埋没林、日本の庭園、梅開花、三木山森林、ブナ豊凶、桜満開、砂丘の野草、天然林、ナラ枯れ

三瓶山の埋没林
                         投稿日:2018/02/20、No.428
 埋没林とは、火山噴火にともなう火山灰や溶岩流、また土石流、地すべり等による土砂堆積、あるいは海面上昇の結果、土中や水中に埋もれた森林のことを言う。

 埋没林または化石林と呼ばれている所は全国で約40か所あるそうで、そのうち博物館として常時展示されている施設は富山県魚津埋没林と島根県三瓶小豆原埋没林である。

 前者は、約2000年前、片貝川の氾濫によって流れ出た土砂がスギの原生林を埋め、その後海面が上昇して海水面下になり、樹齢約500年の杉の根がその場で保存、展示されている(魚津埋没林博物館)。

 一方後者は、縄文時代(約4000年前)の三瓶山噴火にともなう、火山性土石流と火砕流により埋没したスギの巨木(高さ12 m)が直立の状態で展示されている(三瓶埋没林公園)。

 10日前、出雲へ行ったついでに足を延ばして、三瓶埋没林を再訪した。写真は、地上1階、地下3階程度(深さ13.5 m)の巨木展示室「縄文の森発掘保存展示棟」である(2月10日)。3年半前に2時間近くじっくり見学したので、今回とくに新しく知ったということはない。

 とは言え、直立したスギ巨木が地中から発見されたということは、土石流により倒壊しなかった、火砕流により燃焼しなかった、および地下水にすっぽり埋まり細菌が繁殖せず樹木が朽ちることがなかった、など特殊な条件が重なったためであり、どこでもしょっちゅう起こり得る現象ではない。

 さらに、水田整備工事の折、土の中から直立したスギが発見され(1983年)、その情報(写真)が専門家の目にとまり、専門家と自治体による調査を経て、埋没樹木が公開展示されることになった(2003年)。この偶然な出来事から始まる連携行動も高い評価を得るべきことである。 
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日本の庭園
投稿日:2018/02/15、No.427

 水戸の偕楽園、金沢の兼六園、岡山の後楽園は優れた景勝の日本庭園として「日本三名園」とも言われている。いずれも江戸時代に造営された大名庭園で、池を配し、園内を自由に散策しながら楽しむという回遊式庭園である。

 これに加えて高松の栗林公園も優れている、という評価もある。これらの内、兼六園、後楽園、栗林公園は国の特別名勝に指定されている。

 アメリカの日本庭園専門誌『The Journal of Japanese Gardening』が、全国の日本庭園およそ1000か所を対象に、各国30人以上の専門家の審査により、「日本庭園ランキング」を定め、毎年発表している。その選考基準は、庭園の規模、歴史、知名度にはよらず、純粋に美と質とくつろぎ空間の評価だそうである。

 その結果、足立美術館(島根県)が15年連続で日本一に選ばれている。これには少し驚いた。同館の庭園は、確かに美しく、よく整い、完璧に手入れされているが、来館者は庭園内を散策することはできず、窓ガラス越しに庭園を見るだけである。

 同ランキング(2017年)では、第2位が桂離宮、3位が東京旧個人邸、4位が平安ホテルとなっている。著名な庭園としては、9位に栗林公園、37位に兼六園の一施設が見られるが、日本三名園や京都の著名な寺などは50位までには入っていない。50傑の大半は行ったことがない庭園なので、どういう基準で選定されているのかよく分からない。

 一方、日本を訪れる外国人観光客向けのガイドブック(ミシュラン・グリーン)の最上クラスの三つ星に、全国の著名な景勝地や施設とともに、中国地方では姫路城、後楽園、宮島、足立美術館庭園が選ばれている。
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 [写真]後楽園の大立石(2018.1.21)。高さ7.5 mの巨石(花崗岩)を90数個に割って運び、もとの形に積み上げたもの(1691年造成)。

梅、遅い開花(鳥取)
投稿日:2018/03/05、No.431
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 3日前(3月2日)、鳥取地方気象台は「うめの開花を観測した」と発表した。その標本木は鳥取市内の樗谿公園にある(写真:3月5日、13時)。

 鳥取市の平年の梅開花は2月10日なので、今年は20日遅れだそうである。今冬は寒かったからそうなったのか、と素直に受け入れていた。

 しかし、各地の今年の梅開花日を見ると、近畿・中国地方で平年より10日以上遅い地点は和歌山、津、京都、大阪、鳥取、岡山、広島、下関に及ぶが、その反面、神戸の開花は平年より15日早い1月30日、松江は20日早い1月4日だった。

 なぜこのように地域による相違が大きいのか、気象台や気象情報会社のサイトでも解説が見当たらない。一方、桜の開花日は一般の関心が高く、各社により予想日の分布や予測方法などが公表されている。

 梅の場合は、確たる根拠はないが、樹種の違い、個体差、年齢、場所の環境など、気象状況以外の要素にかなり大きく影響されているのではないかと思う。樗谿の標本木は隣接する同種の梅(写真の右上隅)に比べて花が著しく少ない。

 気象庁では、生物季節観測として全国の気象台で、梅・桜の開花日、楓・銀杏の紅(黄)葉日、うぐいす・あぶらぜみの鳴き声を初めて聞いた日など、植物12種目および動物14種目の観測を行っている。これらも、将来いずれ見直されることになるだろう。

三木山森林公園
投稿日:2018/03/10、No.432

 神戸市の北、三木市の中心市街から程近いところに兵庫県立三木山森林公園という、自然と触れ合う広大な(80 ha)園地があることを知り、1週間前そこへ立ち寄ってきた。

 地理院地図等では、三木山森林公園という表示はあるが、三木山という山は見当たらない。長さ1500 m、平均幅500 mほどの同公園は、標高60 mから最高点114 mに及んでいる。したがって、三木山とは言え、山らしい山ではなく、起伏がやや激しい丘陵地である。

 この公園内には、研修館、多目的ホール、美術館、クラフト館などの文化施設、およびレストラン、茶室、遊具などのレクリエーション施設が充実している。

 さらに森林公園としては最も重要であるトレール(遊歩道)が、尾根、沢、池、平坦地を巡りながら、数多く整備されている。ここで特徴的なことは、車いすやベビーカーでも通行可能な簡易舗装道と、落葉樹林内にてアップダウンありの登山道風トレール(写真)の2種類があることである。
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 3日正午過ぎ、公園内を大きく周回する約4 kmコースをハイキングした。

 同じ「県立」なので比較したくなるが、岡山県北東部鏡野町の県立森林公園は、面積が334 haと三木山の4倍、高度が10倍の標高1100 m前後の山が4つ並び、目的が自然散策やトレッキング、登山に重点が置かれている。

 一方、三木山森林公園では、対象が乳幼児から健脚や散歩不自由者まで幅広く、「四季おりおりの豊かな自然の中で、森の大切さを素直に肌で感じてもらえる場所」と称えている。そのため、一年中を通して、山菜、キノコ、樹木、昆虫、野鳥などの観察会や、絵画、音楽、工作などの教室が開催されている。

ブナの実の豊作・凶作
                    投稿日:2018/03/25、No.435

 本州山地の代表的な落葉広葉樹であるブナは、数年ごとに実をつけることが知られている。ブナの実などが好物のクマは、凶作年には餌を求めて里に下りてくることが多くなる。

 鳥取・兵庫県境の扇ノ山のブナ林(写真:2015年8月)では、最近では2009年と2013年が豊作だった。
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 なぜブナはこのように、年をおいて時々結実するのかについて以下の解説がある。
「ブナが毎年一定の量の種子をつけるとすると、種子を食べる捕食者(ネズミや虫類)も安定的に生存でき、種子を食べつくすことができてしまう。しかし、凶作年があると種子の捕食者が減り、その後の豊作年には、種がたくさん生き残れるチャンスが増える。」(十日町市立里山科学館)。

 以前この一節を読んだとき、「なるほど」と得心した。しかし、これはあくまで生物界のある一面を見た状況の説明である。

 そのメカニズムに迫る講演「ブナの間欠的な開花・結実と更新特性」(宮崎祐子氏、岡山大学)を、先日聴く機会があった。話は、養分量、窒素、ホメオティック遺伝子など、植物生理学的な内容で難解だったが、次々と最新の研究データや知見を示され、新鮮さを感じ惹きつけられるものがあった。

 さて、結実間欠性の仕組みがある程度分かってきたとして、次なる問題は地域同時性である。東北森林管理局では、管内5県の145定点にてブナの豊凶状況(4段階評価)を調べており、その結果1995、2000、2005年は4県が豊作だった。他の年も各県が似た傾向を示している。

 すなわち、個々のブナ樹が数年ごとに別々に実をつけるのではなく、一つの森ではある年一斉に、さらに県をまたぐ広い地域にて同調しているのである。

 その支配要因としては、温度、日照、雨、雪、大気などが思いつくが、実際はそんな単純なものではないようである。もしかしたら、人が作った機器では観測できないような要素が鍵なのかもしれない。奥深く、興味がそそられる課題である。


さくら満開(鳥取)
投稿日:2018/03/29、No.436

 昨(28)日、鳥取地方気象台は「さくらの満開」と発表した。平年および昨年(4月7日)より10日早く、鳥取の観測史上最も早いそうである。

 満開とは、標本木にて80%以上が咲いた状態を指す。鳥取の久松公園や袋川桜土手では、昨日夕、個体差が大きく5分咲き~満開の状態だった(写真:袋川、28日16時)。
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 民間の各気象会社では、鳥取のさくら開花が3月末頃と予想していたが、これも平年(3月31日)より7日早い3月24日だった。

 一方、鳥取の梅開花は、今冬は寒かったためか、平年(2月10日)より20日も遅い3月2日だった。今年は、桜と梅とで傾向がはっきり異なるので、なぜかと疑問に思う。

 さくらの開花にいたる仕組みには、「休眠打破」が重要らしい。饒村曜は、次のように述べている。
「桜は夏に翌春咲く花芽を形成する。いったん休眠に入った花芽が、冬季に一定期間低温にさらされ休眠から覚めることを”休眠打破”という。その後の気温上昇と共に花芽は成長して開花に至る。冬暖かすぎると春先の気温が高くても開花が遅れることがある。」

 また「暖かい気候の地域では、近年の温暖化により休眠打破が遅くなり、そのため開花が遅れることもある」(九州大学対流圏研)という同趣旨の論もある。

 以上をまとめると、冬に十分寒いと休眠打破が早く起こり開花が早まることもあり、一方冬が暖かいと開花・満開が遅くなることもある、ということである。


因幡千本桜”桜の園”
投稿日:2018/04/03、No.438

 鳥取市内の花見や桜の名所として、例えば全国「さくら名所100選」(Walker+)等では、鳥取城跡久松公園、袋川桜土手、鹿野城跡公園の3箇所が挙げられている。この内、鹿野は鳥取市に合併された西隣の旧鹿野町なので、鳥取市街から近くはない。

 一方、山陰の地方紙・日本海新聞の「桜だより」には、鳥取市では上記3箇所に加えて“布勢桜の園”の花の状況が紹介されている。これはどこかと調べてみたら、正式には「因幡千本桜”桜の園”」と言い、鳥取県立布勢総合運動公園の中にあることが分かった。

 同公園は、陸上競技場、補助競技場、野球場、球技場、テニスコ-ト、体育館、多目的広場、遊具広場ほかを有する鳥取県最大の総合スポーツ施設(52 ha)である。ちょくちょく行くことはあるのだが、桜の季節に桜を意識して見たことはないので、昨日夕、さっそく行ってきた。
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 ”桜の園”は、布勢公園の東端の多目的広場に隣接する丘の上にあった(写真:2日、17時)。鳥取商工会議所が、1986-87年にソメイヨシノ750本、シダレザクラ30本を植栽したそうで、その他の桜と合わせると1000本になるらしい。

 久松公園はソメイヨシノなど240本(日本観光振興協会)、桜土手は2 kmにわたり桜230本(鳥取市観光コンベンション協会)があり、それに比べて布勢公園は広い敷地にたくさんの桜があるので、単なる花見ではなくレクリエーションには恰好である。


砂丘の野草
投稿日:2018/05/08、No.446

 鳥取砂丘の内、観光客の多くが訪れる「馬の背」周辺は、まさに砂だけの丘や平原である。しかし、「オアシス」より内陸側や、砂丘西部には草本類がかなり密に繁茂している地域もある。

 砂丘は、風による砂の移動と激しい飛砂、栄養となる有機物が少ないことや、保水力が弱いため乾燥しやすいなど、植物にとっては厳しい環境だが、その環境に適した特徴をもつ植物が分布している(鳥取県砂丘事務所)。

 鳥取砂丘では、毎年春と夏に、ボランティアによる一斉清掃(砂丘美化運動協議会主催、昨年8500人参加)に加えて、除草(砂丘再生会議主催、昨年7600人参加)が行われている。

 除草には参加したことがないが、当然ながら、砂丘固有の植物には手をつけず、よそから侵入してきた種、即ちいわゆる雑草のみを抜き取る。作業前にレクチャーを受けるが、初めての者は、戸惑うこともあるらしい。

 そこで先週、砂丘にどんな野草があるのか、雑草はどれか、を見ることを目的として小1時間ほど歩いてみた。まず準備として、砂丘事務所などのウェブサイトにて、砂丘固有の草本と好まれない雑草を調べ、植物の名前は何回見ても聞いても覚えられないので、主要ないくつかの写真をコピーして持参した。

 キャンプ場・有島武郎歌碑から「馬の背」方向へ向かう限られた範囲を歩いただけだが、名前が特定できた野草がいくつかあった。この地域で最も多かったのがコウボウムギ(カヤツリグサ科)とハマニガナ(キク科)だった。

 ハマニガナは、春と秋に黄色い可愛い花を咲かせる、と図鑑には書いてあったが、時期が早かったのか遅かったのか、花がついていたのは一部のみだった(写真:5月1日)。
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西粟倉天然林ハイキング
投稿日:2018/06/23、No.454

 岡山県北東部、西粟倉村の「若杉天然林」という名の森林にて、昨(22)日、自然研究路(遊歩道)1周5 kmコースをハイキングした(写真)。
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 出発点(駐車場)の標高は910 m、最高点(第三分岐点)は1190 mなので標高差は280 m、これに加えて尾根上のアップダウン30 mが4か所ほどあるので、合計高度差は約400 mとなる。所要時間は、自然散策者標準の2時間30分だった。

 若杉天然林には、ブナ、カエデ、ミズナラ、トチノキ、スギなどの巨木をはじめ、199種の樹木が確認されているそうである。村内には「若杉原生林」という表示も見かける。しかし、江戸時代にスギやナラ類が伐採されたことがあり、人の手が加わっていない原始林というわけではない。

 ここは、1986年に岡山県で最初の「森林浴の森日本100選」に選ばれ、春は新緑、夏は涼しく、秋は紅葉、冬は雪景色などと、四季折々、混雑というほどではないが、訪れる人は少なくない。


ナラ枯れ 
投稿日:2018/06/28、No.455
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 若杉天然林を歩いているとき(写真:6月22日)、林の中で男性の話し声が聞こえた。やがて、その内の一人が遊歩道に出てきて顔をあわせたので、「何の調査ですか?」と尋ねたところ、「いえ、調査ではなく、ナラ枯れの対策です」との返答だった。

 そういえば、「ナラ枯れ」なんて忘れていたが、鳥取県では数年前にしばしば報道されていたし、紅葉には早い夏の時期に山の上部が赤っぽく変色しているのを見たことがある。

 ナラ枯れとは、カシノナガキクイムシという体長5 mmほどの甲虫が樹体内に持ち込むナラ菌(カビの一種)のまん延により、通水障害を起こすため、ミズナラ、コナラなどナラ類が集団枯損することを言う。 

 この被害が一つの山から広域に拡大すると大変憂慮される事態となるが、幸い原因が「虫」に特定されているので、それなりの対策を講ずることができる。その内の一つが薬剤による方法で、若杉天然林では、西粟倉村から委託された会社が、薬剤(ウッドキングDASH)を樹幹に注入していたのである。

 この他、枯死木の焼却や、カシナガ罠(トラップ)等の各種対策が功を奏したのか、鳥取県東部ではナラ枯れが2010年をピークに急激に減少し、現在はほぼゼロとなり、その反面、県西部の大山周辺では、2014年から増加傾向にある(鳥取県森林づくり推進課)。

 一方、岡山県では、2009年に初めて被害が確認され、2013年に一時減少した後、近年は増加傾向を示し、特に県北東部の鳥取県境付近に被害が集中している(岡山県林政課)。

 素人目にはナラ枯れは分からなかったが、若杉天然林にも被害がおよびつつあるらしい。


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