便り;G授業;祝HP;ランゲル;W大;南極便り;実習;氷山CM;航空気象;大山雪;十日町;伊吹山

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[Photo]アラスカ、ランゲル山(2006.6.20, by S. Kanamori)
季節のたより
                           竹内由香里(Takeuchi, Yukari)、 2006/03/31(Fri) , No.4
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 桜の話題が多い季節になり,大雪が話題の中心であった今冬がずいぶん前のことに感じられる方も多いかもしれません.しかし,大雪に見舞われて最大積雪深が3 mを超えたここ新潟県十日町市では3月末の今も2 mの積雪が残っています.一昨日からまた新たに50 cm程の雪が積もったので,5月の連休前に雪が消えるか怪しくなってきました.

 つい3日前には東京で満開の桜の下をコートもなしに歩いたのに,十日町へ戻ってくると,再び長靴で消雪パイプの水を避けながら歩くことになりました.新幹線を使えばわずか2時間ほどで行き来できるのに,この気候の違いには,わかっていても驚いてしまいます.十日町にはまだ2 m近くも雪が残っているのだと,東京の人が驚いてくれるのが気分よく,ついつい得意になって話してしまいました.

 今日,札幌を立ち,鳥取へ向かわれる成瀬さん(本法人代表)にとっても,冬から春へ一気に季節が進むことになるのでしょう.出発の日に間に合うよう投稿させていただきました.

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新ホームページ開設おめでとうございます...

              白岩孝行(地球研)、2006/04/10(Mon) , No.5

新しいホームページの開設おめでとうございます。氷河の話題を議論できる場所がなくなって寂しく思っていたところですので、氷河・雪氷圏環境研究舎のページが立ち上がり、とても期待しております。折につけ、何か話題がありましたら、立ち寄らせていただきますので、よろしくお願いいたします。

まずは最近の話題をひとつ。
先日、TBSの世界遺産でアラスカの氷河が2回放映されました。
番組作成に少しお手伝いさせていただきましたが、番組で伝えたかったのは、氷河の変動は気候変化だけで起こるわけではない、という成瀬さんの古くからの教えでした。

最近、なんでもかんでも話を単純化して、わかりやすくする風潮がマスコミ関係者に強く見られます。わかりやすく伝える努力は大変大事ですが、自然現象がわかりやすいかどうかは、別問題だと思います。氷河は人目も引きますし、とても魅力的な絵が撮れますのでしばしばテレビに登場しますが、地球温暖化の内容で、末端のカービング(崩壊)が映されるのは違和感を感じます。

TBSの世界遺産の場合は、ディレクターがとても勉強熱心な方でこちらの伝えたい氷河の全体像と氷河の特徴をきちんと説明してもらいました。結果として、話はわかりにくくなったきらいはありますが、とても満足のいくプログラムでした。

氷河・雪氷圏環境研究舎では氷河に関する様々な情報を市民と研究者の間に立って発信してくださることを期待しております。
我々としてもご協力できることは何でもやりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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[Photo] アラスカ、カスカウルシュ氷河

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氷河の出前授業 

                金森晶作(北大環境科学院,低温研)、2006/04/19(Wed) , No.7

会員からの活動報告です。

今度,北大病院の院内学級で,氷河のスライドショーを出前授業として行なうことになりました。

5月1日,院内学級の3校時の時間をお借りして,入院中の小学生から中学生を相手に,主にアラスカの野外調査で撮影した写真を見せながら氷河の話をして来ます。

また,南極の氷を触ってもらったり,野外調査で使う防寒具を実際に来てみてもらったりします。

実は2月にも同様の企画を行い,好評を得ました。
読売新聞,教育ルネサンスにも取り上げられました

また,5月から北米,アラスカへ渡り,6月にはランゲル山の氷河で調査を行う予定です。調査終了後,この場で何かしら報告させていただきたいと考えています。
よろしくお願いします。

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アラスカ,ランゲル山 

                 金森晶作、2006/10/10(Tue), No.1094

北海道大学環境科学院の金森です。

澤柿さんのおられる南極とは反対に,極夜へと向かうアラスカ,フェアバンクスからお便りしています。現在アラスカ大学フェアバンクス校へ交換留学中です。
(正確にはフェアバンクスは北緯64度,北極圏より南なので極夜にはなりません)

今夏,調査に行ったランゲル山(標高4317m)を紹介します。
雪氷コア掘削と積雪深データ回収を行って来ました。
ここ,ランゲル山の1年間での積雪は6.5m,雨量換算で約3000mmでした。この地域で比較すると多い方ですが,パタゴニアには到底及びません。

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写真は山頂からの360度パノラマ写真です。

山頂直下,標高約4100mに広がるカルデラは直径約5kmで,氷河に埋め尽くされています。氷の厚さは中央部で~1kmと見積もられています。
カルデラ,右側にはノースクレーター,ウエストクレーターの二つの噴火口が見えています。

アラスカ大のCarl Benson教授によりますと,
ノースクレーターは1960年代前半まで厚さ200mの氷に覆われていましたが,1964年の地震を機に温度が上がり氷が融け始め,1980年までにクレーター内の3/4の氷が失われました。
現在,ノースクレーターは再び冷たくなり,クレーター内の氷河の量は上昇に転じつつあります。

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ホームページ開設おめでとうございます. 

                  松岡健一、2006/05/05(Fri), No.10

ワシントン大学の松岡です。1995年から2002年までの長きにわたって、成瀬先生の低温研、氷河氷床研究グループでご指導いただきました。学位を頂いてから米国シアトルにあるワシントン大学で氷の研究を継続しています。

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                 [Photo]パタゴニア、ペリート・モレノ氷河(1993.11)

学生時代に1998年から2000年まで南極越冬観測(JARE40)に参加させていただいたのを最初に、米国南極プログラム(USAP)の枠組みで、2003年夏、そして昨年11月から今年の2月までと合計3回の南極観測を終えたところです。来シーズンも2ヶ月の野外観測を予定しています。USAPの様子を少しご報告したいと思います。

アメリカは現在南極地域に3つの基地を維持しています。一つは、大陸沿岸にあり航空機でも船でもアクセス可能なマクマード基地。2つ目は南緯90度すなわち南極点に位置する南極点基地。そして南極半島にあるパルマー基地です。マクマード基地は夏場には1000人を超える大きな町になります。アラスカの田舎から来た人は「私が住んだ町の中でマクマードが一番大きい」と言っていました。昭和基地にもある病院、食堂、バーに加えて、ボーリング場、教会まであります。冬場は基地の維持管理を主目的に約200人が越冬をします。南極点基地、パルマー基地はずっと規模が小さく、極点基地の場合は夏場でも100人程度です。

マクマード基地へはニュージーランドのクライストチャーチから空軍の飛行機で行きます。10月から2月末までは週に何便も大型の輸送機が飛んでいます。南半球の冬は飛行は一旦お休みになりますが、真冬の8月下旬に数便WinFlyと呼ばれるフライトがあります。このフライトで、冬明けの10月ににどっと押し寄せる研究者達のために下準備をしてくれる設営関係者が基地に入ります。極点基地の場合は気温がもっと低いため飛行機が運航できる期間は限られますが、おおむね11月から2月上旬までフライトが続きます。

私が現在従事している観測では、まずマクマードに入り準備をします。観測機器を調整したりするだけではなく、安全講習会に出たり、食料庫に行って食材を受け取ったり、フライトの打ち合わせをしたりと忙しく過ごします。そのあと、スキーを履いて雪の上で離着陸できるように改造されたC130と呼ばれる大型プロペラ機で3時間ほど行った氷床の(とても平べったいですが)頂上の一つにあるDivide Campに入ります。

3年前訪れたときは全くの雪の原でしたが、我々の観測結果を元に過去10万年の気候変動を調べる氷コア掘削地点が決められ、去年訪れたときには既に新しい基地の建築の真っ最中でした。昨年ですと基地建築のための大工さんや機械屋さんを中心に40人程度、それに必要に応じて短期滞在する研究者が5-10人程度という人数構成です。ちなみに、シャワーも洗濯機もシーズン最後には設置が完了しました(洗濯機は余りに水を必要とするので、その後使用禁止令が出ましたが)。

このDivide campで更に旅行の準備をして、自分達だけの旅行が始まります。スノーモービルで橇を引っ張り、テント張りのキャンプを設営しながら、氷床の上を旅行して観測を行っています。昨年は、私のほかに学生3人と安全担当1人の合計5人のチームでした。

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「昭和基地より」 

             澤柿教伸(47次南極越冬隊)、2006/04/15(Sat) No.6

氷河・雪氷圏環境研究舎のホームページ開始,南極よりお祝い申し上げます.

地球の裏側にある昭和基地ですが,今ではインターネットが常時つながるようになって,かつての越冬隊員が経験したような「情報浦島太郎」になることはなくなりました.そのおかげで,今こうして昭和基地からこのサイトに書き込みができるわけです.

今年は第一次南極観測隊が日本を出発してから50年目にあたり,全国的にも南極が取り上げられる機会も多くなることと思います.そもそも,日本の南極観測が開始されたきっかけは,第1回国際極年(1882~1883)と第2回国際極年(1932~1933)に引き続く国際地球観測年(1957~1958)でした.それから数えて50年目にもあたり,今,四たび目の「国際極年2007-2008」が進行中です.

今回の国際極年の特徴は,極域研究の意義や重要性を一般に啓発する「アウトリーチ」が盛り込まれていることで,「世界中の中高生たちも積極的に極域観測に注目しよう」という呼びかけがされています.

「極域研究」「雪氷圏」といえば,ここ昭和基地はまさにその最前線にいるわけで,このような時期に,インターネットを通じて最前線の情報を広く発信できる環境が整備されたことは非常にタイムリーなことです.その意味では,極域研究者として昭和基地で越冬している我々は重要な責務を担っているともいえるのではないかと思います.また「氷河・雪氷圏環境研究舎」の設立初年度が,丁度,国際極年2007-2008にあたることも非常に喜ばしいことだと思います.

この機会とこの場をお借りして,少しでも我々越冬隊員の責務を果たすべく,昭和基地より最新の活動状況をお送りしたいと思いますので,ご期待ください.

とりあえずその初回として,今回は,白夜の夏を過ぎてようやく夜の闇が訪れるようになった昭和基地の空に現れたオーロラの写真をお届けします.この写真に一緒に写っているまっすぐな光線は,気水圏部門の隊員が実施している「多波長ミー散乱ライダー」という観測のために人工的に射出しているレーザーの光です.

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この観測では,紫・緑・赤の3波長のレーザー光を上空に放出して,それが上空の雲やチリに当たって散乱して戻って来る様子を精密な望遠鏡でとらえ,雲やエアロゾルの,高さ・形状・粒子の大きさなどを調べています.このレーザーは高出力で,分厚い雲でも突き抜け,上空60km位まで届くそうです.なお,オーロラは100km以上の現象ですので,さすがにこのレーザーも届きません.

昭和基地では風の強い日が多く,積もった雪が巻き上げられて地吹雪になります.地吹雪の細かな雪粒にライダー観測のレーザー光が反射して,キラキラと輝いている様子は非常に幻想的です.このような自然と人工の光の共演が現在の昭和基地の夜空を彩っています.

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「南極の湿った雪」 

                  澤柿教伸(47次南極越冬隊)、2006/05/30、 No.27

5月も末を迎え,昭和基地の日照時間は1時間ほどになりました.もうすぐ太陽は昇らなくなります.次に陽が昇るのは7月中旬です.

一週間ほど前にB-C級の二つ玉ブリザードに見舞われ,地上突起物の風下側に大量のドリフトがつきました.このときの気温はマイナス2度で,この時期の気温としては「異常高温」ともいえるものです.ブリザードをもたらす低気圧は,海洋域からの暖気を運んできますので,悪天時に気温が上昇することは一般的なのですが,今回の上昇は異常でした.その影響で,ドリフトを形成する雪は水っぽく粘りけがあって,いわゆる「積雪被害」を引き起こしかねない深刻なものとなりました.

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写真は,電源や観測機器の信号線を載せているケーブルラックですが,これもすっかりドリフトに埋もれてしまいました.通常の軽くて締まったドリフトであれば,このまま埋没させておいたほうがかえって良いくらいなのですが,今回の湿ったドリフトは,圧密やクリープを起こしてラックを下方にひきずり,曲げや倒壊を引き起こすことが心配される状況になりました.

ドリフトの影響を抑えるために,「縁切り」の作業を行いました.ケーブルラック周辺では重機が使えないので,手作業になります.

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「ミッドウィンター」 

                  澤柿教伸(47次南極越冬隊)、2006/06/19、 No.501

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南半球の冬至が近づいてきました.この日を境に,越冬観測は後半戦に突入します.

昭和基地では,この日を記念して19日夜から3日間に渡って「ミッドウィンター祭」を盛大に催します.また,各国が管理する南極観測基地どうしの間で,グリーティングカードの交換も行われています.昭和基地にもすでに沢山のカードがE-mailを使って届けられています.

今回は昭和基地からのグリーティングカードをお届けします.この写真は,丁度今頃の真昼の昭和基地の様子を撮ったものです.地平線の下に沈みっぱなしの太陽から上空の冷え切った大気に向かって光の柱(サンピラー)が伸びています.

実は,各基地からのカードには国籍を示すものはなにも記載されていません.昭和基地のカードも同様です.カードにある昭和基地の看板(19広場前)には,本当は日の丸が描かれているのですが,それを意図的に消しています.

これは,南極はどの国にも属さない人類共有の大陸であるという思想に基づいて,国を意識させない配慮がなされているからです.

南極で活動する人々に国籍も国境も関係なく,共同・分担してこの未知なる大陸の観測を続けているということ,我々もその一員として昭和基地で観測を続けているということ,そして,人類共通の宝としての南極の意義を,カードの交換を通じて,あらためて思いなおしているところです.


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大学院氷河実習プログラム 

                 杉山 慎、 2006/07/14、No.609

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 (写真:アレッチ氷河にて) 

北海道大学で氷河研究に携わっている杉山と申します。アイスランドでの学会、研修旅行の様子、興味深く拝見しました。私は氷河湖に興味を持っていることもあり、是非一度訪問してみたい国のひとつです。

現在大学院教育を担当している北海道大学環境科学院において、スイスでの氷河実習プログラムを実施しました。

このプログラムは、タスマニア大学が提唱する国際南極大学のカリキュラム整備を目的としてスタートしました。国際南極大学は、寒冷圏の研究や教育に実績を持つ世界の研究機関や大学が、それぞれのカリキュラムを持ち寄って設立される教育プログラムです。


No.925 “氷河実習” 

                 大津 聖子、2006/08/09(Wed)

北海道大学の理論雪氷グループ所属の大津と申します。現在グリーンランド氷床の流動モデルを研究しています。

先日杉山先生からスイスにおける氷河実習プログラムについての投稿がありましたが、私もその実習に参加させていただきました。氷河を学ぶ者として、今回のスイス実習では本当に有意義で貴重な経験をさせていただきました。

私個人の実習の目的は、研究の対象である氷河を実際に自分の目で見るということでした。初めて山間に覗く氷河を見たときは大変感動しました。

氷河上での実習は何もかもが始めての経験で、杉山先生や現地スタッフの指導に従ってみんなで協力し、積雪断面観測やGPSなど5種類の調査を行いました。

また、スイス連邦工科大学の先生方や雪・雪崩研究所での講義を受講することができ、地域と結びついた最先端の氷河の研究のお話を聞くことができました。

今回の実習は氷河の実習だけでなく、スイスの美しい自然と町並みを満喫し、人々や文化に直接触れることができ、本当に素晴らしいものになったと思います。

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No.1292 “氷山の広告”   

                   成瀬廉二、2006/11/28(Tue)

 朝日新聞(鳥取版は11/20朝刊)の全面にグリーンランドの氷山の写真が載った。イルリサット沖の海に浮かぶ大氷山で、写真としてはとても良い。表題に「グリーンランドの氷山、ひと塊ぶんのCO2」とあり、C社(昔はレンズ、カメラのC)の広告である。以前だったら、写真だけ見てさっと紙面を繰るところだが、氷河・雪氷圏環境研究舎としては、写真と広告との関連が気になり、じっくり分析してみることにした。

 広告文の中に「C社は、......4年間に累積で約6,320トンのCO2排出を削減。これはグリーンランドの氷山約14,000m3が溶けるのを防いだことになります。」との記述があった。企業努力によって地球環境保全に貢献している、ということをアピールしたいのだろう。CO2の排出を少なくすれば、そのぶん温室効果の進行を緩和させ、地球に入る放射エネルギーの増加を抑え、その抑制したエネルギーが氷山一塊分を融かす熱に相当する、というシナリオかと思った。しかし、この過程を計算(推定)することはそんなに容易ではない。

 ところが広告の末尾に小さい字で、「人類による年間230億トンのCO2排出が、グリーンランドの氷510億m3の溶解をおこしているとすると、この削減によって約14,000m3の氷山を守ったことになります。」とあった。グリーンランド氷床の融解量は、最近の論文を2、3当ってみたところ氷床周縁部(標高の低い地域)の年間総量が上記の数字に近い。そこで、(6,320/230億)x 510億m3 を計算してみたら、ぴたり14,000m3になった。

 これは、科学的に明らかな誤りである。何故なら、CO2が氷を融かす熱源となるわけではないからである。

 新聞広告には、時には(私には)意味不明なもの、あるいはド肝を抜くようなものもあるが、一見もっともらしい筋書きながら嘘となってはいけない。

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No.8  ”航空気象業務についてご紹介” 

                  山本竜也、2006/04/25(Tue)

 初めて本掲示板に書き込ませていただきます。

 2000年から2003年にかけて成瀬先生にお世話になった山本竜也ともうします。在学中には地中探査レーダによる積雪観測というテーマに取り組んでおりました。
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 [Photo]地中探査レーダによる観測(2001.2.26、札幌)

 現在は、気象庁の寿都測候所で地上気象観測をやっています。3月までは仙台航空測候所で航空気象観測をやっておりました。先日の成瀬先生ご退職祝いパーティーでお会いした複数の方に、航空気象観測って何をしているの?と聞かれました。また、常日頃、一般の方からもよく聞かれます。地上気象観測や予報業務に対して、あまり航空気象業務については知られていないようです。そこで、この場をお借りして、航空気象業務について紹介させていただけないでしょうか。

 航空機の安全な運航には空港や上空の気象要素を知ることが欠かせません。そのため、気象庁では国内の各空港に航空地方気象台や航空測候所、空港出張所などを設けて、空港の気象観測と予報を行っています。また、上空の予報は福岡にある航空交通気象センターが中心になって行っています。

 航空気象観測のうち最も重要視されるのは風・視程・雲の高さの観測です。風は航空機に大きな影響を与えます。特に横風と追い風については航空機、パイロットごとに運用基準が設けられており、一定の風速以上になると離着陸できなくなります。そのため、一般の気象官署には一つの風向風速計しかありませんが、空港には複数の風向風速計が設置されています(仙台空港だと滑走路の両端に2つずつ、中央に2つで合計6つ)。視程や雲の高さについても航空機、パイロット、空港ごとに運用基準が設けられており、一定の値以下になるとやはり離発着が禁止されます。仙台空港の場合、春から夏にかけての霧のために空港が閉鎖されてしまうことがあります。また、日本海側の空港だと冬の吹雪のために視程が悪化し、空港が閉鎖されてしまうことがあります。

 これらの気象要素は刻一刻と変化するため、航空気象観測は一般の地上気象観測と異なる観測方法を行っています。地上気象観測は基本的に3時間ごとに定時観測を行いますが、航空気象観測は1時間ごと(空港によっては30分ごと)に定時観測を行います。また、風や視程、雲の高さがある基準を超えますと特別観測を行います。そのため、ひどいときには数分おきに特別観測を行っています。

 また、航空予報も一般の予報とは異なり、きめ細かい予報を求められます。風向風速は何度何kt、視程は何km、雲の高さは何ftなのか、また変化する場合は何時から何時にかけてなのか、具体的な数字を列挙して予報を出しています。航空予報は国内の全空港で出しているわけではなく、国際便のある空港のみで出しています。例えば、北海道内なら新千歳空港と函館空港だけです。

 これらの観測結果や予報はそれぞれMETAR、TAFと呼ばれています。各空港で出したMETAR、TAFは気象庁本庁に集約され各空港官署の他に航空局や航空会社などに配信されます。また海外の気象庁とも情報交換を行っています。他にも国内悪天予想図と呼ばれる上空の予想なども気象庁から航空会社などに配信しています。航空会社では、運行管理者がそれらの情報をもとに運行計画を立てています。他にも、パイロットが上空で着陸地の気象を確認するのに用いられたり、管制官が航空機の着陸方向を決定するのに用いられたり、雷の時には地上作業員の避難に用いられたりと、様々な用途にMETAR、TAFは役立っています。

 なお、気象庁のホームページではMETAR、TAFは公開されておりませんが、NOAAのホームページで全世界のMETAR、TAFを見ることが出来ます。読み方は少し難しいですが、解説しているホームページなどもありますので、興味のある方はご覧にあると面白いと思います。飛行機に乗る前日などにTAFをチェックされると欠航の可能性を判断できるかもしれません。

 以上、長々と書き、申し訳ありませんでした。まだ紹介し足りない部分も多いのですが、興味を持たれた方がいらっしゃれば、また書き込ませていただきたいと思います。航空気象業務に対して少しでも親しみを持っていただければ幸いです。

 最後になりましたが、成瀬先生、このたびのご退職ならびにNPOの立ち上げ、おめでとうございます。微力ながら、私もお手伝いできる範囲のことはさせていただきたいと思っておりますので、これからもよろしくお願いします。

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No.17  「大山の最大積雪深」 

                   山口悟 投稿日:2006/05/16(Tue)

こんにちは。成瀬さんのグループを卒業して現在防災科学技術研究所に勤務しているものです。

当研究所では、日本の山地の積雪深の経年変化の観測を行っています。鳥取でも大山で観測を行っているので今回はその紹介です(各冬の最大積雪深)。

今年は”平成18年豪雪”といわれるくらいの大雪でしたが、山(大山)では、それほど多くなくむしろ2000年のほうが多かったことがわかります。このように一概に大雪といっても山と平地では傾向が全然違います。

最後に宣伝を。。
私どもの研究所では、他の大山だけではなく他の山地でも観測を行っています。そのデータはホームページで公開しています。もし興味があれば来てみてください。

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No.1047
「十日町は世界で一番雪が多いか?」 

                     成瀬廉二、2006/10/01(Sun)

 昨日(9月30日)の私の講演『地球温暖化により南極の氷河や日本の雪はどうなるか? 』(「行動・行事」のサイト参照)の中で、新潟県十日町における過去66冬季の雪/雨の統計図(遠藤八十一、2006)を引用させていただいた。そのためか、講演後の多様多数の質問の一つとして、「十日町は世界一雪が多い、と言うのをテレビで聞いたけど本当か?」と言うのがあった。

 テレビで放映されたことの真偽や信頼性についてコメントする立場にはないし、テレビをそんなに多くは見ない私としては、その番組ではどういう主旨で、どういう条件のもとで「世界一」といったのか、想像する術はない。しかし、”雪氷圏環境研究舎”としては、面白い重要なトピックスなので少し検討してみることにする。

 まず、地球上で一番多く雪が降るところは、間違いなく温暖な地域に存在する氷河の上流域(涵養域)であろう。候補としては、アラスカの西海岸と南米パタゴニアがあげられる。パタゴニアでは、山の周辺で人々が住んでいる村か町に気象測候所などがあるが、氷河地域には観測所は皆無である。チリの研究者と私の間接的な推定では、氷河地域の平均の年間降雪量は雨量に換算して6,000-8,000mm程度である。

 一方、パタゴニア南部チンダル氷河の源頭部における積雪のボーリングによる解析では、1998年の降雪量は雨量換算で年間17.8 mという従来の予想をはるかに超える値が得られた(Shiraiwa and others, 2002)。この降雪量(17,800 mm)は、私の知る限りでは、物理的に測定された世界最高記録ではないかと思う。

 ところで、例のテレビ番組の雪は、こんな氷河のことなど考えているはずはない。おそらく、気象台またはそれに準ずる公的な機関における雪の観測データの統計値に基づいているのであろう。

 まず理科年表(1994年版)を見た。積雪の最深記録としては、高田の1945.2.26の377cmが、日本全国80箇所の内で一番大きい。十日町は載っていないので、次に森林総合研究所十日町試験地のホームページにあたった。そこには、年最大積雪深の極として1945.2.26、425cmとあった。同じ日の高田より多い。

 ということで、十日町は日本一の可能性がでてきた。しかし、もし「日本一」なら、余程不名誉なことでない限り、村おこし、人寄せ、観光資源に何でも利用する時勢なので、十日町市のホームページを見てみた。しかし、そこにはそれらしき記載はなかった。実際はどうなのか、十日町在住の我が研究仲間に尋ねてみようと思う。

 さて、本論は「世界一」かどうか、という問題であった。世界中でこんなに雪が多いところに人が大勢暮らしているところはない。言い換えれば、都市や町村に限れば、日本一なら世界一であろう。しかし、世界中で人里から離れた観測所で、日本の豪雪地帯より大きな積雪深が観測されているかどうかは、私は知らない。

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No.1060 “Re: 十日町は世界で一番雪が多いか?”  

               竹内由香里、 2006/10/03(Tue) 11:11 No.1060

 遠藤八十一さんの代行で返信します.

人口5万人以上の市という条件をつければ,十日町市が日本一です.すなわち,世界一なのかもしれません.たとえば,栗山弘著「雪の科学と生活」(新潟日報事業社出版)p. 80 に世界の多雪都市の人口と1~3月の降水量の関係をプロットした図が出ていますが,この図では十日町がトップです.ただし,アメダス観測点には十日町市より積雪が多いところがあります.最近の市町村合併の結果,人口,積雪量とも十日町市を超える市が現れたでしょうか.

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No.1065-78 “伊吹山の世界記録”  

 No.1065、土井倫子、2006/10/03(Tue)

初めまして、鳥取環境市民会議の土井と言います。この前の「地球環境はいま!?」の講演会で「滋賀県と岐阜県の県境にある伊吹山に積雪深の世界記録があるが、どうしてか?」という質問がありました。その時は分からなかったのですが、調べてみると確かに伊吹山にそのような記録があるようです。

Wikipediaには、「1927年2月14日に観測された11.82mの積雪は世界山岳気象観測史上1位とされる積雪の最深記録である」と書いてあります。きっとパタゴニアとかを除けば世界一なのでしょう。北西の風と若狭湾及び琵琶湖の湿った空気とが影響していると思いましたが、如何でしょうか? 岐阜県との県境の山では一番高い山のようです。
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No.1076  Re: 伊吹山の世界記録 

                      伏見碩二(代行、成瀬) - 2006/10/05(Thu) 12:25

 「伊吹山の雪」に関する投稿について、長らく琵琶湖集水域の雪や水環境について研究されてきた滋賀県立大学の伏見碩二氏にコメントを求めたところ、以下の情報が送られてきましたので、転載いたします(成瀬)。

 伏見碩二(1983):「琵琶湖の雪」、滋賀県琵琶湖研究所
    所報2号(P.79-117)より抜粋.
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 日本人が暮らしているなかで最大の積雪深にみまわれる地域は、北陸地方の山間部だ。ちなみに、武田栄夫氏は、「伊吹山頂では、1927(昭和2)年2月14日に、積雪が実に1,182㎝になった。これは、世界の山岳で確認された最深の記録となっている*」と伊吹山の世界記録についてのべている。琵琶湖の東にそびえる伊吹山の積雪深記録については、風が強いために、雪が吹きとばされ、地形的に吹きだまる影響が加わるので、必ずしも降ってきた雪によるもともとの積雪深を示さない場合がある。かって私たちは、北アルプスの剣沢で、20mほどもの積雪のボーリングをおこなった。雪をためる地形と雪をはこぶ強い風があれば、かなりの雪がたまるのである。

 しかし、その伊吹山測候所が観測した最大積雪深記録は大雪の証拠になる。じじつ、1927年に滋賀県で積雪深が1mをこえたところは、余呉町中河内の286㎝、木之本町の168㎝、今津町の101㎝となっており、1918年以来の記録をこえた**。その年は北陸地方を中心とした大雪で、積雪深は新潟県の赤倉で405㎝、高田で372㎝、そして福井県は100年来の大雪***と報告された。

(PS:本報告後、彦根地方気象台は伊吹山頂での積雪深観測を中止するようになりました。)

 [引用文献]
*武田栄夫(1980):近江気象歳時記. 近江文化叢書5、219pp. サンブライト出版、京都.
**彦根地方気象台(1966):雪害編. "滋賀県災害史"(滋賀県総務部消防防災課編)、109-129.
***高橋浩一郎監修(1983):日本気象総覧(下巻). 1060pp. 東洋経済新報社.
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No.1077
Re: 伊吹山の世界記録 

                      土井倫子、 2006/10/05

伏見様、成瀬様、

コメントありがとうございます。ところで、伊吹山の観測場所はどういう所なのでしょう? 山頂ですか? 中腹ですか? 山麓ですか? 吹きだまりですか? 今もそこは使われているのですか? また、一般的に山の積雪深はどのあたりで計測していますか?

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No.1078
Re: 伊吹山の世界記録 

                    伏見碩二 (via Naruse) - 2006/10/06(Fri) 09:10

土井 さま

伏見です。早速の再質問、ありがとうございます。

さて「伊吹山の(気象)観測場所」は山頂ですが、積雪深は山頂西側の窪地で観測を行っていましたので、伏見(1983)が報告しているように、吹き溜まりの影響がありました。従って、正しい積雪深を観測する場所としては適当ではありませんので、上記報告後、彦根地方気象台は伊吹山の積雪深観測を中止しました。風が強いために吹き溜まりの影響のある「山(頂)の積雪深」を正確に測定するのは難しかったからです。一般的には、山頂付近は風の影響が強く、地形的に吹き溜まりや雪が吹き飛ばされやすくなりなりますので、積雪深の観測地としては吹き溜まりが起こりにくい山の裾野周辺の広大な平坦地が適当ではないかと考えています。例えば「山の積雪深」観測地として、かつて僕達は北アルプス立山の室堂周辺の広大な平坦地で観測を行っていました。ご参考までに。

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No.1534 「山も少雪??」

                 山口悟@長岡, 2007/02/06(Tue)

画像


今年は昨年と打って変わって暖冬で新潟県でも平地ではほとんど雪が見られません。山の方でも雪不足でスキー場が困っているという話もよく聞きます。

というわけで、実際今年の山の雪は平均的な年と比べてどれくらい少ないのかを調べてみました。

図は、大山における平均値(1994/95~2003/2004の10冬期の平均)と今冬の積雪深を比較したものです。この図からも今冬は山の方でも雪が少ない(半分くらい)ということがわかります。

ウィンタースポーツ好きの身としては、平地はともかく山にはそれなりに雪が降ってほしいものです。

 


 


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