南極温暖化、南極展、なぞの南極大陸、

*投稿日:09.1.26~4.25
ふたたび、「南極は温暖化しているか?」    成瀬廉二、2009/01/26(Mon)、No.1763
 1.22付け朝日新聞の社会面に、「全南極やっぱり温暖化」(50年分データ 米チーム解析)―「半島だけ」定説覆す―、という記事が載った。筆者は、南極越冬経験者の中山由美記者である。
 南極の近年の気候変化傾向については、本サイトNo.1687「南極は温暖化? 寒冷化?」(2008.7.6付)に、Chapman & Walsh (2007)の論文等をもとに解説した。その要点は、過去半世紀間、西南極の南極半島は著しく温暖化、一方東南極は変化なし又はやや寒冷化というものであった。
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 朝日の記事は、この従来の定説を覆す論文が1.22発行のNatureにて発表される、ということであった。さっそくNatureの電子版を取り寄せ、さーっと読んだ。その論文は、
Warming of the Antarctic ice-sheet surface since the 1957 International Geophysical Year. by E. J. Steig and others. Nature Vol. 457 (22 January 2009), 459-463.
である。要点は以下のようなものである。

 従来の説は、地上の観測基地の気象観測データに基づいている。長期データのある観測基地は、2箇所を除いて、全て南極氷床周辺の沿岸にある。したがって、南極全体の傾向を示していない。そのため、本論文は、人工衛星から赤外放射測定による氷床表面温度データ、および42の観測基地と65の無人気象観測点の気温データを詳細に、解析した。

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 その結果が、添付の図(Figure 2)である。縦軸は年平均気温の偏差、上の図が東南極の平均、下の図が西南極の平均である。黒い実線が赤外線による表面温度、黒い点線が無人観測による気温である。両者はかなり良く一致している。赤線が過去50年間の変化トレンドである。すなわち、東南極では50年間に約0.50度C、西南極では50年間に約0.85度C上昇した。

 人工衛星データの統計的解析手法と、気候モデルを用いた温暖化の要因の考察は私には理解できないが、論文の結論から言うと、「やっぱり」とは思わないが、「全南極が温暖化」ということは確からしい。

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本当に温暖化? 

                中山由美、2009/01/31(Sat)、No.1764

 朝日新聞の中山由美です。記事を話題にしていただきましてありがとうございます。

 45次隊南極観測隊に同行し、帰国してから各地で講演をしてきました。いつも会場でよく聞かれるのは「南極は温暖化しているのですか?」という質問です。その問いに「南極半島は温暖化しています」と明言する一方、「大陸全体でははっきりした兆候は見えないようです」などと答えてきました。

 今回の論文のように、科学誌で南極大陸全体の温暖化を明言するものは目新しく、研究者の方々にご丁寧な助言をいただきながら記事にしました。それでも疑問はまだ残っています。実測できるポイントが極めて限られている南極大陸で50年分の気温をどう分析して導き出したか--。

 素人ながらに気になるのは、
①衛星データでとれる氷表面温度を気温に置き換える手法、風の少ない内陸とカタバ風の強い沿岸斜面など場所によって条件も違っていそうだが……?
②衛星データがあるのは最近の25年で、その前の25年分はどう計算して導き出すか……など、その計算式と解析手法こそが、彼らの腕の見せどころなのでしょうが、係数や条件がわずかにずれれば、また違う結果が出るのでしょう。

 50年間をみた温暖化といっても「10年あたりで0.12度」という小さな値。ほかの研究チームがそれぞれの手法で分析してみたら、どんな結果になるか、とても気になります。”熱い”議論を戦わせるような研究・分析結果が続くことを期待しています。

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Re: 本当に温暖化? 

                 成瀬廉二、2009/02/02(Mon) 、No.1766

 記事を書いた中山さんからコメントをいただき、ありがとうございました。

 私も、中山さん同様、いろいろな点で疑問を抱いています。まず、朝日の記事を読んだときは、赤外放射温度がこんなに精度、信頼度があるのか、ということです。20-30年前だったか、携帯用の放射温度計が比較的安価で手に入るようになったとき、雪面の温度を測ってみると+-2度C位の精度だったような記憶です。人工衛星データや放射温度に関しては、専門家(わがNPO氷河の会員にもいます)からのコメントが欲しいですね。

 次に論文を読んだとき。無人気象観測は、世界中の高山や氷河や極地で行われてきていますが、センサーへの着氷や着雪、また温度計の通風不調、電池の電力低下、等々さまざまなトラブルが繰り返されてきています。それを、どうやって「良いデータ」だけをとりだしたのか、などです。

 中山さん指摘の衛星データの期間については気がつきませんでした。調べてみたら、スプートニク1号の打ち上げが1957年。しかし、この論文のFig.2の太い実線(人工衛星データを用いた復元)は国際地球観測年(1957年)から描かれている。「復元」も少しやりすぎ、という気がします。

 しかしながら、国際的な一流科学雑誌に掲載されたこの論文は、複数の専門家の査読と評価を経ているので、よほど反論の根拠と証拠がある場合以外は、結果を認めざるを得ません。それ故、前回の投稿で、「”全南極が温暖化”ということは確からしい。」と述べたのですが、「”やっぱり”とは思わないが」とつけ加えたところに私の気持ちが込められているのです。

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「南極の自然のふしぎ」展示・談話会

                                       成瀬 廉二

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 去る2009年3月7日鳥取市において開催された『南極の自然のふしぎ』展示・談話会(主催:NPO法人氷河・雪氷圏環境研究舎、共催:南極OB会山陰支部)にて、私の講話「南極の氷=氷河の氷・海の氷・冷凍庫の氷はどう違うのか?=」の中で、”南極の氷は美味しいか?”ということについて検討した。
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 まず、水が美味しいかどうかには、いやな臭いとか変な味がしない、ことが第1の要素であろう。さらにもちろん、気温、湿度、身体のコンディションと水温も重要である。
 
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 これらの条件が同一だとすると、次は水の成分が優劣を決するのであろう。一般に水に含まれる主要なイオンのカルシウム、マグネシウム、ナトリウムのおおよその成分を以下に示す(出典諸処.厳密な意味で、標準値、平均値というものではない.オーダーとして比較したい.単位:mg/kg)。

  ミネラルウォーター(硬水):78、24、 9.
  伯耆大山の名水: 8、 5、 9.
  南極の氷(白瀬氷河流域の積雪):0.002、0.002、0.01.
                          
 日本人の多くは名水のような軟水を好み、欧米のミネラルウォーターは硬水が多い。これらに比べると、南極氷の成分は3桁も4桁も少ない。以上から結論として、南極の氷を融かした水は特に美味しいとは言えないだろう。
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 当日展示した氷(写真)は、国立極地研究所から提供されたもので、南極の氷山の氷である。氷山は氷床(巨大な氷河)から海に流れ出た氷塊なので、起源は南極氷床上に積もった雪である。氷が白く見えるのは、気泡を多く含んでいるためである。その気泡が高圧なら、コップの中で水割りにしたとき、ピチピチはじけて、その刺激が喉に心地よい。ビールの炭酸ガスは、瓶や缶の中では2~2.5気圧程度になっているそうである。

 南極の氷が厚さ1,000 mの氷の下にあるときは、およそ100気圧(=10 MPa)の圧力下にあるが、それが氷山となって海に出ると、氷塊がゆっくりと膨張(圧力緩和)して、徐々に気泡の圧力が低下してしまう。したがって、「下界」に出てから数年も経つと、コップの中でもあまり音が立たなくなる。

 しかしながら、パチパチと弾んだ音はしなくても、そこから出てくるものは、いつの時代かは分らないが太古の空気には違いなく、そう思って味わえばこの上なく美味しいのである。

                (2009.3.8付NPO氷河BBSに投稿した記事を4.10加筆、改訂)

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南極展のもよう 、市谷年弘、2009/03/13、No.1774
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 南極展のもようを紹介したいと思います。ザクロ石入り片麻岩などの岩石標本のなかには、40億万年前と地球が誕生してパンゲア大陸のころの岩石の年代の古いものもあった。また、サファイヤ、ルビー、石膏、磁鉄鉱などの有用資源も展示物のなかにあった。生物標本には、ウニ、スズキ目の魚(白身で美味しいとのこと)、カブトガニのちいさい地球外生命体の映画のモデルになったものもあった。その原因の隕石も1gから大きいのまでいれると日本が世界一発見しているということだった。。

 スライドでは、氷河・南極の氷、冷蔵庫の氷などの氷の結晶の違いをスライドで示して頂いた。岩石のスライドでは、南極大陸のすべてが陸地でなく、半分は氷床が浮いているだけとのことだった。露岩している地域のなかには、立岩みたいにロッククライミングしたくなるようなところもあるとのことでした。南極の生物のスライドでは,皇帝ペンギンだけでなく、雪鳥や藻など珪藻の仲間やアザラシがいることをしってほしいとスライドで紹介された。北極には、ホッキョクグマはいるが、南極にはいないことも教授してくれた。

 最後に私が講演者に質問したことは、南極ブナ(Nothofagus)は、南極近郊の大陸に生息して地元ではブラシ・ツリーで親しまれているが、南極大陸において南極ブナが進化してくる過程で存在した時代はなかったのか?花粉や植物遺体から証明されていないか?尋ねたが・・・専門外ではっきりしたことがわからないから、後日の課題としてくださいと言われた。



本を書きました 
  
              澤柿教伸(北大)、2008/10/28(Tue)、 No.1717

 レギュラー投稿をさぼっていて申し訳ありません.

 最近「なぞの宝庫・南極大陸 100万年前の地球を読む」という拙著を出版しました.構想から一年以上かけて低温研の杉山さん,的場さん,飯塚さんと共著で書きすすめてきました.

 一般書に本格的に取り組むのは今回が初めてなので,本を作るということについていろいろと勉強になりました. 四人の共著で,話題がかぶってしまっているところも少なくないのがちょっと気になるところですが,分野の違う研究者のそれぞれの視点で書いていますので,著者ごとの書き方を比べてみていただくのも一興かと思います.

 店頭に並ぶまでにしばらくかかるようですが,アマゾンでは予約を受け付けています.

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           投稿者:成瀬廉二、2008/10/28(Tue)、 No.1719

 ほー、これはすごい。著者4名のうち3名はわがNPO氷河の会員、残りの1名は舎友ともいうべき若き学究。

 本の内容はどういう展開なのか分らないが、タイトルを見ただけで、もうこれは必読。品切れになったら大変と、さっそくアマゾンで予約した。

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「なぞの宝庫・南極大陸」 
 
                 成瀬廉二、2008/11/07(Fri) 、No.1723

 標記の本をAmazon.co.に予約の注文をしたら、3日後に発送したとのメールが来て、3日前に配達され、昨日開封して手にとった。
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 読んでから感想を含めてこのサイトに何か書こうかな、とちょっと思ったけど、それだと書評になってしまう。書評とは、多少とも批判的視野をもち、総合的に論評するものである。それは、その気になって、相当腰を落ち着けないとできない仕事である。

 だから、まだ本文を1行も読む前に、本書の外見だけの紹介にとどめることにする。

 本書の構成は以下のようになっている。
1.南極大陸を3次元で見る(澤柿教伸)
2.南極大陸の歴史を俯瞰する(的場澄人)
3.南極氷床はどんな世界か(杉山慎)
4.氷床から過去の地球環境を復元する(飯塚芳徳)
5.南極に秘められた地球史(澤柿教伸)

 代表著者・澤柿の、本書を出版した意図と願いは、「はじめに」の最後の一文に現れている。
 -南極の生い立ちとそこに内在する生きたメカニズムを知ることは、地球環境問題を抱えた現代という時代とその将来をよりよく見据える一助となるはずである。(澤柿)

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南極の外国基地へ出発

               松岡健一、2008/11/14(Fri) 、No.1729

 1998-2000(1年半), 2003-4(1ヶ月半), 2005-6(3ヶ月), 2006-7(2ヶ月)と南極に出かけておりましたが、今年も来週から5週間の予定で出かけます。普段のマクマード基地とは違い、ベルギーが建設中の基地をベースに、沿岸部での仕事です。ベルギーとの共同研究になります。基地の写真はリンクからどうぞ。エネルギー効率の高いのが自慢です。

 それでは、気をつけて行ってきます。

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