何年も誤表示を放置しているのは納得が行かず、同天文台に問い合わせたところ、予想通り単純誤記で今は訂正されている、とのことだった。

 という経緯があったので、一度60 cmと2 mの望遠鏡を見に行こう、と思っていたが、3日前(15日)同天文台を訪れる機会があった。日曜日の昼間、高性能望遠鏡でも星が見えるわけではなく、見学者はゼロ、受付やスタッフも見当たらず、しかし天文台へ自由に立ち入ることができ、3階に上がり2 m望遠鏡の外形を眺めることができた(写真)。
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