紀伊探訪(2020年9月):高野山、大台ヶ原、熊野古道

DSC01453.JPG  
    (写真:大台ヶ原自然観察路)
   
1) 高野山    投稿日:2020/09/18、No.681

  紀伊半島(三重・奈良県南部、および和歌山県)では、2006年に伊勢・志摩から半島南端を経由して和歌山まで海岸線に沿う駆け足の旅行をしたことがある。今回は、紀伊の内陸部を重点的に、山地のトレッキングと歴史的史跡の散策を目的とした。9月13日朝、鳥取を車で出発し、午後、和歌山県北部の高野山へ着いた。
DSC01381.JPG
高野山とは一つの山の名称ではなく、周囲を8つの1,000m級の山々に囲まれた標高800-900mの盆地状平坦地である。
681.jpg
その高野山は、816年、弘法大師(空海)によって開かれた。写真は、高野山の二大聖地のひとつの壇上伽藍。弘法大師が最初に整備に着手した場所だそうである。


2) 高野山の寺院群と寺町  
               投稿日:2020/09/23、No.682

弘法大師・空海は、774年、讃岐国に生まれる。804年、唐に留学して真言密教の最高権威に出会い、その正式な継承者となり、806年帰国した。平安時代初期の日本が生んだ最高の哲学者、文学者、社会事業家、そして宗教者であった。

空海は、真言密教の道場を開くため、都の喧噪から遠く離れた紀伊山地の雄大な自然に抱かれた場所を選んだ。(「高野山と弘法大師」より)

高野山の町には、入口の大門から東西方向3.8 kmにわたって壇上伽藍、金剛峯寺、一の橋、奥之院、弘法大師御廟(写真)などの寺院や関連施設が並んでいる。
682 (1).jpgDSC01394.JPG
その寺院の数は、観光資料等に「100を超える」とか、「117と言われている」と記されている。寺によって盛衰があるので、正確な数は不明なのだろう。

世界遺産でもある高野山には、参拝者やお遍路さん以外に、当然ながら一般観光客も非常に多い。そのための、宿坊、ゲストハウス、飲食店、土産物店などが寺院の間に数多くある。

さらにそこで働く人々にとって必要な各種店舗、商店、サービス業、公的施設などが並んでいる。すなわち、高野山には寺院群に沿って寺町が大きく(細長く)発展している。


3) 吉野熊野国立公園大台ヶ原 
          投稿日:2020/09/28、No.683

奈良県南部と三重県南部の県境に、吉野熊野国立公園の一部の大台ヶ原という森林公園がある。標高1400m~1700mの高原で、地形が変化に富み、植生が多彩であり、登山、散策、生物観察など、多様な目的に叶う自然体験公園である。

今回紀伊旅行を計画した時、この大台ヶ原自然観察路のトレッキングをハイライトとした。

今年は3月頃から、どこかへ出かけるとき、努めて屋内の「密」を避けるか、短時間にとどめるようにしてきた。そういう点では、山、原野、森林は望ましい場所である。

奈良県吉野から紀伊半島中央部を南下する国道の途中から枝道に分かれ、曲がりくねった坂道を上がると、やがて大台ヶ原の入り口へ着く(標高1570m)。広い駐車場の横に国立公園のビジターセンター、宿泊施設、物産店などがある。

ここから、大台ヶ原の東区画の標準コースをトレッキングする(9月14日)。写真は、ビジターセンター横の自然観察路入り口。案内看板には登山歩道と示されているが、登山者もここから出発する。
683.jpgDSC01440.JPG


4) 大台ヶ原東コース 
          投稿日:2020/10/02、No.684

以下のポイントを経由し、東大台ヶ原をほぼ1周した(9.14)。

ビジターセンター(標高1570m)・・・日出ヶ岳鞍部(1638m)・・・正木峠(1681m)・・・正木ヶ原(1635m)・・・尾鷲辻(1580m)・・・牛石ヶ原(1584m)・・・大蛇嵓(1579m)・・・尾鷲辻・・・ビジターセンター

この地域は、国立公園の特別保護地区に指定されているので、環境保護の対策がきめ細かく施されており、登山道も木道や石畳風の箇所が多い。
684.jpg
写真は、日出ヶ岳鞍部から正木峠への上る木道の階段である。
DSC01471.JPG
全行程ともアップダウンは小さく、長時間歩き続けても疲れはほとんどない。所要時間は、正味で3時間10分だった。


5) 荒廃が進む森林 
            投稿日:2020/10/06、No.685
685.jpg
 写真(牛石ヶ原)を見ると、一瞬、森林限界より上の高山の尾根のように思ってしまう。

しかしよく見ると、ササ原の中に枯れ木がたくさんあることが分かる。

大台ヶ原は、トウヒ、ウラジロモミなどの針葉樹と、ブナ、ミズナラなどの広葉樹で構成される貴重な森林が残っている(ビジターセンターリーフレットより)。

その内、正木ヶ原~牛石ヶ原の尾根上は、1916年頃、当時所有していた製紙会社がヒノキなどを伐採した。また、1960年前後、台風により大規模な風倒被害が起こった。

さらに近年、ササを主食とするニホンジカが著しく繁殖し、若木や樹皮を食し、樹木が正常に生育せず、一部地域ではミヤコザサが林床一面を覆う草原となってしまっている。
DSC01457.JPG
環境省、奈良県や民間ボランティア団体が、森林の再生に取り組んでいるが、復元には長い年月を要する。


6) 木道と石敷き道 
             投稿日:2020/10/11、No.686

森林や草原内の登山道・遊歩道には、大きく分けると、1)草を刈るだけ、2)丸太組み階段、3) 木道、4) 石敷き道(階段)がある。

1)は、自然のままなので最も望ましいが、多くの人が同じ場所でステップを踏むので、道が傷み、崩れやすい。

2)は、坂道の横方向に丸太を組んだ階段だが、大雨が続くと、丸太の間の土砂が流れ出て、大変歩き難くなってしまう。

紀伊半島は、全国有数の多雨地域である。例えば、年降水量の平年値は、三重県宮川アメダスでは3147mm、尾鷲では3849mmである(気象庁)。大台ヶ原はこれと匹敵か、以上だと思われる。
DSC01456.JPG
そのためもあって、大台ヶ原の登山道は、草原地帯では3)木道(写真上)が多く、森林内の斜面では、写真下に示すような4)石敷き道(階段)となっている。

草原内の植生や希少な高山植物を守るためには木道が望ましいが、木道の寿命は10年程度で(尾瀬沼の例)、順次修理、改修する必要がある。

一方、石敷き道は、単に石のブロックを並べたり、積み上げるだけでは、大雨時には道が川となり、石が動いたり、流されてしまう。

大台ヶ原観察路沿いの解説版に「自然に配慮した歩道です」と書かれていた。

詳しい工法は分からないが、ここの石敷き道(写真下)では、大小の石を敷き詰め、コンクリートで固めてあるが、街中の舗装道路や階段とは少し違う、自然の山道の雰囲気がある。
686.jpg


7) 岩峰 大蛇嵓 
          投稿日:2020/10/14、No.687

大台ヶ原東コースは、全体を通して緩やかなアップダウンで、誰でもその積りなら楽しみながら歩ける自然観察路である。

その中で、1か所だけ、周回コースから200mほど寄り道すると、「絶景ポイント」として案内されている岩峰がある。

これが、大蛇嵓(だいじゃぐら)と名付けられている地点である。
687.jpgDSC01463.JPG
写真のように濃い霧(ガス)に覆われていたので、恐怖感はあまりないが、3方向は急峻な崖となっているようである。

後に、地形図の等高線から判読したところ、大蛇嵓の先端から谷底の沢まで、距離約1000m、高度差900mだった。平均約40度の急傾斜である。

大岩の先端にチェーンが張ってあったが、これは防護柵ではなく、注意喚起のためであろう。これも、自然に配慮した対策だと感じた。


8) 熊野古道 
            投稿日:2020/10/19、No.688

「熊野古道とは、熊野三山(熊野本宮大社など)へ通じる参詣道の総称であり、また、霊場・山岳修行の道でもある。平安期には、貴族や上皇など身分の高い人々のものだった熊野詣は、中世期以降には浄土信仰の広がりに伴い、庶民や病人など多くの人々が行列を作り、魚、肉などを絶つ潔斎をしながら、長く険しい祈りへの道を歩いた。」(jinriki.infoより)
DSC01493.JPG 熊野本宮大社

熊野古道は、伊勢路、中辺路、小辺路、大辺路、紀伊路、大峰奥駈道の6つのルートがあり、その総延長は約1000kmだそうである。東京から自動車道で北九州市までが1000km余りなので、熊野古道の長さに驚く。

現在は、古道の一部か大半かは知らないが、地域によっては登山道のように整備され、参拝者のみでなく、一般人もハイキングや散策などに利用している。

古道とはどんな感じのトレールなのかを体験してみようと、9月15日、中辺路の一部1.5 km程を歩いて往復した(所要1時間半)。緩いアップダウンがある標準的な山道であった(写真)。
688.jpg
熊野古道に並行するように、旧国道と現国道が走っているので、参詣者やハイカーが旧国道を古道と間違えぬよう、写真のように「熊野古道」の標識が立てられていた。


              『紀伊探訪』 おわり




$

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント