南極観測隊報告会、南極OB会、「しらせ」早い接岸

第57次南極越冬隊報告会 
                              投稿日:2017/04/17、No.348
 第57次南極越冬隊(2015-17年)および第58次夏隊(2016-17年)の帰国報告・歓迎会が、4月11日、港区信濃町にて開催され、南極観測を推進・支援・協力する関係者等100余名が出席した。

 57次越冬隊(樋口和生隊長)は総勢30名で、うち女性隊員は過去最多の5名だった。ちなみに彼女等の担当は、気象観測(気象庁)、地殻圏変動モニタリング観測(極地研)、医療(聖マリアンナ医科大学)、調理(食彩わたぬき)、庶務・情報発信(極地研)であった。

 越冬中、発達した低気圧が昭和基地周辺に接近することが多く、ブリザード(暴風雪)の合計時間は836時間(= 35日)に達し、例年に比べ多かった。

 そのブリザード等の影響により、秋(3-5月)に昭和基地周辺の海氷が繰り返し割れ、流れ去った。
画像

 写真は、基地のあるオングル島の上空からドローンにて撮影した海峡である(2016.4.27:樋口の報告資料より)。北-東-南と記された部分が氷大陸の縁辺、中央の黒い部分が海氷が割れて現れた開水面、写真右の黒い部分は島の露岩である。

 このように昭和基地は大陸から4 km離れた孤島にある。大陸との間が常時開水面なら、ボートや渡し船を利用できる。しかし、平常年では真夏でも海峡は海氷で被われているので、大陸へ調査に行くときは大小の雪上車を利用している。

 したがって、数年または10年に一度くらい、海氷が流失しまうと、氷がしっかり張り、その上を安全に渡れるようになるまで3、4か月ほど待機しなければならない。この安全基準が確立しているわけではないので、現地では一般に難しい判断が求められる。


第58次南極夏隊報告会 
投稿日:2017/04/21、No.349

 越冬隊の報告に続いて、第58次夏隊の活動概要が本吉洋一隊長から報告された。

 前の冬にオングル島周辺の海氷が流れ去ったということは、夏期には、生成後1年以内の薄い海氷のみで、砕氷船「しらせ」はほとんど苦もなく航行し、12月末までに昭和基地沖に接岸できた。

 このように、氷海航行の点からは氷が薄い方がありがたいが、氷上輸送の点からはしっかりとした厚い氷が必要である。南極では、氷状が「良い」とか「悪い」とか言うことがあるが、その意味は状況によって真逆のこともある。
画像

 今夏は氷が薄かったため、通常年では「しらせ」(写真右)が近づくことがない白瀬氷河末端からリュツォ・ホルム湾の海域にて、海底地形調査のため細かい格子状に航行した(写真左の橙線:隊長報告資料より)。これは、精密な海図作製と地球科学的調査のためである。

 第58次夏隊は、「しらせ」に乗船し昭和基地内外で観測や作業を行う隊員29名と、「海鷹丸」にて南極周辺まで海洋物理・化学の観測を担当する隊員6名、計35名で構成された。

 これに加えて、観測隊同行者が「しらせ」に18名、「海鷹丸」に7名が参加し、夏隊総勢60人の大所帯であった。

 同行者とは、報道関係者、小中高校の教員、大学院生、外国人研究者、船や機器の開発技術者、行政機関職員などであり、申請し、認められると参加できる。なお、航空運賃や船・基地での食費・装備など、同行に必要な費用は同行者(所属機関等)が負担する。

第10次南極観測隊OB会 
投稿日:2017/05/20、No.357

 49年前日本出発の第10次南極観測隊(1968-70年)のOB会が、5月16-17日、北海道函館大沼公園にて開催された。元越冬隊員20名、同夫人14名、元夏隊員2名、計36名が参集した。

 元越冬隊員のうち健在者は23名、そのうちの20名(平均年齢78歳)が参加という非常に出席率の高い高齢者の集会であった。

 第10次隊のOB会は、ほぼ毎年の様に元隊員の地元付近で開催してきた。過去20年(1998~2017年)の開催地を列挙すると次のようになる。

 東京3(青山ほか)、北海道(支笏湖、大沼)、鳥取(皆生、三朝)、長野(上高地、菅平)、島根(玉造)、兵庫(神戸)、和歌山(橋本)、岐阜(恵那)、福井(芦原)、石川(加賀)、千葉(銚子)。

 大沼集会の帰途、大沼に近い新函館北斗駅から新青森駅まで、昨年3月に開業した北海道新幹線を利用した。

 新函館から東京まで4時間強で結ばれるようになったので、便利になったことは確かだが、新幹線は函館駅を通らないし、新函館北斗駅~函館駅は快速列車で20分要するので、札幌までの新幹線開業(2031年頃予定?)までは、利便性は限定的の様に思う。

第14次南極観測隊OB会 
投稿日:2017/06/14、No.365
画像

 第14次南極観測隊(1972-74年)のOB会が、6月10-11日、長野県霧ヶ峰(写真)にて開催され、元越冬隊員15名・他が参加した。場所が霧ヶ峰の訳は、同地のヒュッテのオーナーが元14次越冬隊員(設営担当)だったからである。

 第14次越冬隊は、日本出発時の平均年齢が30.1歳と、第1次~50次越冬隊の中で最も若い。それは、南極観測の初期の頃は諸々に経験のある人が求められたこと、およびその後は、社会構造が高齢化に向かったことを反映していると思われる。14次隊はちょうどその谷底だったことになる。

 この隊の目玉の観測・調査は、一つはオーロラ解明のためのロケット打ち上げで、予定した7発は高度100~130 kmに到達し、全て成功した。

 もう一つは、述べ7ヶ月におよぶ内陸雪氷調査旅行であった。これは、日本の南極観測が「探検から観測」へ転換した初期にあたり、その内陸調査の概要と旅行記は、最近(5月末)刊行された『南極大陸大紀行-みずほ高原の探検から観測、内陸基地建設、雪上車の開発-』(256ページ、成山堂)に収録されている。


第34次南極観測隊OB会 
投稿日:2017/11/22、No.405

 第34次南極観測隊(1992-94)のOB会が、去る11月4日、広島市内の居酒屋で開催された。同隊の日本出発は25年前なので、25周年記念と銘打ち、27名の元隊員が出席した。

 34次隊は夏隊(1992.11~93.3)17名、越冬隊(1992.11~94.3)40名の大所帯だった。私は、夏隊長を務めたが、隊全体の副隊長も兼務した。

 隊長、副隊長の仕事は、日本出発の1年前から始まる。まず、各種委員会や研究機関、団体などから推薦されてきた隊員候補者の選考に関わる。しかし実際は、その分野の専門家が推す候補者なので、質問をすることはあっても、「否」を主張することはほとんどない。

 次は、春から夏にかけて、雪山と高原における隊員訓練がある。それと並行して、各専門分野から隊員を通して提出された観測、調査や、輸送、建設工事等の計画案の検討である。一般的に皆、初めは盛りだくさんの計画を立てるので、実情に沿うよう、実施案の縮小や削減の示唆、部門間の調整が隊長たちの重要な仕事である。

 南極に着いてからは、予定した計画の優先順位にしたがって、粛々とこなしていけばよい。ただし、予期せぬ長期の暴風雪、厚く硬い氷状、事故や故障などがあると、計画の大幅な変更を余儀なくされ、隊長・副隊長は難しい決断をしなければならないこともある。
画像

 [写真] 内陸の独立峰ボツンヌーテン(標高1480 m)と、その麓(標高約1000 m)の地学調査パーティーのキャンプ(1993年1月).


新「しらせ」最も早い接岸
投稿日:2017/12/28、No.415

 第59次南極観測隊を乗せた観測船「しらせ」が、12月23日午前(現地時間)、昭和基地の沖合約500 mの定着氷に到着し昭和基地接岸を果たした、と文部省および極地研究所が発表した。
画像

(写真:1993年正月、第34次隊)

 昭和基地付近には岸壁や桟橋はないので、厚さ数メートルの定着氷(動かない多年性の海氷)に錨をとり、船を停泊させる。その地点が、基地まで燃料のパイプライン輸送ができる沖合約1 km以内の場合、昭和基地沖接岸と称している。

 「しらせ 」は、南極観測のために文部科学省の予算にて建造され、海上自衛隊により運用されている船であり、一般には南極観測船と、防衛省では砕氷艦と呼ばれている。

 1983年(第25次隊)から「ふじ」に代わって就航した初代「しらせ」(基準排水量11,600トン)は2008年に退役し、2009年(第51次隊)からは新「しらせ」(12,650トン)が運航している。

 写真は、1992年12月30日、基地のある東オングル島から至近距離に接岸した初代「しらせ」である。接岸地点が基地から近ければ物資の輸送が効率的だし、接岸日が早ければ日程に余裕が生じ、より多くの夏期オペレーションを遂行できる。

 極地研究所の『進め!しらせ』のサイトには、2004年(第46次隊)以降の「しらせ」の毎日の航行記録が掲載されている。それによると、2011/12年と2012/13年は接岸できず、最も早い「接岸」は2004年の12月22日である。

 今年の12月23日接岸は、この14年間の内では2番目、新「しらせ」では最も早いということになる。

 今夏は、昭和基地へ向かう航路上の海氷が比較的薄かったため、ラミング(勢いをつけて氷に乗り上げ、氷を砕いて進む航法)回数が27回と例年に比べ非常に少なかったことが、早い接岸につながったと言える。


$

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0