千代川氾濫危険、大正鳥取大洪水

千代川氾濫危険にせまる(9.17夜~未明)                     投稿日:2017/09/20、No.390
 台風18号の影響を受け、鳥取では9月17日(日)夕方から雨が降り出し、雨が強くなった18時~23時の5時間降水量は128 mm(鳥取地方気象台)におよんだ。

 その結果、鳥取平野の中央を流れる千代川の水位(行徳:国交省「川の防災情報」)は、17日19時は平常の0.81 mだったが、21時1.8m、23時4.6 mと急上昇し、24時に最高水位5.69 mに達した。

 23時過ぎには行徳地点の「氾濫注意水位」4.7 mを超え、「避難判断水位」5.9 mまで20 cmに迫っていた。

 もし避難判断水位に達したら、鳥取市は付近住民に対し避難勧告または指示を発令するかどうか判断することになるが、深夜、豪雨の中で避難を促すことは考え難い。せめて「住宅の2階、または頑丈な建物に移動して下さい」と、注意・広報する程度だっただろうと思う。

 翌18日、千代橋(行徳付近)から下流方向にかけて千代川の状況を見に行ったが、川の水位は急速に低下しており(12時、2.6 m)、河川敷の運動場や駐車場に泥水が溜まっていたが、川幅や水位は平常時に近い状態に戻っていた(写真:9月18日12時、千代橋の橋脚の橙色線は「氾濫危険水位」6.7 mを示す)。
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99年前の鳥取大洪水
                   前)                            投稿日:2017/09/11、No.388

 今年の夏は、世界各地から大雨による洪水災害のニュースが伝えられた。その中から、8月下旬以降の主な被災国・地域を列挙すると、以下のように世界の各地域に及んでいる。

 インド・ネパール・バングラデシュ、中国広州市、トルコ、コンゴ、北アイルランド、パナマ、ウルグアイ、米テキサス・フロリダ州。日本でも、7月~8月、九州や本州の各地で大雨に起因する土砂災害や洪水が多く発生した。

 鳥取でも、99年前、市街中心部で人の背丈を越える大きな水害が起こった。

 去る7月下旬、「鳥取市内災害跡探訪」というイベントがあり、西田良平鳥取大学名誉教授(地震学、写真)のガイドにより、市内各地の過去の災害痕跡や記念物を見て廻った。
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 その内の一つが、大正7(1918)年9月14日に発生した洪水の浸水位置を示す標識であり、市役所本庁舎の玄関前の壁に掲げられていた(写真)。そのプレートには、

 洪水浸入線 大正7年9月14日
 7m 22cm 東京湾中等潮位上

と刻まれていた。東京湾中等潮位とは、現在は使われない用語だが、日本各地の標高の基準である東京湾平均海面を指す。すなわち、洪水時の最大水位が、この地点で海抜7.22 mに達したことを示している。

 市庁舎の玄関前のテラスは、目測によると若桜街道の路面より約1.5 m高い。プレートはそのテラスの1.7 mの高さにある。したがって、水害時の最大浸水深は市庁舎前の道路上約3.2 mだったことになる。

 一方、国土地理院の電子地図によると、市庁舎前国道の標高は海抜4.4 mである。この値が99年前も変わりがないとすると、最大浸水深は道路上2.8 mになる。

 このように、水害時には、当時の災害写真が語っているように、救助や物資の輸送手段は舟のみしかあり得なかったことがよく分かる。

                    (後) 
                         投稿日:2017/09/15、No.389

 鳥取駅に近い栄町の銀行の外壁にも、同様の「洪水浸入線」のプレートがあった(写真左上、赤星印横)。

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 ここには、「8m03cm」と記されており、800 m離れた市庁舎より81 cm高い。最大水位となった時刻が両地点でほぼ同じ頃と仮定すると、洪水時の水面は0.81/800 = 1/1000の勾配で南から北に傾いていたことになる。

 なお、銀行前国道の標高は海抜5.3 mなので、最大浸水深は道路上2.7 mとなり、市庁舎前とほぼ同じである。

 さて、この洪水を引き起こした大雨は、9月14日午後紀州半島に上陸し、近畿地方を通過、15日に日本海に抜けた台風によるものであった(防災情報新聞より)。

 当時は、鳥取に気象台はなかったので降水量の正確なデータはないが、国交省鳥取河川事務所の報告書には流域平均2日間の雨量が204 mmとある。おそらく、バケツ型の雨量計に貯まった水の量を2日に1回測っていたものだろう。鳥取(気象台)の日降水量の歴代1位が188 mm(1976年9月10日)なので、この204(mm/2日)は鳥取では例を見ない豪雨である。

 その結果、千代川の推定流量は6400立方m/秒(行徳)に達し、千代川や袋川などが氾濫し、鳥取平野の広い地域が浸水した。

 大正期に比べれば格段に河川整備が進んだ現代なので、大規模な洪水はもう起こらないと思いがちになる。しかし、国交省の文献では「千代川では、戦後最大流量(行徳:4300立方m/秒)に対しても流下能力が不足する箇所が存在し、未だ安全に流すことができない箇所があります。」と述べている。

 すなわち、何十年に一度の大雨があれば千代川の氾濫も起こり得る、ということである。さらに、都市化が進むと、市街地の水が十分に排水できなくなる内水洪水がより頻繁に発生しやすくなると考えられる。

     
      

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