噴石雪崩、シェルター、活火山、スラッシュ雪崩、防災体験施設

草津、噴石落下による雪崩
                           投稿日:2018/01/26、No.422
 1月23日午前10時頃、群馬県草津町の本白根山(2171 m)が噴火した。

 同日昼から夕方にかけてテレビ各局のニュースで、自衛隊からの情報として「10時25分ごろ、草津国際スキー場の振子沢コースで雪崩が発生し、陸上自衛隊員6人と一般スキー客が巻き込まれ、7名が病院に運ばれたが、内1名の死亡が確認された」旨、報じられた。

 しかしながら、翌朝の新聞各紙では雪崩の記事はなく、自衛隊員の死因は噴石が身体に強打したため、ということが明らかにされた

 では、噴火直後の「雪崩」は単純な誤報か、情報伝達ミスだったのだろうか。自衛隊は雪上訓練中だったので、指揮者等が雪崩に無知だったとは考えられず、またスキー場関係者が直後救援に駆けつけているので、雪崩が死傷の原因ではなかったことはすぐに分かったはずである。

 一方ネットでは、「草津白根山ゴンドラ雲上カメラ」による噴火直後の動画が公開されていたので、それを繰り返し注視した。
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 写真(ユーチューブ画面より)の中央白い帯は林間スキーコースであり、右下から左上の方向に大勢がスキーで下って(逃げて?)いるのが見える。

 右上から真黒な噴煙が迫ってくる。噴煙の塊の少し前方、直下にて、時々真っ白な雪煙が高く上がり、その左右下方の林間のあちこちで雪面が少し流れ下っているように見える。

 これは恐らく、雪面に落下した噴石の刺激により、表層の雪が崩れて流れ落ちるスラフ(sloughまたはsluff:点発生表層雪崩)ではないかと推察する。

 大気中を物体が落下するとき、同じ比重なら体積の大きい方が速度は大きくなる。したがって、火山灰、水蒸気、ガスとともに噴出した岩石は、噴煙の塊より速く飛び、かなり前面に落下することもある、と考えられる。

 そのため林間コースにいた自衛隊員たちは、黒い噴煙に覆われるより前に、多くのスラフを見かけたか、遭遇したのではないかと思う。白根山の噴火は全く想定外だったので、小規模ながらも雪面の雪が流れたので、雪崩と判断したことは当然と言える。


避難小屋と火山シェルター
投稿日:2018/02/10、No.425

 鳥取県の主要な山である大山、氷ノ山、扇ノ山、那岐山などは、頂上にかなり立派な避難小屋がある(写真:氷ノ山<1510 m>、2012.7.29)。これらの小屋は、一時的に風雨を凌いだり、休息したり、もちろん宿泊することも自由である。
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 このような避難小屋のことを、英米ではrefuge(レフュージ)、あるいは単にshelter(シェルター)と言う。シェルター(退避壕)には防御の目的により様々な種類があるが、火山地域のものは噴石シェルターとも呼ばれている。

 報道によると、2014.9.27噴火の木曽御嶽山や今年1.23噴火の草津本白根山にはシェルターがなかったそうである(白根山には複数あり)。

 現状は、国内の111の活火山に対し、シェルター等が整備されている火山は12あり、多くは市町村が設置・整備している(内閣府、2015.12)。その実物を見たことはないが、写真によると、形式は四角形、円形、カマボコ型や半地下壕型などいろいろあるようだ。

 メディアや有識者の一部は、災害を軽減するため退避シェルターの整備促進を提言している。

 しかし私は、この意見に必ずしも同感ではない。その理由は、噴石シェルターは火砕流や有毒ガスにはまったく役立たないこと、一時的に逃げ込んだとしても雨宿りではないのでいつ脱出すべきか判断が難しいこと、大きな石の落下に耐える頑丈な施設は普通の避難小屋に比べて多大な費用がかかるからである。

 これよりも、観測網の充実と適切な火山活動情報をさまざまな場に公表することの方がより重要だと思う。とは言え、火山噴火の予測が十分できない現状では、シェルターがあれば命を救える確率が少しでも高くなると考えられるのであれば、このようなハード対策も場所を限って併用することも必要だろう。


近畿・中国地方の活火山
投稿日:2018/02/25、No.429

 昔、と言ってもそんなに古くない40年前頃までは、日本の火山は活火山、休火山、死火山の3つに分類されていた。例えば富士山は、現在は噴火活動をしていないので休火山であった。

 しかしこの3種類の基準があいまいなこと、および防災の観点から、1975年火山噴火予知連絡会は歴史資料に噴火記録のある火山を活火山と見なすことにし、後に地学データをも踏まえ「過去2千年以内に噴火した火山」に変更し、2003年には「概ね過去1万年以内」と改め、活火山の数は昨年男体山が追加され111となった(気象庁)。

 すなわち休/死火山という用語は使わないことにしたので、日本のすべての火山は、活火山か、その他の火山の2種類に分けられたことになる。死火山は科学的には不適切な用語だが、休火山はあっても良いのではないか、と感ずる。

 さて、この新しい活火山リストを何回か見たことはあるが、それらの地理的分布などを詳しく眺めたことはなかった。白根山や三瓶山の話題を機に、若干調べてみた。

 まず活火山111の内、国後・択捉島11、小笠原・南西諸島など28を除くと、日本四島で72となり、その内訳は、北海道20、東北18、関東・中部19、中国2、九州13である。

 近畿7府県と四国は活火山がなく、中国地方の内、広島、岡山、鳥取県もゼロである。山口県からは阿武火山群(笠山、112 m)が選ばれている。

 伯耆大山は大きな火山だが、最後の活動は2万年前なので該当しない。この他、鳥取県には扇ノ山、氷ノ山ほか火山が多くあるが、いずれも噴火は古い。

 近畿地方で最も新しい火山と考えられている兵庫県西部の神鍋火山は、活動年代が約2万5千年前である(山陰海岸GP)。
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 山陰を代表する若い火山は三瓶山で、最新の噴火は3600年前である。写真は、女三瓶山頂上から見た(左)孫三瓶山、(右)子三瓶山(961 m)で、山々の手前に旧火口がある(2014.8.21)。

 以上のように、火山列島日本と言われながら、九州を除く西日本には新しい火山が多くはないこと改めて認識した。


富士山のスラッシュ雪崩
投稿日:2018/03/15、No.433

 3月5日の大雨の影響で、同日午後4時頃、富士山西側の通称「大沢崩れ」付近で大規模なスラッシュ雪崩が発生した。国交省砂防事務所が標高2200 mと1500 m付近に設置している監視カメラに映像が記録されていた。(産経ニュース・他より)

 スラッシュ(slush)とは、水でほぼ飽和した雪、または水の中に多量の雪粒が混ざった状態のことを指し、融雪期の舗装道路上で見られることがある。このような雪は流動性が高く、山腹斜面を流下する場合、スラッシュ雪崩と言う。

 同スラッシュ雪崩の映像をYouTubeで見ると、水を含んだ雪の流れというより、土砂混じりの黒い水の急激な流出の様であった。

 富士山周辺では、このような融雪期の出水や土石流は「雪代」(ゆきしろ)と呼ばれ、16世紀から記録があり、時には人家に被害を生じさせた。

 安間荘(2007)によると、スラッシュ雪崩が流下中に斜面の土砂を取り込んでスラッシュフロー(flow)となり、さらに山麓では雪は融けて水に変わりラハール(lahar:火山地帯の土石流)へと変化するが、雪代は、これらの一連の現象を指す。

 富士山では、1940~2005年の間に顕著なスラッシュフローが29回確認された(安間)。これらの大半(19回)は春(3-5月)に起こっている。

 静岡県富士市では、3月5日の昼過ぎまでに降水量は約70 mmに達し、最高気温は17℃を超え、スラッシュ雪崩の発生条件は整っていたようである。

 しかし、積雪のある山地でこのような気象条件は、日本列島のどこでもあり得る。だが、雪代は富士山だけである。

 富士山では積雪下の凍土が水を透過させないので融雪水や雨水で満ちたスラッシュが生成されやすいから、と考えられている。しかし、積雪期の現地観測は容易でないので、詳しいメカニズムは未解明である。
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[写真:静岡県小山町から見た富士山。2017.12.3]


防災体験学習施設
投稿日:2018/06/17、No.453

 日本各地の都市に、防災センターやプラザという、防災を体験しつつ学習する施設がある。その内の一つ、おそらく西日本ではトップクラスの内容を誇っていると思われる大阪市立阿倍野防災センターをぶらりと見学に行ってきた(5月17日:写真)。
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 当センターは、映像や振動、地震発生直後の街並みなどを体感し、消火・避難・救助といった災害時に必要な一連の行動を関連づけてリアルに体験することができ、わかりやすく災害について考え、学べるよう工夫された施設となっている(センターの紹介文より)。

 まず、 地震災害体験ゾーンには、30分から100分までの4つのコースが用意されている。最長の100分コースでは、以下の10種の体験または実習を行う。

 バーチャル地震(映像)、震度7地震(振動室)、火災発生防止、煙中避難、初期消火、119番通報、消火、救出、応急救護、災害後の町並み。

 原則的には予約制だが、受付にて「##時からの60分コースに空きがありますので、よろしければどうぞ」と言われたが、そもそも体験学習をする積りはなく、どういう設備と内容なのかを知りたかっただけなので、15分ほど駆け足で覗いただけで退室した。

 当日は台湾の団体が来ていたそうである。行政、自治会、学校、職場などの防災責任者や担当者にとっては、単にマニュアルを読み講演を聴くだけより、このような体験実習は非常に有効であるに違いない。


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