智往来、北前船、県博裏、渇水、防砂、環境館、2017新年、メタン、東京桜

『智頭往来、篠ヶホキ』              投稿日:2016/06/14、No.262
 江戸時代、鳥取藩の参勤交代の街道は智頭往来(または因幡往来、上方往来)と呼ばれ、第1日目の宿場は鳥取城から約32 km南の智頭である。

 その智頭宿へ入る直前に「篠ヶホキ」(ささがほき:篠が峰岐)という古い山道がある。11日、ここを歩いてみた(写真)。
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 この古道は、国道53号線やJR因美線が現在はトンネルで通過する御立山の中腹を、千代川から標高差約80 m程度を高巻いている。『歴史の道百選』(文化庁、1996年)に選定されている「智頭往来:智頭~西粟倉21 km」の一部なので、それなりに整備はされている(写真)。

 しかし、土砂崩れ、落石、倒木など山道の崩壊があちこちに見られる。篠ヶホキ約1 kmの片道はゆっくり歩いて35分だった。軽登山やハイキングとしては物足りないし、かと言って観光客の散歩としては道が荒れており楽ではない。

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『北前船の係留跡』
           投稿日:2016/06/19、No.263

 山陰海岸ジオパークのガイドマップ「浜坂・諸寄(もろよせ)コース」に、「北前船の係留跡」と記された小さな写真が張りつけられていた。これは一体何なのか、とりあえず行ってみることにした。

 諸寄港から1 kmほど北西、日和山の半島先端の岩場を歩いて探していたら丸い穴を見つけた。写真の様に、直径15 cmくらいのきれいな円である。穴の底に砂や水が溜まっていたので深さは分からないが20-30 cm程度だろうか。同様の穴が、数mほど離れて4個あった。
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 これが北前船の係留跡に違いない。当時は、たがねをハンマーで叩いて溶岩に円筒状の穴を空け、そこに丸太を立て、それに船のもやいのロープを結んだのだろう。 

 北前船(きたまえぶね)は江戸中期から明治30年代まで、蝦夷(北海道)と大坂の間を、日本海沿岸の諸港に寄港しながら、下関、瀬戸内海を通って往来した廻船である。北前船はいわば“海を往く総合商社”であった。本州からは、米や塩、砂糖、酒、酢、鉄、綿、薬、反物や衣類などあらゆる生活物資を、逆に、蝦夷地から上方へは、主に昆布や鰊、鰊粕、干鰯、鮭、鱈などの海産物を運んだ。(「Blue Signal」 JR西日本)

 種々の文献等では、北前船の主な寄港地として、鳥取県では橋津、赤碕、境港が、兵庫県の日本海側では竹野、柴山、香住、浜坂が挙げられている。諸寄は見当たらない。浜坂から5 km離れた諸寄は、主要港である香住や浜坂の副か補助か代替港だったのだろう。

{お知らせ:6月19日(日)~28日(火)、NPO法人氷河・雪氷圏環境研究舎(鳥取)は不在になります(成瀬外国旅行のため)。}

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博物館バックヤード
投稿日:2016/09/02、No.282

 鳥取県立博物館でバックヤードツアーが催されることを知り、一度は見たいと思っていたので、その見学会に参加した(8月31日)。

 バックヤードとは裏庭のこと。施設のバックヤードツアーとは、ふだん部外者は入ることができない舞台裏とか作業場とか実験室などを担当者の説明で見て廻ることである。

 鳥取県博は、自然、歴史(民族)、美術の三部門で成り立っている。今回のツアーで案内されたバックヤードは、博物館の建物と設備の概要、資料や展示物の搬入経路、および絵画収蔵庫の一端(写真)であった。
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 実は、私が見たかった所や物は、未整理またはスペースの都合で展示されていない生物標本や、岩石・化石のサンプルであり、その背景や実情や問題点について専門の学芸員から説明を聞きたかった。

 ところが、当日まで迂闊にも気がつかなかったのだが、この催しは、県博すべてではなく、美術部門主催のツアーであった。

 鳥取県立博物館は開館後40年以上経過し老朽化していること、収蔵庫が過密状態にあること、等の理由により、三部門のうち美術部門が独立し、県立美術館を設立させる構想がかなり具体的に検討されている。

 そのため、その計画を推進している美術部門が、県民の理解を得るための一環としてこのツアーも企画されたのである。

 施設を見学して、確かに収納スペースが満杯に近い、搬入用エレベーターが小さい、温・湿度の空調設備が古い、ことなどは良く分かった。必要なら、新たな施設をつくることは良い。

 しかし、入場者目標が年間20万人は、現在の3部門で年間約6万人(2007-2011年)なので、まさに夢物語である。「砂の美術館」は48万人(2015年)と多いが、これは県外からの観光客が砂丘見物の延長として訪れているので、同列には見なせない。

 小県=鳥取に見合った小ぢんまりとした美術館にするとか、調査研究室+資料庫を展示棟と分離させるとか、さらなる十分な議論が必要である。

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日野川渇水(8月) 
投稿日:2016/09/08、No.283

 台風およびその関連の雨雲や前線の影響により、今夏は九州や、北海道、東北、北関東などで集中豪雨による甚大な被害が発生しているが、そんなとき「えっ、渇水?どこで?」と思われるに違いない。
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 ことの発端は、先月(8月20日)、(広島県)道後山方面から米子へ戻る途中、日南町の菅沢(すげさわ)ダム湖(日南湖)を見たことによる。写真で明らかなように、湖の水位が非常に低く、湖岸の森林帯の下方に土砂斜面が大きく露出していたのである。

 菅沢ダム(標高360-390m付近)は、鳥取県の最長河川である日野川水系の上流に位置し、洪水調節のほか、発電および農業、工業用水を供給している鳥取県最大の多目的ダムである。20日午後のダム貯水率(利水容量)は35%だった(国土交通省水文水質データベス)。

 今夏、中国地方が梅雨明けした7月18日以降、8月15日までの約1か月間、米子市(米子特別地域気象観測所)の降水量は1ミリ(平年の0.8%)、日南町茶屋アメダス(標高490m)では41ミリ(平年の24%)だった。

 同ダムを所管する国土交通省日野川河川事務所は8月15日、日野川流域の米子市、境港市、日吉津村・他の町村や土地改良区あて「8月17日、日野川流域の渇水対応を協議するため、“水利用協議会幹事会”を開催する」との通知を発した。実際にどのような対策を取ったのかは不明だが、国交省では8月中旬の時点で「渇水」の危機意識を持っていたことは確実である。

 ところが実際には、8月下旬米子では130ミリ(平年の2.5倍)の降水があり、菅沢ダムの貯水も標準の状態に近づいたようである。

 以上の様に、史上最大あるいは50年に一度の豪雨に見舞われる地域の陰やはざま(狭間)に、いつでも日照り、渇水、かんばつ(干魃、旱魃)が起こり得るのである。

 IPCC第5次評価報告書では、21 世紀末の大雨と干ばつ(drought)の予想される状況について以下の様にまとめている(IPCC-2013, WG1, AR5_SPM_FINAL)。

 「大雨の頻度、強度、降水量の増加」:中緯度のほとんどの陸地と、湿潤熱帯地域でvery likely(可能性が非常に高い)。
 「干ばつの強度や持続期間の増加」:地域規模から世界規模でlikely(可能性が高い)

 すなわち簡単に言えば、近い将来、豪雨は間違いなく激しく、多くなり、干ばつも多分激しく、長くなりそうだ、ということである。

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防砂柵 
投稿日:2016/11/09、No.300

 北海道から北陸にかけて雪国の道路沿いで冬期には見慣れた光景の防雪柵の吹き溜りではなく、写真は、鳥取市気高町浜村海岸沿いの防砂柵の堆砂である(11月6日、15:30)。

 現場は、鳥取砂丘西端の白兎海岸の西、国道9号線が東西に3 kmほど直線的に伸びているところである。道路は海岸の砂浜に隣接しているため、強風時には砂が飛び、道路上、およびその風下の民地へ砂が堆積する。
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 それを防ぐ目的で、砂丘周辺では防砂林や各種の防砂柵が設置されている。その一例が写真の柵(ネット)で、風下側の堆砂は部分的に柵の頂部に達し、歩道を埋め、車道にも達している。

 鳥取砂丘では、風速が4~5 m/秒になると砂粒が動き始め、5~8 m/秒のとき美しい風紋ができ,10 m/秒を超えると跳躍や浮遊によって砂は激しく動き、移動する(神近牧男による)。

 11月6日、最寄りの湖山アメダス(鳥取空港内)による毎時の風速(北北東の風)は、03時~11時が12~14 m/秒、12時~16時が9~12 m/秒と非常に強く、防砂柵前後の砂は同日未明から昼過ぎにかけて吹き溜まったことは確実である。

 防雪柵の一種の吹きだめ柵では、柵と道路等の間に雪を貯める場所として幅数mから30 m程度のスペースを設けることが一般的であるが、ここでは防砂柵と歩道が接しているので、飛砂が激しければ道はすぐに砂で埋まってしまう。

 吹き溜り雪なら、時間とともに収縮したり融けたりするが、砂の吹き溜りはそうはならない。路上に堆砂が生じると、道路管理者がショベルカーで砂を除去している。

 防砂柵は効果が完璧な設備ではないが、本来強風が吹けば砂が舞う場所に生活空間や道路を作ったので、今のところこれに替わる対策はない。

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ひょうご環境体験館 
投稿日:2016/12/02、No.306
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 佐用町三日月から播磨新宮へ向かう途中の森林の中に、表記の名称の館がある。その建物の外観は、何をイメージしているのか分からないが、たいへんユニークである(写真)。

 この施設は、兵庫県の補助事業で運営されており、「見て」「触れて」「作って」楽しく環境学習を行い、地球温暖化防止活動を推進することを目的としている。

 施設とその場所の環境は申し分ないが、市街地から遠いので、子供たちが簡単には来れないことが、運営上の問題らしい。

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新年を迎えて 
投稿日:2017/01/01、No.315

 あけましておめでとうございます。

 本年も、皆さま健やかで、実り多き年となるようお祈りいたします。

 今年の鳥取は、昨年に引き続き雪のない元旦を迎えました(写真:鳥取城跡天球丸の巻石垣.2016年12月31日15時)。
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 NPO法人氷河・雪氷圏環境研究舎は、鳥取県の設立認証および法務局への登記完了(2005年12月14日)から11年、また鳥取を拠点とした活動開始(2006年4月1日)から10年9ヵ月が経過した。

 NPO法人設立10周年を記念して、昨年9月30日、名古屋大学における通常総会に引き続き公開セミナーを開催し、竹内由香里会員(新潟県)および永塚尚子会員(東京都)により南極とグリーンランドの最新アクティビティについて紹介が行われた。

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海底メタン国際フォーラム(前) 
投稿日:2017/03/17、No.341

 「鳥取国際メタンハイドレートフォーラム」が、3月15日鳥取市内で開催された。鳥取大学、明治大学、鳥取県の3者主催である。
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 メタン(CH4)は常温、常圧では気体だが、低温・高圧の状態で氷状の固体物質となったものをメタンハイドレートと言う。

 なぜ鳥取県が主催でメタンハイドレートの国際フォーラムを開催するのかと言うと、昨(2016)年4月、鳥取県が鳥取大学に「メタンハイドレート科学コース」(大学院修士課程)という寄附講座を開設したことによる。

 その講座の目的は、日本海沖の海底で表層型メタンハイドレートの存在が確認され、将来の国産エネルギーとして期待されているため、メタンハイドレートを専門とする高度技術者を育成することである。今年度は、鳥取大学を卒業した3名と社会人入学の1名が在籍しており、教員は海老沼孝郎教授(北大低温研大学院雪氷物理講座卒)と助教1名である。

 フォーラムは、口頭(同時通訳付)とポスター発表で行われ、出席者は約80名、外国人発表者はロシア、フランス、イギリス、オーストラリア、台湾であった。


海底メタン国際フォーラム(後) 
投稿日:2017/03/21、No.342

 日本海の多くの地域では、水深300 m以深の水温は0~1℃の低温で一定となっている(藤原大吾)。この30気圧を超える高圧力と低温度においてはメタンがハイドレートという固体で存在できる。

 海底よりさらに下の地中では、圧力は高いが、地熱のため高温度となり、メタンは固体ではいられなくなる。

 メタンは地球上の陸や海のどこにでもある物質だが、日本海では数100 m程度の比較的浅い海底の表層に固体メタンが塊として存在するという特徴があるので、その採掘に期待がかかっている。

 一般に地下資源開発は、1)学術研究、2)資源探査と資源量評価、3)資源回収のための技術開発という3つの段階で進められ、日本海のメタンハイドレートは第2段階の後半と考えられている(松本・海老沼)。

 そのため、フォーラムの副題には
 ~メタンハイドレート賦存域の環境評価と海底地盤工学の最前線~
が掲げられ、それに沿い、海洋環境や採掘の工学に関わる発表も行われた。

 天然ガスの主成分であるメタンを燃焼させると、石炭や石油に比べると相対的に少ないながら二酸化炭素を放出するので、クリーンエネルギーとは言えない。一方、メタンの温室効果の能力(地球温暖化係数)は、同量の二酸化炭素の25倍と大きい。

 したがって、大地や海洋からメタンがガスとして大気中に放出される前に、それをとり出し、エネルギーとして有効に利用することの意義は大きい。
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桜満開(鳥取) 
投稿日:2017/04/07、No.346
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 鳥取気象台は、今日昼「桜の満開を観測した」と発表した(写真: 久松公園、7日12時)。開花が4月2日で平年より2日遅れだったが、満開は平年と同じとなった(久松公園のソメイヨシノ標本木)。

 昨年は3月23日開花、31日満開だったので、今年はずいぶん遅い感じがするが、鳥取の観測史上最も遅い満開は、さらに10日後の4月17日であった。

 従来は気象庁が開花予想、満開予想を発表していたが、2010年からはこれらの予報をやめ、代って日本気象協会、ウェザーニューズ、ウェザーマップ、日本気象(株)などの民間の気象情報会社が、桜の予報に力を入れ、算出式の改良に務めている。

 開花が早い、遅いは、冬から春にかけての気温の高低が支配的要因だろうと思っていたが、どうもそう単純ではないようだ。桜の開花に至るまでには、花芽形成(夏)-休眠-休眠打破(低温)-生長(温度上昇)の過程が重要らしい。


東京の桜標本木 
投稿日:2017/04/13、No.347

 東京の桜の標本木は、九段下の靖国神社境内にあり、昨日(12日)、近くを通る機会があったので、その木を見に行ってきた。写真の桜は、かなり老木と見えるが立派な姿であり、満開から10日後のため、花は大半散り、ほぼ葉桜となっていた。
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 気象庁指定の全国の桜標本木は、大半はソメイヨシノだから、どこで見ても同じようなものであるが、わざわざ九段下へ立ち寄ったのは、東京の標本木に今年はちょっとした異変があったからである。

 東京管区気象台は、3月21日に平年より5日早く開花を発表した。同じ関東でも、前橋、宇都宮、水戸では開花が4月2日か3日で、平年より1、2日遅かった。

 報道等によると、東京の21日開花は標本木のみで、他の桜の名所では開花はその数日後となったようである。つまり、何らかの原因により、靖国神社の標本木だけが早咲きしたらしい。

 標本木は必ずしもその地域の標準木ではなく、季節の推移や、年による変動を見るために利用されるので、周囲の桜より開花や満開が早かろうが遅かろうが問題はないわけだが、気象台の発表は「桜情報」として広く流れるので、それを信じて行動したため、空振りとか当てが外れた人も少なくなかったと思われる。




         
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