鳥取地震2016、鳥取大雪2017、大山雪、那須雪崩、1994十勝雪崩

鳥取市 震度5強 
                   投稿日:2016/10/22、No.295
 昨(21)日14:07、鳥取県中部(三朝温泉付近)を震源とする内陸直下型のマグニチュード6.6の地震が発生した。

 そのとき私は自宅の居間で、昼食後、新聞とテレビを見ていた。最初のショックはドンと縦揺れが大きく、直ちに立ち上がり、家具が倒れても物が落ちても影響がなさそうな場所で、重心をやや低くした体勢をとった。

 しかしその後は、最初の一発を越える大きな揺れはなく収まった。カップボードのグラスやワインが落ちるかな、と思ったが、倒れた物品は一つもなく、書棚から本が落ちることもなかった。

 テレビは、NHKも民報の全国放送も、すべて地震関連に切り替った。どのチャンネルも気象庁発表として「倉吉市ほか 震度6弱、鳥取市 震度5強」と報じた。しかし、近所の家々で慌しい動きとか、被害の情報は聞こえて来ないので、震度5強はなく、4強か5弱程度ではないかと思った。

 あとで、気象庁発表の地震情報を見て、分かった。
 鳥取市内の観測点(吉方のみ気象庁、他は地方自治体等の震度観測点)では、次の通りだった。

 震度5強:鹿野町、青谷町、
 震度5弱:吉方、浜村、
 震度4:吉成、福部、河原、用瀬、佐治、宮下

 つまり報道機関は、鹿野町と青谷町のデータから「鳥取市 震度5強」としたのである。もちろん誤りではないが、両町は旧鳥取市の西隣であり、震源に近い。上記の内、鳥取市街に含まれる地点は吉方と吉成である。そこは、まさに5弱か4である。
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 なお、震源に近く震度6弱の倉吉市では被害が大きく、観光名所の白壁土蔵群(写真:地震前、2011.4)の白壁と瓦が崩落したそうである。


鳥取地震 被災状況 
投稿日:2016/10/25、No.296

 10.21鳥取県中部地震の中心地域の被害状況を、視察とか調査と言うとおこがましいが、自分の目でしかと把握したく、震度6弱を記録した倉吉市、湯梨浜町、北栄町および震源地の三朝町を昨(24)日ぐるりと見て廻った。
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 これらの地域のところどころの家で、屋根全面あるいは棟がブルーシートで被われていた(写真<左>:湯梨浜町の集落)。さらに、複数の人が屋根の上で点検や相談している光景も見られた。その家の主人と思われる人が、「瓦の間に土がこぼれ出ているでしょう。瓦がずれたんだ」と語っていた。

 4市町の一部地域を観察した限りでは、屋根以外の損壊はほとんど見られなかった。写真<右>のように白壁が崩落した建物は、倉吉土蔵群の中でここだけである。他の土蔵および周辺小路の多くの土産物屋などは、すでに復旧開店している。だが、観光客はポツポツとしか見かけない。 

 これら震源に近い地域では、外からでは見えない大きな災害を被った製造業や販売業もあるに違いない。しかし、メディアの報道から想像されるような「甚大な被害」はない。あくまで、震度6弱による被害の程度である。

 20年前までは、震度は観測者の体感および周囲の状況から判定し、無感、微、軽、弱、中、強、烈、激震の8段階だった。1996年からは、震度計により観測されたデジタルデータを定められた手順に従って計算、解析し、0~7+2の10階級にて、地震後ほぼ瞬時に速報している。

 この計測震度は、地震による揺れの強さ(加速度や速度など)の最大値を反映するのではなく、1回の地震の全震動データをもとに算出される。この現在の震度と建物被害との対比は、気象庁の解説によると以下の通りである。

 震度6弱:「(耐震性が低い木造建物は)壁などに大きなひび割れ・亀裂が入ることがある。瓦が落下したり、建物が傾いたりすることがある。倒れるものもある」

 この20-30年以内に建てられた木造住宅は一般に耐震性が高いので、震度6弱では損壊することはない。今回の巡回では、新しい住宅街にてブルーシートで被った屋根を見かけることはなかった。


地震に伴う大雨警報基準変更 
投稿日:2016/10/30、No.297

 鳥取地方気象台は、10 月21 日の鳥取県中部地震の直後、「10.21地震に伴う大雨警報・注意報発表基準の暫定的な運用について」という報道発表を行った。

 インターネットでこの標題を見て目を疑った。地震が気象現象に影響を及ぼすはずがないので、何を言おうとしているのか、と。そこで気象庁・他による警報等の解説を読んだ結果、すっきりとはしないが、概ね意味が分かった。

 気象庁は、大雨や強風などの災害が起こるおそれのあるときは、弱い方から強い方の順に、「注意報」「警報」「特別警報」を発表している。ここでは、複雑さを避けるため、話を「警報」に限ることにする。

 警報には、大雨、洪水、暴風、暴風雪、大雪、波浪、高潮の7種類がある。雨関係、雪関係、海水関係がそれぞれ2種類あるが、ときどき聞くことがある土砂災害警報がない。

 実は気象庁は、「大雨警報」を発表する際に、特に警戒を要する災害として「大雨警報(浸水害)」や「大雨警報(土砂災害)」のような見出しを付している。このうち、浸水害は予想される雨量を基に発表している。

 一方、土砂災害の大雨警報では、2008年より、土の中に貯まっている水の量を考慮した「土壌雨量指数」を導入して基準に用いている。

 大きな地震が起こった地域では地盤が脆弱になるため、雨による土砂災害の危険性が通常より高いと考えられ、気象庁は、震度6弱だった地域では暫定的に、土壌雨量指数の基準を通常値の7割に引き下げることを決めたのである。すなわち、少ない総降水量でも土砂災害が発生し得る、という判断である。

 崖崩れ、地滑り、土石流などは確かに甚大な災害を引き起こすことがあるが、雨が降る、降らない、大雨になるか、否かは、多くの一般人の行動判断に重要なので、やはり大雨警報・注意報は雨に特化して、予想降水量のみに基づいて発表した方が良いと思う。

 なお近年は、大雨警報発表後、さらに重大な土砂災害の恐れがある場合、「土砂災害警戒情報」を都道府県と気象台が共同で発表している。土砂災害の警報はこれを活用すればよい。
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 [写真]智頭往来の小規模な崖崩れ(2016.6.11)

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Photo: 1月大雪直後の鳥取市街(2017.1.24)

日本列島に広く積雪 
投稿日:2017/01/17、No.322

 1月上~中旬にかけて、長期に続く強い寒波の影響で、日本列島各地に多くの雪が降った。

 1月14日、豪雪地として有名な酸ヶ湯(青森)では積雪深236 cm(同日の平年値は219 cm)、肘折(山形)では253 cm(平年値169 cm)、津南(新潟)では196 cm(平年値139 cm)を記録し(気象庁データ)、例年よりかなり雪が多いことを示している。

 一方、15日、平年値は積雪ゼロの名古屋で4 cm、京都で14 cm、広島で19 cmの積雪深となった。このように、日本海側の広い地域と、同時に脊梁山脈の風下側の一部地域に多くの雪が降ったことが特徴的である。

 鳥取市では、昨年12月15日、気象台が「初雪を観測」を発表し、その後正月明けにかけて数回あられやみぞれが見られたが、積雪の観測データとしては「――(なし)」または「0 cm」(雪はあるけど機器では測定されず)であった。すなわち、空き地や芝生や屋根が一時的に白くなることはあったが、1月13日の積雪深6 cmが実質的な初積雪となった。
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 翌14日に積雪深17 cm(同日の平年値9 cm)に達した(写真:久松山と鳥取城跡、15日12時)。しかし、冬期の最大積雪深の平年値46 cmに比べると、まだだいぶ少ない。


高田(上越市)の大雪 
投稿者:横山宏太郎、 投稿日:2017/01/15、No.320

この冬一番の寒気で、各地で大雪と報道されています。

 当地、新潟県上越市の旧高田地区にある高田特別地域気象観測所のデータによると、積雪深は13日8時の14cmから14日8時には65cmとなりました。一日で積雪が50cm以上増えたことになります。雪に慣れているはずの当地でも、急に50cmも増えると、交通機関に影響が出たり、道路や駐車場の除雪などに苦労することになります。また、除雪中の事故も起こります。

 14日の日中は、降ったり止んだりでしたが、積雪深はほとんど増えず、夕方に70cmでした。

 一方、妙高の山に近い関山(標高350m)では、同じ日中で40cm以上増えましたので、いわゆる「山雪」傾向になったようです。
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 写真は14日の降雪中の様子です。


快晴の高田 
投稿者:横山宏太郎、投稿日:2017/01/20、No.324

 1月18日は、よく晴れました。No.321の写真とほぼ同じ方向です。
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 右の高い山は妙高山(2454m)、左手遠方の鉄塔の左の白い建物は、北陸新幹線・上越妙高駅です。
 積雪深は54cmまで減りました。
 次の寒気を控え、雪の始末はだいぶはかどったと思います。


鳥取、5年振りの本格的雪 
投稿日:2017/01/23、No.325

 鳥取では昨(22)日18時頃までは積雪ほぼゼロだったが、その後今朝にかけて雪が降り続き、今日(23日)10時現在、積雪深は39 cm(鳥取気象台)となった。写真は、23日08時、鳥取久松地区にて。
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 過去4冬期、鳥取では雪が少なく、2012年2月19日の71 cm以来の本格的な積雪となった。しかし、冬期の最大積雪深の平年値46 cmには達していないので大雪とは言えない。


鳥取、大雪 
投稿日:2017/01/24、No.326

 鳥取市の積雪深は、本日(24日)12時現在56 cm(気象台)となり、冬期の最大積雪深の平年値(46 cm)を超えた。
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 写真は、降雪の中断時(11時30分)に、鳥取城跡から見た鳥取市街である。そもそも車や歩行者は多くない鳥取市内だが、今日は通常に比べてさらに少ない。今のところ、大雪による目立った障害はない。

 一方、鳥取県南部の智頭町では本日9時時点で積雪深が1 mを超え、鳥取市から岡山県に向かう国道で200~300台の車が立ち往生している(報道による)。


鳥取の大雪おさまる 
投稿日:2017/01/25、No.327

 この度の山陰の大雪にて、鳥取市の積雪深は昨(24)日13時の57 cmが最大だった(気象台)。本日昼頃には雪降りも収まり、久しぶりの青空も現れた(写真:鳥取市、仁風閣、15時)。
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 一方、鳥取市の南25 km内陸の智頭町アメダスでは、昨日18時と19時に積雪深111 cmを観測し、1月としては観測史上最大、冬期を通しては1984.2.10の135 cmに次いで史上第2位を記録した。

 かつての宿場町智頭は、現在でも交通の要所となっている。すなわち鳥取~京阪神のJR+智頭急行、および鳥取から中国自動車道佐用ICまでの無料高速道が智頭町を通過する。

 昨(24)日、東京から鳥取への空路5便はすべて欠航した。また、京都-姫路-智頭-鳥取の特急は、早朝の1本が大幅遅延、以降の5本は全て運休となった。

 残るは道路交通だが、無料高速道が雪のため一部区間通行止めとなり、ほぼ並行している国道がスタック車のため大渋滞というか長蛇の立ち往生となった。

 23日夜、高速バスで東京を発った知人は、通常は9時間余りで翌朝鳥取へ着くのだが、佐用-智頭間で渋滞のため動かなくなり、結局20時間遅れで2日目の早朝帰宅したそうである。


鳥取、22年ぶりの大雪 
投稿日:2017/02/11、No.332

 昨(10)日未明から雪が降り出した鳥取市では、ほぼ終日降り続き、本日(11日)11時現在、積雪深は85 cm(鳥取気象台)となった。これは、1995年2月1日(88 cm)以来、22年ぶりの大雪となった。
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 鳥取市街の空き地では、ところにより積雪深が100 cmを越えている(写真:2月11日09時)。今も静かに降り続いており、明日いっぱいは雪または霙の予報である。


鳥取、観測史上5位の大雪 
投稿日:2017/02/12、No.333

 鳥取市の積雪深は、昨(11)日13時と14時に91 cmとなり、1983年12月(95 cm)以来33年ぶり、鳥取気象台の観測史上第5位の大雪となった。
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 写真は久松公園の芝生広場。左下に、高さ1 mの尺が1 cmだけ雪面から頭を出していることが分かる(11日、16時)。

 市内では、風が弱く静かに降り続けたので、積雪は表面から底面まで、非常に柔らかく、やや重い新雪となった。

 北海道のような寒冷地で、静かに積もった新雪(いわゆるパウダースノー)では、その上を歩こうとすると腰まで埋まるが、雪をはねのけ、掻きわけて進むことができる。しかしこの柔らかい湿雪はそうは行かず、大変な労苦であることを改めて知った。


雪による交通障害続く(鳥取) 
投稿日:2017/02/13、No.334

 昨日に続いて今日(13日)、鳥取市内のすべての路線バスが「大雪により安全運行の確保が困難なため」運休している。道路除雪が十分でないため、あちこちで車がスタックされている状態だからだろう。

 また、鳥取市のすべての小・中学校は、今日「児童生徒の登下校時の安全配慮のため」臨時休校となった。歩道は、ほとんどの場所で除雪されていないからである。
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 写真は、鳥取城跡堀端通りを歩く通勤者たち(13日、07:45)。左側に、歩道と自転車道があるがそこを歩く人はいない。

 このような交通障害が何日も続くのは、北海道~北陸の雪国のような除雪体制が整っていないからである。多くの課題があるが、例えば、道路除雪を請け負う土木・建設業者にとっても、一年に何回使用するか分からない、ゼロかも知れない、除雪機械を保有することは経営上難しいらしい。

 本日11時現在、積雪深は76 cm(気象台)、ときどき霙または雨である。


山陰の大雪収まる 
投稿日:2017/02/16、No.335

 2月10日から降り続いた北陸~山陰地方の大雪は、一昨日(14日)でひとまず収まり、昨日から良い天気となった。本日(16日)、鳥取市の14時の気温は14.4℃、15時の積雪深は38 cmとなった。

 新聞やテレビの全国ニュースで鳥取の雪の状況が頻繁に取り上げられた。本当に鳥取が格段に雪が多かったのか、あるいは普段はあまり降らないところに多く降ったので障害が多発したのか、気象庁のデータにもとづき調べてみた。

 そのため、本州の北から南まで、日本海側の海岸近くで(山間地を除き)、積雪深を自動で観測している気象台またはアメダスにて、2月10日~12日の3日間合計の降雪深(注)を算出する。(①-⑦は順位)

 鯵ヶ沢:18 cm。能代:23 cm。秋田:39 cm。
 酒田:8 cm。新潟:2 cm。高田:25 cm。
 富山:20 cm。金沢:7 cm。福井:35 cm。
 ⑥敦賀:61 cm。⑤舞鶴:66 cm。③豊岡:90 cm。
 ③香住:83 cm。①鳥取:105 cm。④倉吉:81 cm。
 ⑦米子:52 cm。松江:34 cm。下関:2 cm。

 以上、海岸に近い平野部のデータを見る限り、確かに鳥取市が一位で、敦賀・舞鶴から倉吉・米子におよぶ、西日本の日本海側に多くの雪が降ったことが明らかとなった。

[注] ある期間に降った雪の量を簡易に観測する方法はない。雨量計は雨と雪の合計だし、雪の捕捉率は良くない。
一方、積雪深計は、柱の頂部から超音波により雪面までの距離(= 柱高-積雪深)を連続的に測定する。毎時の積雪深が増加した場合、その増加分を1時間の降雪深(または、量)と呼ぶ。降雪後、積雪は融けたり縮んだり(圧密と言う)するので、積雪深増加分は真の降雪深と等しくはない。また、毎時の積雪深が減少または変化なしの場合は「降雪なし」とする。
 一時間ごとの降雪深を24時間合計した値を、日降雪深(または24時間降雪量)と言う。ある期間にわたる日降雪深の合計値は、累積降雪量や期間降雪量と呼ばれる。
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 [写真] 鳥取市内の駐車場(2月12日10時)


鳥取の雪による被害 
投稿日:2017/02/20、No.336

 2月10日から13日まで降り続いた雪のため、鳥取県では食料品から廃棄物に至るまでの諸々の物流に大きな障害が生じたが、これらの被害の程度を数値で示すことは難しいので、従来の雪国の豪雪災害に比べてどうなのかはまだ明らかではない。

 しかし、雪が直接引き起こした人的、物的被害は、「大雪に係る災害(第24報)」として鳥取県危機管理局から公表されている。それによると、2月9日~17日では、全壊・半壊の住家はなく、死亡事故は次の2件である。

a) 2/11、鳥取市、40代男性(大型トラックの運転者が、雪から脱出のための作業中、車輪に巻き込まれる).
b) 2/15、八頭町、80代男性(屋根雪の除雪中、転落).

 一方、消防庁は毎年、全国の「雪による被害状況等」を、死傷者数、要因、倒壊家屋数などに整理して発表している。


 過去6冬期の雪による死者数(交通事故を除く)は、
2010-11年:131人、-12年:133人、-13年:104人、-14年: 95人、-15年:83人、-16年:27人
となっており、例年100人前後だが昨年は格段に少ない。

 死亡要因は「屋根雪下ろし・除雪作業中」が圧倒的に多く、死者数の70~80%を占めている。上記鳥取県のa)は特殊な事例、b)はよくある事故と言える。
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 [写真] 大破した農業用ビニールハウス(智頭町、2月19日).1月24日の大雪(智頭町の積雪深111 cm)にて破壊したものと思われる.


雪の伯耆大山 
投稿日:2017/03/01、No.338

 昨日(2.28)、鳥取県は久しぶりに好い天気になった。鳥取気象台の目視観測による「天気概況」では、本年2月に入ってから、(日降水量は0ミリでも)一時雨、雪、あられ、みぞれのいずれの記載もない日は、15日と昨日のみであった。

 そこで28日、山や雪や(花)を見ようと、伯耆地方へ行ってきた。
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 写真(14時)は、大山寺橋(標高770 m)から見た大山連峰の三鈷峰(さんこほう:1516 m)である。同峰は、無雪期は岩石の崩壊が激しく、積雪期は氷壁や雪崩のため登攀の難度が高く、一般の登山者は近づかない。

 なお、大山寺に程近い大山アメダス(875 m)では、2月12日に最大積雪深264 cmを記録し、28日は158 cmに減少していたが、同日の平年値111 cmに比べるとまだかなり多い。


那須岳雪崩 
投稿日:2017/03/30、No.344

 1)3月27日、栃木県の那須岳(別名、茶臼岳:1915 m)の南東斜面で大規模な表層雪崩が発生し、登山講習会に参加していた高校生46名の内7名と引率教諭1名の計8名が犠牲となる悲惨な事故となった。

 その第1報をテレビで聞いたときは、現場はスキー場または隣接地ということだったので、現地に詳しい熟達した山岳ガイドでも予期できない、何か特別異常なことが起こったのか、と思った。

 翌28日、NPO法人日本雪崩ネットワークが雪崩の現地調査を実施し、積雪の調査結果等の速報を同団体のウェブサイトにて公表した。その速報や報道写真によると、雪崩遭遇現場はゲレンデ゛中央より標高100 mほど上で、そのさらに上方には樹木の少ない雪原が広がっている。

 新雪が雪崩れやすい雪かどうかの評価(雪柱に力をかけるテスト)は、練習を積まないと難しいが、その前にまず、まとまった雪が降った直後は、急傾斜の広い斜面では、雪崩の可能性を感じなければならない。その結果、少しでも危険がありそうに思ったら、その後の行動様式を検討すべきである。

 昨日、本講習会の実施責任者(高校山岳部の顧問教諭.事故当時は本部詰め)の記者会見をテレビの生で見た。同氏の危機感の欠如に唖然とした。雪崩の知識がはなはだ乏しいようにも思われた。

 同氏によると、登山経験が自分より豊富な副責任者ともう一人の引率者が現場では指揮をとっていたそうである。この種の痛ましい雪崩事故を繰り返さないために、彼ら2人が雪崩に対してどう判断し、行動を決め、5つの班の各リーダーに伝達し、それらのリーダーはどう受け止めたのか、など詳細に語ることを望みたい。

 
那須岳雪崩(続) 
投稿日:2017/04/02、No.345

 栃木県高体連主催の「春山安全登山講習会」にて、27日の訓練行動の是非、および登行ルートの選定などに重大な誤りや過失があったかどうかは、今後、関係者内部および外部の委員会や組織で検証されるであろう。

 ここでは、雪崩発生後の現地の対応が適切であったかどうか考えてみたい。

 まず、報道各紙の記事をもとに、当日の経過をまとめる(時刻は、いずれも「頃」)。
08時:訓練5班、ゲレンデ出発
08時30分:雪崩発生
09時15分~20分:引率者の一人が本部到着。本部の責任者が110番通報。
10時~:消防等の救助隊、スキー場着。
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 雪崩に流され、埋没した場合、主に窒息のため30分を経過すると約半数は死亡する(日本のデータ:図)。そのため、雪崩直後の15分が勝負であり、自分たちで仲間を探すことが重要である。

 したがって、引率者が伝令のため山を駆け下りるのではなく、一人でも多くの元気な者が、埋没者を探し、掘り出す作業を続けなくてはならない。その後、万事休したとき、救助のプロを要請する。これがふつうの災害とは違う点である。

 訓練生らは雪崩ビーコン(電波発信機)を身に着けていなかった。メディアではこれを批判的に報じたが、ただビーコンを携帯していれば役立つというものではない。雪崩に埋没しなかった者たちは、直ちにビーコンを発信から受信に切り替え、沈着かつ迅速に埋没者を捜索する。

 ビーコンを有効に利用するためには、それなりの実習が必要である。しかしこれは、万一の場合の対策なので、雪崩に遭わない、あるいは回避するための知識と判断力の習得が先に必要である。

 3月下旬は、下界は春であっても、山は冬である。この時期に、「春山安全登山講習会」を行うのなら、雪崩の講習と実習は不可欠である。それをしないのなら、冬山登山禁止ではなく、積雪期登山禁止としなければならない。


1994十勝雪崩について
 投稿者:遭難学生さんの同級生、 投稿日:2017/05/02、No.352

 本当に偶然No.319「島原半島へ」のページを見つけて、彼のことが懐かしく、一言お伝えしたくコメントいたします。

 教養の同級生でした。たしか寮生でいつも雪駄を履いていて、「どうして下駄を履いているの」と尋ねたら「これは雪駄だよ」と笑っていたことを覚えています。学生実験の折にも履いてきて、危険だから靴にしなさいと注意されていました。

 滑落して亡くなったと聞いたときは、非常に大きな衝撃を受けました。
まっすぐな瞳、はにかんだ笑顔が今もまぶたに焼き付いています。彼のことは私もずっと忘れないと思います。

Re: 1994十勝雪崩について
投稿者:成瀬廉二、 投稿日:2017/05/04、No.353

 遭難者の同級生さん、コメントありがとうございます。

 検索の結果この記事にたどり着いたわけではなく、何かを探していたら偶々「十勝岳の雪崩」を見かけた、ということのようですね。そして、その人が単に同級生ではなく、親しい友人らしい。この偶然の出合いには驚きました。

 当時の雪崩事故の状況を、『十勝連峰OP尾根の雪崩』(成瀬、2002,「決定版 雪崩学」山と渓谷社)から抜粋して以下に示します。

 1994年12月3日、十勝連峰大砲岩から北西に伸びるOP尾根の稜線上を4名が4~5mの間隔で歩行中に、厚さ20~30 cmの固い雪層に亀裂(クラック)が入り、直後に両側の斜面に板状の雪が流下し、谷底へ流れ落ちる大きな雪崩となり、1名が遭難した。
 この稜線上で雪崩れた雪は、アイゼンの刃が2~3 cm埋まる程度の比較的固い雪層(hard slab)であったため、以後、ハードスラブ雪崩と呼ぶこととなった(成瀬・他、1995)。
 発生時の状況にもとづく分類によると、「面発生乾雪表層雪崩」に相当する。すなわち、広範囲にわたりクラックが走り、そこから乾いた(0度以下の)表層の雪が雪崩となったものである。しかしながら、冬期の山岳地で起こる最も一般的な表層雪崩とは、性質が非常に異なる。
 OP尾根のハードスラブ雪崩は、固い雪層(ハードスラブ)とその下の層(メンバーによると、ざらめ状の雪)との境界面の付着力が非常に弱く(弱層という)、雪層が著しい不安定な条件下にあるとき、歩行の刺激が引き金になったと判断される。
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[写真]OP尾根にて追悼登山(2005年9月25日)



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