樗谿の池、2018新年、2017天候、寒波、積雪(鳥取)、奥大山、寒さ、北極暖冬

樗谿の大宮池、復元                     投稿日:2017/12/22、No.413
 鳥取市街の北東、樗谿(おうちだに)公園から坂道を数分歩くと大宮池がある。元来は砂防が目的の人造池であるが、池の畔には原生林が繁茂し、四季折々、山奥の静かな池の雰囲気を醸している(写真:2017.11.14)。
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 この池の際を本陣山(太閤ヶ平)へ至る道路が通るので、好天日には健康ウォーキングを目的とした多くの老若市民が訪れている。

 今年の夏、大宮池がすっかり干上がって、中央部にはヘドロがたまっているのを見た。そのときは、渇水か? 工事か?と思った。

 しかし、今年の6-9月の鳥取は、平年以上に雨が降っている。工事だとしたら、何らかの表示板があるはずだが、全く見当たらない。

 その後10月半ば、近隣者から署名簿が回ってきて、県知事あての要望書を読んで事情が分かった。大宮池の水門の管理を委託されている市民団体「樗谿ホタルの会」は、近年ホタルの生息数が激減しているため、ゲンジホタルおよびその餌の巻き貝カワニナの生息環境を改善するため、5月から水門を開放し、池を天日干しにしようとしたのであった。

 市民有志の要望書は、池を満水の状態に戻し、本来の自然美を取り戻して欲しい、というものであった。この署名活動は目標を大きく超える数が集まり、それを受け、鳥取県も水門を閉じることとし、11月上旬には本来の池に戻った(写真)。これで、小都市の住宅街奥の小池の復元運動は目的を遂げたが、根底には現代社会の浅からぬ「環境」問題がある。

 樗谿公園には、あちこちに「ホタルを守り育てよう!」などの看板が見られる。そのうちの一つには、概略以下のような解説が書かれていた。

 「昭和40年代末から市民有志によるホタル幼虫の放流が始まり、平成元年には、環境庁より『ふるさといきものの里100選』に選定されている。現在も保護育成活動が続けられ、毎年6月初旬にはホタルの乱舞が見られる。」

 一方、別の市民団体や県立博物館の生物専門家らは、「増殖・放流・餌付けによるホタル・ショーである」とか、「この付近は、本来のホタル生息地ではない」「外来種を放流することになり、在来の生物にとっては不適切な環境になる」と批判してきた。

 しかし、県や市は、よそから人が多く集まることには熱心で、ホタル観賞会を後押ししてきた。「ホタルが舞う里」は一見むかしの環境が守られた自然豊かな地と思われがちであるが、それが人為的なものであっては意味が違う。行政はもっと専門家の意見に耳を傾けるべきである。


新年を迎えて
投稿日:2018/01/01、No.416

 あけましておめでとうございます。
皆さまのご健勝と、ますますのご発展をお祈りいたします。

 今年の鳥取は、3年続けて雪がほとんどない元旦を迎えました。
 (写真:鳥取市街.1月1日12:00、鳥取城跡二ノ丸から)。
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  * * *

 昨(2017)年12月1日から、当NPO法人の役員(理事7名、監事1名)の一部が任期満了により交代しました。
   http://www.npo-glacier.net/about/profile.html

  本年もどうぞよろしくお願いいたします。


昨年の日本の天候
投稿日:2018/01/06、No.417

 気象庁は1月4日、「2017年の日本の天候」と題して、昨年の天候の特徴を整理して発表した。それを要約すると、以下の4点となる。

(1)梅雨の時期に、九州北部豪雨(7月)ほか、新潟県や秋田県などで大雨。
(2)8月、北・東日本太平洋側で曇りや雨の日が続く不順な天候。
(3)10月、秋雨前線や台風の影響により北~西日本では顕著な多雨、少日照。
(4)沖縄・奄美では、夏から秋にかけて顕著な高温が持続。

 以上のいずれも、地域的、局地的には、過去に例がないほど、あるいは○十年ぶりの現象だが、日本列島の全体に及ぶような大規模な異常気象はなかったようだ。

 鳥取では、1月下旬と2月中旬の大雪(最大積雪深91cm)が特筆すべき気象現象と思われるが、通常年の東北~北陸の豪雪地帯が昨年は北陸~山陰にずれただけなので、日本全体から見れば顕著な天候の特徴とは言えないのだろう。

 一方、気象庁発表の「概況」の章には、「11 月中旬からは日本付近に強い寒気が流れ込み、北~西日本では気温が低く、12 月にかけて低温が続いた。」との記述があった。これは、鳥取の住民の実感と一致する。

 鳥取気象台のデータを調べてみたら、2017年11月19日から1週間の平均気温は7.3℃で平年より3℃低く、12月1日~21日の3週間の平均気温は4.9℃で平年より2.5℃低かったことが分かった。

 このように昨年の終盤は、秋後半から一気に冬に突入した感じであった。冬が早く来たから早く去るか、あるいは厳冬期の寒さが少しは緩むか、さてどうなるのだろうか。
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 [写真:伯耆大山の北西面.2017年2月28日夕]


1月寒波で山陰は少雪 
投稿日:2018/01/16、No.419

 1月上旬~中旬にかけて日本列島が強い寒波に覆われる見込みで、日本海側は所により大雪となる予報が発せられていた。鳥取市も、もしかしたら昨年並みの積雪(2月11日、91 cm)があるかもしれないと、それなりの対策や心の準備をしていた人も少なくないと思われる。

 しかし、鳥取市では、先(12)月17日に積雪深16 cmという一寸した降雪を記録したが、今回の寒波では、時々吹雪模様があるものの長続きすることはなく、積雪深は一昨日の3 cm程度に過ぎなかった(写真:1月14日11時、鳥取仁風閣)。
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 この1月10日前後の強い冬型気圧配置により、日本列島の日本海側ではどのような降雪分布だったのか、気象庁のデータで調べてみた。ここでは、北海道から山陰にかけて、日本海側の海岸に近い平野部の市に限り、1月前半の最大積雪深を比較する。

 その結果、北海道から青森県までは比較的雪が多く、秋田、山形県は少なく、新潟県から福井県にかけて多く(例えば、高田93 cm)、京都府舞鶴から鳥取県倉吉にかけて少なく、米子、松江がやや多い、という分布になっていることが分かった。

 昨年2月10~12日の大雪の際は、福井・敦賀・舞鶴から鳥取・倉吉・米子におよぶ、西日本の日本海側に多くの雪が降ったことと、対照的な降雪特性であった。


今冬最大の積雪(鳥取)
                     投稿日:2018/02/05、No.424
 鳥取市では昨日から今朝にかけて雪が降り続き、2月5日07-09時、積雪深が32 cm(鳥取地方気象台)に達し、今シーズンの最大を記録した。

 米子市は4~5日に積雪深が25 cmに、松江市は4日に26 cmとなり、いずれも今冬の最大となった。
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 写真は、本日12:30の鳥取砂丘である。正面の尾根が「馬の背」、その麓が「オアシス」池である。砂丘上の積雪深は測深によると32~35 cmであった。

 12-13時の天気は晴れだが、気温+2℃、風速7 m/s以上(推定)とかなり強く、時おり地吹雪が舞い上がるほどで、さすがに観光客はパラパラという程度であった。


奥大山スキー場存廃問題
投稿日:2018/01/31、No.423
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 大山山塊の南側中腹(750~1000 m)にある奥大山スキー場(写真:2017.7.30)が廃止の危機にあったが、とりあえず来季(2018/19年シーズン)も江府町の町営で存続することになった。

 1972年にオープンした同スキー場は、リフト2基、初級~中級向きのコースを備え、一時は年間5万人程のスキーヤー等が訪れ、その後は毎年2万人程度で、2015、2016年度は雪不足で営業日数が減ったこともあり、各年約2800~1800万円の赤字となった。

 そこで町では、民営化する方針を決め、2度にわたり指定管理者を募集したが、応募はなかった。そのため、同スキー場の廃止も選択肢に入ったが、住民から存続の要望などもあり、ひとまずもう1年続け、将来のあり方を検討することとなった。

 以上は、鳥取県の一つのスキー場の問題にはとどまらない。
 レジャー白書2013(生産性本部)によると、スキー・スノーボード人口は、1998年に1800万人に達したが、その後は減少傾向で、2013年には770万人と、15年間で半分以下に減少した。

 そういう状況でも、大規模スキー場には外国人を含め多くの人で賑わっているが、小さなローカルスキー場は客数減少の影響は避けられない。

 さらに比較的温暖地の鳥取県では、降雪量が少ない年、または暖冬の年は、雪不足、したがってスキー滑走期間の短縮などが起こりやすく、経営が難しいと考えられる。

 奥大山から最寄の大山AMeDAS(標高875 m)のデータによると、年最深積雪の最大は302 cm、最小は84 cmと3.5倍の相異があり、また積雪がゼロになる日は3月上旬から4月下旬まで50日の差がある。

 スキー場の収入はリフト券が主と思われるので、営業日数がもろに影響する。そしてそれは、年による変動が激しく、誰も正しくは予測できない。

 これでは、民間の事業者が引き受けられるはずがない。気象の影響等で損失に陥った場合は、町や県がそれを支援することが望ましい。スキーは、長くウィンタースポーツの主軸であった。これが廃れて欲しくはない。


今冬の寒さ 
投稿日:2018/03/02、No.430

 去る1月初旬の本欄(No.417)にて触れたが、昨年の11月~12月の1か月間、鳥取市は平年に比べてかなり低温だった。その後、1月、2月も寒い日が続いた印象である。
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 写真は全面結氷した鳥取城前の堀を示す(2018.2.5, 17時)。翌朝(6日)、今冬の最低気温-6.2℃を記録した(鳥取地方気象台)。

 気象台の鳥取のデータを見ると、昨年12月~今年2月の3か月間の平均気温は4.0℃で、平年値5.0℃より有意に低いが、その差は僅か1℃である。夕から朝は低温であっても、日中の気温が上がれば日平均気温はそれほど下がらないし、寒い日が続いてもその合間に暖かい日があれば、その期間の平均気温は著しくは低下しない。

 そのため、ある地域のある年(季節)の寒さを定量的に示す指標に、積算寒度というものがあり、これはある期間にわたり日平均気温のマイナスの値のみ足し合わせた値である。すなわち、日平均気温-5℃の日が10日ある場合と、-10℃の日が5日ある場合のいずれも積算寒度は50(℃・日)となり、寒さの程度が同等ということを示している。

 極寒地においては、湖の氷厚や地中の凍結深が積算寒度の平方根に比例するという経験的な関係式が得られることが多く、予測や推定に利用されることもある。

 しかし鳥取では、厳冬期でも日平均気温がマイナスになる日は数日程度(今冬は8日)に過ぎないので、この積算寒度を用いることは有効でない。

 そこで、“擬”積算寒度として、冬期間(12月~2月)にて日最低気温がマイナスの値のみ足し合わせた値を算出してみた。

 その結果、予想通り、今冬の“擬”積算寒度は69度(℃・日)で、昨冬(2016-17年)16度、2年前34度、3年前14度、4年前22度と、この5年間の中で飛びぬけて大きな値だった。つまり、今年は例年に比べかなり寒い冬だったことが数値的に裏づけられた、と言える。


北極、異常暖冬
投稿日:2018/03/20、No.434

 2月末から3月初めにかけて、いくつかの新聞地方紙に以下の記事が掲載された。 
 「北極の冬“記録的暑さ”.[ワシントン=共同]太陽が全く昇らない冬の北極で、異常気象により平均気温が例年より20度以上高くなり、2月としては観測史上最も「暑く」なったとの分析を米カリフォルニア大の研究者がまとめた。」

 文頭のクレジットから判断すると、The Washington Post が発信したニュースを、共同通信社が受けとり、日本語の記事を作成して契約各社に配信したものと思われる。

 ここで問題としたい点は、「平均気温が例年より20度以上高く」というくだりである。「平均」の期間、または空間の明示はないが、文脈から、2月の平均、または冬期(3-4か月)の平均と推察される。このような期間の平均気温が、例年(平年)より20度以上も高くなることは、自然現象ではあり得ない。

 初めは、米・日いずれかの通信社が華氏と摂氏をとり違えたのかな、と思った。しかし、華氏で20度差は摂氏で11度差に相当するので、「11℃以上高く」も考え難い。

 そこでネットで探してみたら、Washington Post(2月22日)に出所と思われる記事を見つけた。タイトルは“北極の温度が平年より45度も急上昇”である。

 華氏で45度上昇は、摂氏で「20度以上高く」と合致する。そして問題の関連箇所では、「アラスカ北岸のバロー(北緯71度)では、2月20日の日平均気温が31度(-1℃)まで上昇し、平年値より22℃高くなった。」とあった。

 すなわち、今回の「騒動」の原因は、日平均気温から「日」の一字を省いたことにある。一般読者には読み流されることが多いかもしれないが、科学的記事の場合は、見過ごすことができない、不適切表現である。
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[写真:北極スバールバル諸島.1994年8月、by courtesy of Monica Sund]



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