南極で雨、しらせ接岸断念、南極輸送完、53・54次南極報告会

 南極昭和基地で雨                    2012/12/30、No.2387
 去る12月24日の新聞各紙に「22日、昭和基地で2004年1月1日以来約9年ぶりに雨が降った」というニュースが報じられた。気象庁のデータによると、昭和基地の日最高気温は20日5.6℃、21日3.9℃、22日4.6℃と暖かい日が続いており、雨が降ってもおかしくない状況だった。

 その記事の中に「基地では雪を前提として降雪量しか観測しておらず、この日の雨量は不明」とあった。昔の昭和基地では雪の観測は不十分だったが、いまは観測設備が整っているので、当然ながら、日本のアメダス並みに自動観測の積雪深計とヒーター付転倒ます型雨量計による雪と雨の観測をやっているものと思っていた。だけど、雨量計には雨も雪も入るので両者の区別が付かず「22日の雨の量は分からない」ということだろうと思った。

 しかし、気象庁のウェブサイトや同「過去の気象データ」を当たってみたら、積雪深の連続観測は1999年から開始しているが、ちょっと意外なことに降水量の観測は現在も行っていないことがわかった。雪を含む降水量は重要な基礎的気象データだが、風の強い南極では、雨量計に捕えられる雪や雨の割合が非常に小さいので、雨量計を設置してもあまり大きな意味はないかもしれない。

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 [写真:44年前(1969年)の昭和基地、高層気象観測のためゾンデの放球] 

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『「しらせ」接岸断念』

  [投稿:2013年1月15日] #2392

 文部科学省南極地域観測統合推進本部は、1月11日、ウェブサイトに以下のメッセージを掲載した。

 [日本時間1月10日12時、松田「しらせ」艦長及び渡邉第54次南極地域観測隊長は、協議の結果、南極観測船「しらせ」により昭和基地沖まで到達することは極めて困難であるとの判断に至り、昭和基地沖への接岸を断念しました。「しらせ」の現在位置は、昭和基地から北西約18キロメートルにあります。今後「しらせ」 は、輸送に適切な地点まで進んだ後、予定されていた物資輸送について、ヘリコプターによる空輸を行います。現時点では、氷上が水浸しの状態となっており雪上車による氷上輸送は出来ない状況ですが、氷の状態が良くなれば最適な経路を調査し氷上輸送を行うこととしています。]

 接岸できないのはこれで2年連続である。昨年は昭和基地の西北西21 km地点から、氷上輸送で約400トン、空輸で約420トン輸送し、総物資量の64%に達した。今年、もし氷上輸送ができないとすると、相当な支障が予想される。

 本来、「しらせ」はヘリコプター2機を搭載し、好条件の日には朝から夕まで2機が時間差をつけてフル稼働により物資の輸送を行うのだが、昨年と今年は、1機が国内で修理中、さらに予算不足のため代替機を準備することができず、1機態勢である。かなり、厳しい状況と言わざるを得ない。

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 [写真:オングル島の昭和基地に接岸したときの先代「しらせ」(1992年12月、澤柿教伸撮影)]


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『南極、輸送完了』

  [投稿:2013年 2月 21日] #2398


 南極観測船二代目「しらせ」は、昭和基地まで18 km地点で接岸を断念し、ヘリコプターによる空輸を開始することにしたが(本欄1月23日付、No.2392)、その後どうなったかニュース等の報道がなく気になっていた。

 しかし、文部科学省は2月1日、以下の報道発表を公表した。それによると、第54次隊の越冬成立に必要な物資671トンの輸送が完了した。これは、輸送予定量1082トン(JMSDFのHPによる)の62%となり、昨年の64%と同等である。

 なお、「進め!しらせ」のサイトによると、「しらせ」は2月17日には定着氷を出て、21日現在は外洋の南緯66度付近を航行中である。

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 [写真:先代「しらせ」を離艦するヘリコプター(1992年12月、澤柿教伸撮影)]

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『第53・54次南極観測隊 報告会』

[投稿:2013年4月15日] (通し番号) #2411

 先週4月11日、第53次南極越冬隊および第54次南極夏隊の帰国報告会・歓迎会が明治記念館において開催され、日本南極観測を推進あるいは支援する関係者が出席するとともに、衆参各会派議員数名が来賓として参列した。

 報告会では、石沢賢二53次越冬隊長が1年間の観測と設営の概要を、渡邉研太郎54次夏隊長が今夏のオペレーションについて報告した。

 氷床内陸の調査旅行では、天文班がドームふじ基地(南緯77度19分)にて望遠鏡の設置と無人観測の開始、雪氷班がさらに南下し2012年12月29日~2013年1月3日、南緯80度00分にて浅層掘削観測等を実施した。写真は南緯79度地点にて(本山秀明氏撮影)。
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 昭和基地周辺地域では、昨(2012)年前半は例年にない低温の秋・冬、後半は著しい温暖な春・夏であった。その影響もあり、今夏のリュツォ・ホルム湾の海氷は前年よりも厚く、「しらせ」の進入が難航し、さらに海氷上の積雪が水を多量に含み軟化し、雪上車の走行が不可能となった。

 そのため、大型ヘリコプター1機と小型ヘリコプター2機による空輸にて、越冬に最低限必要な物資の輸送を完了し、2月1日に第54次越冬隊が予定どおり成立した。

 国の補正予算にて、大型ヘリコプターをさらに1機導入することが認められたとのことである。しかし、ヘリコプターの修理や部品のやり繰りのため、3、4年はヘリコプター1機態勢を続けざるを得ないらしい。白石和行国立極地研究所長が挨拶の中で、「昭和基地の灯を消さないようがんばる所存ですので、ご支援をよろしく」との主旨を述べたが、自然環境と予算の面で少なからぬ危機感を抱いていることが推しはかられた。



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