南極融解;融解流出;新南極船;凍土;両極氷;南極画家;南極氷床崩壊

南極で融解進む?     松岡健一、2008/01/30(Wed)、No.1631
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2番目のレギュラー投稿者であるはずの松岡と申します。体調を崩し寝込んだうえ直後から外国出張があり、連載早速早々穴を開けてしまい、大変に失礼しました。

遅ればせながら、最近日本の新聞でも報道されていた、南極関する論文を紹介したいと思います。今年創刊された新しい雑誌、Nature Geoscienceに掲載された論文です。第一著者は最近NASAジェット推進研究所からカリフォルニア大学アーバイン校に異動した、極域の衛星観測の専門家、エリック リニョです。

南極にある氷(海に浮いているものではなく陸に接しているもの=将来の海面変動に寄与するもの)の量が最近どのように変動しているかを調べています。氷床に降り積もった雪は、その重みによって沿岸まで流動し、最後には海に浮きます。海岸線に沿って氷の移動速度を人工衛星から測定し、予め計測してある氷の厚さをかければ、年々氷床から排出される氷の量が分かります。氷床に降り積もる雪の量は、人工衛星データや、現場での実測値を使いながら、大気モデルを使って計算しています。そして、(降り積もる量)ー(海に運び出された量)がゼロなら、氷床に蓄えられた氷は差し引き変動なし、となるわけです。この氷の変動を、専門的な言葉では質量収支といいます。

添付したイメージはNASAのプレスリリースのサイト(http://www.nasa.gov/topics/earth/features/antarctica-20080123.html)からの転載ですが、カラーの部分は、氷床の流動速度を表しています(下記注あり)。殆どの沿岸域の流動速度は測れていますが、所々測れていません(グレーのまま)。そういうところは、色々な方法で推定をするわけです。何処でも均等に氷が流れているのではなく、幾つかの通路があることが良く分かります。

測定に誤差は付き物ですし、大きな数字同士の引き算をしてその差としての質量収支を議論するわけですから、なかなか確定的なことをいうのは難しいというのが実際のところですが、さてEric達の結果はどうでしょうか。要約するとこうなります。
1.東南極では、誤差を考えれば、質量収支に変化なし。
2.西南極では10年前に比べて59%も、南極半島では140%も質量減少率が増加している。
3.南極全体で見ると、1996年には112±91Gt/a(1年当たりギガトン)の質量減少でしたが、2006年には196±92Gt/aの質量減少となった。著者らは「南極の氷は確実に減っている」と確信しています。
4.幾つかの限られた地域における極端な質量減少が、地域平均にも影響を与えている。そのような地域は、氷の流れ下る「用氷路」があり、このような通路を通る氷の速度の変化が、南極全体の氷の量の変動に大きく影響を与える。

私が南極の研究を始めて10年以上が経とうとしていますが、この10年、ひたすら南極という存在がどんどん動的になってきています。氷床は静かでゆっくり動くもの、そういう古典的な理解はどんどん塗り替えられてきていますね。

注:記事を出した朝日新聞(http://www.asahi.com/science/update/0124/TKY200801240181.html)にも、上に引用した図が載っていますが、図の説明が違います。まず氷は「解けている」=「=氷から水になっている」のではありません。氷のまま海に出て行っています。また、色の説明ですが、色はあくまで氷の流動速度です、融解量ではありません。紫ほど氷が桁違いに早く流れています(ログスケールで表示)。朝日新聞もひどいなあと思って、元のNASAのプレスリリースを確認したら、プレスリリースのEricの元々の論文からの引用間違いを起こしています。朝日新聞の記者はそれを更に誤訳した模様。困った困った。。。

最後になりましたが、私は現在、米国シアトルにあるワシントン大学に勤務しております。西南極内陸部のおおよそ2万年以降今日までの変動、東南極の氷4kmの下にある氷下湖Lake Vostokの評価、レーダを用いた温暖氷河内を移動する水の検知、についてプロジェクトを進めているところです。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

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融解と流出 

          澤柿、2008/02/11(Mon)、No.1634

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レギュラー投稿者の澤柿です.当番日は偶月の第一水曜日です.今月はちょうど大学院の博士・修士論文発表審査会と重なり余裕がありませんでしたので,やや遅れ気味で投稿します.

今回は,この投稿の直前二つの投稿に関するコメントとして話題を提供してみたいと思います.

【1/30 南極で融解進む?】について
地球温暖化に関連して,南極氷床がどう反応するかという懸念が大きくなっていますが,松岡氏の解説にもあるとおり,報道記事の中で用いられている用語には誤用も多く,注意が必要です.いわゆる「南極圏」から低緯度側に飛び出してしまっている南極半島地域を除けば,南極地域は充分寒いので,現在の気温上昇レートぐらいでは急激で大幅な融解量増加にはつながらない,というのが基本的な考え方です.一方,南極氷床の体積を減少させる要因は,氷から水に直接かわる【融解】だけとは限りません.松岡氏の解説にもあるとおり,「氷流」という流れを通して海に直接【流出】してしまうプロセスもあるあわけです.マスコミに正確な報道を期待するには,この【流出】という概念を定着させる必要性があるを感じています.

この概念を伝えるために,私はかつて論文の中で「タライモデル」を示して説明したことがあります.左の図は,水を張ったタライの中に洗濯板があって,板の上に氷がのっかっているという様子を示したモデルです.これを南極氷床に当てはめると,氷はもちろん氷床で,タライの水は氷床をとりまく南極海に相当します.洗濯板は氷床の底にある基盤地質で,表面がざらざらしている洗濯板のように,氷が簡単に滑り落ちていかないように底面で支えています.

さて,ここで,氷が海へと戻っていく様子はどのようにたとえられるでしょうか?板上で融けた水がそのままタライに流れ下るという場合(図の水色曲線)もあれば,融解水が氷の内部に一旦蓄えられて(図の青色),それが何かの拍子に一気に解放されるという場合もあるでしょう.さらには,融解のプロセスを経ずに氷のままタライにすべり落ちて水につかることで融けてしまう場合もありうるわけです.つまり氷床氷と海水の分配問題では,氷床の氷がどのように海水に戻っていくかというプロセスを解明する必要性があることがおわかりいただけることと思います.

これらの中で現在注目されているケースは,滑り落ちる氷です.一言で言ってしまえば,南極氷床は【融解】するのではなく【流出】するのです.この現象を【氷床崩壊】と呼んでいる研究者もいます.また,氷の内部に蓄えられた融解水が放出されてしまうことについても,南極氷床の下に巨大な湖が多数存在することが明らかにされつつあって,注目されるようになってきました.ただ,これらの流出プロセスと温暖化との関係はまだ明らかにはなっていません.

将来を予測するには,すでに過去に起こった事象から学ぶことが役立ちます.過去の復元に関する研究で最も進んでいるのは,海水準の復元で,海水量の増減から逆算して過去の氷床量が復元されています.しかし,この復元方法では,プロセスは分からないままです.最近の調査で,流出プロセスを過去に渡って復元する手がかりが得られつつあります.氷の流出経路である「氷流」の流動域に,氷が滑ることによってできる特徴的な地形が存在することが明らかになってきたのです.この地形はドラムリンとよばれています.ドラムリン地形は,かつて氷床に追われていたけれども現在は氷に覆われていない地域に保存されている場合があり,野外調査によって詳細に観察することができますので,今後,氷床流出のプロセスを解明するのに役立つと期待されています.

実は,このドラムリン地形は昭和基地周辺の露岩域でもみることができます.また,昨年まで実施していた我々の観測プロジェクトでは,沿岸かの海底にも存在することも突き止めました.今後,これらの解析を進めていく予定でいます.


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新・南極観測船、進水式(前) 

                  成瀬廉二、2008/04/17、No.1664

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 新しい南極観測船の進水式が、昨(16)日正午、京都府の舞鶴港で行われた。ユニバーサル造船の舞鶴ドックに、東京および関西在住の南極観測隊OBおよび「しらせ」等の元幹部等、総勢50余名の一員として、進水式を見学した。

 南極観測船の建造費は、文部科学省を経由して予算要求し、予算が認められると防衛省が発注し、海上自衛隊が運用し、南極への物資と、人員の輸送を担当する。したがって、文科省や観測隊は南極観測船と呼んでいるが、防衛省としては自衛艦の一つで、正式呼称は砕氷艦である。

 進水式というのは、なんとなく「浸水」というイメージを抱いており、陸(おか)の上で建造した船を軌道の上を滑らせ海に下ろすこと、と思っていた。

 しかし進水式の開始前に船はすでに海に浮いていた。物資はもとより、燃料も水も積載していない張子に近い状態なので、ふつうは水中に隠れる船の底の一部が露出した、見慣れぬ姿であった(写真:船の後尾)。

 進水式は、防衛大臣が係留ロープを切断し、タグボートが船尾から牽引し、船が水上をゆっくり後に進む、という流れで、簡素に15分程度で終了した。

 本船は、来年5月竣工し、来年暮出発の第51次南極観測隊から活躍する予定である。なお、旧「しらせ」は耐用年数(25年)経過のため間もなく廃船となり、今年出発の第50次南極観測隊は、オーストラリアから砕氷船をチャーターする。


新・南極観測船、進水式 (後) 

                  成瀬廉二、2008/04/18、 No.1665

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 新船の進水式のつもりで行ったのだが、現場の横断幕に「命名式ならびに進水式」とあった。式典前は、船首の側面に書かれている「しらせ」の文字が垂れ幕で覆われており、「本艦をしらせと命名する」という防衛省代表の発声後、くす玉が割れると同時に幕が上がる(写真)、という段取りになっていた。

 本船が2代目「しらせ」と決まったいきさつは、以下のようである。まず、名前を一般公募した。その際、現存の船と同じ名前とはしない、という条件をつけた。また、自衛艦の名前には人名は採用しないことになっている。今の「しらせ」は、白瀬矗中尉に由来するのではなく、日本の基地付近にある白瀬氷河からとった、ということになっている(なお、白瀬氷河の名が白瀬矗にちなむことに異論をはさむ人はいない)。

 さて、公募の結果、やまと、ヤマト、大和が多かった。日本隊の調査地域に「やまと山脈」があるし、白瀬が1912年に探検した氷床域が「大和雪原(やまとゆきはら)」と命名されている。そういう点ではふさわしい名前と思われるが、自衛隊の艦に「やまと」はつけ難かったのであろう。

 名所旧跡から名前をとる、ことを基本にしているそうだが、船の規模、格と、名所旧跡のそれとのバランスも難しいらしい。結局、良い案が決まらず、大変おかしなことだが公募の条件を事後に取り払い、「しらせ」と命名したのである。当分は、「新しらせ」とか「しらせ2世」と呼ぶのであろうか。

 さて、「旧しらせ」は、今年8月に退役する。自衛艦だから、外国には売却できない。南極観測本部(文科省内)は、地方自治体に購入を募ったが買い手がなく、現在は民間に対して「国民、特に青少年の南極観測に対する関心と理解の増進に役立つ形で保存活用すること」との用途指定をつけた上で、時価で売りに出している。

 初代南極観測船「宗谷」は東京お台場にて「船の科学館」、2代目「ふじ」は名古屋港にて「南極の博物館」として一般公開されている。「ふじ」は「宗谷」の2倍、「しらせ」は「ふじ」の2倍の大きさがあるので、仮にどこかが買いとったとしても、補修および年間の維持管理費が膨大となり、なかなか引きとり手が決まらないらしい。

 その中で、稚内市が誘致運動をしている。
http://www.city.wakkanai.hokkaido.jp/section.main/kagaku.sinkou/sirasetop.htm
日本の最北都市、オホーツクの流氷にも隣接し、タロ・ジロの故郷、多くの南極観測関係者を輩出した北海道、という観点から、これが実現したら素晴らしい、と思っている。

 しかし、稚内誘致に最も大きな障害となっていることは、もし購入することができたとしても、稚内までの輸送費だそうである。横須賀で廃船となった後は、自分では航行できず、陸送も不可能、したがってタグボートで稚内まで牽引して行く以外にない。その輸送にかかる総費用は十億円を超えるらしい。その費用は買い手がもつ、という条件になっている。

 自衛隊が初任者の練習航海で稚内へ航行し、そこで廃船にすれば良いのに、などと思ったりもする。

 

シベリアの凍土 

               矢吹、2008/04/24、No.1666

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先週の4月13日から23日までロシアのヤクーツクに行ってきました。気温は最低気温がマイナス20度で昼間の気温が0度程度の気温でした。

ヤクーツクに訪問する前日に約10cmの降雪があり、今年の最大積雪深50cmを記録しました。この50cmという積雪は日本と比較すると非常に少ないのですが、気候値の40cmと比較すると非常に多い積雪になります。

さてヤクーツクでは1997年から観測を継続しています。10年間の観測を行うことで、最近とても面白そうなことが分かってきました。

ヤクーツクでは2004年以降、活動層の厚さが厚くなっているのです、しかし年平均気温はここ10年間でわずかな上昇は認められるもののほとんど変わっていないのです。では何故活動層の厚さが厚くなっているのでしょうか?

我々の研究所では長期の観測事実から、2004年以降に冬期の積雪深の深さの夏季の降水量の多さが活動層の厚さの増加と関係していることを明らかにしました。つまり冬期の積雪は大気の冷たさを地面に伝えない布団の役割、また夏季の降水量の増加は大気の熱を伝えやすくすることで活動層の厚さの増加に寄与していることが明らかになりました。

このことは私達の観測点だけでなく広範囲にわたって起こっていることも明らかになってきました。

このような広範囲にわたる永久凍土層表面の融解は地球温暖化に伴う気温上昇だけではなく水循環の変化(降水量の増加)にも大きな影響を受けることが分かってきました。

今年の冬期も積雪が多かったことから今夏の活動層の厚さもさらに厚くなるのではないかと予想しています。


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北極の氷と南極の氷 

               金森晶作、2008/04/26、No.1667

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北極と南極の違いを示す,良い画像データがありましたので紹介します。
オリジナルのデータはNASAの提供で,ポスター印刷に耐える,高解像度のデータもあわせて下記サイトで入手できます。

何度か成瀬先生が話題に取り上げられましたが,
#1606北極の氷,#1659『"環境問題のウソ"の...

温暖化に関連して話題になる北極の氷は
海の水が凍って出来た海氷と周辺の北極圏陸域にある氷を指します。
また,南極大陸周辺の海も北極海同様,海氷が出来ます。

添付した図では上図上部が北極,下図上部が南極です。
北極でも南極でも海が凍って白くなっている部分の氷は海氷にあたり,融けても海に浮かんでいる部分ですので海面上昇には直接寄与しません。
また,北極でも南極でも,陸の上にのっかっている部分の氷は融けたり海に流出すると海面上昇に直接寄与します。

この図は2005年9月21日,この年北極の海氷面積が一番小さくなったときのデータを元に海氷を描いています。
北極では夏に海氷が融け,次の冬,海氷が再び凍りはじめる直前に海氷の面積が一番小さくなります。ですから9月下旬に面積が一番小さくなるわけです。
逆に南極は冬がおわり,春の融解がはじまる直前ですから,海氷の面積は一年で一番大きくなる時期にあたっています。

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科学に関する話題をイラスト化して示すとき,
どこまで正確に示すか,
いかに誤解を与える要素を減らすか,
というのは悩ましいポイントです。
科学的なイラストは,見る人に全てが正しく描かれているという先入観を与えてしまいますが,細部が簡略化されていたり,よくわかっていない部分が想像で描かれていることはよくあります。

私がこの図を気に入ったのは,北極,南極ともきちんと海氷が示されていることです。
雪氷域の広がりについてはほぼありのままで,この図は誤解を与える要素が少ないのです。
また,地球を外からみたときには必ず雲があり,地表の全てを見渡すことが出来ませんが,その点もこの図は誤解を与えません。

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実はこの図も2005年9月21日にそのまま宇宙から地球をみた姿ではありません。
地表の色は2004年9月の平均的な地表の植生,雪氷域の広がりを,感覚的にわかりやすい色に調整して表示したものです。
それから,この分解能ではわかりませんが地形は高さ方向に強調されて示されています。
また,雲の画像は2001年に得られたデータを元に合成されています。

それでも直感的に受けて正しく理解出来るようなツボを押さえています。その点に感銘を受け,紹介させていただきました。

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南極観測に参加した画家 

                松岡健一、2008/05/16、No.1671

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イギリスの南極観測に参加した画家の話です。

当初、自然に興味を持って色々と作品を仕上げていたそうなのですが、そのうち、一緒に過ごす科学者が黙々と取り組んでいる科学に興味を抱くようになったそうです。科学者達がデータを読むときは、最初は「何か変わったこと、記録されていないかな?」と思ってデータを眺めます。そうして、普段と違う何かを見つけると、「これは、何か自分の間違いだろうか?」と装置の不具合等をチェックします。そして、本当に自然界で起こった出来事が記録されていると確信すると、今度は「なぜだろうか?」と考えだします。

データを眺めると書きましたが、鑑識眼を持った人が眺めれば見えるものでも、ボーと見ていては何も見えません。科学者達の仕事を横から見つめていた画家の人も、きっと「なんじゃこりゃ?」と首を傾げたことでしょう。だって、どう読んだら良いのか、さっぱり分からないのですから。

でも、そのうち画家は画家らしくデータを眺めだしました。そして、それを美しいと感じるようになり、こんな作品群を残しました。添付の写真は、彼のwebサイトからの拝借です。

こんな話がNatureだったかScienceだったか忘れましたが著名な科学雑誌のコラムに書かれていました。オンラインで読んでいた私はタイトルだけ見てこの画家のブログのページ
に飛んでいきました。まさか書き物だとは思わず、この拝借した写真を見ながら思わず「あ、これはよくある、あ、これは珍しい、余り見ない様子だな」などと考え込み、「いや、おかしくないか?」と疑い、拡大画像(彼のブログの写真をクリックすると拡大画像になります)を見て、だまされたと思って(笑)、それからやっと真面目に紹介記事を読み、事情を知った訳です。

この作品、科学的に紹介すると、飛行機から真下に向けて電波パルスを送り、その反射を記録したものです。下に連続して輝いている層が氷床とその下の岩との境界、上の輝いているのは氷床表面からの反射、その間は氷の微小な層位構造を反映しています。明るいところは電波を強く返してきたところ、暗いところは電波が余り帰ってこなかったところです。所々、層が途切れて暗くなっています。この原因は何なのでしょうか?仮説は色々とありますが、まだよく分かっていません。グリーンランドでも、東南極でも、西南極でも見かけます。いま申請書を書いているプロジェクトの中の1つの課題は、この黒くなっている奴の素性を明らかにすることです。

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北極のアート作品@お台場の科学... 

                        金森晶作、2008/07/08、No.1688

北海道大学低温科学研究所の金森です。
レギュラー投稿者ですが担当週からだいぶ遅れてしまいました。すみません。

以前,松岡さんが南極氷床のレーダー画像とアートのコラボレーション作品を紹介していましたが,同じようなコンセプトの作品展が東京お台場の科学未来館で開かれています。
2008年7月6日から8月17日まで,この展示だけを見るなら無料で入れるようです。

以下、引用です。
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Cape Farewell(ケープフェアウェル)は、科学者やアーティストが北極圏を航海するプロジェクトです。100年前に建造されたオランダの帆船に国際的なチームが乗り込み、氷に覆われた北極圏を航海します。
その主な目的は、気候変動の猛威を目撃すること。そして北極圏の急速な環境の変化を理解し伝えること。2003年から4回に渡って航海したCape Farewell(ケープフェアウェル)は、アート作品や研究成果を集めた展覧会を実施。バービカン・アート・ギャラリーの管理のもと、世界を巡回しています。
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いつか,私のいる北海道大学低温科学研究所へアーティストがやってきてドームふじアイスコアの写真を撮っていったことがあったのですが,その作品も展示されているようです。

一般市民に対して研究成果を身近に感じてもらうことを考えたとき,アートとサイエンスのコラボレーションはかなり有効なように思います。
南極展にデートへ行こうと誘うとちょっとマニアックな奴ととられそうですが,アート作品なら女性にも受けそうですし。

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西南極氷床の崩壊による海面上昇. 

                     成瀬廉二、2009/06/09、No.1797

 半月ほど前だったか、表題のような記事が毎日新聞・他に小さく載った。米科学誌サイエンスに発表されたイギリスの研究者等の論文によると、西南極氷床の融解による海面上昇は3.2 mで、従来の予測値のおよそ半分である、という主旨であった。

 観測の精度が高まり、データが豊富になったとは言え、西(西経領域の)南極氷床の氷総量の見積もりが半分になるとは考えられず、さっそくその論文をさーっと読んだ。まず、ここで前提となっている「海洋性氷床不安定(MISI)仮説」とは、氷床周縁の棚氷が消失すると、基盤が海面下かつ内陸に向かって傾斜している氷床では次々に崩壊(氷山として分離)が進み、安定ではない(止まらない)、というものである。

 著者らは、アイスレーダの観測データから基盤地形の傾斜を詳しく解析し、重力人工衛星(GRACE)データをも使いジオイドの形態を調べ、計算、分析した。その結果、MISI仮説が起こったとして生き残る氷床の範囲を図の左Aに示す。右Bが従来(Mercerほか)の予測である。Aの方がBより大きい。
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 Bによる海面上昇は5ないし6 mであり、本研究のAは、ジオイドの変化により場所による変動が大きいが、平均海面上昇3.2 mということになった。ただし、Bamber等はMISI仮説の妥当性とかを議論しているわけではなく、起こったとしたら全世界にどういう影響があるのかを評価したものである。

Jonathan L. Bamber, R. E. M. Riva, B. L. A. Vermeersen, and A. M. LeBrocq: Reassessment of the Potential Sea-Level Rise from a Collapse of the West Antarctic Ice Sheet, Science 324 (15 May 2009).



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