砂丘オアシス、大山残雪、鳥取県の大雪、北の丸露場、流し雛

砂丘オアシス拡大                     投稿日:2017/03/11、No.340
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 鳥取砂丘の「オアシス」が例年よりも大きく成長している(写真:3月9日11時)。

 オアシス(oasis)とは、砂漠の中で、水が湧き、草木が茂り、条件によっては農耕や集落が発達することもある場所のことだが、鳥取砂丘の「オアシス」は通称「馬の背」の内陸側の麓に形成される湧き水の池を指す。単なる水たまりとはちょっと違う。

 3月1日、県砂丘事務所は環境省、自然公園財団と合同で、ゴムボートを利用してオアシスの水深を測った。その結果、最深部は1.37 m(昨年は0.7 m)であった(「砂丘レンジャー日記」より)。

 次いで昨(10)日、無線操縦の模型ボートから音波測深を行った結果、池の面積は5430平方mで昨年の2.7倍、深さは最大1.43 mであった(日本海新聞3.11より)。

 各メディアでは、「今年は2月の大雪の影響で融雪水が多くなり、巨大化したと考えられるという」と報じている。大雪が主原因であることは疑いないだろうが、もう少し長い時間スケールの降水経過も背景としては重要であると思う。

 何故なら、一昨(2015)年暮から2016年1月中旬までオアシスは消滅していた(本欄2016.1.11)が、2015年11月と12月の鳥取(気象台)の降水量は平年値の96%、101%と平年並みであった。ところがその前の10月が平年値の27%と非常に少なく、9月も平年よりやや少なく、砂丘内部の地下水位がかなり低下し、11月以降の雨によってもまだそれが回復せず、湧き水とはならなかったのだろう、と推測した。

 では今冬期の鳥取の降水量(平年比)は、10月65%、11月75%と少なかったが、12月126%、1月123%、2月192%と非常に多く、この3か月間の降水がオアシス拡大に貢献したと考えられる。


砂丘ライブカメラ 
投稿日:2017/05/01、No.351

 鳥取砂丘に設置されたライブカメラの画像が、1か月前の3月30日から、鳥取県砂丘事務所によりインターネット「鳥取砂丘ナビ」
http://www.tottorisakyusaisei.jp/kansoku/ にて公開されている。

 カメラ2機の内1つ(カメラ01)は、砂丘「馬の背」とオアシスを見下ろす丘の上に設置された柱の上部に取り付けられている(写真:4月30日午前。中央の木舎は砂丘レンジャーハウス)。
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 公開されている画像は静止画だが、1分毎に更新され、視野は添付の写真よりやや広く、左隅のオアシス(池)も全景が写っている。

 ライブ画像配信の目的は、砂丘の魅力をリアルタイムに紹介することと、砂丘を乱したり、砂を持ち出したり、異物を残置したりする行為などを監視するためである。

 「砂丘ナビ」では、砂丘中央部に設置された風速計による瞬間風速、平均風速、風向のデータも10分毎に更新し、公表している。

 ライブ画像では風紋の細かい模様は認識できないが、砂丘のいろいろな場所にて、飛砂の発生~停止、風紋や砂柱や砂簾(されん)等の形成~消滅など、科学的に有意義な情報が判読できそうであり、風速データ等と合わせると面白い解析が期待される。


砂丘オアシス極小 
投稿日:2017/05/09、No.354

 砂丘ライブ画像から、オアシスの状況も読みとることができる。写真の色だけでは、どこからどこまでが水域なのか判断がつき難いが、日中は人(観光客)が多数写っているので、それを参考にすると砂丘の表面状態を判別できる。
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 例えば、添付の写真(4月30日)はライブカメラの直下からほぼ同アングルで見た馬の背とオアシス付近であるが、茶色っぽい部分はやや濡れた砂、緑色は草だと判断でき、オアシスの池は馬の背の麓で横に細長く光っている部分ということが分かる。

 今年の砂丘オアシスは2月中旬から3月上旬にかけて例年より大きかった(本欄No.340)。砂丘レンジャー日記によると「今年2度目の大雪の後、2月18日頃がオアシスが一番大きくなっていたと思われます」とのことである。

 それから現在まで、顕著な雨は降っていないので、オアシスは徐々に縮小に向かった。この2、3日のライブ画像からの判定では、オアシス池付近にも人が歩いているので、著しく縮小し、ほぼ消滅か水溜り程度になったのではないかと思われる。


残雪少ない大山 
投稿日:2017/04/26、No.350

 眺める方向によって稜線が横長の台形になったり、1ピークの富士山型ともなる伯耆大山だが、さらに積雪期には上部がすっぽり冠雪したり、残雪の形が数日も経つと大きく変化し、大変見ごたえがある山である。
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 3日前(23日)、快晴のもと、西伯郡の県立フラワーパーク(花回廊)から秀峰大山を見た(写真)。今年の鳥取県は大雪だったので、残雪が大きいだろうとの予想に反し、かなり小さかった。

 手元の写真ファイルを繰ってみたら、2011年5月5日、撮影サイトとアングルは異なるが、今年の4月23日と同程度、あるいはそれ以上の雪が残っていた。

 大山中腹、大山寺付近のアメダス(875 m)では、今年2月12日に最大積雪深が264 cmに達し、同地点の観測史上4番目の多さだった。しかしその後は多くは積もらず、4月13日に積雪ゼロとなった。

 一方、2011年2月15日の積雪深284 cmは史上3番目で、消雪は4月24日と過去10年の内で最も遅かった。このように、冬期後半の雪の降り方と融雪期の晴天の長さ(日射量)に大きく影響を受けながら、残雪は推移する。


雪氷圏変動と鳥取の大雪 
                        投稿日:2017/08/31、No.386

 8月27日(日)、鳥取市とりぎん文化会館において、「2017年1~2月 山陰地方大雪災害シンポジウム-鳥取県における大雪被害の実態と今後の対策-」が開催され、93名の来場者のもと、9名の研究者および事業者が今冬の大雪災害について報告した。

 その冒頭の講演として、成瀬が「雪氷圏の環境変動と鳥取県の大雪」と題し発表を行った。

 初めに、本年1月22日~25日および2月10日~12日における鳥取市内の大雪の状況を紹介し、その後、雪氷圏変動について国内外の研究成果を踏まえて考察した。講演要旨のその部分を、「シンポジウム講演概要集」から抜きとり、一部編集し、以下に転載する。

* * * * * * *

「温暖化で山陰の雪はどうなるか?」

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 上記1月、2月の降雪時における毎時の気温(鳥取気象台)の頻度分布を図に示す。降雪時の気温は、-0.9~+0.6℃の範囲にあり、典型的な暖地性降雪であった。    

 最近人工衛星からの観測により、南極大陸を覆う氷(氷床という)は増えている、という注目すべき結果が発表された(Zwally, 2015)。これは、近年南極では降雪量が増加していることを反映している。

 「気候変動に関する政府間パネル」の報告書(IPCC, 2014)では、地球温暖化にともない、海面からの蒸発量が増加し、地球上の乾燥地域を除くほとんどの地域にて降水量が増加すると予想している。その結果、極地では降雪量が増えるであろう。

 将来の日本の降雪量については、気象庁(2013, 2017ほか)が数値モデル実験を行っているが、21世紀末の西日本日本海側の年最深積雪は現在の80%~50%程度になると予測されている。この傾向は、前述の暖地性降雪では、気温の僅かの上昇により雪が霙(みぞれ)に、霙が雨に変わることからも、容易に予想できる。

 このように、日本の暖地では、将来、一冬の総降雪量および最深積雪は減ると考えられるが、一方、「極端な降水がより強く、より頻繁となる可能性が非常に高い」(IPCC, 2014)ので、何年かに一度、極端な大雪や集中豪雪が起こる可能性はある。

北の丸 気象観測露場 
投稿日:2017/05/15、No.356

 気象庁の「東京」気象観測露場(ろじょう)が、2014年12月、千代田区大手町の東京管区気象台敷地から、皇居外苑の北の丸公園内へ移転した。大手町は、高層ビルが林立し、交通量の多い典型的な都会のため、多少でも「自然」を反映する地点へ移した、ということであろう。

 その新しい観測地点は、どういう環境にあるのか、機会があったら一度見に行こうと思っていた。新露場は旧露場の西北西1 km、日本武道館と科学技術館の間の緑豊かな林地の内にあった(写真:4月12日)。
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 フェンスで囲まれた露場は、林の中の草地に高さ2 mほど盛り土した台地の上にある。ここでの観測要素は、気温、湿度、降水量、積雪深、気圧である。風と日射量は科学技術館の屋上で、視程などの目視観測は大手町で行っている。

 新露場の周辺環境は、東京としては申し分ないと言える。では、データの連続性はどう処理するのだろうか。

 気象台では、2012年4月から2年間、新旧露場で同時比較観測を行った。その結果、北の丸の方が、大手町より、年平均で
 *日最高気温:約0.2℃低い **日最低気温:約1.4℃低い
となり、年平均気温は約0.9℃低い、という傾向が得られた。
 この差は、予想通りかもしれないが、かなり大きい。

 この結果をもとに、気象庁は東京の気温などの「平年値」(過去30年間の平均値)を更新した。やむを得ない事情があったのだろうが、2年間のみの比較観測で「平年値」を改定してしまって良いものかどうか、若干の疑問は残る。

 
[写真]旧暦の3月3日、紙の雛を千代川に流す用瀬町の伝統行事「流しびな」(3月30日)。
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